Afterglow〜Episode of Another〜 作:ある@誠心誠意執筆中
投稿期日守れず、誠にすみませんでした......
原因はおそらく新規投稿ボタンの押し忘れだと思います。そのことに先ほどハーメルンのサイトを開いて気がつきました。次からはこのようなことがないように心掛けていきます。
では、遅ればせながら第2話です。どうぞ!
自転車置き場に関しては、俺と同じ新入生である親切な2人に教えてもらった。一人は赤紫色の髪と透き通るような水色の瞳、あと女子にしては高身長なところが特徴的だった。普通に身長は負けていた。悔しい。
もう一人は両サイドに結んだ朱華(はねず)色の髪を肩にかけていたのと、翡翠色に近い色の瞳を持っていたのが特徴的だった。
そしてそれら以外の、両方ともに共通する特徴があった。
それは記憶の中の幼馴染の印象と合致していたことで......
と、入学式の会場である体育館まで案内図を頼りに歩いている最中に、記憶の中の幼馴染の姿とあの二人を照らし合わせてみていたが、何かの気のせいだろうと途中で投げ出してしまい、そのまま入学式を迎えることとなった。
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体育館で校長先生からの祝辞の言葉など長々と聞かされた後、俺たち新入生は自分たちの学び舎となるクラスへ移動することになった。
羽丘のクラスはA、B、C、Dの4クラスがあり、生徒玄関にあるクラス表を見たところ、俺はBクラスに組み分けられていたことが分かり、早速移動した。
クラスまでの移動に関してはクラスの担任の先生が引率してくださり、自転車置き場の件の二の舞にならずに済んだ。
Bクラスは西校舎の1階にあるらしく、出発地点である生徒玄関から1分もかからないうちに到着できた。
そして到着してからすぐ、出席番号を頼りに自分の席を探し始めた。
俺の席は教室の中で左後ろ端の窓際の隣に位置していた。春の日差しが心地よい。
隣の席の人はと目をやれば、赤色のメッシュが視界に飛び込んできた。
体格などをよく見てみたが、やはり女の子だった。教室に入ってからざっと見積もってみたが、男女比率はやはりかなり差があるようだ。先が思いやられる。
(にしてもかっけー!...校則にもゆるけど、高校生にもなると髪とか染める人も出てくるもんなんだなぁ)
と、関心を交えながらその女子のメッシュをまじまじと眺め続けていたら。
「...何?」
流石に怪しまれた。
「あ、ご、ごめん......君の赤色のメッシュがカッコよくて眺めてた......」
ちゃんとした弁解を試みようとするも、あまり先生や孤児院のやつら以外の人とは話さない俺は、端的にしか説明できなかった。
間が悪くなったのを察してくれたのか、被害者である相手の方から「そう......」と話を切り上げてくれて、なんとか助かった。機嫌は悪くしてなさそうだし、入学早々クラスメイトに嫌われるようなことにならずに済んだ。
ただ、まだ心残りな事がある。
「────......」
隣の少女の顔もまた、いつかみた幼馴染の顔と似通っていたことだ。
さっきの自転車置き場でもそのようなことがあったばかりだが、本当にこの羽丘に、俺がずっと求めていた幼馴染たちがいるような......そんな気持ちがますます芽生えてきた。それと同時に、胸の中が希望で満たされていくのが分かった。
その時、今度は隣の少女が俺に向けて何かを確認するかのような視線を
送っているような気がした。
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クラスでの最初の挨拶やこれから直近にある学校での行事についての説明を聞き終え、放課後一通りクラスメイトとの自己紹介を手探りに済ませた後、孤児院の門限まで時間的に余裕があった俺は正午から夕方まで、部活動の見学や学校内の散策に時間を使った。ついでに、入部する部活も見学の時に決めた。中学校からやっていた陸上部だ。
夕方になり、鮮やかなオレンジと水色のグラデーションに染め上げられた空を見た俺は、学校の屋上からならもっと綺麗に見えるだろうと思い、鞄にくしゃくしゃにして乱暴に入れていた学校案内図を広げ直し、屋上までの道のりを辿った。なんと羽丘は屋上に立ち入り可能な、現代では希少な高校なのだ。
屋上に到着してすぐ、俺は突然視界に入ってきた夕日の光に、思わず目をしぼませた。
予想通り、屋上からは地上で見るのよりも一段と美しさの上がった夕焼け空や夕日を眺めることができた。そして高所の特権でもある360°パノラマ風景も体験することもできた。流石は屋上と言えるだろう。
......綺麗だ。
「......ん?」
ひとしきり屋上から黄昏の世界を感じていたら、賑やかな声と共に後ろの屋上のドアが開く音が聞こえた。声のトーンから、その声の主は女子の集団であることがすぐ分かった。
「......っ!」
そしてチキン野郎の俺は、ビビって硬直状態に陥ってしまった。もちろん振り向こうともしなかった。
「やっぱ屋上からの眺めは最高だな〜!中学ん時と全然変わってないぜ!」
「風も気持ちいいしね!」
キャーキャー言ってる。これが女子か。
小学校の時からあまり興味の無かった女子同士の会話に、俺はいつの間にか聞き耳を立てていた。ただ、これはただの女子の会話ではないことに気がついた。
何故ならその声から、特に根拠のない懐かしさを感じていたからだ。
そして、その二人の声を良く聞いていると、自転車置き場でのあの二人の声だということにも気がついた。
「ただ、先客がいたみたいですな〜」
「あ、ホントだ...邪魔したら悪いだろうし、今日はもう帰ろうよ、みんな」
続いて、気だるげで甘ったるい声と、大人しそうで清楚な声が聞こえてきた。そしてその二人の声からも、懐かしさが含まれた既聴感を感じていた。
......ああ、だめだ。なんか泣きそうになってきた。
懐かしさから生まれた温もりに全身を支配された俺は、本当に目から『熱いもの』が出そうなくらいになっていた。
だって、今思い出したんだ。『あの日』の幼馴染のみんなの、姿と印象以外の、声。
『初めて聞いた音』としてインプットされたその声たちは、俺の記憶の中の声も無く不鮮明な映像と共に、頭の中で流れ続けている。
そして改めて認識する。
今、すぐ後ろにいる5人こそ、俺のずっっっ────......と探し続けていたかけがえのない幼馴染であると。
ああ、やっと......やっと、思い出せたよ......
やっと見つけたよ...
ひーちゃん。
ともちゃん。
モカ。
つぐちゃん。
......ただ、あと一人足りない。
そう、俺たち幼馴染6人の中で、誰よりも俺たちを影ながら気遣ってくれていた───。
「そうだね。帰ろうみんな。」
蘭。
だがその声は、しげしげとした足音達と伴って俺の耳孔を震わせてきた。
(まずい......!このままだとみんな帰ってしまう......でも、これがみんなに声をかけれる最期のチャンスかも知れない......!こうなったら......)
今にも帰りそうになった、やっと見つけた、思い出した幼馴染を止めるべく、声をかけなければいけないと思った俺は、こちらに背を向ける5人を呼び止めた。
「ま、待って!みんな!」
俺の声を聞き、踵を返して振り向いた5人は、みな驚きの表情をしていた。いや、蘭だけは何かに感付いたような顔をしていた。
そしてやはり、どれも見知った顔であった。
そんな安心感とは裏腹に、恐怖も押し寄せてきた。
もし気付いてもらえなかったとしたら?
その後の対応は?みんなの気持ちは?
良いビジョンと悪いビジョンが同時に浮かんできた俺は、頭の中の整理が落ち着かないまま、また言葉を詰まらせていた。
「なんだ急に......ってお前、朝の自転車のやつか!?」
「ホントだ!でもなんで呼び止めたのかな?お礼ならあの時、直接聞いたのに...」
「え〜?モカちゃんこんな人見たことない〜...ような?」
「初めましてかな?でも正直なところ私も、この子とどこかで会ったような気が......」
「.........」
ああ......やっぱりだ。
みんなそれぞれ、俺の予想していた困惑の色を示している。
それを前に俺は、唖然とするほかなかった。
こんな反応されるくらい、分かっていた。
だから俺は、自分のプライドを捨ててまで、「昔の俺」に頼ることにした。「昔の俺」と今一度向き直ることにした。
だから言わなきゃ。勇気を出して。俺の記憶のことを。あの時急に居なくなった理由を。そして、俺の本当の名前を。
一呼吸置いて、こう続けた。
「実は......俺の、名前は──
「......“青藍”?」
......ぁ......え?」
......俺の決意の一言は、俺の本名である“青藍”という名前は、蘭の予想外の横やりによって止められた。
否。蘭が俺の代わりに、俺の伝えたかったことを言ってくれたのだ。まるで、最初から分かっていたかのように。
「......青藍、なんでしょ?」
嬉しい。
分かってくれた。俺が言うまでもなく、蘭は、俺が青藍だということを分かってくれていた。
ああ。心が、満たされていく。
「うん......でも、なんで、俺のこと......
名前も、今は違う名前使ってるし......
それに......」
「実は今まで、青藍が突然いなくなった理由を考えてたんだ。みんなも
そうだった。」
俺が何も告げることなく突然みんなの前からいなくなったことにより、蘭やみんなが悩んでいたことを知らされた。
それは俺と同じように、お互いを遠くから思い合っていたことにもなる。
胸の奥が締め付けられる感覚と同時に、今日何度も感じてきた温もりが俺に向かって一斉に襲いかかってきて、包んできた。
「ちょちょちょ、ちょっとまって!!この子、青藍だったの!?あの青藍!?」
「ほお〜!せいくんおひさー。こりゃ気付かなかったな〜。でもひーちゃん、今は一旦落ち着こうかー」
「お、おい嘘だろ......まさかこんな形でセイと再開するなんて......おい、セイ!お前今までどこほっつき歩いてたんだよ!!あたしたち心配してたんだぞ!?」
「まあまあ、巴ちゃんも...今は青藍くんの話を聞いてあげよ?」
我こそはと俺の安否を心配していたと言ってくれるみんなの姿が、夢のようだった。
本音を言えば、声をかけれないまま......万が一声をかけたとしても、忘れられたまま終わってしまうと思っていたからだ。
「実はあたし、入学式の時から青藍を見つけてたんだ。だけどその時はまだ確証がなくて声かけらんなくて......でも、クラスに入って、青藍があたしのメッシュをジロジロ眺めてた時、確信したよ。ああ、こいつは青藍だって。今の名前は、なぜか違うらしいけど」
「そう、だったのか......う゛ぅ゛......うぁぁ......みんな、心配っ......かけて......ほんとにごめんなぁ......俺ぇ......俺ぇっ......」
「ほら、もう泣くのやめてよ青藍。あたしたちは信じてたよ。青藍があたしたちの前からどんな理由で消えたとしても、また必ず戻ってくるって...」
「「うん!」」
「ああ!!」
「そだよー」
やっと見つけた、俺の居場所。
やっと見つけた、かけがえのないもの。
もう離したくない。離れたくない。
「だから、青藍。おかえり。
泣き止んだらまた、事情説明してね?」
───これから“は”、ずっと一緒にいようね。
その日、“あの約束”は再び、あの日から変わらない夕日を背景に交わされた。
いかがだったでしょうか。
次回の投稿は今回の手違いの件もあるので、明日11月19日の19時30を予定しております。お楽しみに!
ではまた次回お会いしましょう!