Afterglow〜Episode of Another〜   作:ある@誠心誠意執筆中

4 / 53
どうもあるです。

最近寒くなってきましたね。とうとう手袋の封印を解く時が来たか...
なんて冗談はさて置いて、皆さん風邪には気をつけてくださいね!


第3話 再生

屋上での一件でひとしきり泣いた後、数年ぶりに再会した5人に、なぜ突然いなくなってしまったのか、なぜ偽名を使っているのかetcについてを約1時間ほど話した。

 

 

空にはまだ、夕焼けの余韻が少しだけ残っていた。

 

「──とまあ、こんな感じかな。」

 

俺の過去話を聞いた各々は数秒の間、唖然と悲哀の表情を無言で浮かべていた。それから一番初めに、開いた口を辛うじて動かし、声を出したのはひーちゃんだった。

 

「私達と離れ離れになってる間に、流誠は色々と苦労してたんだね......」

 

「そうだね......自分の名前のこととか、記憶のこと、自分にしか理解できないようなことを、今まで抱え込んでたってことだよね」

「ああ、その通りだ。側に居てやれなかったことがホントに悔しいくらいだ......」

 

ひーちゃんに続いて、つぐちゃんとともちゃんも感想を述べた。

 

「まあ、あたしたちも大概ですけどな〜。そう、それは遡ること二年前......あたしたちがまだ中学2年の頃、蘭が────」

 

と、俺の話を聞いて何か思い出したモカが、昔のことを話しだそうとしていたのだが、なぜか蘭が、慌ててその話を中断させたのだった。

 

「ちょ、ちょっとモカ!?その話だけはやめて!お願いだから!」

「どうした蘭?何か聞かれちゃまずいことでもあんのか?」

 

「べべべ別にないから!!だか気にしないで!みんなも早く帰ろうよ!こうして無事、青藍と......あっ」

 

蘭の自分の過去が暴かれる(?)ことへの焦燥が、一瞬にして困惑へと移り変わった。

 

 

その理由は俺も大体予想はついていたが、昔と今の名前、どちらがいいのか、というものだった。

 

「名前......どっちで呼んだほうがいいかな?」

 

「できれば流誠がいいかな......昔のことはまだよく分かってないし......だから俺は「今の俺」で生きたいんだ」

 

ひとしきり沈黙したのち、皆が首をうんと頷かせた。

 

「──分かった。じゃあ改めてよろしくね、流誠」

 

「流誠か、じゃあ新しくあだ名付けないとな。......よし決めた!流にしよう!カッコいいし!ということで、改めてよろしくな。流!」

「私からも、改めてよろしくね!流誠くん」

 

「じゃああたしは前と同じく、呼び捨てで

流誠って呼ぶね! 改めてよろしく!」

 

「う〜ん、流誠か〜......せいくんのままっていうのはダメかな〜」

 

「んまあ、いいよ別に。流誠にも「せい」って入ってるし」

 

「了解〜」

 

こうしてみんなの心遣いにより、俺は新たな名前で呼ばれることとなった。(1名を除く)

 

「じゃあ、今度こそ帰ろうか。流誠、もう呼び止めることはないよね?」

 

「もうねぇよ!目的だったみんなとまた会えたんだし......」

 

「だな!いや〜それにしてもホントに良かったな〜!流が戻って来てくれて!」

 

「だね〜。これで蘭がいじける心ぱぶふっ」

 

蘭がモカのみぞおちに肘打ちを喰らわせた。

 

「モカ......それ以上言ったら、今度は本気で殴るから......」

 

「今ので本気じゃないの〜......?モカちゃんかなり痛かったよ〜」

 

「え......なんで俺が居なかったことと蘭のいじけ事情の話が繋がるんだぶふはァッ!」

 

「流誠は......その話、忘れていいから......」

「分かりました!分かりましたから本気でみぞおちに膝入れてくるのやめてください!まさか、蘭が俺のことを思いすぎていじけてたとか?ってあ゛あ゛あ゛!腕゛か゛あ゛あ゛!!!」

 

右腕に関節技を華麗にキメられ、激痛がはしる。

 

「次は、左......」

 

「ら、蘭ちゃん!痛がってるし、もうやめて

あげたほうがいいんじゃ......」

 

「あははは!賑やかだなあ」

 

「ともちゃん、笑いごとじゃねえって......」

 

そんな一連のやりとりで、みんなと笑い合いながら校舎へと繋がる階段を下っていった。

その途中、突然ひーちゃんがこんなことを口にした。

 

「それよりみんな!こうして流誠が戻ってきてくれたことだし今日を新生Afterglow誕生記念日にするのってどう?」

 

「ひーちゃん気が早いよ〜。せいくんまだ正式加入してないじゃん〜。まあ、モカちゃんは強制にでも加入させるつもりだったんだけどねー」

 

「......あふたーぐろー?なんだそれ?それに加入って...」

 

聞き慣れない単語と加入という言葉を耳にした俺は、疑問符をふつふつと沸かせる他なかった。

 

「そういえば、流誠くんにはまだ言ってなかったね。私たちのバンドグループのこと」

 

「へぇ、Afterglowってつぐちゃんたちが

入ってるバンド名だったのか...ってバンド?!」

 

「リアクション大げさすぎ。あと、ただのバンドじゃないよ。『あたしたちだけのバンド』、だからね。」

 

「その通り〜」

 

こんなにも可憐な幼馴染たちがバンド活動をしていたなんて、一体誰が予想できただろうか。

 

「だからさ、流誠も一緒にバンドしようぜ!」

 

「うん。私も流誠くんがバンドに加入して

くれたら、嬉しいよ」

 

「そうだな...加入ってことになるのかは分からないけど、サポート役でも構わないのなら、喜んで入るよ」

 

楽器を手にしたことなど、ましてやギターやドラムなんていう専門的なものなんて全く触れていない身だったので、せめて身の周りの世話くらいはとそんな提案をしてみせた。すると一同は納得した様子で手を叩いた。

 

「サポート役か!そのアイデアは無かったな......」

 

「なるほど!私はてっきり、一緒に演奏するのかと思ってたよ」

 

「ごめんな。俺、ギターとか完全初心者だから」

 

ギターやドラムなど、バンドで使う楽器の知識は孤児院に置いてある雑誌の中でチラッと見たことぐらいしかない。

 

「じゃあ楽器は弾いたりしなくていいけど、

あたしたちの曲を聴いて、どこが良かったかとかアドバイスを言ったり、機材のセッティングもやってもらうことになりそうだけど、それでも大丈夫?」

 

「もちろん。それ以外にも俺、みんなに差し入れとかして役に立ちたいし。何より......」

 

「何より......?」

 

「みんなとまた一緒に過ごせる時間が増えるからな」

 

 

「「「「「......!」」」」」

 

そう言うと5人は、皆顔を赤らめて、次第に頰を緩ませていった。

 

「いいかな?」

 

「......よくないわけ、ない」

 

「おおう、ありがと......蘭、怒ってる?」

 

口では承諾する蘭だったが、なぜか顔を横に向けて眉をひそめていた。

 

「っ!こ、これは......その......と、とにかく!今日から流誠もAfterglowの一員だから、詳しいことはまた日を改めて伝える......から......も、もう今日は帰ろう、いい加減に。外暗くなってきたし」

 

「あ、ああ......これからよろしくお願いします......てか蘭!なんでそんな早歩きなんだよ!」

 

「ちょ、追いかけてこないでよ!今、顔見られるとヤバイから!」

 

こうして俺は、変な流れだがAfterglowの一員となることになった。役割は裏方からのみんなのバックアップ、そしてアドバイザーを担当することとなった。みんなの役に立てるように、気を抜かずに頑張っていかなきゃ。

 

 

 

......にしても、あれはなんだったのだろうか。

 

訳も分からず早歩きを続ける蘭と、それを止めようと追いかける俺を尻目に、残りの4人がヒソヒソと何かを話し合っていたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5人にまた明日と別れを告げ、自転車置き場に置いてあった自転車をこいで孤児院に到着すると、先生が玄関で俺の帰りを待っていた。なんでも帰りが遅いと感じていたらしく、30分くらいはそこに立ちっぱなしで待っていたという。

 

「ああ流誠、よかった...帰りが遅かったので、何かあったのかと心配してたんですよ?早速カツアゲにでもあっていたらどうしようかと......」

 

「自転車転けて怪我することに心配するのは百歩譲っていいとして、入学初日からのカツアゲは、流石にありえませんよ先生......」

 

先生の異常なまでの過保護さに呆れ、ツッコミを入れたあと俺は「風呂に入ります」と言い残したあと、そそくさと制服を脱ぎ、風呂場へと直行した。

 

 

 

湯船にたぷたぷに溜まったお湯に浸かってみると、ちょうどいい湯加減だった。そして、そのまま湯船の中で夢見心地な気分となってしまい、少しの間寝てしまった。いい夢だった。

 

 

 

風呂から出た後は夕食を済ませて、子供たちの遊び相手をして、そいつらを寝かしつけた後、俺も寝床へ行こうとした時、先生から「友達、できましたか?」と、今朝出された課題の確認をされた。

 

「そんなにすぐできるわけありませんよ、友達なんて......」

 

「"友達は"、ねえ......でも良かったですね。」

 

「え?」

 

「幼馴染とは再会できたみたいですし」

 

「......バレましたか」

 

「そりゃあバレますよ。顔、にやけてますし。ふふ」

 

先生から指摘されたことにまさかと思い、おもむろに顔に手を伸ばして触ってみると、俺の口角は目に見えるほどに釣り上がっていた。

 

「っ!?一体いつから......」

 

「あなたが学校から帰ってきた時からですよ?」

 

と、愉しげに笑う先生を見て、恥ずかしさのあまり、俺はとうとう逃げ出してしまった。一方先生はというと、「おやすみなさい、流誠〜」と、背を向ける俺に寝る前の挨拶をしていた。対する俺は返事はしなかったが。

(あああ恥ずかしい......まさか孤児院に帰るまでもあんな顔だったのか......?)

 

いやな推測を立ててみたが、悩むだけ無駄と判断し、今日あった出来事を振り返るのと、明日のことを考えることにした。その方がよっぽど有意義だし、うん。

 

(初日から幼馴染と出会えて本当に良かった。

最初は、もうあの町にはいないんじゃないか

とか思ってたぐらいだしな)

 

平常心を取り戻していた俺だが、夕方の出来事を思い出すと、再び口角が自然に釣り上がってきたことに気がついた。

 

 

 

 

 

(......これからは、ずっと一緒、か。ふふっ)

 

 

 

 

 

こうして、長年失っていた少年の居場所は、十数年振りに再会した幼馴染のおかげで息を吹き返したのであった。




いかがだったでしょうか。次の投稿は11月22日の19時30を予定しております。お楽しみに!

今回もご閲読、ありがとうございました!以上、あるでした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。