抜きゲーみたいな個性を持った少年はどうすりゃいいんですか? 作:勇気生命体
陽キャは強個性! 陰キャは弱個性!
そんな時代だった。そんな世界だった。
男も女も第二次性徴を迎える中学生のころに持ちたい個性第一位は何だろうか?
純粋な奴はかのナンバーワンヒーロー、オールマイトのような最強パワーを望むかもしれない。しっかりした奴なら稼げる個性というかも。だがきっと30%くらいはこう思うはずだ。
エッチなことができる個性が欲しい。
だが本当に持っていたらどうする? 抜きゲーみたいなあほらしい個性と一生付き合っていかなければいけないとしたら?
答えはファックだ。すべての意味でファック。
個性『エッチ』:あらゆる生き物をエッチにする。神は俺を作るときに飲んでたのか? あるいは寝不足だったのか?
出来ることなら製造日に戻って製造元たちに言ってやりたい。フェロモンと感度増強なんてものからどんな悪魔が生まれるか想像してみろ! ……多分結果は変わらんだろうな。俺でも変わらん。
とにかくこんな個性は真面目に生きるにはふざけすぎていて、エロキャとして生きるには生々しい。
俺は泣いた。そして15の夜、自由を求めて逃げ出した。
〇
「そういうわけだったんだよ……」
「いや、どういうわけだ?」
目の前のヒーロー『イレイザーヘッド』は疑問の声を漏らした。
なんという愚かさだろう。同じ男でありながらなぜこの苦悩を理解できないのか。所詮薄汚い世界に染まった大人に俺のような悩める少年の気持ちはわからないのだろうか。……あるいは思ったことを口に出さなかったのが悪かったのか。
「ともかく離してください。確かに俺はあそこのチンピラのあそこをビラビラにしてやりましたが性的倒錯防衛、略してせいとう防衛です」
「残念だがあれは明らかにあれは過剰防衛だ。しかも個性を使った」
「個性を使った暴力から身を守るには個性を使った暴力しかないのです。力には力を! だからこれを解いていただきたい」
「支離滅裂な奴だ……」
そう言ったきりイレイザーヘッドは俺の言葉に反応しなくなった。これは知っている。いつだってこういうむっつりスケベはオープンスケベに
わかるよ。
俺は急にこの男に対して親愛にも似た感情を抱いた。小学校の時、スカートめくりに興じる者たちやちょっとおませな女の子。俺はエッチという個性を持ちながらもそれらにかかわることがなかった。それも一重に羞恥心のせいだった。
俺はイレイザーヘッドにこれ以上迷惑をかけてはいけないと考え直した。しかし、俺には敵どもに好き勝手エッチなお仕置きをしてやりたいという欲求があり、捕まるわけにはいかないのだ。友情と劣情の間で揺れ動く俺。あまりに激しい上下運動だ。
そしていつも通り劣情が勝ち。俺は逃げることにした。問題は俺を包む謎の技術を結集した拘束道具から抜け出す方法がないということだだ。今日日ここまできつい拘束は苦情が来るレベルだろう。しかも個性も使えない。イレイザーヘッドの目つきも怖い。三点バーストの大盛り上がりだ。
だが俺は焦りはしない。童貞じゃないんだから焦りはしないのだ。布石はすでに打ってある。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」突然目覚めたチンピラが叫び声をあげる。「ああ、ある!!!!」
目覚めたチンピラの叫び声で、その瞬間だけイレイザーヘッドの意識が俺から外れた。
俺は15の夜からずっとエッチとはなにかを考え続けてきた。そしてたどり着いた答えは『一は全、全は一』ということだ。
つまりあらゆることはエッチである。ゆえに俺の個性はあらゆることを可能にする。
俺の体が急速に縮み相棒も消えうせる。俺は普段の見た目からは全く想像できないような美少女に変身し、体格さによって拘束を抜け出した。これが俺の必殺技の一つ。効果はテキメンだ。
イレイザーヘッドが何か行動を起こしたがもう無駄だ。俺の逃げ足は恐ろしく速い。その上、エッチな変身はこれだけじゃないので、一度見失えばもう再発見は不可能だ。
逃げ切ったとき、すでに空は赤らんでいた。そして俺は思う。今日もいい日であった、と。
実際エロ方面の個性持ってたら性格歪みそう。
ヒロアカの世界は闇を探せばいくらでも出てくるので好きです。