眠り続ける少年。傷は既に跡一つなく治っている。恐るべき治癒力だ。
「まるで生命力の強い危険種だな」
「まるでも何も、彼は危険種ですよ」
エスデスの言葉に眼鏡をつけた白衣の男、名をDr.スタイリッシュが眼鏡をクイッ、と上げる。
「危険種?」
スピアはその言葉にどこか棘のある声でスタイリッシュを睨む。しかし、先程の少年の戦い方を思い出し言葉に詰まる。
「体を構成する細胞はまさに危険種のそれ。私が研究しているデータにもあるわ。ないのもあるけど。むしろそれが大半かしら?」
しかも一種類ではない。体の各所から細胞を取ってみた。てっきり足はエスデスが見たというカモシカ型の危険種に一致するのかと思いきや水棲危険種のものだったし腕は植物。唾液から調べた遺伝子は鉱石型危険種に類似するデータがあった。完全に同じではなかったが。
どういう事だ?と改めて足を見てみたら爬虫類系危険種っぽいものに変化してた。腕の部分確認すると丁度虫系危険種から魚系危険種の細胞に変化してた。しかも脳細胞。訳解らん。
「恐らくエスデス様と同じく危険種の生き血………どころか肉なども取り込んだんでしょうね。それも、何十、何百も………細胞が完全に変異して定まっていません。この人型の姿も単なる擬態。将軍の仰っていた様々な獣の姿の方が寧ろ本性なのかと」
「む?では何故私は能力しか変化がない。私とて変異してもおかしくないだろう?取り込んだ種類の多さか?」
「エスデス様が飲んだものは千年前の血ですよ?それに、エスデス様は確か頭の中で囁く破壊衝動を抑えつけたとか………彼の場合、それが出来ずに危険種に飲まれたのかもしれません」
「ふむ、話を切くとデモンズエキスの素体たる危険種も喰ったようだが………」
あれは適合に失敗すると発狂して死ぬと聞く。断じて危険種へ変異する代物ではない。
となると、やはり彼もまた適合者では合ったのだろう。故に発狂しなかった。しかし取り込みすぎたせいで様々な声に自我を削られたと行ったところか?
危険種と人間の融合。今の自分はあくまで危険種の血が体の中に流れているだけ。飼い慣らして、時折声が聞こえる程度。発狂するのは、恐らく普通の人間はその破壊衝動を忌避したから。自分は寧ろどんとこいだ。
あの破壊衝動に身を委ねれば、果たして───
「危険種と人間の融合………」
と、スタイリッシュが呟く。
「何だ、Dr.も此奴のようになりたいのか?」
「いえ、彼は言ってしまえば継ぎ接ぎだらけ。アタクシが目指すのはもっとスタイリッシュかつエレガントな力ですわ」
ただ、もう少し血は貰っておこう。と、注射器を近づける。
「あの、この子は……目覚めるんですか?」
「さあ?ホルモンバランスも常に変化してるしどの状態が健康的なのかも解らないし、なんとも言えないわ。けど、その状態で生き続けていたなら生命力は相当でしょう」
だからそのうち起きるわ、と言うスタイリッシュの言葉にほっとすると、丁度そのタイミングで少年が目を開く。なんとタイミングの良いことか。
「起きたか……」
「────ッ!!」
そして、エスデスの声に飛び跳ね立ち上がると爪を伸ばし歯を鋭い牙に変える。誰がどう見たって臨戦態勢だ。エスデスは愉しそうに獰猛な笑みを浮かべ、その闘気に反応し少年の手足を硬そうな鱗が覆い口から火の粉がチロチロと零れる。エスデスから冷気が放たれ、しかしスピアが慌てて叫ぶ。
「ま、待って!待ってクラン!」
少年が飛びたそうとするも、その前にスピアが抱き締める。目を見開いた少年はしかし簡単に振り払えるはずのスピアを振り払わず、元の大きさに戻る。
「クラン?クラ………誰?クラン───誰誰だだだ、だれ………」
「貴方の、名前よ」
「俺?俺の名……俺、クラン?クラン……クランは、クランには?家族?俺、の……クランの家族………」
「ク、クラン!?どうしたの!?」
「あらー、これはトラウマ刺激しちゃったみたいねぇ」
スタイリッシュは何でもないように言う。トラウマ?とスピアは抱き締める力を強くする。少年からすれば些細な変化。それでも、漏らしていた声が止まる。
「ごめんなさい……私は本当に、貴方のことを何にも知らないんですね」
「──────」
少年は何も答えない。ただ、どこか懐かしむように、寂しがるようにスピアを見つめ、縮んだ。
「………へ?」
子供ほどの、それこそ現皇帝並みに幼い見た目になった少年はスピアの腕の中にすっぽり覆われながら、ジッとスピアの顔を見つめた。
「…………思い出したくないことがある?………ある!とぉ、思う………良く、解らない。でも、その名を呼ばれると、嬉しいけど、怖い……その名前は、きっと……親?親が、つけてくれたぁ………名前!俺は、たぶん親、好き。名前、大事にしたい」
「うむ。私と一緒だな……候補とはいえ共通点があるのは良いことだ」
「けど、過去はこわ?怖い?怖い……名前、捨てたくないけど、そう呼ばれるの、過去を、思い出しそうになる」
「なら、少し変えてグランちゃんはどうかしら?」
「グラン?少ししか変わってませんけど………」
スタイリッシュが提案するが本当に少ししか変わっていない。
「まあ、これアタシが考えていた名前を合わせたんだけどね」
「お前、考えた?何?縮める前の名前……」
「グラトニーよ。危険種を食べて食べて強くなったんでしょう?危険種の力を人の身で使う。まるで帝具……餓喰千変グラトニー……まぜてグラン」
どうかしら?と微笑むオカマ。何となく寒気を感じた少年はスピアの腕の中で身を縮める。
「それなら、へーき?へーき!今から、俺はグラトニー………呼ぶときは、グランで良い」
「そう、じゃあ、改めてよろしくね、グラン」
「………ん」
名を呼ばれ、はにかむように笑う少年あらためグラン。その笑顔に、エスデスの胸が高鳴る。気が付けば氷で首輪を作りグランに向けて手を伸ばし───
「!?」
エスデスの存在を思い出したグランが即座に警戒する。スピアを庇うように腕の中からすり抜け背に隠し、スピアが慌てて後ろから抱きつく。
「だ、大丈夫ですグラン!エスデス将軍は敵じゃありません!」
「…………敵、違う?でも此奴、敵……殺す気ぃ、だった……」
「それは、そうですけど……今はもう、私を殺す気は無いみたいですから、お願い」
「……………………」
スピアの言葉にしぶしぶ殺気を納めシュルシュルと縮んで行く。スピアに従順な様子にエスデスはふむ、と呟く。
「グラン。私のものになれ」
「いや……絶対に、いや……だ」
「ふふ。そのつれない態度も、調教のしがいがある」
「ガルルルル!」
エスデスがうっとりと見つめると思い切り威嚇するグラン。再び首輪を近付けると鋭く尖らせた牙で噛み砕いた。
「私が飼ってやろうというのに連れない奴だ………」
「あ、あの………エスデス将軍、この子は動物では………」
いや、確かに動物っぽいが。
「まあ良いさ。取り敢えず、そいつの扱いは生物型帝具………所有者はスピア、お前だ。今のところ、お前の言うことしか聞かないようだしな」
「………帝具?この子を、道具扱いしろって事ですか?」
「不服か?だが、実際帝具に匹敵する力を持ちしかし知能は幼児程度のそいつを野放しにすればどうなるか………それに、帝具使いという立場はお前も守るためでもあるぞ?」
「………………」
理解は、出来る。エスデスは部下がナイトレイドのスパイだった、と主張するが本人も信じられるなどと思っていないだろうしスピアだって信じていない。あれは帝国が父を、チョウリを狙ったのだ。政敵だから………。つまりオネスト、あるいはその派閥の誰かが糸を引いている。
仮にオネストだとしたら、最悪だ。聞いた話では罪を着せた者の親族も犯罪者の身内として捕らえ散々もてあそぶと聞く。父を支えるために武に身を捧げ、恋人の一人も出来た子のない身だがその程度の知識はある。オネストにやられるなど最悪以上の何者でもない。
しかし帝具使いなら確かにそう易々と手を出せないだろう。なにせ帝具使いは希少だ。処刑した者が持っていた帝具に適応できる者がヒョイヒョイ現れるなどあり得ない。
「そいつは強い。将軍級にはな………なら、オネストといえどそう簡単には捨てられないはずだ」
「でも………」
それでも、この子を道具扱いなんて………。
「私の知り合いに、生物型帝具を持ってる子がいるわ。けどその子は帝具に名前まで付けて、道具としては扱ってなかったわ」
「俺、が………てーぐ、なると、スピア助かぁ……る?なら、構わない」
「…………グランが、そう言うなら」
「幸い文献にも載ってないのがあるしね。ちょうど良かったわね」
こうしてスピアは餓喰千変グラトニーの所有者………と言うとになった。
「…………ナイトレイド、ですか」
「ないとれーど?」
その後エスデスにオネストに集めさせている帝具使いが揃えばナイトレイドなどの犯罪者集団をとらえることになるから帝都の地形を覚えてこい、後グランの好物を調べてこいと帝都に放たれた2人。
幼少期は父とともに少し住んでいたがそれもかなり昔。好きだったケーキ屋も潰れていた。それと、住民の顔がやけに暗い。
「ナイトレイドは帝都で活動する殺し屋集団です。無差別な暗殺を繰り返し富裕層から警備隊隊長まで襲うとか………ただ」
少し違和感がある。ナイトレイドの殺人はあくまでナイトレイドしか出来ないだろうとされた事件。ナイトレイドの仕業だと広告を残し始めたらしいがエスデスの部下達が持っていたチラシを見るにそちらは全て偽物として見る。そして、偽物に襲われたであろう者達は父から聞かされた良識派だけ。
「……………」
警備隊隊長と言えば治安を維持する正義の味方……普通なら町民からも慕われ、良識派からすれば民を味方にも出来る存在のはずだが…………。
「少し、調べてみますか」
「調べ~る?何、調べる?」
幸いにもエスデスから渡された彼女の部下の証。これさえあれば、大抵のことはまかり通るらしい。ナイトレイドに襲撃されたという貴族の屋敷にあっさり入ることが出来た。
「ここ、沢山人死んだ……殺されぇ、た?血の臭い、凄い………何十人?何十人も!殺され、た……」
「何十人?」
資料によると殺されたのは護衛数人と貴族の家族三名。何十人と言うほどではないはずだが………。
「あっち、から……臭う。凄い、濃い、臭い……」
あちらは、何もないことになっている。だが、グランが嘘を付くとも思えない。
向かってみると建物があった。離れの倉庫だろうか?やけに扉が新しく、頑丈にしまっている。頑丈そうだが襲撃のさい避難に使われなかったのか?まさか避難の後に扉を付け直したわけでもないだろうし。
「あけ、る?」
「………お願いします」
スピアの言葉に頷くと、グランは鉄の扉を引き剥がした。途端にむせかえるような死臭が倉庫の中から溢れる。
「───っ!!」
吐かぬように堪えたが、しかし中の光景を見て吐き出す。
死があった。金具で吊された死体。拷問器具に縛り付けられた死体。ホルマリン漬けになった死体。檻の中で息を引き取った死体。沢山の死体が無造作に放置されている。
扉、どうやら襲撃の後付けられたようだ。彼等の中には生きていた者も居るかもしれない。保護が面倒になって、閉じこめた?誰が?こんな事できるのは、国の上層部に決まっている。
「うぇ………げぇ…………」
「スピア?だい、じょうぶ?」
「貴方は、平気なんですか?」
「………へー、き………死体には、見慣れてる?みたい」
自ら思い出すことに拒絶反応がでるような過去だ。確かにこのような光景も何度も見たのかもしれない。槍の腕を磨き、強くなって、全部どうこうできると思っていた自分とは大違いだ。
「……私も、もう大丈夫です。少し、この家を調査しましょう」
調査して、気分は最悪。婦人の書斎にはあの倉庫の檻に閉じこめ薬漬けにした者達が苦しむ様を綴った日記が数冊見つかった。本当に、楽しそうな文で書かれていた。
警備隊隊長についても不自然な交友関係について調べようと本人達に聞けば金を渡された。今後ともよろしく、と。
槍を振るいたくなる衝動を抑え、友好的にさらに踏み込むと警備隊隊長オーガに渡していたという賄賂の帳簿を渡された。
警備隊隊員には調べられなかったとしても、国の上層部が、こんな素人の娘が調べただけで解ることを見落としていた?まさか、あり得ない。
この国はここまで腐っていたか。重税だけではなかったか。人の命はこんなにも軽くなったのか。
気分が悪い。
暗殺者達の方がよっぽど正義を行えている。いや、反乱軍と繋がっているのなら、帝国に仕える身として見過ごすことは出来ないが………。
けど、反乱で流れる血と、悪政を通り越した腐敗により流れる血。果たしてどちらが多いのか───。
「────?グラン?」
と、隣の気配が離れ振り返るとグランが遠くを見つめていた。何だ?と自身も上がった視界を働かせその方向を見る。いや、これはひょっとして何かを聞いているのか?と、耳を澄ませようとした瞬間、隣が濃密な殺気が放たれる。
「ひっ!?」「うわ!」
「───!?」
普通に生きていれば感じることのない殺気に騒ぎ出す民衆。失神する者も居る。
いったい突然どうしたのかと訪ねる前にグランの足が猫科を思わせるモノへと変化し地面を踏み砕き屋根の上に上る。スピアも慌てて追う。
彼の細胞のおかげで身体能力も上がり、スタイリッシュの調整でさらに上がったというのにまるで追い付けない。
追い付こうとしている間にメインストリートに入り、飲食店に向かい、壁を吹っ飛ばした。
「な、なんだ!?」
「何者だ!」
そこには数名の男達がいた。三名ほどの少女達も。年は、グランより少し下。
一人は両足が折られ、一人は片目が無くなり、一人は裸に向かれ犬にのし掛かられている。
「───────」
「な、なんだお前は!おい、お前等さっさと殺せ───!」
「へいへい。何もか知らんが運がなかったな、ぼ───」
護衛であろう一人の男が近づき、その頭部が消える。離れた場所で別の男の上半身が弾け壁に赤い液体が飛び散る。
「────え」
「ルウゥゥ────グルアアアアア─────!!!」
「キャウン!」
調教されていたのだろう。人間の少女相手に腰を振っていた犬が慌てて逃げ出すも背を踏みつけられ腹が弾け二つに別れる。
「ドグちゃん!おのれ、貴様ぁ!殺せ、殺した奴には褒美────」
犬の飼い主であろう男が叫ぶが巨大な犬型の危険種に姿を変えたグランに体を食いちぎられ、残った下半身が力なく倒れる。
「ひっ!ば、化け物!」
「冗談じゃねぇ、聞いてねぇよ!」
「グオォォォ!!」
逃げ出そうとした護衛達だったがグランが吠えるとグランを中心に床が凍っていき、壁や扉が氷に覆われる。壁に空いた穴も氷で塞がる。ここは最上階だから、そこはあまり関係ないかもしれないが、少なくとも完全に逃げ場がなくなった。
「──────」
「─────え、あ」
少年の姿に戻ったグランは一番近くにいた片目を抉られた少女の頬に触れる。少女は残った瞳でグランを見た。彼は、誰だろう?何で、そんなに寂しそうな顔をするのだろう。そんな疑問は口にでず、グランはヌルリと滑った己の手に着いた血を見つめ、立ち上がり振り向いた。
「─────オマエ、か」
「ふひっ!?」
目玉を口の中で転がしていた男がビクリと震え後退り、ゴクリと唾とともに目玉を飲み込む。喉に詰まったのか慌てて胸たたき、再び喉が鳴り目玉を完全に飲み込む。
「ま、待ってくれ!ワシはただ、その娘の目が余りに綺麗だったから!そう、ワシだってその娘はかわいいと思って───」
そこまでいって視界の半分が消える。顔に焼き鏝でも押し付けられたかのような激痛が走る。
「っ!?が、ああぁぁぁ!?」
顔の右上部が消える。目玉ごと、食いちぎられた。グランはブチュリと目玉を噛み潰すとべっ、と吐き捨てる。
「き、貴様ぁ!ワシを誰だと思っておる!萌えも理解できん愚か者が、貴様の目玉は踏み潰して虫の餌」
残った目をグランの指がつぶす。後頭部から伸びた爪が飛び出す。脳をやられびくびく震える男はその場で倒れる。
「あ、あば──ば、ば………ま、待てくれ!人を喰いたいなら、私を生かした方がいいぞ!?屋敷には、刻み途中の田舎者達が!い、いやなら町娘も特別持ってこさせ───」
暫、と手足が輪切りにされる。どういう理屈か、グランが一部を踏みつけると繋がっていないはずなのに激痛を感じる。
「ぎぃああぁぁ!!痛い痛い痛い!やべてぇぇ!」
「…………」
「ひっ!?お、お前達何をしてる!ガキどもを人質に取れ!あいつを殺せ!あいつが生きてる限り逃げられないんだぞ!」
「「「う、うおおおお!」」」
「─────!!」
迫り来る男達に吠えるグラン。引きちぎり、切り裂き、噛み砕き、すりつぶし、叩き割る。ものの数秒で辺りが赤く染まり、残ったのは優男ただ一人。
「あ、ま……待ってくれ!話を聞いてくれ!こ、これを見てくれ!」
そう言って男は胸元を露わにする。その胸には焼き印が刻まれていた。
「僕がこうなったのは訳がある。これは奴隷の証、母さんが僕を───」
「──うぅる、さぁい」
「─────」
グシャリとグランの足が赤く染まる。肋をへし折られ心臓を潰された男はビクビク痙攣した後動かなくなった。
「───ひっ!」
「ファルちゃん!お、お願い、やめ───」
足が折られた少女に近付くと裸に向かれた少女が叫ぶ。グランは足に手を翳すとパキパキと表面を霜が覆っていく。
「楽、に───なった?」
「───え」
「お前、も……目、冷やす」
そう言って片目をえぐられた少女に氷の固まりを渡す。両目を失った死体の胸を抉ると目玉を取り出し、こちらも凍らせる。
「ドクター?に、頼んで………見る。彼奴、なら………治せる?治せる!かも……」
その言葉に少女は安堵する。
「良かったね、ルナちゃん………」
「…………まだ、終わってない………?ない、みたい!」
と、少年が半獣人の姿を取ると同時に氷が砕け犬………見たいな巨大な生物が襲いかかってくる。その太い拳を止め、壁に叩きつけると今度は義手の少女が殴りかかってきた。かわして距離を取る。少女は周囲を見て、グランを睨む。
「罪のない人々をここまで無惨に殺すなんて、なんたる悪の所行!決して見逃せるものではない!」
「だぁ……たら、どーす………る?」
「知れたことを………絶対正義の名の下に、セリュー・ユビキタスが貴様を断罪してくれる!」
「…………ぜったい、せーぎ?ゆ、夢見がち………絶対の、せーぎなんて………ない」
獰猛な笑みを浮かべた少女の言葉をそう切り捨てるグラン。犬のようなものはグルル、と唸る。グランは、ゴキリと指を鳴らした。
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