Afterglow〜Episode of Another〜   作:ある@誠心誠意執筆中

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どうもあるです。


今回は前回言っていた通り番外編です。加えて言うと、2章で初の番外編です。かなり短めに仕上げましたのでサクッと読めるかと思います。



あとここだけの話、今回のは後々の伏線になるやもしれません。








...ふふ。それでは本編、どうぞ。


番外編 第1話 堕星

生き物や読本などと同じように、夢にも様々な種類がある。

 

 

見たら幸せになる夢や不幸が訪れる夢。代表的な例でいえば一富士二鷹三茄子などが挙げられる。

 

 

 

 

 

では、星に関する夢はどうだろうか。

 

あるとすれば静かに瞬く星の夢、激しい点滅を見せる星の夢、あるいは───......

 

 

 

 

 

......それを俺は───今まさに、満点の星空の映る夢を見ている俺は、まったく知らなかった。

 

 

 

 

 

「────」

 

 

 

 

 

己が精神だけが生物として存在している世界の真ん中、俺はあまねく星々の遊覧飛行を見上げていた。

 

精神世界であるがゆえに一つとして言葉を口に出すことはできず、感動を形容することも許されない。そんな違和感もたちまち忘却の彼方へと行ってしまうほど、あの広大な星の海を股に駆ける火の玉は俺の心を鷲掴みにして離さなかった。

 

 

 

 

 

「────」

 

 

 

 

 

おもむろに“手”を伸ばす。しかし天高くに在る星、ましてや高速に動く流星を捕まえることなど無理に決まっていた。

 

 

 

......はずだった。

 

 

 

 

 

「────」

 

 

 

 

 

突如として大気が揺れる。轟々と響く音は身を焦がす熱をもって俺の目の前に落ちた。

 

 

 

振動とともに巨大なお椀状の穴が大地に空く。宙に浮くような感覚が襲ってきたかと思えば、“身体”が地面に叩きつけられた。もちろん身体諸々擬似的なので、大事どころか軽傷すら負わなかった。

 

 

 

 

行動に移した原理はともかく、俺はまもなくしてまるで虫が外灯に誘われるように、ただ無心に勾配の激しい斜面を下ってその穴の中心へと向かい始めた。乱雑にひび割れた小石の数々を掻き分けていった先にあったのは、眩い光を放つ物体だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───『星』だ。

 

 

 

 

 

「────」

 

 

 

 

 

薄く発光するそれを“手”に取り爆発の際に巻き起こって付着した砂塵を拭き取って、表面を露わにさせる。すると、虹色に輝く美しい鉱石が俺を出迎えた。

 

 

おもむろに天にかざすと変光星のように赤、青、白など魅力的なプリズムを放つそれは、まさに筆舌に尽くし難いという表現がお似合いだった。この世のものではない、畏怖するに足る代物だった。

 

 

きっと地球上に存在するどんな高価なものでもこれに値するものは無いだろう。むしろ価値云々の問題ではなく、もっと潜在的で根本的な観点から次元が違うのかもしれない。

 

 

この世の全てを一身に凝縮し、丹念に磨き、命を一欠片。そうして初めて、この怪物は生まれてきたに違いない。

 

 

 

 

なんて眩しいのだろう。なんて芳しいのだろう。なんて愛おしいのだろう。なんて猛々しいのだろう。いつしか俺の意識は、この星の輝きに夢中になっていた。

 

 

 

そして。

 

 

 

 

星を握った“手”が、口元へと、ゆっくりと、自然と運ばれて────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

......────。

 

 

 

 

 

 

......──────。

 

 

 

 

 

 

 

............────────────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......ん、ぅぁ」

 

 

 

 

 

ふ、と目が覚めた。

 

 

 

 

 

「あー!せい兄、やっと起きたー!」

 

 

 

 

 

「......?あれ......陽菜?」

 

 

 

 

 

寝ぼけ眼に叱咤する声の元を辿ると、腕を腰に当てながら俺を睨みつける陽菜がいた。背景には窓に差し込む西日の光があった。そこに夜は無かった。

 

 

 

 

「ちょっと寝るとか言って寝すぎだよ!今何時だと思ってんの?おかげで洗濯物とか当番じゃないのにやらされたんだからね!」

 

 

 

 

 

「......っるせーなあ、たまにはいいだろ」

 

 

 

 

 

「あっ......もー!ちょっとぉ!」

 

 

 

 

 

けたたましい声に耳を塞ぎ、ふかふかのソファへと再び体を横にする。そんな俺の脳内では、先ほど見た夢での出来事がぐるぐると渦を巻いていた。

 

 

 

 

不思議な夢だった。内容はあまりよく覚えていないが、それだけは確かだった。

 

星降る夜空の下に俺がひとり。天を分かつ天の河を彩る星々に魅入られる中で、俺は天からの授かり物を見つけてしまった。

 

 

地に落ちたそれはとても美しく......いや、形容するには美しいとしか他に言いようがなかった。

 

 

 

ただただ、美しかった。俺はその虹色の光沢に捉われていて、手放すことを酷く惜しんだ。

 

 

 

 

 

だから......

 

 

 

 

 

 

だから、食べた。

 

 

 

 

 

「......」

 

 

 

 

 

陽菜が地団駄を踏みながら遠ざかっていくのを横目に確認し、今度は耳に当て続けていた手で唇をなぞった。現実に起こったわけでもないのに、俺の口内にはあの“星の味”が残っていた。

 

咀嚼したそばから広がる無数の煌めき。パチパチと弾けるような感触は、いつの日かどこかのアイスクリーム屋さんで食べたアイスと同じものだった。

 

確かあれは夏頃だったっけ。Afterglowのみんなと行って、各々好きなアイスを選んで食べて。俺とかがシングルコーンだったのに対して、モカだけは食い意地張ってトリプルコーンも頼んで......ともかくとても楽しい思い出だった。アイスも、とても美味しかった。

 

 

 

 

そんな思い出に浸りながら食べた『星』。しかしお世辞にもそれは、まったくもって美味しくなかった。金平糖のように可愛らしい見た目と形の割には、食感だけが唯一の愉しみだったのだ。

 

 

 

 

そう。愉しみは、それだけだった。

 

 

 

 

 

「うっ......」

 

 

 

 

 

星だから当然だろう?......なんていう理屈がまかり通るようなら、あの俺の行動は証明されない。

 

俺だって腹の中ではわかっていた。だが無機物の塊である鉱石をかっ喰らおうなど、大食漢でも考えにも至らないようなことを俺はやってのけた。

 

 

 

 

やってしまった。

 

 

 

 

体が、いうことを聞かなかった。

 

 

 

 

 

花に群がる働きバチのように、俺も魅入られるがままに直感的にそれを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

......また、味わったのだ。

 

 

 

 

 

「────お、ぅえ」

 

 

 

 

 

神々しい流星。

 

 

それは、甘い甘い、甘ったるい死の味がした。




いかがだったでしょうか。次回は2月19日の20時30分、本編を投稿予定です。お楽しみに!


余談なんですが、いつのまにかUAが7400を突破しておりました。どのくらいすごいのかはわかりませんが、皆さんが何回もここへ足を運んでくださっているということには変わりないと思うのでめちゃくちゃ嬉しいです。毎度毎度のことですが大変励みになります。いつもありがとうございます。



それではまた次回お会いしましょう。さいなら!
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