Afterglow〜Episode of Another〜   作:ある@誠心誠意執筆中

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丸山かわいい。

はい。ということでやってまいりました。



本編どうぞ(適当)






第12話 相談

「じゃねー、蘭ー」

 

 

 

「......」

 

 

いつもの交差点で蘭に別れを告げた。返事は返ってこなかった。

 

 

ライブハウスを飛び出してどこかへ行ってしまった蘭を見つけるまで、そこまで時間はかからなかった。何故なら、ライブハウスを出て数10m進んだところで、蘭が息を切らして座っていたからで......

 

 

(相変わらず運動が苦手だなー、蘭は)

 

 

それから疲れ果てた蘭をライブハウスまで連れて帰るべくおんぶをして行ったのだが、その時嫌がる反応を見せたっきり、蘭は一言も喋らなくなった。だからさっきも何も言わなかったのだろう。頷いたり、なんらかの反応はしていたが。

 

 

(そういえばせいくんも昔は運動音痴だったっけ)

 

 

運動神経繋がりで、せいくんのことが脳裏に浮かんできた。

 

過去と現在、双方を比べてみる。

 

 

(再会した時、正直困惑したなー。体格とか見違えるくらい変わってて。それこそ、その辺の男の子みたいに......)

 

 

最初目にしたときは思わず目を疑った。時というものはこんなにも残酷に人を変えさせるものなのかと改めて実感させられた。そこに『せいくん』の面影は少しだけしか見当たらなかった。

 

 

「あっれー?モカじゃーん☆」

 

 

 

「...あっ、リサさん」

 

 

まるで親のような心境で我が幼馴染の成長を喜ばしく、そして悲しくも思っているとリサさんと遭遇した。彼女とは同じバイト先で仲良くさせてもらっていて、あたしの中ではとても面倒見の良いお姉さん的存在になっている。そんな彼女がどうしてここに。

 

 

「バイト帰りですかー?」

 

 

 

「そうだよ。モカこそ今帰り?」

 

 

 

「ええ、まあ」

 

 

二つ返事に相槌を打つと、リサさんがいきなりあたしの顔をぬっと覗き込んできた。

 

 

「どうしたー?元気ないぞー?悩みでもあるなら、このリサさんに言ってごらん?」

 

 

 

「うっ......」

 

 

 

「なんでもお見通しなんだからね?ほら、大人しく白状しちゃいな」

 

 

まんまと胸の内に抱えているものを見破られ、不本意ながらそのままの流れで相談をすることとなった。

 

 

 

あたしの悩み。

 

無論それは、蘭の苦悩そのものでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──なるほどね。蘭の家って、華道の家元

だったんだ。んで、自分は蘭にバンドをやめてほしくないって思ってるけど、それはあくまでも自分の考えだからって抑え込んでた」

 

 

この前から蘭の身に起きていた異変。それと家の事情や蘭にどうしてほしいか本人に言うことができなかったことを話すと、リサさんは目を丸くしながらうんうんと納得した様子で頷いた。

 

その後、いつもの笑顔に戻るとこんなことを

言い出した。

 

 

「モカは優しすぎるんだよ。ずっと黙ってたのも、そのせいじゃない?」

 

 

 

「そう、なのかも......」

 

 

自分のことは自分が一番良く分かってるなんて言葉をよく耳にするが、現状を考えるとそんなもの説得力皆無の御託に過ぎなかったことを、リサさんから言われたことをきっかけに思い知らされた。

 

 

「蘭のことが本当に大切なら、隣にいたり黙ってるだけじゃダメ。それこそ相談し合わなきゃいけないよ」

 

 

ダメ出しを食らい少ししょぼくれたあたしを置いて、リサさんはこう続けた。

 

 

「そうやって互いに遠慮せずに弱みを見せ

合ったり意見を交換することも、幼なじみならではなことなんじゃない?でなきゃ、お互いに不安な気持ちができた時発散できないじゃん。アタシも友希那のことが心配でさ。モカは、友希那が誰か知ってたっけ?」

 

 

 

「幼なじみなんですよねー?」

 

 

友希那......湊さんはリサさんと同じバンドグループのボーカル兼リーダーで、クールな見た目と蘭と似た力強い歌声が特徴的な先輩だ。リサさんとは十数年前からの幼馴染である。

 

 

「そ。で、あの子もひとりで抱え込むタイプでさー......自分で言うのもなんだけど、拠り所があまりない友希那にとってアタシは一番の相談相手だと思ってたんだよね」

 

 

 

「えー?自意識過剰過ぎですよ〜」

 

 

なんて言うあたしも驕り高ぶって、それと似たような感じだったのかもしれないが。

 

 

「ちょっとそんな目で見ないでよ、もー。......話戻すけど、友希那の様子がどうみてもおかしい時期があったんだよね。友希那がその理由を教えてくれる前から、アタシは

それに気づいてたんだ。でも、こっちからそのことを言うのも気に触るかなーって思って、あっちから相談してくるのをずっと待ってたんだ......」

 

 

親友に対する対応の仕方は、あたしとリサさんもまったく同じだった。

 

そうすることによってもたらされた結果も。

 

 

「でも、結局ダメだったんだよね。なんとか解決はしたんだけど。それでもやっぱり思いをぶつけたりしなきゃ、だいぶ苦労するよー?」

 

 

 

「でもリサさんもそうしてたんでしょー?」

 

 

一通りの話を聞いて、自分も同じようにしてたではないかと疑問を投げかけると、リサさんは短く高笑いしてこう言った。

 

 

「そりゃあその時のアタシは友希那と同じで相談する相手が友希那一人しかいなかったからねー。でも、モカにはそういう気を許せる人がたくさんいるじゃん?」

 

 

話を聞いているうちに、ハッとした。

 

 

 

あたしには蘭以外にも、ともちんやひーちゃん、つぐ、せいくん......

 

そうだ。大切な仲間がいる。遠慮なく気を許し合えるはずの、大切な仲間が。

 

であればおそらく、リサさんがあたしに伝えたいことは......

 

 

「蘭に一人でカチコミに行くんじゃなくて、周りに助けを求めるってことですかねー?」

 

 

 

「カチコミ......うーん、ちょっと違うかなー☆」

 

 

 

「ていうのは冗談でー、『ちゃんとみんなと

蘭の為になることを話し合え』ってことですよねー?」

 

 

 

「なーんだ分かってたんだー。なら最初から

そう言ってよー。カチコミって聞いてビックリしたよー?」

 

 

 

「えへへー、すみません」

 

 

当たりだった。リサさんが真に伝えたかったのは一人だけで悩んだり蘭と向き合うのではなくみんなのことも頼れということだった。

 

 

 

そう。あたしには十数年来の親友がいる。それもリサさんとは違って5人も。これほどまでに贅沢なことがあるだろうか、自らの悩みの捌け口を快く引き受けてくれる存在がいることが。

 

でもあたしはそれ故に巻き込みたくなかった。優しいみんなにも蘭と同じように迷惑をかけたらいけないと思って、これは自分と蘭の問題と勝手に決めつけて、黙って見守ってるだけでちゃんと話し合うことができなかった......

 

 

 

 

 

でもそれは間違いだった。今日の出来事を振り返ってみればそんなこと一目瞭然だった。

 

なのに気づけなかった。それもリサさんからアドバイスをもらって初めて気づけたほど。

 

 

 

 

 

──そう。今は気づけたんだ。なら後は実行に移すのみ。

 

 

「今日はホントにありがとうございました。おかげでモカちゃん、新しい打開策が見えてきましたよー」

 

 

 

「いいのいいの。モカも長話聞いてくれてありがとね☆」

 

 

 

「モカちゃんは優しいからな〜」

 

 

 

「はいはい。じゃ、時間も時間だしそろそろ帰るねー。頑張んなよー?モカー」

 

 

そう言って背中を向けて去って行くリサさんを、あたしはずっと見送っていた。

 

 

 

が、リサさんが数メートル先進んだところで突然何か思い出したようにこちらに向き直り大声でこう叫んだ。

 

 

「あ、そうそう!もしもの話なんだけど、モカがメンバー全員にいきなり相談するのはやっぱ無理ーっていうんなら、まずは一人だけにでも相談してみな?そっちの方が気が楽でしょー?」

 

 

 

「......了解でありま〜す。それじゃあ今度こそ

さいならー」

 

 

 

「うん!じゃーねー」

 

 

そしてリサさんは、すっかり暗くなった住宅街へと姿を消していった。

 

リサさんを見送った後、先ほど言われたばかりのことを思い出していた。

 

 

(一人だけ、か)

 

 

実は内心、全員に相談しに行くのは忍びないと心の片隅でそう思っていた。まさかそれすらも彼女に見抜かれていたなんて。

 

 

(まったく......リサさんにはかないませんなー)

 

 

先輩への悪態染みた賞賛を心中で呟きながらその“一人”を誰にするか思案していた。

 

 

 

 

 

そしてその答えは、案外すぐに出た。

 

 

 

「......よし、キミにきめたー」

 

 

 

 

 

 

 

そうやってどこかで聞いたことのあるセリフを言いつつ、あたしはその“一人”の電話番号を手慣れた動きで携帯に打ち込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、来たわけだが......本当にいいのか?」

 

 

放課後俺は、昨日電話をかけてきた張本人であるモカにその内容の確認をした。答えはイエスだった。

 

 

「そだよー。蘭と面と面向かい合って話す。これが本作戦の主内容となっておりまーす」

 

 

昨日電話越しに突拍子にそう聞かされた時は思わず反論した。それを認めるということは今まで自分が蘭の為だと信じてやってきたことを否定するのと同じで、すぐには受け入れることができなかったからだ。

 

それでもあのモカから伝わってくる珍しい真面目な態度に気圧され、最終的に同意に至ったわけなのだが......

 

 

「〜♪」

 

 

パンをパクつきながら鼻歌を歌うコイツを見ていると、ドタキャンしても誰にも責められないような気がしてきた。

 

 

「不真面目さが取り柄のお前にこう言うのもなんだけど、今回は本気でやれよ?今後の蘭の運命が懸かってるって言っても過言じゃないからな」

 

 

 

「むり〜って言ったらー?」

 

 

 

「お前を残して俺は帰る」

 

 

 

「むぅ、はくじょーものー。モカちゃんは

悲しいよー。オヨヨ〜......」

 

 

 

「お前でも少しくらい真面目にできるだろ...

...分かった。一緒に行くから。だから泣くな」

 

 

こういうところがあるからモカからの頼み事は断れない。まあ、ハナから断るつもりは無かったが。

 

 

「へへ、ありがとー。ちなみに今のは嘘泣きでしたー」

 

 

 

「......少しでも心配した俺がバカだったよ」

 

 

こうして半ばやけくそな感じではあるが、蘭がいるという場所までモカに案内してもらうことに。いや、ついて行かされることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とうちゃ〜く」

 

 

 

「ここにあいつの......」

 

 

蘭の思い出の場所。それは羽丘学園高等部の近くに位置している羽丘学園中学部にある屋上だった。

 

なぜ高等部ではなくこちら側の屋上なのかは置いといて、

 

 

「俺OBじゃないんだけど、いいのか?性別も違うし」

 

 

高等部とは違って中学部は未だに共学制の導入がされておらず、男子が容易に足を踏み入れていいものでは無い。と、前々から敬遠していたのだがこうも簡単に侵入できてしまうとは。背徳感まっしぐらである。

 

 

「別に問題ないっしょー。羽丘学園生で

くくれば同じなんだしー」

 

 

俺もはじめはいやいや首を振っていたが、結局そんなノリでしぶしぶ中学部の敷地をまたぐこととなった。

 

ああ後輩達よ。どうか許してくれ。

 

 

 

 

高等部とあまり変わり映えのない生徒玄関のつくりや教室の配置の仕方などに既視感を覚えつつ歩いていると、いつの間にか屋上の扉の前まで辿り着いていた。

 

 

「この先に蘭がいるのか」

 

 

 

「はてさてどうでしょうかね〜」

 

 

 

「......開けるぞ」

 

 

形も錆び加減も高等部のそれと全く同じ扉のドアノブに手をかけ、慎重に開ける。

 

 

「うおっ」

 

 

開けた瞬間小さな隙間から流れ込んできた突風に驚き、思わず声を漏らした。

 

逆光に目を眩ませる。しかし、そこにはちゃんとあのシルエットが目に映っていた。

 

 

「......モカ?それに流誠も」

 

 

 

「あちゃー、見つかっちゃったか〜。もー。せいくんったら、バレないように行動しようってあれほど言ってたのにー」

 

 

 

「いや、初耳なんですけど」

 

 

 

「何しに来たの」

 

 

蘭からここに来た理由を聞かれた。そんな蘭の言葉にはどこか棘があった。

 

いつものクールな感じではなく、明らかな敵意を語彙に含ませていた。それを察知したのか、流石のモカも表情を強張らせる。

 

 

「実は蘭と話したいことがあってさ。なあ、モカ?」

 

 

 

「そーそー。蘭のお悩み相談相手役として来てあげたんだよー」

 

 

とりあえず訳を言わなければ話は進まないと思い、その旨を伝えた。

 

 

「......二人とも、隣、くれば」

 

 

 

「うん」

 

 

 

「おう」

 

 

それから蘭を間に挟む形で、俺とモカは隣に移動した。

 

するとモカがいつもの調子で喋り始めた。

 

 

「ここにくるのも久しぶりだな〜」

 

 

その後、流し目で俺を見つめてきた。どうやら俺の為に前フリを用意してくれたらしい。

 

それを見逃す事なく巧みに言い回し、蘭がなぜ屋上に来ているのか。既に知り得ているその理由を直接聞きだそうとした。

 

 

「俺は蘭と会うのが久しぶりだな」

 

 

 

「別にそうでもないじゃん。朝会ったんだし」

 

 

 

「軽く会釈されただけだしノーカンだろ。そういや、蘭ってなんで最近屋上行くこと多いんだ?」

 

 

 

「......」

 

 

 

(ダメかー......)

 

 

が、見事に撃沈した。作戦を行う上での土台づくりは失敗に終わった。

 

 

 

そんな感じで諦めムード全開になってちらりとモカの方を見てみると、なんだか笑いを堪えているように見えた。俺はあのにやけ面をどうにか歪ませてやりたい気分だった。

 

 

 

そんな矢先。

 

 

「......華道のことでずっと悩んでたから」

 

 

光明が差してきた。蘭が華道のことについて語り始めたのだ。

 

そのチャンスを逃すまいと、モカが間髪入れずに質問をした。

 

 

「んでー?蘭のお父さんからはなんて言われたんだっけー?」

 

 

 

「ごっこ遊びのつもりならバンドはやめろ......てか、モカには昨日その話したじゃん」

 

 

 

(“ごっこ遊び”、か。自分でやったこともないのによくもまあそんな軽々しく言えるな)

 

 

 

蘭の父親には“会ったことはない”が、蘭から聞いたその一言で、俺の中の蘭の父親に対する第一印象は最悪となった。

 

 

 

 

 

......ってちょっと待て。あとなんて言った?

 

 

「あのー、蘭?『昨日話した』って、一体どういう意味で......」

 

 

 

「どういう意味も何も、そのまんまの意味だけど」

 

 

 

「つまり?」

 

 

 

「モカには前から家の事情話してたってこと」

 

 

 

「......モカ?」

 

 

 

「ごめんねせいくんー。あたしだけ相談受けてるの知ったらがっかりすると思って、ずっと黙ってたー」

 

 

どうやらモカは前から、それもつい昨日、蘭から華道のことについて聞かされていたらしい。つまり俺は騙されていたということだ。

 

 

「そういうのは先に言えよ!一人歩きしてたみたいでなんか恥ずかしいわ!」

 

 

別に悲しくはないが、まんまと騙されていたと思うと恥ずかしくなった。それと同時に悔しさも湧き上がってきた。

 

 

「楽しませてもらったよ〜。ありがとー」

 

 

 

「ふふっ。流誠、ダサ」

 

 

モカに続き蘭からも貶されるハメとなった。

 

 

「お前も横槍入れてくるな!ああもう!どいつもこいつも!」

 

 

ささやかながら笑いの渦が巻き起こり、さっきまでの刺々しい蘭は居なくなった。代わりに、いつも通りの蘭が戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和やかな雰囲気はそのままに、蘭からこれから何をしたいのか聞くことに成功した。それ以外にも、蘭とモカのふたりが中学生時代の思い出話を語ってくれた。

 

文化祭でのライブのことや、その時味わった初めての感覚、ライブ後に泣きながらここから眺めた夕焼け。そこに俺の姿は無かったが、話を聞いていくうちに感情移入していき、実際その場にいたかのような感覚に陥った。

 

その流れでバンドが結成されるまでの経緯を聞き出そうとしたが、蘭からは頑なに拒否されて、モカにはニヤニヤと笑われただけで相変わらず教えてくれなかった。

 

 

だが、蘭がここの屋上を特別に思う理由は分かった。

 

 

「モカや流誠の前ならこうやって悩みとか打ち明けれるのにね。なんでいざってなると言えないんだろう?」

 

 

談笑もひと段落つき、鉄柵にもたれかかり一日の疲れを癒していると、蘭が突然そんなことを言い出した。

 

 

「もしかしてあたしたちのこと、カボチャかじゃがいもだと思ってないー?」

 

 

 

「あははっ、そうかも」

 

 

 

「もー、ひどいなあー」

 

 

 

「モカ、さらっと俺を巻き込むんじゃねぇ」

 

 

そう思われるくらい落ち着けるというのならあながち間違いでもないのかもしれないが、カボチャなどに例えられるのは御免だ。

 

 

「冗談。......ありがと、二人とも。その......いつも隣にいてくれて」

 

 

次に、顔を赤らめた蘭からお礼を言われた。

 

 

「隣に......」

 

 

 

「蘭がお礼なんて珍しいな」

 

 

 

「バカにしないでよ」

 

 

 

「これでおあいこだ。って、どうしたモカ?」

 

 

蘭に一矢報いた後、モカがすっとぼけた顔をしていたのに気づいたので声をかけてみると、ハッと我に返ったような反応を見せていつもの冗談をかました。

 

 

「いやあ〜、あんまり褒めないでよー。照れちゃうなあ」

 

 

 

「......じゃあもう一切褒めないし、

感謝の言葉も言わない」

 

 

 

「ぶっ......ははは!自爆してやんのー」

 

 

見事な自業自得を見せられて思わず吹き出すと、モカはまたわざとらしい泣き真似をし始めた。

 

 

「えーん、せいくんにバカにされたよ〜」

 

 

 

「モカも人のこと言えない」

 

 

 

「がーん」

 

 

蘭に助けを乞うモカだったが正論中の正論を突きつけられ、終いには地に膝をつきうな垂れてしまった。

 

 

「ね、明日、つぐみのお見舞いに行こうよ。

つぐみとも話、したい」

 

 

そんなモカを尻目に蘭がそう提案してきた。

 

 

「そうだな。つぐちゃん元気になってると

いいけど......ほらモカ。お前はどうすんだ?」

 

 

うな垂れているモカに気を取り戻させてから判断を促した。モカはそれを「行くー」とけろっとした様子で肯定した。

 

 

「にしてもでっかい夕日だな」

 

 

屋上に上がってきた時からそうだったのだが今日は雲ひとつなく、大きな夕日だけがぽっかりと空に浮かんでいた。

 

 

「......今思い出したんだけどさ、夕焼けの次の日って、晴れやすいんだって」

 

 

気を取り戻したもののずっと地面に居座っていたモカが、重い口を開けてそう呟いた。

 

 

「なら、明日は晴れるだろうな」

 

 

 

「うん。だから明日はきっと、いいことあるよ。蘭」

 

 

 

「......うん」

 

 

晴れの日にいいことがあるなんて迷信だということはもちろん承知の上だが、蘭がみんなと話し合った結果が良い方向になることを願えば、そんなしょうもない迷信でも信じ込みたくなる。

 

 

 

 

 

沈みゆく夕日を眺めながら、明日の晴れ模様を想像した。脳裏には、どこまでも青く澄み渡る青空が見えていたような気がした。




いかがだったでしょうか。次回は12月22日の19時30分に投稿予定です。お楽しみに!



さて、時間もあるのでちょっとした時系列でも載せておこうと思います。下記のものがそれでございます。


第一章(現在の)

ガルパ

第二章

やんややんや



こんな感じですかね。つーことで、第一章のあいだはAfterglow以外のメンバーではさーややリサ姉などプライベートな関係の人達としか面識が無いように描写しております。ご了承くださいまし。


ではまた次回お会いしましょう。ばいなら!
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