「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
という電話口でさけぶ西南の絶叫にウサギは耳をやられテーブルに突っ伏していた。
耳が非常にキンキンする。
それを見て玉蓮は心配そうにウサギを見た。
玉蓮は見事耳を両手で押さえることに成功していのだ。
そんな二人をよそに西南は電話口で一人盛り上がっていた。
「霧恋さん帰っちゃったの!!!!!!!!!!!!!!!」
「ああ、つさっきまで電話していてな急に仕事場でトラブルがあったとか言ってすっ飛んで行っちまった」
「嘘だろ…」
「こんなことで嘘つくわけ無いだろ」
西南は全身の力が抜け膝をついた。
まるでこの世の終わりのように。
なんて情けない顔なんだとウサギは思ったが必死に口をつぐんだ。
そして、西南は打ちひしがれたかのように受話器をおいた。
そんな西南に向かっていくものがいた。
玉蓮である。
玉蓮はウサギにしたように西南背後から抱きしめた。
「霧恋様ってどなたですの?」
鼻のかかった独特な声と西南の首筋にかかる甘い息、少年には荷が重い美女の行動に西南はたえきれず、玉蓮のもとから飛び出すかのようにして離れた。
「あ、あのあの」
「どうなさったんですか。すごい汗ですよ」
そう言いながら玉蓮は西南との距離を詰めた。
「あの、あまり近づかないで…」
「ふふ、霧恋様って西南様の何なのですか?」
「いや、何なのって聞かれても」
まるで恋人が浮気現場を見つけて彼氏に問尋ねるかのようにせまる玉蓮。
その整った顔と心を操られそうな瞳と声に迫られて西南は理性が崩壊しそうになった。
そんな状況をさすがに見ていられなくなったウサギは、玉蓮の襟首を猫を摘むようにしてつまみ上げた。
「玉蓮さん、ストップです。少年をからかうのはそれぐらいにしてください」
ウサギはきょとんとする玉蓮をただじっと見つめ返した。
「やきもちですか? 」
「やきもちって、まだ玉蓮さんと付き合ってもいないですよ」
「私を注視して、冷静にそう返す男の人は初めてです」
「そうですか?」
「ええ。」
そういって玉蓮は少女のように笑った。
その様子はあまりにも可愛くて、お持ち帰りしたくなるほどってどこに持ち帰るのだ? 天地がくれた自分の一室か? ないないありえない。
と首を振って変な考えを追い出し、玉蓮を静かに離して、テーブルにある玉蓮が用意したお茶をすするウサギであった。
そんなウサギを見つめる玉蓮は興味深そうにしながらウサギの隣の席につき一緒になってお茶を飲み始めた。
西南はというと、ウサギが助けてくれたことに非常に感謝した。
一体どうすればよいのかわからなかったからである。
そんな三人のいるゲストルームに慌ただしく入ってきたものがいた。
美兎跳である。
「ウサギちゃーん、西南ちゃーん」
「おかえりなさい美兎跳さん。」
ウサギは美兎跳を迎え入れた。
「美兎跳さんどこいっていたんですか? なんか俺たちの接待役のかた達が探しに行くって飛び出していったんですよ。」
「そうなの西南ちゃん?」
「あの、美兎跳様他の娘たちは一緒じゃないのですか?」
玉蓮はあたりを見渡してこたえた。
「みんな? 会ってないからわからなぁい」
「そ、そうですか」
どうやら珀蓮たちの捜索もうに美兎跳は引っかからなかったようだった。
まあ、こちらに自分から来てくれたので大丈夫だろうが。
玉蓮は目を閉じほかの皆に連絡を送った。
そうしていると瀬戸から玉蓮へ連絡がいった。
「ウサギ様ならびに西南様、瀬戸様の準備ができたとのこと、私とともに来てください。美兎跳様はここでお待ちください。」
「え、美兎跳さんもいっしょに瀬戸様? のところに行かないんですか!」
西南は不安そうに美兎跳の方をチラチラと見た。
そんな西南が可愛そうと思ったのか、美兎跳はよしよしと頭をなでた。
「わたしも、瀬戸様のところいっちゃだめ?」
美兎跳は可愛らしく小首を傾げ玉蓮に問尋ねた。
「お気持ちはわかりますが、え~と美兎跳様のご家族が心配していらっしゃいましたよ。先にご連絡してはいかがでしょうか?」
「あ、いっけない。お父様に連絡入れてくるわ。お父様怒ってなきゃいいけど」
美兎跳は慌てて西南が使っていた電話の元へ駆け寄り通信を入れはじめた。
「では、まいりましょう。」
玉蓮は未練がましく美兎跳の傍を離れようとしない西南の腕を掴み、引きずりながら連行た。
ウサギはその後をただ、ついていくのであった。
「うわーん。み・と・とさ~ん」
西南の叫びをBGMにウサギは前途多難であると思うのであった。