青年の異世界戦記〜ありふれた職業で世界最強〜 作:クロイツヴァルト
「だぁー、邪魔クセェ!纏めて吹き飛べ!トライデントスマッシャー!」
あれから戒翔は橋の崩落で落ちてきた奈落の底で休む間もなくハジメを探しながら襲いくる魔物を体術や魔法を使い文字通り蹂躙していた。
「上層の魔物に比べてかなり強力だな………ハジメは大丈夫だろうな?」
ここに来てから何日経ったのかは分からないが数日は過ぎていると体内時間で感じていた戒翔は焦燥を感じる。ハジメのステータスはお世辞にも高いとは言えず戒翔との特訓も対人戦を意識した物が殆どでハジメは魔物戦に関してはまだまだな所が多い。しかもこの奈落の底の存在する魔物はどれも強力で上層の魔物との格が違い様々な能力を持っている。尻尾が二本生えた狼〝二尾狼〟は帯電を行い、兎の様な魔物はその姿から想像できない様な脚力を持ち大岩を爆砕させる程の威力をみせて戒翔を驚かせていた。そんな魔物達が跋扈する所でハジメと未だに合流出来ていない戒翔は焦りからか此処に来てから抑えていた能力を惜し気もなく使っていく。
「ナハト、ハジメの魔力反応は何処だ?」
「このダンジョン自体が魔力を帯びていてジャミングされている様な状況だから遠くまでは探知できないよ。ただ、この世界の魔力パターンの解析が済めば何とかなるけど数日で出来る様な事じゃないしそれまでそのハジメって子が生き残っている可能性は低いんでしょ?」
「……可能性ではな。何かしらのイレギュラーがあればまだ生きている可能性もあるんだ。白崎にハジメを連れて帰ってやらんといかんしな。」
胸元のペンダント〝バハムート・ナハト〟と会話していると微かに銃声の様な音が戒翔の向かう先から聞こえて来る。
「ナハト!」
「音の届き方と反響から計算して距離は約十キロって所だね。どうする?」
「決まっている。ハジメが戦っているかも知れんのだ。急ぐぞ!〝雷化〟」
ナハトの言葉に戒翔はスキルの名を告げるのと同時にその場に放電現象を残して消えたと錯覚するほどの速度で音の聞こえた場所に急ぐ。そして其処で見たのは
「お前……ハジメか?」
「戒翔か?そういえばお前も俺と一緒にこの奈落の底に落ちてきたんだったな。」
「ハジメ、お前色々と変わりすぎて一目じゃわからないぞ?」
そこで会った人物は戒翔が探していた人物である南雲ハジメだが、その容姿は豹変と呼べるレベルである。大きな変化と言えるのは先ず左腕が無くなり、顔付きも変わり目は釣り上がり元は黒髪だった髪はどういった訳か白髪となり残っている右手には戒翔が聞いた銃声の元となるこの世界には似つかわしくない銃を持っていた。
「俺の方も色々とあったんだよ。それで戒翔、お前は俺の敵か?敵なら殺す」
ハジメの言葉に最初はその変わりように驚いていたが苦笑しながら戒翔は
「んな事聞いてどうする?俺はお前の味方だよ。そもそも親友を助けないで何が親友だよ。そうじゃ無ければそうじゃない奴がわざわざこの危険な奈落の底まで来て捜すわけないだろ?」
戒翔の言葉にハジメも最初は険しかった表情を幾分か柔らかくし、銃を腰のホルスターに収める。
「悪い、ここまで一人きりだったからか多少だけども気が立っていたみたいだ。」
空いた右手で頬を掻きながら苦笑いするハジメである。
「……取り敢えず俺の拠点に行こう。そこなら多少は安全だからな。」
ハジメはそう言って足下にある魔物の死骸を肩に担ぐと拠点があると言ってその先に戒翔を伴って歩いて行く。