天地無用! オリ主 活動中   作:雪芽乃 菜々菜

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第19話

追ってきている海賊艦達の様子を少し覗いてみよう。

 

そこは異様な雰囲気に包まれていた。

 

「っちぞろぞろと人の獲物にたかりやがって、てめえらあのお宝を他の奴らに取られるんじゃねーぞ」

 

『大事な荷物』とやら…絶対手に入れる。

 

海賊マーロンは目の前のお宝に酔っていた。

 

あのGP艦を一番に見つけた第一発見者としてのメンツがあった。

 

だが本来であれば数百隻いや千にもおよぶだろう海賊艦隊となった群れが一隻の輸送船を追いかけるのは異様なことでしかなかった。

 

そこにいる海賊たち全員がその事実に気づけばこの先の起こることを防げただろうがそうはならなかった。

 

多種多様な集団意識の袋小路に追い込まれていたのである。

 

「お頭珍しい奴がいますぜ」

 

部下である男の報告にマーロンはモニターを見ることで答えた。

 

そこにはそう離れていない宙域に巨大な海賊艦の反応があったのだ。

 

マーロンにしてみれば知った顔いや船だった。

 

その船はラディ・シャンクという男に船であり特殊なエンジンを船に搭載し、亜空間からのだまし討で襲撃をかけるのが特徴的な海賊である。

 

そんなラディ・シャンクは海賊たちに臆病者という称号を与えられていた。

 

そんなこそこそ普段だったら隠れて獲物を狩るやつが珍しく通常空間にあらわれているのだ、クルーが珍しがるのは不思議ではなかった。

 

そんな珍しがられているラディの船が通常空間に出てきてしまったのには理由があった。

 

それはGP艦のニアミスが原因であったのだ。

 

亜空間にいたラディ艦が西南に仕掛けたランダムジャンプを行っていたGP輸送艦に干渉されて、歪みを修正しきれずに通常空間へはじきとばされてしまったのだ。

 

それを考えると西南の不運に巻き込まれたといえるかわいそうなやつなのだが、ラディは初めこそ弾かれたことに動揺していたが、このお祭り騒ぎに自分もと欲をかきはじめた。

 

「この騒ぎ一体奴らは何を必死に追っているのだ? 輸送旅団でも出没したのか?」

 

ラディは長男のアルに問いかけた。

 

「違うみたいだよパパ。他の艦の通信からするにGP輸送艦一隻みたい」

 

「GP艦一隻にこの海賊集団か、何を積んでいるのかしらんが面白そうだ!」

 

狡猾なラディの笑みは爬虫類的なものを連想させた。

 

これだけ大量に海賊がいれば自分の船が危険にさらされる心配はないし、ここで逃げたらそれこそ臆病者だと罵られる。

 

ラディは見かけによらず小心者であり、プライドが無駄なくらい高かった。

 

だから、ラディは考えた。

 

GP艦を周りの奴らよりも早く仕留められれば周りも自分のことを見直すだろうと。

 

「おい!短距離ジャンプの用意だジャンプ終了後最大まで加速してGP艦をものにしろ! 」

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

さて、時間をもう少しさかのぼって見よう。

 

とある勢力がこの大騒ぎを感知していたのだ。

 

その勢力とは、銀河の中でも最強と言われる樹雷国家皇族である彼女、神木・瀬戸・樹雷ひきいる海賊討伐のため、よりぬきのメンバーを集めた連合艦隊であった。

 

そんな選びぬかれた者が集う艦隊がこのウサギたちに起きている海賊との盛大な追っかけっ子に気づかないわけがなかった。

 

「なんなんだこれ…」

 

思わず艦隊の司令長官を務める平田兼光ははつぶやいた。

 

『瀬戸の剣』 ともてはやされる歴戦の勇士である彼にとってもこの光景は異常であった。

 

「このGP艦囮艦なんでしょうか?」

 

瀬戸の隣で諜報部副官であり、兼光と並び『瀬戸の盾』と言われる柾木水穂もこの情景に驚きをかせなかった。

 

「…そうだとしたら本当に優秀、うちにスカウトしたいわね。」

 

普段あまり動じない瀬戸も唖然とこの光景を見つめた。

 

と言ってもそれは一瞬で彼女は笑う。

 

この艦まこと囮艦だとすれば、優秀極まりない存在だ。

 

なぜなら、大宇宙に散らばる無数の海賊たちを取り締まるのは並大抵の努力では成し得ないことだからであった。

 

海賊へのスパイ活動、構成員の割り出し、海賊が狙いやすい物資の警護、もしくは情報操作による囮捜査という多忙な本当に多忙な労力をつぎ込まなければ摘発、検挙し、逮捕することなどできないのだ。

 

しかもこれには大きな労力の他に多大な経済力が必要不可欠であった。

 

実はこの日瀬戸は海賊摘発プロジェクトの総決算をしていた。

 

ある巨大ギルドの高級幹部がひきいる下部組織の『グランギルド』 を捉えるべく内偵を続け、ついに偽情報をつかませこの宙域に当該の組織の全艦隊を集めることに成功していたのだ。

 

だが、この宙域におびき出しているとはいえ万が一を恐れているのか一箇所に集まらない、しかも当然脱出逃亡するてはいくつも用意しているだろう、この状況でいくら瀬戸といえど今回のターゲットとなる目標艦すべて摘発することなど不可能であると瀬戸は覚悟していた。

 

第一目標である幹部の艦とその三割を捉えることができれば御の字とも思っていたのである。

 

だが目の前のスクリーンに映し出される海賊たちの千にも上る大行進は瀬戸に始まり、この作戦にかけていた者達の労力を軽々と上回る超常現象であった。

 

「第一目標艦こそ見当たりませんが、それ以外はリストに該当する全艦隊を確認しました。すべて先頭のGP輸送艦を追っています。」

 

オペレーター席から珀蓮が告げた。

 

それに続いて火煉、翠簾、玉蓮と瀬戸の女官兼水鏡のオペレーター陣が次々に状況を的確に報告する。

 

「該当外の海賊も523隻…いえまだ増えています。」

 

「エネルギー質量比や振動波紋から考えてほとんどが違法改造艦ならびに偽装艦に間違いありません」

 

「通常の摘発じゃあ見つけられないレベルね」

 

「組織に属していない個人経営の海賊もいるみたいですね」

 

珀蓮たちのかおに呆れた笑みが浮かんだ。

 

「はきりいって、もうわけがわかりません」

 

偽装艦の中には樹雷皇家の船にまで偽装しているものまでいて皆びっくりと言うか苦笑せざるえなかった。

 

「海賊摘発はなんの手がかりもなく、砂漠にばらまかれた宝石を探すぐらい困難であるはずなんだけどねー」

 

瀬戸はテンションが変に上って大笑いした。

 

「今の状況は、とっても欲しいけど、すぐには絶対手に入らない、そんな宝石ちゃんたちが目の前のショーケースに綺麗に陳列されているように存在するってなものね。」

 

「どうされますか瀬戸様、今なら全艦ものに出来ますが」

 

水穂は瀬戸に言った。

 

「あの大活躍中のGP艦を巻き込みたくないわ」

 

そう瀬戸が行った時オペレーターである珀蓮が叫んだ。

 

「重力波感知GP艦が水鏡真ん前までジャンプアウトしてきます。回避まにあいません!」

 

「ほへ!」

 

瀬戸は変な声が出た。

 

それとともにGP艦が瀬戸たちの乗る水鏡の目と鼻の先にジャンプアウトしてきたのだ。

 

瀬戸はゴクリと生唾を飲んだ。

 

衝突ぎりぎりコースそう、あくまでもギリギリで衝突することはなかった。

 

なんという運だろう。

 

このGP艦は瀬戸が助けに動かずとも自ら一番助かる道を引き当てた。

 

その意味に瀬戸ならびに優秀なクルー達は気いた。

 

この後何が起きるかということだ。

 

瀬戸の口が鋭利に釣りあがり殺気すら漂わせた。

 

何も知らない海賊たちが大量に網があるとも知らずにやってくるのだ。

 

そしてその時はきた。

 

「次々重力波感知、瀬戸様第一目標艦の重力波感知しました。」

 

「飛んで火に入る夏の虫ね。前方GP艦を至急確保! 全敵艦ジャンプアウト時を狙ってこちらも短距離ジャンプ、のち包囲! で、いつものやつをお願い」

 

 

ラディは焦っていた。

 

短距離ジャンプで距離を詰めGP艦をいっきにものにしようとしたが、獲物がランダムジャンプするほうが早かったのだ。

 

しかも、先んじて獲物をものにしようとした弊害がでていた。

 

「てめぇ俺の獲物だぞ」

 

「独り占めしようなんてふてぇやろうだ!」

 

「じゃまじゃぼけー」

 

只今周りの海賊たちからの苦情という暴言の嵐がひどいのである。

 

といっても独り占めしようとしたのは事実なのでラディは何も言えなかった。

 

だが、こんな大勢の海賊たちが必死こいて狙う宝をものにできれば株は上がる。

 

そう信じてGP艦のランダムジャンプ先を至急調べさせた。

 

こうなっては、お得意の隠れて突撃などどうでも良かった。

 

一刻も早く誰よりも早くGP艦を確保しなければ!

 

その思いはかなったのかラディはGP艦へ一番にジャンプした。

 

そして周りの海賊も我先にと次々とGP艦が飛んだであろう海域にジャンブしていった。

 

ジャンプ先がまさか樹雷の鬼姫が待ち構える猛獣の巣穴とも知らずに

 

気分が高揚してハイになっているマーロン並びにラディ、そして他の海賊たちは一気に冷水を浴びせかけられたかのように顔面蒼白になっていた。

 

目の前に皇家の船、しかも樹雷の鬼姫の乗る水鏡が鎮座し多くの樹雷艦隊に包囲されていたのだ。

 

しかも、海賊たちは即時停戦を余儀なくされていた。

 

瀬戸のジェノサイドダンス、トリプルゼットの全機撃滅宣言が発令されていたからだった。

 

これでは誰も逃げられない。

 

高重力量波によるジャンプ防止措置並びに海賊たちを震撼させる高出力のコードZZZの撃滅勧告、誰が逃げれるというのだろうか?

 

はっきり言ってこれで逃げてたら死というものしか得られない。

 

マーロン並びに他の海賊たちは素直に投降することにした。

 

死んではなにも得られないと皆懸命に答えをだしたのだ。

 

「面白く無いわねーみなさん本当にお利口さんなんだから、すこしはやんちゃしてくれる方が嬉しいんだけどな」

 

そんな瀬戸の言葉にポツリと兼光がつぶやいた。

 

「命かけてまで瀬戸様に好かれような物好きがいるものか」

 

まさにそのとおりである。

 

「GP艦はどうなってる?」

 

「ちゃんと確保していますよ。」

 

水穂の返事に満足し微笑む瀬戸。

 

今回の作戦に関係無関係問わず、千以上にものぼる海賊艦を一網打尽にすることができた。

 

しかも、らしくない突撃の仕方でジャンプアウトしてきた第一目標であるラディ・シャンク、そしてラディがひきいるクルー全員逮捕することもできた。

 

瀬戸の気分は超がつくほどごきげんであった。

 

そんな瀬戸にオペレーターの珀蓮が報告した。

 

「こちらが初めにGP艦を補足していた時、同じように追っていた海賊艦が一隻だけこちらにジャンプアウトしてきていないようです。」

 

「あらほんと? 識別はわかるかしら」

 

「リョーコ・バルタの船です」

 

「へーあのアイドル海賊の船がねぇ…。ふふ、ただのアイドルってわけでもなさそうね」

 

瀬戸は笑い、宇宙に漂い牽引ビームに繋がれ保護されたGP艦の映像をスクリーン越しに見た。

 

この状況の立役者は誰なのか瀬戸の楽しみは尽きない。

 

「さて…彼らには話を聞かせてもらわないとね。」

 

瀬戸は指示をし始めた。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

「あら水鏡ちゃんだわ」

 

美兎跳は4回目のラストジャンプを終え目の前に突如洗わた船を見ていった。

 

「みかがみ?」

 

ウサギは美兎跳にいまだ抱きしめられながらも目線を移し巨大な船を見た。

 

その水鏡と呼ばれる船の外装は木造であり、細身で優美な、それ以前に船の前面にある楕円状のカプセルの部分以外は内部構造が入る余地がないだろうと思わせるただ板を組み合わせたかのような船であった。

 

そんな船から通信が入った。

 

「直ちに保護しますので操作権をこちらに譲ってください。牽引ビームを射出します。」

 

「りょ、了解です。感謝します」

 

そして、色々とお通夜状態だった船内がほっとした雰囲気になった。

 

「あの、助かったんですか?」

 

西南は艦長にたずねた。

 

「ええ、どうやらそのようです。ぎりぎりの最後に一番の当たりを引きましたねウサギ君」

 

「え、そうですか?」

 

「ええ、この水鏡という船は樹雷の鬼姫失礼、王族である瀬戸様の船なんです。」

 

その言葉に周りのクルーは反応した。

 

「おいみんな鬼姫の船だってよ」

 

「まじか、鬼姫ってあの鬼姫か!」

 

「そんなん他にいるわけないだろ!」

 

「私食べられちゃうの!?」

 

あっという間にブリッチにいるオペレーターたちに震撼が走った。

 

それ程に衝撃的な出来事だったのだ。

 

その皆の反応に西南は反応した。

 

自分の不幸のせいで会ってはいけないひとに会ってしまったのか、いやでもさっき艦長は当たりを引いたと言っていたしと、西南は不安に思い艦長に問いかけた。

 

「鬼姫ってそんな問題のある人なんですか? 艦長さん、さっきあたりを引いたって言いましたよね? まだ危険があるんですか?」

 

その言葉に艦長は声を潜めていった。

 

「私達がこれから危険になることはおそらくはないでしょう。ただ、瀬戸様は樹雷というこの銀河で最強の軍事力をもった大国の裏の権力者だと言われているおひとなんです。」

 

「はあ」

 

裏の権力者というとマフィアの首領と言った感じなのだろうか? と思う西南。

 

ここでまたしても西南は葉巻をくわえて恐ろしげにしているそんな映画の一場面を思い出していた。

 

本当に映画に影響されているこであった。

 

そんな自分の考えにビクビクしだした西南を微妙なおももちで見つめる艦長に、美兎跳はウサギをぬいぐるみのように胸に抱きしめて楽しそうにいった。

 

「そんなこと言わなくても。面白い方よ瀬戸様は」

 

「はは、そう言えるのは美兎跳様だからですよ」

 

「あら、そうなの? 」

 

「そうなんです! 」

 

そんな緊張感のない美兎跳の言葉に西南のなかの樹雷の鬼姫像がいくらかマシなものになっていった。

 

だが艦長のいうことを考えると、恐ろしさが前面に出てくるのだがと思う西南。

 

「あーもう! どっち何ですか、怖いのか、怖くないのか」

 

西南の頭のなかはパンクしそうだ

 

そんな西南に美兎跳は提案した

 

「せっかくだから、あって見ればいいのよ。」

 

そういう美兎跳に艦長は飛び上がって身を縮こまらせた。

 

若干泣きそうでもある。

 

「美兎跳様わざわざ虎穴に入りに行くものですよ!」

 

「でも、どうせこの状況になったこと説明は求められるわよ」

 

美兎跳は計器に映しだされ始めた海賊たちを指さし言った。

 

艦長は無意識に忘れようとしていた事実をつきつけられてショックで体を硬直させた。

 

そうこうしているうちに水鏡は海賊全確保を終了させた。

 

その風景をウサギと西南は映画を見るようにスクリーンに顔を寄せて見るのであった。

 

「あの、美兎跳さん。重いのですが」

 

「あら、女性におもいなんて言ったらめーですよ。ウサギちゃん。」

 

「はあ、いや恥ずかしいといいますか色々あたっているといいますか」

 

ウサギは美兎跳の美星よりも大きい二つの柔らかいものを背にして顔を真赤にした。

 

「気にしない気にしない。もうしばらくこのままね?」

 

「美兎跳さんどうしたんですか?」

 

西南はそんなじゃれている二人を見ていった。

 

「えっとねー、西南ちゃんも抱きしめてみる? ちょっとぬるくなってきたけど、まだ暖かいの♪ 」

 

「え、遠慮しておきます」

 

西南は弱り始めたウサギを気の毒そうに見つめながら、やっぱり柔らかいのかな? なんて考えていた。

 

まあ、何が柔らかいのかはさっしてあげてほしい。

 

彼は思春期真っ盛りなのである。

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