千年守り続けた皇姫のクローンになっちゃった   作:先名咲亜

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今回は、原作に初介入?となるのですが、原作に介入する前の原作をどこから書けばいいのか迷いました。そのせいで中途半端になっていたり、なんじゃそらってなるかもしれませんが、もし何か足りないことがあれば、教えていただけると嬉しいです。

 前半・……というかほとんど原作沿いだったので原作の丸写しになりそうだったので微妙に省略したりとか、単語を変えたりとかしてみました。


多分次からは主人公も入るので原作丸写しにはならないです



3話 出会い

自然区南側、第四公園。僕たちはそこに来ていた。来るときにエリエが制限速度を無視して警備機に追いかけられたけど、3時間かかって逃げ切った。

 今日ここにきた理由はみんなでバーベキューをするというもの。

 なんにもない普通の日常。

 今日一緒に来ているエリエやユトにはこれが普通なんだと思う。けれど、僕は………。

 

 2年前僕は天結宮(ソフィア)を追放された。

 

「シェルティス、食べるよー」

「シェル兄、はやくー」

 

 声がした方へ視線を向けると、エリエとユトの二人は既にコンロもセットされ、その上には鉄のプレート、そして隣には僕が用意した最高級の肉と野菜が置かれていた。

 

 僕は急いで二人のもとに行き、一言謝る。するとエリエが僕をバーベキュー版の鍋奉行に任命した。

 

 その後、順調に進み、

 

「お肉焼けたー?」

「あ、ユト。それまだ生焼けだからダメだって。こっちの野菜あげるから」

 

 その光景にどこか懐かしさを感じ、既視感にも思える光景に何とも言えない気持ちが湧き出てくる。

 

 確か、前にもエリエ達と出会いよりもっと前に同じようなことがあったきがする。

 

 僕と幼馴染であり、天結宮(ソフィア)の五人しかいない巫女の一人ユミィ、そして千年獅のレオン。

 レオンはユミィとは別の巫女の千年獅で、ユミィの千年獅はユミィが巫女になってから今までずっといない。

 

 ユミィ、それは僕を―――

 

――――ぞくっ。

 

「っ!!」

 

 僕は手に持っていた肉や野菜の乗ったプレートを投げ出して、背後の森へ振り返る。

 

「え、ちょっと! 最高級のお肉と野菜なんで投げ捨てちゃったの!」

 

「静かに」

 

 視線は森に向けたまま、エリエを制す。

 

 この懐かしいような感じのする寒気。

 

 まさか……。

 

 僕はエリエから電気槍を借りて一歩、また一歩と目の前の樹海へ歩を進める。

 

 樹海に入ってすぐ、巨木があるそこで足を止めた。

 

 それを追ってくるように後ろから聞こえてくる二人の足音。

 

「こーらーシェルティス、勝手に行かないでってば!」

 

 がさがさ、と周りの枝をかき分け、エリエがユトの手をつないで歩いてくる。

 

「エリエ、待ってあんまりこっちにに近づかないほうがいい」

 

 今にも近づいてきそうな彼女らに、手を垂直に上げて制止を促した。

 

「…………」

 

「シェルティすってば!さっきから黙っちゃってどうしっ―――――!!」

 

 僕の制止を無視してすぐ真後ろまで来たエリエは、目の前の巨木を見て声にならない悲鳴を上げた。

 

「………な、なによ……これ………」

 

 そこには、樹齢百年を超えるであろう大木が、立ったまま幹を紫色に腐らせて枯れていた。

 

 細い枝の先端、葉の一枚。その全てにいたるまで、毒々しい紫色に腐っている。

 

 それだけではない、その木の周囲にある落ち葉、枯れ木、土壌までもがブスブスと濃紫色の煙を上げて腐っていた。

 

 それが今なお、腐敗が侵食し、樹海に広がりつつある。

 

「紫の煙………まさか……『アレ』の仕業……?」

 

 蒼白になlった表情でエリエが立ちつくす。

 

「………」

 

 しゃがみこんで、紫色に腐りつつある土に触れようとして――

 

 突如名前を呼ばれるとともにエリエにぎゅっと肩を掴まれた。

 

「シェルティス!何を考えてるの!知ってるでしょ、それに触ったらシェルティスまで感染する!」

 

「……そうだね、ごめん」

 

 指先を地面から離し、かわりにじっと腐敗を凝視する。まだ地面の傷が新しい。アレ……幽幻種がここに現れて一時間……いやもっと新しい。下手すれば数分前……。

 

「ユト、エリエ。ここから離れたほうがいいかもしれない。こういうことへの対応は僕たちじゃなくて専門家に任せたほうがいいから」

 

 立ち上がり、背後の二人へ振り返った。

 

「専門家って、天結宮(ソフィア)の連中?」

 

「うん、アレの痕跡を一般人が見つけたら天結宮(ソフィア)に通報、自分たちはその場を離れる――エリエも知ってるでしょ?」

 

 浮遊大陸(オービエ・クレア)にこらすモノなら誰もが知っている規則だ。守らなかった場合の罰則規定は存在しない。ただし、守らなかった場、誰も命の保証はしてくれない。

 

 

「というわけで、急いだ、急いだ!」

 

 怯える二人の背中をを押しながら、急いでこの場を立ち去る。

 

 ……これでいいんだしよね?

 

 今の僕は天結宮(ソフィア)の錬護士でなければ正護士、護士候補生ですらない。アレに関わる必要はないんだ。

 

 もう少しで森を抜けるというとき、突然、がさがさと何者かの存在をしめす音が響いた。

 

 僕はすぐに怖がっているとすぐに分かりそうなほど顔が蒼白になった二人、エリエとユトの二人の前に出て、電気槍を構え、いつでも対処できるようにする。

 

「もしアレが現れて、襲ってきたら、僕を置いてヴィークルのところに逃げて!」

 

「え、シェルティ――」

 

―――がさがさ

 

 その音ともに飛び出してくるもの、それは人だった。銀髪、白髪、いや少し水色が混じっているから水鏡色。その色の髪を膝裏あたりまでのばした少女。

 黒いTシャツと黒のホットパンツは所々木々で破けたようなあとと、鋭い何かで綺麗に裂かれたあとがあり、その服を着る少女の体にも何かで裂かれたような傷跡があり、今なお、赤い血が止まることなく流れ出ていた。

 

「え、えっ?! しぇ、シェルティス!」

「…………紗砂?!」

 

 

 エリエの声にユトの声は飲み込まれ、何を言っているのかは聞こえなかったけれど、なにかエリエとは違うことを言ってた気がする。

 

 飛び出してきた少女は気絶しており、何が起きたかは聞けない。

 

 それよりも、今はこの子の手当てをしないと、それにもしかしたらこの少女の傷をつくった生き物がいるかもしれない。

 

「エリエ、この子をお願い」

 

 もし、この子にけがを負わせた生き物が現れたら、すぐに動けるようにしておきたい。

 

 それにもしかしたらアレもくるかもしれない。

 

 

―――がさがさ

 

 こういう時、天は冷たいやつなんだろうなと思ってしまうほど、事は悪い方へ流れる。

 

 今の状況ならば、アレが現れる事がそれにあたる。

 

 そして再度がさがさと、音を立てて現れたのは、予想通りの最悪(アレ)

 

「エリエ、ユト下がって!」

 

 見るだけで生気が奪われる、そんな禍々しい濃紫色の霧をまとった幽幻種。

 獅子のように太い脚と鋭い爪が霧の中に見え隠れしているが、その霧の中にいるものが獣の類か、竜の類かもわからない、けれど大きさから見て竜はないと判断する。

 

 

 不気味なほどの速さで接近してくる幽幻種。その這いずったあとの地面が、草も花も土も全てが腐敗し紫色に侵食されていく。すべてが謎に包まれた存在。そもそも生物なのかも不明。

 

「エリエ、ユト、早くヴィークルに!」

 

 幽幻種が動きを止め――

 

 

 ■ ■ ′■ …… ■ ■ ′■ ■ ■ ′…・ ■ …… ■ ■

 Oe/ Dia = U xeph cley, Di shela teo phes kaon

 

 樹海に、呪いの歌が響き渡った。

 

 幽幻種の纏う紫色の煙が光を放ち、その光が髪の毛よりも細い光の織糸に移り変わっていく。

 

「っ!! エリエ逃げて!」

 

 光の糸がらせん状の複雑な模様を描き、同心円状に広がっていく。その光が広がっていく方向には、何が起こっているか理解できていないエリエの姿。

 

「させる……かっ!!」

 

 一瞬早く、シェルティスは持っていた電気槍を投げつけ、ざくっという音とともに、幽幻種を地面に縫い付けた。

 

 ………じゅっ………ぅ、……っぅ………

 

 幽幻種を縫い付けた電気槍が一瞬で融解し、砂のように崩れていく。

 その光景にエリエはより顔を蒼白にした。

 

――魔笛。

 

 幽幻種だけが持つ特異の力を意味する言葉。それは腐敗、猛毒、昏睡、精神破壊。浮遊大陸(オービエ・クレア)のあらゆる物質と生物を侵食し、汚染する呪詛の波動。その発動時に呪詛の類を思わせる奇怪な音色を発生させることから『魔笛』の名が付いたと言われている。

 

「エリエ!今のうちに早く!」

 

「………倒した、んじゃないの?」

 

 普通の生物ならほとんど動けない怪我だろう。けれど相手は幽幻種だ。あれくらいでは倒れないことはわかっている。なにせずっと戦ってきた相手だから。誰よりも身にしみてわかっている。

 

「あれくらいじゃ倒せないんだ、だから早く!」

 

 電気槍で明けた穴も霧で塞がりそこには無傷になった幽幻種が。

 

 ■ ■ ′■ …… ■ ■ ′■ ■ ■ ′…・ ■ …… ■ ■

 Oe/ Dia = U xeph cley, Di shela teo phes kaon

 

 再度毒々しい紫色の煙が光となり、それは細い光の線となり、線状の光が群れをなすように結び、地面に巨大な円を描く。

 

 その光の領域に。足元に浮かぶ光を眺め、ぽかんと立ち尽くすユトの姿。

 

 間に合えっ!

 

 自らその光の円の中に飛び込んで、ユトを抱き掛かる。しかし、ユトを抱えたままこの円から出るには時間が足りない。そう判断した僕は――

 

「エリエ、ユトをお願い!」

 

 背中に気絶した少女を抱えたエリエにユトを放り投げる。

 

 弧を描いて空を渡るユト。その体が光の円を飛び越え、エリエは片手でユトを受け止める。

 

 もしかしてエリエって意外と力持ち? などと関係ないことを考えてしまう。

 

「シェルティス、あんたも早く――――!」

 

 エリエの言葉に答えたのは地面が煮え立つような耳障りの音だった。

 ぽこん、ぽこん。溶岩が泡立つような音と共に、草が、地面が、木がすべてが溶けていく。生物、非生物問わず、幽幻種の魔笛は浮遊大陸(オービエ・クレア)のあらゆる物質を壊死させる。どんな人間でもそれを浴びれば―――

 

 ユトを放り投げた僕には逃げる場はなかった。

 

 濃紫色の光が全身を包み込む。

 

「…………シェルティスっっっ!!」

 

 エリエの顔から血の気が引いた。

 

 魔笛を浴びたらどうなるかわかっていたから。

 

 呆然と立ち尽くすエリエとエリエの服の端をぎゅっと掴むユト。その二人に向かって幽幻種は歩を進める。

 

 霧状の体から、血管らしきものが蠢く黒色の爪が伸びて――――

 

「三人に手は出させない」

 

 少女に触れる寸前に、その爪を掴んで止める。

 

「………シェルティス?」

 

 信じられないものを見た。そんな気持ちが伝わってきそうな震える声。草も地面も、土もすべてを腐らせる魔笛を浴びた僕がたっていたのを見たら仕方がないと思う。

 

 だって僕は魔笛が効かないのだから。

 

 効かないというより、僕は魔笛を持っている。だから。

 

 掴んだ爪をはなさず、空いた手で一度、二度、三度と幽幻種の核晶を殴りつける。

 普通なら触れたものすべてが腐るのだからこんな真似はできない。できるのは同じ魔笛をもっている幽幻種と僕だけ。

 

 最初はヒビが入りその身にまとう霧の半分が霧散、二度目でヒビが広がりほとんどの霧が霧散。三度目で核晶が砕け、あたりに硬い鉱石が砕けたような音が響く。

 

 幽幻種の本体は、その霧状の体の中心にある紫水晶に似た核晶だ。大きさは個体によって異なるけれど。おおよそは拳程度。これを砕くことによって幽幻種を倒すことができる。

 

 それが砕けた今、幽幻種は動きを止めて、蒸発するように煙となって霧散していく。

 

「シェルティス、平気なのっ!」

 

「ああ、うん。大丈夫だよ。すこし爪とかかすっちゃったけれど、ただのかすり傷――」

 

「そうじゃなくて!」

 

 あぁ、エリエは魔笛のことを言っているのか。確かにエリエ達には僕のこと話してなかったからなぁ。

 

「えっとね、エリエ。僕は幽幻種の魔笛は聞かない体質だから大丈夫」

 

 本当とは少し違うけれど、本当のことは言えない。幽幻種は人の敵で、魔笛は幽幻種の武器みたいなものだから。

 

 それを聞いたエリエは、嘘でしょ………、体質って、そんなの聞いたことない。天結宮(ソフィア)の・……とか言っているけれど、納得してもらうしかない。

 

「とにかく平気ってことだから、安心してよ」

 

「・……でも」

 

「三人が無事でよかったよ。それにこの子を助けようとして助けれなかったとかにならなくてよかった。さっ早く応急手当だけしてすぐにここから離れよう」

 

 よかった。居住区で出会った数少ない友人を助けることができたんだから。

 

―――――ねぇユミィ。もう、君のそばに戻ることはかなわない夢かもしれないけれど。

―――――天結宮(ソフィア)の君にせめて心配は書けないように、僕なりにうまくやってるよ。

 

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