Afterglow〜Episode of Another〜 作:ある@誠心誠意執筆中
それでは本編、どうぞ。
「とーちゃーっく、と。おや?そこに座っているのはもしや?」
「ん、なんだモカか。蘭見なかったか?」
「見てないよー。というかあたしも蘭を探してるとこなんだ〜。んで、屋上にいるかなーと思って来てみたらせいくんと鉢合わせたって感じー」
「なんだそうだったのか。俺もここにならいるだろうと思って来てみたんだけど......しっかしどこ行ったんだ?蘭の野郎......」
「なにか用事でもあるの〜?......はっ!まさか愛の告白とか〜!?」
「ちげーよ。先生から言伝しておくように頼まれてんだよ。ほら、この前のテスト」
「テスト......?あー。そういえば蘭、数学の点数ヒドかったよねー。もしかしてその言伝の内容って、補講の日程ー?」
「うん。本来なら夏休み中にやる予定だったらしいんだけど、それだと補講生が余計多忙になるだろうという先生の懸念から、日程が前倒しされたんだとよ」
「確かに夏休みは宿題多そうだからねー。あたし達に関してはバンドもあるしー。ところでせいくんは補講とかないのー?」
「俺は特にないかな」
「だよねー。せいくん意外と頭良いし」
「記憶力悪いなりに頑張ってるだけだよ」
「ま、この天才モカちゃんと比べたら天と地の差くらいあるけどねー」
「褒めるのか貶すのかどっちかにしろ」
「よしよし、えらいえらーい。わー、相変わらずもふもふだねー」
「あっ、おい!撫でるな!天パが余計にはねるだろ!?」
「......せいくん」
「あ?なんだよ」
......
「頭、大丈夫?」
「褒められたと思ったらそれかよお前......」
「いやー、そういう意味じゃなくてさー。......最近多いじゃん。記憶のこと」
「ああ......」
「やっぱり、自分でも知らない自分を知るのって、恐い?」
「──そりゃ恐いよ。場合によっちゃ頭痛がするくらいだし。それに、“今の自分”を見失うかもしれないから」
「どういうことー?」
「そのまんまの意味だよ。昔のことを思い出していくたび、
「ふーん、そっかー。でもあたし達にとったら、どっちともかけがえのない存在だし大して変わりないけどねー」
「の、割には扱いが雑な気がするけどな。今まで思い出してきた記憶によれば、みんなの俺への人当たりが昔のがもっと優しかったっぽいけど」
「そうかなー?」
「そうだよ。俺が言うのもなんだけど、お前らホント変わったよ」
......変わった、か
「......モカ?どうした?ぼーっとして」
「いやー?なんでもないよー。今日天気良いじゃ〜ん?それで眠くなっただけー......んしょっと。隣座るねー。んで、肩借りるねー」
「っておい、いきなりもたれてくるなよ!つか蘭はどうす────......って、あーあー。完全に寝ちまった......しゃーない、10分後くらいに起こしてやるか」
(あったかーい......ホント変わってないなあ、“せいくん”は)
屋上にそよ吹く『風』は、年中あたたかい空気を運んでくる。
それが単なる気のせいなのか、はたまた幸せな日々をこうしてただひたすらに過ごせているからなのか。
(ま、言うまでもないけどね)
せいくんと再開し、より一層あたたかくなった『風』はいつにも増して強く、そして優しく、昔も今も大して変わらないなどと大口を叩いた臆病なあたしを皮肉にも包み込み、夢の世界へと誘っていった。
あたしは弱い。臆病者だ。本当に、本当に...
それからちょうど10分後、せいくんの目覚ましによって意識が覚醒した。
束の間の夢の中に広がっていたのは、ただの深い、深い暗闇だった。
いかがだったでしょうか。本編と違って番外編は不定期更新となりますので、そこはご了承ください。
それではまた次回お会いしましょう。さいなら!