そして朝になり、鷲羽にウサギは自分の事情をそれとなく相談したら……。
「大丈夫、大丈夫。しっかり考えてあるよ。」
鷲羽はウサギを安心させるように言った。
この世界にウサギがきてから色々とウサギの心や体がそれなりに疲弊していたから、それなりに落ちついてからリハビリ関係とか治療関係をやったほうがいいと思ったらしい。
ほんと、この頼れる10歳児はとウサギは抱きしめてしまった。
そして……
ウサギは鷲羽の研究室に招待された。
その瞬間、ウサギは知らずに眠らされ、起きた時は、布団に寝かされていた。
「 おめざめかい? 」
「 鷲羽ちゃん僕は一体? 」
「 ふふ、なんの心配もないさね。足ちょっと動かして見てくれないかい 」
「 あ、足だね。 」
そういって、ウサギは足を動かした。
そうしたらどうだろう。
動かすたんびにギシギシとうめき、グリスを刺さず、ほったらかした錆びた機械のようにギチギチとした動きしかしなかった足が嘘のように動くのである。
「 わ、鷲羽ちゃん動くよ。足普通に動くよ。 」
「 うまく言ったようだね。というか、私がやってうまくいかないなんてこれぐらいのことでないんだけどね。
って、わっぷ 」
鷲羽は最近恒例になったウサギの抱きしめにあった。
だけれど、この抱擁は、今までで、一番情熱的で熱のこもった。心からの感謝の抱擁であるのだと鷲羽は自然と感じることができた。
それに、何故かこのウサギがしてくる抱擁やスキンシップつまりは、頭を撫でられたりが嫌でない自分が驚きで、あった。
まだ会って数日。
天地殿でもない男からこうして抱きしめられると言うのは不思議な感じだ。
まあ、天地殿のばあい、抱きしめてくるではなく私が抱きしめるんだけどね。
それにすぐ逃げるし。
そんなことを思いながらも、すがりついて、涙ながらにお礼をいうウサギの頭をなで、落ち着くのを静かに母のように見守った。
そして、落ち着くウサギ。
顔を真赤にして、鷲羽と対面である。
そんなうさぎを見て、鷲羽は可愛すぎる生物と認定されるウサギ。
まさに、名前どおり兎であると思う鷲羽であった。
「 で、ウサギ殿。 」
「 はい 」
「 私がいじった箇所の説明なんだけどね 」
そういって、鷲羽は説明しだした。
足は完璧に直したということと、どんな選択肢を選んでもすぐに対応できるように取り敢えず生体強化の下地を作っておいたとのこと。
それと、基本的な宇宙での言語など学習すべきことというか、ナノマシン注入で頭に叩き込む下地もできたから、いつでもできるということそんなことだった。
僕は思う、働ける程の体を得たけれどこの世界でどうすべきか……。
「 まあ、今日一日いろいろ考えてみるんだね。アドバイスはできるから遠慮無く言ってくれればいいよ。今日は一日研究室につめているからいつでもおいで 」
「 ありがとう鷲羽ちゃん 」
そうして、ウサギは砂沙美とノイケによる美味しい朝ごはんを食べて、縁側に出て日向ぼっこをすることにした。
家の皆さんは鷲羽以外お出かけ中。
ウサギは家でお留守番です。
あーどうするか
そんなことをぼーっと考えるウサギ。
すると目の前に毬栗頭の少年、山田西南が柾木家まえの深い池? 泉? に水を汲みに来ていた。
「 ん? 一体どうしたのだろう。 」
そう思った瞬間。
大きな波が襲ってきてあっという間にウサギは飲み込まれてた。
抵抗むなしく溺れてしまうウサギ。
「 ゴバゴバゴバ…… 」
そして気づいたら、美女に唇を吸い付かれて息をス~と吹きこまれていた。
鼻を摘まれて。
つまりは人工呼吸とウサギが思った瞬間、胸の詰まる感覚があり
その時彼女はウサギに反応してどいた。
「 ゴホゴホッ 」
ウサギの口から水が惚れる。
その瞬間…
「 あ~~~~~~~~~~よかった~~~ 」
という言葉とともに女性に抱きしめられた。
「 な、何! 何事!? 」
ウサギは慌てた、それはそうである全裸とも思える体におもいっきりフィットしているボディースーツを着こみスタイルのいい肉体が押し付けられたのだ。
「 美人だ、でへへ~。 」 とはさすがの思春期まっただ中で、性欲が強いであろう時期の青年のウサギでもならなかった。
そして、目に入る西南の姿。
ウサギが刺激的すぎる格好で抱きしめられているのを見て年相応に照れているのか、頬を染めながらもうさぎの様子を心配そうに見る姿があった。
「 西南くんだったよね? 」
「 はい、大丈夫ですか? 」
「 なんとか大丈夫のようだよ。 」
そういって、ウサギは未だ抱きついて「 あー死んでるかと思ったー冷や汗だよー 」 とかブツブツ言っている彼女の背をポンポンと叩いた。
肩を両手でつかみ彼女を引き離すことも考えたが、力が案外すごくて諦めた結果であった。
それに反応して、彼女はいたいけな青年を恥ずかしがらせていることにやっと気づいたのか、
「 わるい、わるい 」 といってゆっくりとはなれた。
けれど耳元で、「 気持ちよかったでしょ♪ 」
とか囁きながら離れないで欲しい。
彼女はからかうだけのつもりだろうけど……。
いろいろと、下半身が反応してしまうので。
そんなことを思うウサギや西南をよそに、彼女はハイテンションなマシンガントークを炸裂した。
「 いやぁ、ゴメンゴメン! ま~さか誘導用のビーコンがないなんて考えもしなかったからさぁ、んで慌てて急制動かけたけど、まさかまさか下に二人もいるなんておもいもしないじゃな~い! 」
パンパンとまるで、男友達同士であるかのようにウサギと西南の肩をたたいた。
金髪のショートカットに、青い瞳。
そして尋常ならざる美貌の彼女、外国のモデルのような華やかさがあるそんな外見とは似合わぬ、豪快とも言えるしゃべり方に面食らってしまったウサギと西南はただ、呆然と見守ることしかできなかった。
「 いやー、もォ~~~~~~~~~焦った焦った、汗ダラダラ。君たちが池にプカプカ浮いているのを見た時には、あ~下手すりゃやっちゃったかな~なんて思って、慌ててそのまま飛び込んで、おかげで服もびしょぬれ……でも君たち、傷ひとつないなんて頑丈だぁねぇ~。……よっぽど天地君に鍛えられているのかな? 一人は生傷だらけだしねー 」
そういって、パンツいっちょの西南少年の胸に彼女は指でチョンと触った。
西南はそれに頬を染めた。
そんな西南たちの様子を見て今更ウサギは重大なことにきづいた。
自分も同じくパンツいっちょであるということに。
そして、ウサギはいろいろ我慢できなくなって大笑いしだした。
この世界にきてから面白い状況にあってばかりだと思いながら。
そんな、うさぎの大笑いに、彼女は若干気分を害したのか、拗ねてみせた。
「 なんだよー。こっちは、いろいろ大変だったんだからな! 」
「 いや、はや。ごめんごめん。あんまりにも今の状況がおかしなものだったから 」
そんな、笑い涙を手でこすり拭いているウサギをみて西南は心に余裕が戻ってきたのか、自分の濡れた服を絞りながらウサギに同意した。
「 そうですよね、二人で溺れて、目が覚めたと思ったら目の前に女の人で、ほとんど裸で僕らはいたんですから 」
「 しょうがないでしょ。人命救助のためよ。そのままでは風引いちゃうし、そんなこと言うならここは徹底して、パンツまで剥くべきだったかしら? ん? 」
「 「 それは、勘弁して下さい 」 」
と、ウサギと西南は二人して頭を下げた。
土下座とはこういう時に使うものではないだろうか?
そんな、二人にの様子に気を良くしたのか、なんとも言えぬ人懐っこい笑顔を二人にむけた。
そして、彼女は何かに気づいたのか再び西南の体中にある傷跡を見、ウサギのまっさらな体を観察するとブツブツとつぶやきだした。
「 あの衝撃波で二人共怪我一つ無いし、魎呼さんや阿重霞様の喧嘩に巻き込まれても無事であるとなると…… 」
そんな様子に男たちは二人して頭上に? マークを浮かべて首を傾げた。
彼女はそんな男たちをほっぽって、なにやら真剣に思案しはじめ、黙り込んだ。
先ほどの騒々しかった彼女とは思えない真剣さである。
いつの間にか、再び鳴き出した蝉の声と、時折鳴る風鈴の涼し気な音だけがその静寂の中にこだましていた。
そして、なにやら彼女なりに結論に達したのか、何度も頷いて、二人の顔近くに自ら近づいた。
「 ねえ、君たちGPにはいらない? 」
「 「 は・・・・・・? 」 」
GP、なんのことかわからない二人。
何かの略なのか? 入るって?
そんな思う疑問を問う間もなく彼女は話をつないだ。
「 君たちならやっていけるんじゃないかと思うのよ。GPだったら、お金もらいながら各種技能免許も取れるし 」
彼女はつつっと二人の男のからだに視線を走らせた。
「 だって、あの二人の喧嘩の巻き添えになって、一人は多少のギズ跡が残る程度で、もう一人に至っては傷ひとつないじゃない! だったら、ねっ! 」
そんな、強引とも言える勧誘に、二人は、なんのことやらついていけなかった。
西南は思わず「なんのことかわからないですけど」 というしまつ。
それはウサギも同様だったが、そんな二人に、彼女は、「細かい説明なんかはこれ読めばわかるから」 と、なにやらプラスチック? でできたようなパンフのようなものを小脇に抱えていた書類の束から取り出すと二人に渡し、立ち上がった。
ウサギはただそれを目でおい、西南は呼び止めた。
「 あの、俺こんなのもらっても…… 」
そう、西南が、言いかけたところで、彼女の手首のベルトからアラーム音が響き渡った。
「 いっけない。もうこんな時間! 悪いけれど、これ天地くんに渡しておいてくれる? 」
そういって、書類の束を西南に、包をウサギに渡した。
「 それじゃあ、天地君によろしく言っておいて! 」
ピッと軽く彼女は敬礼すると、駆け出し、思い出したかのように振り向いた。
「 ああ、いけない忘れてた。君たち、GPに入ったらちゃんと 『紹介者は、雨音・カウナックです。』 っていってね。紹介ポイントだってバカにならないんだから 」
そういって、彼女はウインクした。
その瞬間周囲を覆うキィィンという不快な轟音があたりを包んだ。
思わず、固く目を閉じる西南とウサギ。
音と風がやみ、恐る恐る目を開けた時には、彼女の姿はどこを探してもいなかった。
残された二人は、お互いに手渡されたものを持って苦笑いした。
「 雨音さんって言いましたよね? あのひと 」
西南がウサギに問うた。
「 うん、確かにそう言っていたね西南君。あの…… 」
と、ウサギが次を西南に言おうとしたがそれを遮る勢いで西南はなにやら焦りだした。
「 い、急がなきゃ 」
ということらしい。
なにやら、理由を聞くに、霧恋という、自分の姉のような存在が、しさしぶりに実家に帰ってきているそうで、早く逢いたいらしい。
ウサギは思う。
ああ、恋してるなって。
そんな、急ぐ西南はパンクしたらしい自転車を直すため、池に水を汲みに来たらしかった。
それで、二人しておぼれて、美女に助けられるとは面白い偶然である。
そんなこんなで、自転車のパンク修理に付き合ったウサギは、西南から預かった書類の束と、包を自分の脇において、GPと刻印されたパンフレットをひらくのだった。