「 うひゃあああああああああ 」
ウサギは思わず縮こまり、股間を隠した。
「 鷲羽ちゃん! 」
天地は鷲羽を叱りつけた。
「 はは、ごめんごめん 」
それをよそに、ウサギの痣を知らない皆は、縮こまるウサギの背中に浮き出る痣に注目せざるを得なかった。
「 これは、一体どういうことですか! 鷲羽様 」
「 ノイケ殿、まあ、落ち着きなさい。実はね…… 」
と、鷲羽は砂沙美にしたように説明しだした。
「 なんと、生体強化中にこのようなものが現れるとは! 」
「 そうですね、お兄さま。これは、いったいどういうことなんでしょうか? 」
「 じっちゃん今までこんな痣がある人見たことあるかい? 」
「 ふむ天地、思い当たらんのー。鷲羽殿もその様子だとわからんのじゃろう? 」
「 そうだね。お手上げさ。でも、今のところこの痣には明確な力の発現は確認していないんだ。まあ、別の意味での力ならあるかもしれないけどね。 」
そう、鷲羽が言うと樹雷というものを理解し、光鷹翼 という絶対的な力を理解している者達は唸った。
ウサギに付いているのは確かに痣だけであり、今のところ力というものを確認できないことから、銀河系や星をどうこうできるのとは確かに無縁ではあろう。
だがしかし、 光鷹翼は宇宙で特別な意味があった。
例えるなら水戸黄門というTVの主役が持つ印籠のような力は見いだせるのである。
誰かがおふざけで光鷹翼の刺青をしているのなら、世間体が悪いと思わせるぐらい可能であり、権力を持つものがそれを身にしているなら、力の象徴として皆にみなされ、ある程度の無理が効く場面だってあるのがこの光鷹翼であのだ。
それは、樹雷の皇族と何らかの関係があると示唆しているも同じであるからだった。
だから、柾木家の住人たちがウサギの痣に驚くのも心配するのも変わったことではなかった。
「では、鷲羽殿この件はいかにするおつもりで? このことが知られればことは樹雷だけの話ではいきますまい。」
「そうだね勝仁殿。だからウサギ殿は軽々しく背中を見せてはいけないだろうね。」
そういって、ウサギの背をパンパンと叩くウサギ。
「あうー。取り敢えず着るものをくださいー。」
ウサギは皆の言うことがわからず、というか耳に入らずこの恥ずかしする皆に隠しているとはいえ裸を見られてしまっている状況をどうにかしたくて、顔を恥ずかしさで真赤にしながらも取り敢えずせつに望んいることを言うしかできなかった。
そんなウサギにタイミングよく助けてくれたのは砂沙美であった。
「ウサギおにいちゃんこれつかって」
渡されたのは大きなタオルケットだった。
それを羽織るウサギ
「有難う砂沙美ちゃん」
ウサギはその優しさに感謝していそいそとタオルを腰に巻き始めた。
そして、なんとか気を取り直したウサギは鷲羽に事の顛末の説明を求めた。
はっきり言って、皆が理解していても僕の背中の痣がどうのとか意味がわからなかったからだ。
それに、鷲羽は皆を代表して答えた。
「取り敢えず見てもらったほうが早いね」
そう鷲羽はいうと、どこから持ってきたのか大きな鏡を2つ用意してあわせ鏡を作りウサギにその間にそのまま立つように指示された。
「ほれ、ウサギ殿ここに立つんだよ」
「それより先に洋服せめて戻してよ」
そんなウサギの訴えは聞き入れてもらえるわけもなく、いいからいいからと鷲羽に背中を押されウサギは合わせ鏡の間に立った。
すると、ウサギは皆が言っている痣が確かに自分にあることに気づいた。
「何この気持ち悪いの」
ウサギは思わず思ったことを口走った。
それに吹き出す皆。
確かに樹雷関係を知っている者から見ては、神聖視されてもおかしくない絶対的な力の象徴も、何も知らなければ変なものでしか無いというのを気付かされた瞬間でも会った。
「僕にこんな痣、今までなかったよ!」
ウサギはそう言うしかできなかった。
一体どんな病気なのかと焦り出すウサギ
「お、落ち着いてください。きっと悪いものではないはずですわ」
と、気遣うように阿重霞はウサギに身を寄せた。
「どうなんです? 鷲羽様」
「今のところ本当にただの痣なんだよ阿重霞殿。」
「でしたら、危険は無いのですね」
「今すぐどうなるわけではないってのが今答えられることだね。なにせその痣は宇宙に上がるGP隊員候補生が受ける生体強化とあまり変わらない鷲羽ちゃん印の強化中に発現したものだからねー。まあ、ウサギ殿の命の心配はないと思うよ。」
「それは、生体強化がウサギさんの何かを目覚めさせたキーかもしれなかったということですか?」
「その可能性はゼロではないねノイケ殿。はっきり言ってウサギ殿の痣に一体どんな意味がにあるのかわからないんだよ。」
そんな分からないだらけの自分の痣をよく見るウサギ。
いったいこの先宇宙に上がり生活するときにいったいどんな目にあってしまうのか怖くなってしまうウサギであった。
だがしかし、命には別状はなく、なんの力もなさそうというのだから気にしてもしょうがないとウサギは思うことにした。
なんにしたって肉親のいないこの異世界で自分が頼れるものは自分である。
鷲羽達柾木家のみんなに頼ることもできるだろうが、それには限度というものがある自分の食い扶持ぐらい自分で稼がなければとウサギは覚悟を決めた。
「鷲羽ちゃん。何がこの先あるのかわからないけれど、ここでこの世界で生きていかなくちゃならないから前に取り敢えずはすすんでみるよ。」
ウサギはタオル一枚腰に巻いて鷲羽そして周りの者に言った。
その姿は見た目かっこ悪いものだったが馬鹿にするものは誰一人としていなかった。
ただ、
「あの、そろそろ寒いので服どうにかなりませんか?」
という姿は皆に笑いを提供するのに十分だったという。
そして、ウサギは鷲羽にボディースーツの使用法並びに諸注意を受けることになった。
「まずは、ウサギ殿腕輪を抑えて装着って言ってもらえるかい」
「装着」
そう言うとたちまちさっきまで身にまとっていたピッタリボディースーツをまとっていた。
それに、一先ずは安心するウサギであった。
そして、鷲羽のスーツについての説明は続く。
「うん、戻ったようだね。じゃあそのスーツに付いている機能を片っ端から説明するから覚えるんだよ。」
ということで、ウサギに着せられているボディースーツの機能は以下のとおりである。
1. 生体強化に慣れさせるためのトレーニングスーツの役割を持っている。
※自動で体にかかる負荷を調整してくれるため日常の生活をおくっているうちにトレーニングが完了するという便利スーツである。
2. なにか危機的状況があった場合、自動でガーディアンが現れ身を守ってくれる。
※簡単にいえば防弾チョッキのようなものであり、また、脅威である対象に向かって簡単な反撃を取ることができる。
ただ逃走時間を作るもののため、ガーディアンを使って脅威を排除することはできない。
攻撃を防御することに特化したガーディアンである。
3. スーツを腕輪に変化できる。
※腕輪状態になった場合。このスーツの補助機能は著しくダウンする。
よって生体強化の状態にある程度慣れた時に使用することをおすすめする。
具体的には1の場合の機能が著しくダウンして最低限の補助しか取らない。
2の場合のガーディアンは意味のないものとなる。
つまり、腕輪イコール無防備状態と考えてもいい。
4. 汗など汚れは特殊なフィールドを形成しているため心配はいらない。洗濯不要である。
5. スーツを任意の場所に縮小させ肌に同化することもできる。
※その場合3の時の腕輪状態のように機能が著しくダウンするため使用は注意しなければならない。
以上とのことだった。
鷲羽はひと通り説明し終わり一息ついた。
「さて、じゃあ理解したかね? ウサギ殿」
「うん、問題ないよ。つまりは生体強化状態になれるまでは基本常時着用せよというわけだね」
「そうさそれと、5の機能はうまく使っておくれよ。変ないざこざを回避する大切な機能だからね。」
「了解です。鷲羽ちゃん! 」
ウサギは任せてくれと胸をはった。
そんなウサギを見つつ鷲羽はひとり思う。
ウサギに言っていない機能があるということを、だが、それは今は教えるべきではないと鷲羽は口をつぐんだ。
そんなことを鷲羽が思っていることなど知らないウサギは、寒くなったのかクシュンとくしゃみをした。
「そろそろ、洋服を着てもいいでしょうか? 鷲羽ちゃん」
そう、ずびっと鼻水をすすり上げたウサギに苦笑しながら鷲羽は頷き、タイミング良くも砂沙美が着替えを持ってきてウサギに渡した。
そしてウサギはやっとまともな服に着替えることができるのであった。
だが、そう着替えることができるというのは油断であったのだろう。
ほっと、息をついていざ着替えようと思ったところ…
ウサギは腕輪状態がいかに危険かを思い知った。
盛大に体のバランスを崩しコケたのである。
ものすごく痛い。と顔面を床に打ち付けて思うウサギ。
そんな姿を皆に微笑ましい笑顔で見られるそんなエピソードがあった。
まあそれはともかくとして、ウサギは生体強化になれるためのオムツをまずは装着するという大切さを味わって、皆の生暖かい目線の中装着し、やっとノイケと買いにいった洋服に着替えることができるのであった。
そんなこんなでウサギは宇宙に行く支度を柾木家の皆さんに手伝ってもらってGPのお迎えが来るまでのんびりと柾家の住人の皆さんとお茶を飲みながら、お茶菓子をつまみ談笑して過ごした。
「ウサギの部屋はそのままにしておくから地球にきたら使うといいよ。」
「あ、ありがとう天地」
「自分の実家みたいな感覚で帰ってきていいからね」
天地はウサギに笑顔で答えた。
「そうだねウサギ殿、成長した姿を見せておくれよ」
鷲羽もウサギの門出を祝いつつ帰ってくるようにいった。
「有難う鷲羽ちゃん!帰ってくるよ。少しは立派になってね」
「寂しくなりますねー」
「美星、あんたは仕事で一番合う可能性があるんじゃない? GPなんだし」
ノイケはお茶を飲みつつ美星をこずいた。
「は! そうですね。お仕事ご一緒するの楽しみにしてます」
「えーと、ウサギさん。美星と仕事はなるべく避けることをおすすめします」
「そんなーノイケちゃんひどいですー」
「あんたは、色々問題起こすでしょ! 」
「そんなことないですよー」
そんなやりとりがされる中、砂沙美は台所から現れウサギにあるものをプレゼントした。
「これ、お弁当お腹すいたら食べてね」
「あ、有難う砂沙美ちゃん」
「砂沙美の飯はうまいからなー。おい砂沙美! 今日の酒のつまみねーかなー」
「あるよ。いまから飲むの? 」
「ちょ、魎呼さん朝からはダメですよ」
「阿重霞、固いこと言うなよー。」
なんて言い合いを始めた時迎えが来た。
「ウサギ元気で」
「天地もな! 」
「達者で暮らすのじゃよ」
「勝仁さんもお元気で」
「何かあったら連絡寄越しなウサギ殿」
「有難う鷲羽ちゃん」
「いってらっしゃーい。ウサギおにいちゃん」
「じゃあねー砂沙美ちゃーん」
そして皆が「 「 行ってらっしゃい 」 」 といい。
ウサギは「行ってきますと答えた」
そのやりとりはウサギが柾家の一員として認められた瞬間でもあった。
ウサギは必ず帰ってこようと思いつつ宇宙船が出しているのだろう光に足を進め、そして飲み込まれた。
そうしてウサギは宇宙船に乗り込んでいったのであった。
「はじめましてウサギ君。案内役を任されたこの船の艦長です。GPアカデミーご入学おめでとう。アカデミーはキミを歓迎いたしますよ。」