Muv-Luv Alternative 紫の白銀   作:Shikanabe

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思っていたよりも、皆さん長めの方が良さそうと言うのが現状のアンケート結果ですね。
少しずつ分量を多くしていきます。


12 初陣 参

「はぁぁぁぁぁぁ」

 

雄叫びをあげながらBETAの集団に突っ込んで行ったのは武。第3小隊もそれに続く。

近づいてくる要撃級を長等で斬り伏せ、戦車級や小型種を36ミリで滅多打ちに。小隊衛士もそれに続いて、機体の機動力を生かしてBETAを殺していく。

少し経って、その区域にはBETAの死骸だけが残った。

 

「制圧完了」

 

そう告げるのは武。戦闘前は多少なりとも緊張を感じていた武だったが、今はそんな様子はなく、得意の変態(?)機動を駆使して多くのBETAを屠っていた。

 

(中隊の作戦区域にBETAの反応はなし。移動にせよ待機にせよ、ようやく一息つけるな……)

 

そう思ったのは武だけではなかったはずだ。武と同じデータを皆見ることができるのだから。

しかしーBETA戦はそう甘くない。

 

「CPよりクレイン中隊。帝国陸軍723戦術機甲大隊が潰滅状態。後方の統一中華戦線と合流して戦線を引き直す作業中だ。しかし現在この両隊は苦戦中。このままでは戦線を維持できない。クレイン中隊は後退。723大隊、統一中華戦線部隊と合流し、防衛戦をせよ」

 

冷静であろうと努めていても、その声に動揺は隠せない。無理もない。CPとて初陣なのだから。同じ帝国軍の大隊が壊滅。合流を図った統一中華戦線部隊もほぼ壊滅状態となれば、BETAの侵攻を阻むのは歩兵陣地しかない。もし抜けられれば……経験の浅いCPに焦るなと言う方が無理な状況だった。

 

因みに潰滅とは戦術機部隊がいなくなったと言うわけではない。軍事用語で数割〜半分程度が死傷している状態を指す。つまり大隊なら18機前後、連隊なら64機前後にまで数は減っていると言うことだ。最もこの定義は本来戦闘兵以外も含んで数割の損失、と言う意味で実際の戦闘兵ならばさらに消耗しているはずだ。その点、人数的には戦闘員は大隊でたったの36人。定義的にはおかしいかもしれない。

そんな余談は兎も角、明らかなのは一刻の猶予もないといことだ。

 

「クレイン1了解。後退する。中隊全機、コンテナで補給後、友軍を助けに向かうぞ!補給は第3小隊から順に行う。移動陣形は縦陣だ」

 

「「「了解」」」

 

中隊各機が補給を始める。どれだけ時間がなくとも、弾も推進剤もなしに行けばやられてしまう。仕方のない時間のロスと言えるだろう。しかし……それでも、危険と知って最善を尽くそうとする者もいるのであった。

 

「クレイン3よりクレイン1。第3小隊の補給完了。友軍にはもはや一刻の猶予もなさそうです。第3小隊に先行させてください」

 

それは危険な賭けだ。先行すれば、それだけ間に合う可能性は広がるだろう。しかしBETAの数が一個小隊で捌けない程多い可能性もある。むしろ、大隊や連隊規模の部隊が潰滅の危機と言うのなら十中八九、一個小隊では戦力不足だろう。そして何より戦力の逐次投入と言う愚。普通ならば到底許可されない作戦だ。そう、普通ならば。

この部隊は普通じゃない。

衛士の技量も、戦術機も一線を画している。この戦場ではもちろん、大陸広しといえどこれほどの部隊はそうは存在しないであろう。かの西独陸軍第44戦術機甲(ツェルベルス)とて、まだトーネードに乗っている時代である。最も圧倒的な衛士技能や経験も含めれば評価は逆転するだろうが。それでも武たちは有数の戦力なのは間違いなかった。

 

「……いいだろう。お前ならなんとかするかもしれんな。我々もすぐに向かう」

 

「クレイン3了解!ありがとうございます。第3小隊最大戦速。1秒でも早く、友軍を助けるぞ!」

 

「「「了解」」」

 

第3小隊の四機の主機が火を吹く。ロケット、ジェットの二連エンジンが軽量な機体を加速させる。第3小隊の現在位置から後方約10キロ。それが救援隊小部隊の最前線だった。

 

数分飛んだところで距離が狭まり、戦場が視界に入った。戦闘しているのは日本帝国軍・撃震と統一中華戦線軍・殲撃8型ー双方とも第一世代機であり、1991年現在ではお世辞でも性能が高いとはいえない機種だーがそれぞれ3機づつ。おそらくは前方に突出した小隊だと思われるものだ。そのうち一機の殲撃8型が最前線で孤立した。すでに僚機は落とされ、BETAとの戦闘中にもう片方編隊からはぐれてしまった。お互いを認識していても、助けに行ける距離ではない。

そこに集まるBETA。少ない敵から撃破する、と言う戦術などBETAは持っていないので、より近い的に集まってきているだけだろう。それでも不運に変わりはない。

殲撃8型の持つ36ミリが火を吹く。接近していた戦車級が吹き飛んだ。

撃つ。

撃つ。

撃つ。

打ち続ける殲撃8型の衛士。それでも数を生かしてじわりじわりとBETAがにじり寄ってきた。

そしてー36ミリが出なくなった。

 

「ちくしょう。ジャムった。こっち来んじゃねぇ」

 

それは殲撃8型の衛士の叫び。ジャムる、要は弾づまりだ。最悪のタイミングでそれが起こった。本来ならば銃を投棄し、ナイフなどの他の武器に持ち帰るべき場面だった。しかし命のかかった緊急事態にそれだけ冷静でいるのは難しい、と言うことなのだろう。殲撃8型にはそれができなかった。そして、その隙に要撃級が迫る……

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

殲撃8型の衛士が目を瞑ったその瞬間、要撃級の首が切り飛ばされた。

切ったのは武。援護が間に合った瞬間だった。

 

「クレイン3より帝国軍、統一中華戦線の各戦術機部隊へ。私は日本帝国陸軍大陸派遣軍研究開発団第一中隊白銀武中尉だ。防衛戦を立て直す。ここは我々に任せて退却、補給を行え」

 

「帝国軍……新型、か……」

 

そう呟いたのは帝国の衛士か。統一中華戦線の衛士か。

 

「クレイン3より小隊各機。食い散らかせ!!」

 

それを合図に四機の空飛ぶ工芸品がまさに、飛んだ。

残存機の周囲に展開するBETAを撃ち、切る。それは第一世代機に乗っていた衛士にとって、圧倒的な光景だった。そんな中で何よりも目立っていたのは当然……武だ。

前方に存在する要撃級数体を長刀で一刀両断。

数の多い戦車級の集団の中央に入り回転して36ミリ放つ。

さらに現れる要撃級。

跳躍。

空中で回転し、体勢を立て直す。

抜刀。

跳躍装置を蒸し、加速する。

刹那、立ちはだかったBETAの悉くが、物言わぬ死骸と成り果てた。

 

「す、すげぇ……なんなんだあの動き……」

 

そう呟くのは帝国軍の衛士。そう言いたくなってしまう、いや、言わずにはいられないといった戦場だった。

 

「クレイン1よりクレイン3。遅くなった。どうなっている?」

 

そこに到着したのは巌谷。桜井の第二小隊も同時に到着した。

 

「まずはここにいた六機を救助しました。各機とも移動・戦闘に支障はなさそうです。本隊はより後方にいると思われます」

 

「了解した。本隊も助けに行くぞ。帝国軍・統一中華戦線軍の衛士に告ぐ。救援に来た。戦線の引き直しまで私の指揮下に入ってもらいたいのだが」

 

そう告げる巌谷。撃震の衛士も殲撃8型の衛士もその声で正気になったようだ。その後両隊は巌谷の指揮下に入る。これで十八機の戦力となった。

 

「では本隊救出へ行くぞ!」

 

「「「了解」」」

 

幸い、本隊との距離はそう遠くない。すぐに合流することが可能なはずだ。

 

「マーカー確認。目視でも戦闘中の様子を確認しました。しかし……数が少なすぎます。部隊がさらに分かれているのでしょうか?」

 

そう報告したのはクレイン中隊の衛士の一人。彼の視界に(正確には網膜投影に)映った機影は大隊規模に達しない程度。帝国軍一個大隊。統一中華戦線軍一個連隊が展開しているにしては少なすぎる数だった。一個大隊と一個連体。しめて144機。それが戦闘開始前の機体数だ。それがいまやたったの30数機。撃震は14機。その他は殲撃8型だ。

 

「何故ここまで数が減っている……?統一中華戦線とて素人集団じゃああるまいに」

 

その呟きが第一中隊(以降、特に記述なければ第一中隊は巌谷中隊を指す)全体の心中を表していた。

 

「それが……あっ」

 

答えようとした言葉を遮るかのように、また一機やられる。それをやったのは戦車級でも要擊級でも突撃級でもない。

 

「要塞級……だ、と……どうしてこんな後方に……」

 

「くそっまだいたか……」

 

前者は第一中隊の、後者が統一中華戦線軍衛士の呟きだ。そう、それが表すように、要塞級が鎮座していた。通常、要塞級はBETA梯団の最後方に存在する。BETAは戦術を持たない。だからこそ移動速度の順にBETAは行動する。故に、要塞級は本来最後尾に存在するのだ。

それがこの場にいるのは何故か。恐らく、その数が故だろう。複数のBETA梯団で構成された大規模BETA群。その前衛部におけるBETA群の最後方にある要塞級BETA。それが現れたのだろう。

とはいえ、そんなことは今を生きなければならない戦場の衛士にとっては然して大切なことではない。重要なのは排除せねばならない高危険度の敵がいる、ということだ。

 

「クレイン3より小隊各機!要塞級を殲滅するぞ。続けぇー!」

 

武が先陣を切る。

 

「これ以上要塞級に友軍を食わせんじゃねーぞっ!!」

 

「「「了解」」」

 

それは咆哮。BETAへの怒りの叫び。武は今、戦場でBETAにやられる機体を初めて見たのである。動揺は隠せない。それでも、それが部下に、部隊にそれが伝播しないよう努める。だからこその性急な命令だった。

 

武の命令で動き出す小隊各機。4機の影が急速に要塞級へと接近する。跳躍ユニットは最大限にその力を発揮し、機体を空へと誘う。

目標の要塞級はまず左右に一体ずつ。一個分隊ごとに一体を相手にする形だ。

要塞級に近づいた。

狙うのは三胴構造の結合部。まずは遠距離から120ミリだ。

とはいえ、容易に倒せる敵でもない。

尾節の衝角が伸びる。50メートルにも及ぶそれは、当たればただではすまない。更には強酸性溶解液を射出し、戦術機の装甲程度一瞬で溶かしてしまうというおまけ付きだ。

 

各機は36ミリに切り替え、衝角を打ち出す。まずこの衝角をどうにかしないことには本体に攻撃することができないからだ。

 

「06より08。俺が衝角を押さえる。その隙にぶっ殺してくれよ!!」

 

「08了解だ。しっかり引き付けて、死ぬんじゃねーぞ」

 

「当たり前だ!」

 

武指揮下の第三小隊衛士の二人の会話。

会話終了後、すぐに彼らは動き出す。まず06は36ミリで要塞級への突撃開始。機を引き付け、衝角を狙う。

 

「おらおらおらおら!!」

 

決して少なくない数の36ミリが要塞級に当たる、が、それだけでは倒れない。しかしー隙は作った。

衝角が06に気をとられている間に逆方向から08が高速です侵入。低空から、一気に上昇。三胴構造の結合部を狙う!

 

「おまけだ、貰っとけくそどもがぁぁぁ」

 

複数の120ミリが結合部に当たり、要塞級の体勢が崩れ始める。結合部を破壊してから、08が要塞級の上まで上昇。頭(のような部分)に36ミリの雨を降らせた。

 

「ふう。ようやく一匹片付いたか……残りの要塞級の数はっと……おいおい、本当かよこれ。流石は我らが小隊長様、か……?」

 

ー話は少し遡り、武と要塞級との戦闘にまで戻る。

 

雄叫びとともに要塞級へ突撃した武。だがその頭の中は、決して沸騰しきった訳ではなかった。

 

「クレイン3よりクレイン10。俺が突っ込んで切り刻む。援護頼む」

 

この台詞も自己満足のために出たわけでも、自分のスコアを稼ごうとしたものでもない。どこまでも合理的に、客観的に。最も短期間で要塞級を排除する方法を導きだした結果だ。

 

「クレイン10了解。ご存分に」

 

「ああ……はぁぁぁぁぁぁ」

 

長刀を構え突進する。

要塞級の衝角が迫る、が、機体を回転させ回避。

一度着地し、XM3の本懐が発揮される。膠着時間の短小。

次の瞬間。武の機体は要塞級の目の前へとたどり着いていた。

戻ろうとする衝角はクレイン10が防ぐ。

武は要塞級を切り落とした。

 

「次だ!!」

倒した要塞級には目もくれず、後方の要塞級5体へ向かっていく。先程と比べて五倍の衝角。

それぞれが武機を落とそうとし、鞭のように撓りながら迫る。

 

(五本。数は多いが、この機体ならこの程度は行けるっ)

 

そこに飛び込んだ。

誰も惨劇を予想する。

それは普通なら確定された未来とさえいえる状況だった。

 

しかしーそこにはいる。そこにはある。

武の機体が、確かに。

長刀を一本廃棄し、新たなものを取り出す。

そこからは一瞬だった。

即座に加速し、要塞級を襲撃する武。

要塞級は何の反応を示すこともなく、その時間すら与えられずに寸断される。

一体を斬っても満足せず、次に向かう。こうして、クレイン06、08月一体の要塞級を狩っている間に武は要塞級6体を撃破したのであった。

 

「すげぇ……」

 

それはこの場にいた衛士たち全ての気持ち。新鋭機とはいえ、それは尋常な動きではない。

 

「クレイン3よりクレイン1。要塞級の掃討を完了」

 

武が報告をあげる。

 

「クレイン1了解。これより残存帝国軍、統一中華戦線機の退却を支援する。我々が殿となって後退、防衛戦を引き直す。統一中華戦線戦術機部隊の指揮官殿、異存ないか」

 

巌谷が報告を聞き、指揮をとる。同時に統一中華戦線戦術機部隊の指揮官にも、作戦について確認を行う。傷ついた残存機と巌谷中隊を比較すれば戦力の差は明らか。統一中華戦線としても、願っても無いことであり、否やはなかった。

 

「こちら統一中華戦線軍第52連隊、李章鴻大尉だ。コールサインはジャンカイ1。ありがたい申し出です。我々は先に後退し、防衛戦を立て直す。後ろはよろしく頼む」

 

「任せろ」

 

その通信を最後に、残存統一中華戦線機、帝国軍機は後退を開始。第一中隊は退却中の戦術機が狙われないようにBETAを殺し、誘導する。

武率いる第3小隊が要撃級の群に突っ込む。

圧倒的な硬度を誇る要撃級の腕を避けながら吶喊。36ミリの雨と長刀による鋼鉄の風が要撃級に降り注ぐ。

新素材使用とXM3採用によって得られた既存機を超える機動性が衛士の腕で十全に発揮される。

斬る。

穿つ。

 

あっという間に数百のBETAに穴が空いた。とはいえこれでもBETA群のほんの一部にしかすぎない。

後方に抜けた要撃級等は第一、第二量小隊が対応する。中衛・後衛の突撃砲が火を吹いた。

 

「いいな、大型種(デカイの)は逃すなよ!小型種(チビども)は自力でも要塞陣地でも対応できる。補給中に戦車級に取りつかれました、なんてことにはするな」

 

そう檄を飛ばすのは桜井。後衛の取り纏め役でもある彼は、銃を撃つ手を止めずに言う。

 

現在、敵前衛を受け止める役を担っていた帝国軍が後方、要塞陣地正面での大型種排除を目的として統一中華戦線部隊と合流。作戦開始当初よりも戦線は大きく後退している。更に武たち研究開発団第一中隊を殿として各部隊が後退中。崩壊した戦線を再構成するための措置だが、これによって歩兵・機械化歩兵部隊からなる要塞前衛陣地への負担が増加している。だからこそ、一刻も早く戦線を引き直す必要があった。

作戦は戦術機部隊が大型種を排除し、歩兵部隊が要塞戦において小型種を対処する。それが基本である。歩兵部隊では部の悪い大型種をどれだけ引き離せるか、それが損耗率を低く保つ、ひいては要塞防衛のポイントとなる点なのだ。

しかし、現状戦術機部隊の壊滅状態から少なくない大型種が歩兵部隊と接敵。要塞戦前面の歩兵部隊はBETA大型種との絶望的な戦いを強いられていた。なお武たちが知る由はないが、このような状況は重慶要塞左翼だけでなく中央、右翼でも発生している。

 

しばらくの間、BETAに対して遅滞戦闘を行なっていた武たち中隊に通信がはいった。

 

「こちらジャンカイ1。全機補給完了。戦線を引き直した。後退し、補給されよ。後退の支援を行う」

 

「クレイン1了解。中隊全機後退する」

 

「「「了解」」」

 

中隊各機が後退を始める。ここでの殿は武小隊だ。桜井小隊、巌谷小隊と後退射撃を行いながら、後方の戦線へと吸収されていく。

 

「08残弾300」

 

「06、同じく300」

 

小隊の衛士から残弾が枯渇ギリギリだと言う報告。

 

(第一、第二小隊ともにほぼ後退完了。あとは統一中華戦線に任せられる、か……)

 

「よし、第一小隊後退。大型種のみ後退射撃で潰しながらだ!この後は補給ができる。弾切れを気にせず打ちまくれ!」

 

指示を出す。その直後、小隊がスムーズに動き出した。

近づいてくる複数の要撃級を撃ち殺す。危険度の高い敵に撃ちまくり道を作る。

06、08残弾ゼロ。突撃砲を手放し長刀を装備する。その一振りは戦車級を両断し、地面を赤く染めた。

少々後退し、引き直した戦線が見える。統一中華戦線機と帝国軍機が小隊ごとに並び、巌谷たちは補給中なのだろう、姿が見えないほど後ろにマーカーが映っている。

 

「こちらクレイン3。補給を要請する」

 

「ジャンカイ1了解した。ここから後方700に補給コンテナがある。そこが一番近い!ここは俺たちが持たせてみせる。安心して補給してこい。俺たちにとってもあんたらは英雄だ。感謝するぜ、日帝の英雄殿。戦いが終わったら一杯奢らせてくれよ」

 

「クレイン3了解。中隊一同、楽しみにさせてもらう。あんたが破産してもいいくらいの活躍をさせてもらますので、覚悟しておいて下さいね」

 

軽口を言い合う二人。かつて戦争をした日中両国、東西陣営に別れていることもあり、両国衛士の関係は実のところ微妙だ。それでも対BETAという目的のために戦場でともに戦うことに変わりはない。背負っているものは違くとも、帝国軍人と他国軍人との間で確かに、戦友としての絆が生まれていた。

武小隊がコンテナへ到着する。そこには先行していた巌谷と桜井以下中隊各機が揃っていた。コンテナで補給を開始する。推進剤と弾薬、その戦い方から大きく不足するこれらを補給する。再びBETAを殺すために。

数分後、補給が完了する。これで第一中隊の戦力は整う。統一中華戦線・帝国軍部隊との合流を始めた。

 

ーーーー

戦線を再構築し、武たちもそこに加わってから少したち、通信が入る。

 

「HQから全部隊へ。光線級吶喊が成功、爆撃機が出撃した。面制圧を60秒後に開始、各部隊は残存BETAの殲滅に当たれ」

 

それは事実上、作戦の成功を意味する通信だった。

 

「最後まで気ぃ抜くなよ!生きて帰るぞ!!」

 

士気が上がる。作戦は最終段階、掃討戦へと移行した。

 

 

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