薄暗く、床には配線のコードが複雑に張り巡らされた部屋の中に白衣と来た男性と、その男性が見つめる先にある薄緑の液体が入ったカプセルの中には水鏡色の髪の少女が眠っていた。
白衣を着た男は目の前にあるディスプレイに映し出された結果を見ると表情を一変させた。
「くそっ!! なぜだ、なぜ結界系・降臨系・領域系・礼讃系・洗礼系全ての適性が0なんだ!! 沁力はオリジナルと同等だというのに!!」
男は隣に置かれている機材を蹴り、その後すぐに部屋をでてどこかへ行ってしまった。
カプセルの中で眠っている少女を置いて。
白衣を着た男が部屋を出て言ってからしばらく時間が経った頃、未だにこの部屋の機材は生きており、少女の命を繋ぎとめていた。
そして突如カプセルの内部に溜まった薄緑の液体が排水されはじめる。排水は数分で完了し、それと同時にカプセルが開き、その中にいた少女は床に投げ出される。
「………うっ」
床に投げ出された衝撃で少女から声が漏れる。
「…………うぅ」
少女は目を覚まし、起き上がる。少女の体は薄緑色の液体で濡れており、水鏡色の髪が何もまとっていない幼い裸体に張り付く。
あれ……ここどこだろうか?確か僕はいつもどおりに高校へ行こうとして後ろから足音が聞こえて振り返ったら、そこには太った男が立っていて、そのまま飛びかかられて元々小柄だった僕には抵抗できるはずもなく潰された………は…ず……っ!!
少女は自分の体に目を向け驚く。
それは潰れたはずの体が無傷だったこと、そして体が少女のものになっていることに気がついたから。
「……え?」
確かに元々小柄で顔も女の子っぽかった、それは認める。けれど性別は男だった。なのに今の僕の体は男ではなく女の体だった。
それに僕は日本人で両親も、祖父も祖母も全員日本人で僕の髪は日本人ではほとんどがそうであろう黒色で短く、なるべく男に見えるような髪型にしていた。それなのに自分の体を見たときに見えた、今の僕の髪の色は銀というか水色というか、その間のなんて言えばいいのかわからないけれどそんな色をしていて、ふくらはぎあたりまで伸びている。
少女は気がついてしまった。今の体は前の自分の体ではないということに。
そして少女はこう言う場面を知っている。
そう、ネットなどである二次創作でアニメ、ゲーム、漫画等の原作の世界の人に憑依という物語の始まり方。
信じたくはなかった。しかしそれ以外には考えられない。
そしてその後はこうなったとき、ネットで見た主人公はどの原作か気づき、その原作に関わっていくことになる。とは言ってもそれは物語の話であり、今の自分は現実のことだ。比べるのがおかしい、だが、今の現状は非現実的であり、現実ではない物語が一番近いのも事実。
とりあえず、情報を得ないと……。
情報を得ることができればもしかしたら原作のタイトルがわかるかもしれない。
もし分かればこれからのことも考えやすくなるだろう。そう願って少女は裸のまま部屋に置かれた機械をいじり始めた。