青年の異世界戦記〜ありふれた職業で世界最強〜   作:クロイツヴァルト

8 / 9
第七話

 

 「まだ下に下りるのか」

 

 「どのくらいだろうな。ハジメを見つけた場所から大体五十階層って所だな。」

 

 戒翔とハジメは魔物が出ない安全領域らしき所でハジメは弾丸の作成を戒翔は安全領域と見られる所で周囲の警戒をしていた。

 

 「さてと、ハジメ。俺の能力はステータスを見て分かったと思うが、それが俺の能力の全部じゃないんだよ。」

 

 「どう言う事だ?」

 

 「つまりこう言う事だ。〝ナハト〟セットアップ」

 

 《OK、standby ready》

 

 「んなッ!?」

 

 作業の手を止めてハジメは戒翔の方を見ると戒翔は首に下げたペンダントを頭上に掲げ、一言告げるとその掲げたペンダントから電子音声が響くと戒翔の足下から黒い極光が迸り戒翔の身を覆う。その眩い光にハジメは腕で顔を庇いながら想定外の光景に言葉を失う。

 

 「コレが俺の持つ表記されていない能力の一つだ。」

 

 光が徐々に収まり見えるようになった所で戒翔の姿にハジメは

 

 「なんだよ、それ」

 

 「元時空管理局局長としての正装だ。ハジメには言ってもいいが、俺は俗に言う転生者って奴だ。」

 

 光が収まった先にいたのは漆黒の西洋鎧を彷彿とさせる物であったが、しかし服のような物で腕や足周りに装甲の様な物が装着されていた。その姿を見てハジメは言葉少なく呟くと戒翔は簡単に説明をする。

 

 「転生者って二次元の話」

 

 「今現在の俺達の状況こそが二次元の様な物だがな。まぁ、そこはいいが俺がハジメに隠していた秘密ってのはこれの事も含む。」

 

 「…含むって事は」

 

 「まだあるが、今の現場では話す事はできない。」

 

 「なんでだ?今は俺達だけなんだろ?」

 

 「確かにそうだが、仮にお前が洗脳なり記憶を読まれたりした場合に此方のアドバンテージを失う可能性もある。〝ナハト〟単体ならそこまで問題じゃないからな。」

 

 ハジメの疑問に戒翔はそう言って締め括る。

 

 「お前がそう言うならそうなんだろうが、俺だってそう簡単にやられる程弱くはないぞ。」

 

 「まぁ、今のステータスなら生半可な連中なら負けはしないだろうが個が群に勝てるのは一部のイレギュラーだからだ。並の奴なら擦り潰されて終わりだ。だけど、ハジメお前は違う。お前のその錬成は群に勝てる要素を備えている。その証拠がお前が作り出したその銃が証拠だ。」

 

 不服そうなハジメに苦笑しながら戒翔はハジメが手に持つ〝ドンナー〟を指し示す。

 

 「この世界は基本的に魔法やスキルに頼った戦闘スタイルだ。そして遠距離の攻撃は個人なら魔法か弓矢で軍等ならバリスタや大砲があるだろうが、個人で携行出来る銃火器を作って使用できるのは…ハジメ、お前だけだ。その強みをどこまで活かせるかが今後のお前を決めると言っても過言では無い。」

 

 「そこまでなのか?」

 

 「この俺が地上で何も調べていないとでも思ったか?見知らぬ土地でなんの情報も無しに動けばどうなる?情報収集は必須項目と言ってもいい。コレからの冒険でも先ずは情報を集めて吟味して自分の中に落とし込めばいい。」

 

 「あぁ、分かった。」

 

 「情報収集の仕方ならお前もわかるだろうが念の為に地上に出られたら一から教えるからな。銃を使った戦術に情報収集の仕方に近接格闘の訓練と目白押しだ。しっかりと指導してやるから楽しみにしておけよ?」

 

 「前にもこんな事があったなぁ」

 

 戒翔のイイ笑顔にハジメは頬を痙攣らせて遠い目をする。

 

 「さて、話はこんな所で終わらしてあのいかにもな扉を見に行くか。ハジメ、ドンナーの整備はどんな感じだ?」

 

 「後は弾薬の補充って所だ。」

 

 ハジメの言葉になにか納得したのか戒翔は肯くと

 

 「では、ハジメはそのまま補充の方を続けてくれて構わない。俺は先にあの扉を調べる。」

 

 「それはいいけど大丈夫なのか?」

 

 「なに、何かあっても俺が負ける事はないよ。それに今の俺のこの力のお披露目でもあるからな。簡単に殺される様な魔物では困るがな。」

 

 疑う様な眼差しに戒翔は挑発的に笑い、作業をしているハジメをそのままにして奥の大扉の所まで移動する。

 

 「コレは…特殊な鍵が必要なタイプの扉か…で、コレに触ると」

 

 大扉に軽く触れ、魔力を流して調べようとしたところ、両隣に立つ巨人の石像が反応する。

 

 「侵入者対策か…この先にはよほど見せたくないモノでもあるのかな?まぁ、此奴らを潰せば邪魔は入らんか。」

 

 まるで皮が剥がれる様に表面の石肌が剥がれると緑色の肌に腰蓑を履き、片手に一撃で普通の人間なら簡単に挽肉にできそうな巨大な棍棒…戒翔達からすれば巨木をそのまま武器にした様な物を持った魔物〝サイクロプス〟が二体、戒翔の前に立ち塞がる。

 

 「さぁ、始めようか。せいぜい少しは俺を楽しませてくれよ?先ずは弾幕だ。〝ナハト〟威力を抑えて様子見だ。」

 

 《OK、darkbaretto》

 

 「穿て!」

 

 戒翔のその言葉と同時に周囲に浮かべた無数の黒色の魔弾が二体のサイクロプスに殺到する。

 

 「「ガアアアァァァァッッ!!!!」」

 

 機関銃の様な速度で撃たれる魔弾の凄まじさに悲鳴の様な怒号の声を上げる。

 

 「流石にその図体ならではのタフさだな。ではもう少し威力を上げていくぞ?」

 

 《genocideshift》

 

 戒翔の側に展開していた魔弾だったが、戒翔の言葉にナハトが応えるようにその電子音声が流れるのと同時に二体のサイクロプスをグルリと囲むように魔弾が配置される。

 

 「正面からの攻撃と逃げ場の無い攻撃どちらが効くかな?」

 

 そう言って戒翔は

 

 「撃ち尽くせ!」

 

 そして、先程の攻撃が生温いと感じるほどの衝撃と音が響く。先の攻撃が機関銃ならば今の攻撃は爆撃かと思えるような攻撃である。そして囲むようにしているためにサイクロプスは逃げる事もできずにその場に張り付けるようにして不出来なダンスを踊るようにその身に魔弾を受け続ける。

 

 「ガアァッ!!!!」

 

 しかし、サイクロプスもやられるままではいられないとばかりに手に持った棍棒を目の前の戒翔に振り下ろす。

 

 「ほぉ、反撃をするか。だが…無駄だ。」

 

 《protection》

 

 戒翔の頭上に黒い円形の魔法陣が形成されるとそのままサイクロプスの棍棒の振り下ろしを受け、凄まじい音がするものの微動だにせずにその重量級の攻撃を受け切る。

 

 「…守護系統の魔物だが知能が低すぎるな。この程度なのか」

 

 攻撃を防がれた事に戸惑うサイクロプスを尻目に戒翔はその様子をみて落胆の表情を見せ

 

 「もう終わりにしよう。」

 

 《Buster mode》

 

 戒翔の声に呼応して〝ナハト〟は戒翔の後ろに無数の極小の魔力球を生成する。

 

 「撃ち滅ぼせ」

 

 《thousand razor》

 

 戒翔の背後に待機している魔力球が輝きを増すのと同時に二体のサイクロプスが瞬く間に蜂の巣の様に穴だらけにされ一瞬で絶命する。

 

 「この世界の魔物はこの程度なのか?それともこの大迷宮がこの位なのかまだまだ判断材料が少ないか」

 

 そうして魔物の死体を前に戒翔が考察をしていると銃を整備していたハジメが近づいて来る。

 

 「戒翔ってここまで強かったのかよ。」

 

 「他の連中の前だと余計な事が起きそうだったし誰かに見られているって気配もあったからある程度強いって位に調整だけはしてたからなぁ。次いでにあの時のステータス開示の時にも改竄してたし」

 

 ハジメの言葉に戒翔は苦笑しながらその時の種明かしをする。

 

 「まじかよ。流石は戒翔って所だな。」

 

 「さ、後はこの魔物を調べるだけだな。この大扉を開くための鍵か何かを持っているはずだが、俺の魔法でそれごと消し飛んでいなければ良いが」

 

 「一々不安になる事言わないでくれよ。」

 

 そして戒翔とハジメは魔物の死体を調べ、鍵の様な球を見つけ出す。

 

 「魔物の肉体に鍵を仕込んでいるとかベターだな。」

 

 「これであの扉の先に行けるな。」

 

 手に入れた宝玉の様な形の鍵を扉にある二つの窪みに嵌めると大きな音を立てて大扉がゆっくりと開く。

 

 「さて、奈落の底の先にはなにが待っているのやら」

 

 そう言って戒翔とハジメは扉の先の暗い空間に歩き始めるのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。