マルフォイが不憫に思えて仕方がなかったために、、
哀れなマルフォイに救済を……
魔法界、南東ヨーロッパのバルカン半島を中心に活動する何でも屋は今日も仕事をこなしていた。完全前払い制で払い戻しなし、依頼の取りやめは出来ず依頼の失敗は一度もない。
買い物からペットの散歩。誘拐や強盗、果ては殺人に至るまで何でも御座れの何でも屋。
そんな彼も今年で11歳を迎える。
魔法使いとして生まれたものは11歳になれば魔法学校に入学する。
彼はホグワーツからの入学許可証を懐からとりだしそれを見れば、薄く笑みを浮かべて今日も仕事をこなす。
彼の容姿に関して言うなれば、どんな人でも彼を見ればこう答えるだろう。
「どこにでもいる普通の少年だった」
「よく見れば、かっこいいのではないか」
「目立ちそうな感じじゃないね」
実際に彼は、性格も平凡で目立たず日陰を好み、表に出てくるのも嫌うような人物だった。
髪は短く黒色、それでいてアジア系の顔付でこの周辺では目立ちそうなのにも関わらず、今まで目立たなかった。
彼には他の追随を許さぬほどの才能があった。
物覚えが良く。一度見たものは忘れぬほどの記憶力があり、生まれて一年足らずで言葉はスペイン語、フランス語、英語、中国語に日本語をマスターし、文字も書けるようになった。最近では仕事で必要になりロシア語もマスターしている。
更に身体能力も秀でており、相手が大人であっても負け知らずだった。
これに対して
彼が恵まれなかったことを上げるとするならば、彼は生まれた環境に恵まれていなかった。
純潔の名家の生まれ出こそあれば、三男の男を父に持ち、貧民街の浮浪児だったアジア系の女を母に持っていた。母は彼を産んだ直後に彼を抱くことも出来ずに息絶えており、彼は母を知らない。
父は妻が息絶えたことを知ると、彼に会うことなく姿をくらませた。
彼は家族を知らない。
だが、彼はこう考えた。
知らぬなら、知らないままでいい。
下手に知ることで、情に流されることが無い。
どんな仕事でも躊躇わずに済む。
「やあ、アイン」
アイン・カルネウス。彼はそう名乗っている。
名前を呼ばれた彼は、表情を引き締め今日の雇い主の方を見る。
「お疲れ様です、レイブさん」
「そう怖い顔はしないでくれ、今日は助かったよ。聞くところでは、ホグワーツへ入学するらしいな」
今朝手紙が来たというのに、この男も耳が早いなと彼は思ったが壁にかかった時計は既に17時を指している。一日も経てば周囲に知れるのも仕方がないのかもしれない。
「ええ、今朝フクロウ便で入学許可証が届きました。ですので、近日中に必要な道具を買いにダイアゴン横丁に行きたいと思っております」
「それはいい。君の門出を祝って今日の報酬には色付けておくよ。
そうだ、聞くところによれば額に傷を持つ彼も入学するらしいよ。君と同じ学年らしい、下手に目をつけられて例のあの人から狙われないように気を付けるんだよ」
その後も他愛のない会話を続け、18時になるころにようやく追加報酬を受け取り帰路に着く。
曲道を抜け、彼は先ほどの話を思い出していた。
『額に傷を持つ彼』『例のあの人』
この2点だけで分かることは、額に傷を持つ彼というのは十中八九生き残った男の子ことハリー・ポッターのことだろうか。
「荒れそうだな」
彼は小さくつぶやいた。
その後、彼の背筋を冷たいものが流れる感覚襲った。
「動くな。…そのまま振り返らず前を見ていろ」
殺気だ。
間違いなく、躊躇うことなく背後に立つ人物は彼を殺せるだろう。
彼もそれをわかってか、相手の言うことに反抗することなく大人しく従う。
それでも、相手がだれかを探ることはやめない。
容姿や格好は確認できない。が、声や臭いならどうだろうか
声は記憶にない。このことからあったことが無いのは間違いないだろう。
臭いだ。臭いは…ニンニクか?そんな臭いの人間とは会ったことない
彼は少し顔を歪めたが、それに気づかない相手は話を切り出す。
「なに、別に今ココで君を殺そうという話じゃない。
君はここらで名の知れた何でも屋だろう?仕事の依頼だ。」
「……内容は?」
不審に思いながらも話の続きを促す。
「簡単なことだ。
先ほど聞いたが君はホグワーツに入学するらしいな、依頼はいくつかある。まずは、君には私の密偵になってもらいホグワーツの内情を探ってほしい。」
先ほど聞いたということは、前もって知っていたわっけではなく先ほどのレイブ老との話を盗み聞きしたのだろう。それに、私のということは学校とは関係の無い人間ということか。
「いくつかあると言ったな、そのほかは?」
「それは追って連絡しよう。
報酬さえ受け取れば、何でもやると聞いた。それにここまで聞いたんだ、断るというなら明日の朝刊にはアイン、君の名前がのることになるだろうな」
相手は彼の名前も知っている。さらに相手には彼を殺すことだって可能だ。それも、簡単に素早く一瞬でやれるだろう。
彼は短い時間で思考する。
難易度は今のところ低い。潜入の必要はない。何せホグワーツから招待状が来てるくらいなのだ。
考えさせられることがあるなら、それは追加依頼の内容だが…
それ以上に重要なこがある。
「報酬は?」
「生 だ」
相手は間髪入れずに答えた。
彼は再び思考する……ことはなく杖を取り出し素早く反転し呪文を唱える
「「ディフィンド 裂けよ」」
彼が構えた杖はいとも簡単に中ほどから裂かれていた。
「くはははははは!
構えるまでの速度は申し分ないが、その程度で向かってくるにはまだまだ甘い。今日はこのくらいで勘弁しておこうか、後日代理を送ろう。
良い返事をきたいしておくぞ」
相手はそのまま一瞬にして消え、先のない杖を構えたまま固まっている彼だけが残されていた。
時が変わり、場所も変わった
彼は郊外にある酒場を訪れていた。酒場に入れば店主が彼の元に近づき、彼の耳元まで顔を近づける。
「いらっしゃい、今日はどんな盗品を売ってくれるんだ?」
「残念だったな、マスター。今日は売りに来たんじゃない、買い物に来たんだ。奥の部屋を借りるよ」
店主はそれを聞くと少し残念そうにカウンターの方へ戻っていった。
「アイン・カルネウス」
肩を落として戻る店主を見送っていると不意に声を掛けられ、声のする方を向く。
そこにいたのは、頭にターバンを巻き、黒色のマントを身に纏った人物だ
それに気づいた店主が戻ってくる。
「おぉと、先生いらっしゃったのか。気づかなかった
アイン、この人がホグワーツの先生であるクィリナス・クィレル先生だ。担当教科はマグル学だったよな」
「……い、い、いえ、わ、私は今、や、闇の魔術に対抗する防衛術を…こ、今年からでですけど」
「担当が変わってらっしたんですか、ま、そういうことでだ。アインをよろしくお願いしますよ。」
それだけ告げて再び戻っていった。
「あ、アインさん、ちょちょっとこちらに」
クィレルに促されるまま、後ろについていく。
少し進み、人気のないところに出ればクィレルの雰囲気が変わった。
「初めまして、ミスター・アイン。」
あのオドオドした態度やどもったような話し方から打って変わり、堂々とした態度で、ハッキリした物言いで話し始める。
「先日の答えを聞きに来た。答えを聞こうか」
あの人物の遣いか。
彼は身構えるが、すぐに構えを解いて片足を地面につけ頭を下げる。
「ほう。ということは」
「えぇ、依頼を受けましょう。
私はまだ死ねない。まだやることがあります」
「分かりました、では前報酬です。」
クィレルは片腕を振りかぶり、彼を殴り飛ばした。
「がっ!」
「よろしい、これで契約は結べました。
学校には君と同様で依頼を受けた者がいます。その者に1週間毎報告を、追加の依頼もその者から伝えられるでしょう。決して疑われないように。
それと、一月ごとに私にも報告を、それはその月の第一水曜日の深夜零時にお願いします。」
それだけ伝えるとクィレルは最後に一つ置き土産を残し出ていった。
『あぁ、それと最後にこれからは マードック・グローブスと名乗りなさい。
学校の方にもそう通しておきますから。それにあなたにとって名前に何の未練もないでしょう?』
この瞬間からマードックの物語が始まっていく。
きっと等の本人であるマードックはグリンゴッツ銀行でお金が下せるか心配してると思います。
彼は守銭奴でしょうから