Afterglow〜Episode of Another〜   作:ある@誠心誠意執筆中

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どうもあるです。

コロナウイルス、やばいですね...著名人の方々が亡くなったことでその脅威がさらに知れ渡った今日この頃、皆さまはどうお過ごしでしょうか。もし外出されてる方がいましたら今すぐ家に帰ってください。そして俺の小説でよければぐだぐだしながら読んでください。その方が身のためです。皆さんの保身が良い結果を生むこと、心からお祈りしています。



それでは本編、どうぞ!







第2話 開簾

 

 

 

 

 

「ふぅ......これでよし」

 

 

 

 

 

「こっちも窓閉め終わったよ」

 

 

 

 

 

「おー、サンキュー朝日」

 

 

 

 

 

窓際の朝日からの報告に礼を言う。すると朝日もこちらに目礼した。

 

 

 

 

 

「今日は私と長門くんが日直なんだから、手伝うのは当たり前でしょ?」

 

 

 

 

 

「それでもだよ。日直でも仕事サボるやつはサボるし、それに比べたら朝日はすごく優しいもんだよ」

 

 

 

 

 

「そ、そんな買い被らなくてもいいから!」

 

 

 

 

 

「教室カギ閉めるぞー」

 

 

 

 

 

「人の話聞いてる!?」

 

 

 

 

 

とたとたと朝日が教室を出たのを確認し、仕上げにドアのカギをかける。ガチャンという音が聞こえたら、あとは科学室に移動するだけだ。

 

 

昼下がりの日光に照らされた暖かな廊下を行く。とはいってももう5月にもなったので、少々暑くも感じられた。

 

 

 

 

 

「そういや朝日ってさ、昼休みにも言ってたと思うけどギターやってたんだっけ」

 

 

 

 

 

「え?ああ、うん」

 

 

 

 

 

「あ、また同じ反応した」

 

 

 

 

 

昼食を俺、宇田川、戸山、そして朝日のいつもの4人でとる際、宇田川が結構な頻度で「最近ギターどう?」という質問を朝日に向けてする。しかし、当の朝日に関してはいつも浮かない表情でうーんと横に流すような口振りをするのだ。

 

 

 

 

 

「一回見てみたいなあ、朝日がギター弾く姿」

 

 

 

 

 

「そ、そんな大したものじゃないよ!」

 

 

 

 

 

「えー。つか、さっきからなんでそんな謙遜してんだよ」

 

 

 

 

 

依然変わらぬ朝日の一歩退いたような態度に、何をそこまで弱気になる必要があるのかと眉をひそめる。そこに弁明するかのように、朝日はゆっくりと口を割りだした。

 

 

 

 

 

「実は昨日、ちょうどギター募集してるバンドがあるみたいだからそこに入ったらって、長門先輩からお誘いがあって......」

 

 

 

 

 

「へえ?いいんじゃね。朝日もバンドやりたいって言ってたじゃ────」

 

 

 

 

 

朝日から出た“長門先輩”という単語に思わず身が固まった。

 

長門先輩......この学校の上の学年の中で、長門という名字が付くのはアイツしかいない。

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待て。一応聞いとくけど長門先輩っていうのは......」

 

 

 

 

 

「うん、長門くんのお兄さん」

 

 

 

 

 

「うーわマジか......」

 

 

 

 

 

高校生活が始まって約一ヶ月。ここにきて初めて、同じ羽丘に通う俺の兄であるせい兄の話題が友達の口から出たことに少し戸惑いを感じさせられた。なんだか少しむず痒い。

 

しかし、人見知りであるせい兄が一体どういう風の吹き回しで朝日にバンドへの加入を勧めたたのだろうか。

 

 

 

 

 

「そういや朝日とせいに......兄さんって面識あったんだな」

 

 

 

 

 

「ついこのあいだ江戸川楽器で知り合ったばかりなんだけど、話してみたらすごくおもしろくて!」

 

 

 

 

 

「そこから自然と仲良しになった、と」

 

 

 

 

 

朝日はうんと頷いた。出会ったきっかけがぶつかることなんてせい兄らしくてとても笑える。吹き出す俺に朝日が不思議そうな顔を向けてきたので、「なんでもない」と軽くあしらった。

 

 

 

 

 

「......って、また暗い顔してどうしたんだよ」

 

 

 

 

 

笑う俺とは真逆に朝日の顔には再び哀愁が灯っていた。質問する俺にはお構いなしに朝日はため息をつくばかりだった。

 

 

 

 

 

「その長門先輩からのバンドのお誘い、断っちゃったの」

 

 

 

 

 

「えぇ!?」

 

 

 

 

 

俺の驚愕の声に朝日も目を剥く。そんな朝日を無視してしまうほどに、俺は驚きに驚いていた。

 

 

 

 

 

「なんでさ!あんなに夢見てんのかっていうくらいバンドのこと考えてたのに!?」

 

 

 

 

 

「ゆ、夢!?」

 

 

 

 

 

「あのなぁ......お前自分でも気づいてないっぽいから言うけど、結構独りごととか言ってるからな?」

 

 

 

 

 

「えぇっ!?そうだったの......?」

 

 

 

 

 

朝日がバンドをしたがっていると知ったのもそのせいだった。朝日の独りごとはそれはもう目を見張るもので、朝日の席の位置が端っこだったから良かったものの、酷い時には授業中でもぼんやりと窓の外を見ながら「バンド、やりたいなぁ......」なんて寝言のように呟いているくらいだ。

幸い聞こえていたのが隣の俺だけだったのも不幸中の幸いと言ったところか。それでも朝日にとってはたった一人に知られたことでもよほど恥ずかしかったのか、顔を赤くして見事なまでに茹で上がっていた。

 

 

 

 

 

「なんなん、むっちゃ恥ずかしいわぁ......」

 

 

 

 

 

「なんでそんなに敬遠するんだよ」

 

 

 

 

 

「えっと、実はね......?────」

 

 

 

 

 

しおらしかった朝日の態度が改まる。そして聞き役の俺もまた、彼女の口から明かされる事実に耳を傾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流誠くん」

 

 

 

 

 

「ん?どうした、つぐちゃん」

 

 

 

 

 

「何見てるのかなって気になっちゃって」

 

 

 

 

 

つぐちゃんが興味津々な顔で近づいてきた。どうやら俺の携帯の画面が気になるらしいので、こちらとしても包み隠す気は微塵もなかったので素直に見せてあげた。俺はライブハウスの検索アプリで予約状況を確認していた。

 

 

 

 

 

「次のライブどこでしようかと思って、どこの“箱”が空いてるか探してたんだ」

 

 

 

 

 

「そうだったんだ。でも見た感じどこも空いてなさそうだね......」

 

 

 

 

 

「そうなんだよなー」

 

 

 

 

 

春が始まってしばらく経ち、バンド活動も活発になってきたためか、休み時間も丸々使って調べてみたもののどこのライブハウスも空きは見当たらなかった。ガールズバンド時代到来とニュースでも大々的に取り上げられていたが、よもやここまでとは。

 

 

 

 

 

「そういやモカとかは?」

 

 

 

 

 

「ひまりちゃんと巴ちゃんは部活の集まりで、蘭ちゃんとモカちゃんはジュース買いに行ってるよ」

 

 

 

 

 

「そうか。じゃあライブのこととかはまた後で話そうか。つぐちゃん、俺たちもジュース買いに行かない?」

 

 

 

 

 

「うん、いいよ」

 

 

 

 

 

俺も少し目が疲れてきたし休み時間にもまだ余裕があるので、休憩がてらつぐちゃんと自販機に行くことにした。

自販機は外に設置されているのでそこまでの道のりでも良い気分転換になるだろう。俺は来たる休息に備えようと、思いっきりぐんと背伸びをした。

 

 

 

......と、つぐちゃんが突然「あっ!」と声をあげた。

 

 

 

 

 

「おわあ!?ビックリしたー......」

 

 

 

 

 

背筋をビクつかせてから振り向いた先にいたつぐちゃんが見ていたのは、天井に向けて高く伸ばした手に握られている俺の携帯の画面だった。

 

 

 

 

 

「どうしたんだよ、そんな驚いてまた携帯なんか見て」

 

 

 

 

 

「いやだってほら、見てよ携帯!」

 

 

 

 

 

つぐちゃんがずいぶんと慌てた様子だったので、俺もつられて少しばかり焦燥感を孕んだ。まさか何かの手違いでふしだらな画像でも映っているのだろうか......嫌な予感は俺の脳裏をよぎるどころかどっかりと居座った。

 

少し億劫になりつつ振り上げた携帯を眼前に下ろし、画面へと目を向ける。しかしそこに映っていたのは、依然として「予約一杯」という文字で埋め尽くされた近辺のライブハウスの予約状況の確認画面だった。

 

 

 

 

 

「見てよつったってなんもなくね」

 

 

 

 

 

「ここだよここ!よく見て!」

 

 

 

 

 

つぐちゃんが身を乗り出して携帯の画面の端っこの方を指差した。そこにあったのは小さく表示されたGalaxyの案内表へと飛ぶためのURLだった。

 

 

 

 

 

「これはGalaxy......?ああ!なるほど、そういうことか」

 

 

 

 

 

つぐちゃんはきっとGalaxyになら空きがあるのではないかと考えたのだろう。そこから俺はGalaxyは最近リニューアルオープンしたが故に、ライブハウスの予約受付の一覧に表示されていないことを思い出した。新設、もしくはリニューアルされたばかりのライブハウスは一覧に掲載されるまでに時間がかかるのだ。代わりにそこでの予約をするための特設サイトが設けられる。つぐちゃんはそこに着眼したのだ。

 

さっそくURLを開く。それぞれのライブハウス情報が統合された先ほどのアプリと違って、こちらはGalaxy独自のサイトとなっている。

 

 

リニューアルされて間もないGalaxyのサイト────そこには当然、人の目はあまりつけられていなかった。

 

 

 

 

 

「おお!予約空いてる!」

 

 

 

 

 

予約状況を確認してみると、そこにはまっさらな予約リストが載っていた。すでに他のバンドも予約をしているみたいだったが、余裕は十分にあった。

 

 

 

 

 

「さすがつぐちゃん!ここに目をつけるとは」

 

 

 

 

 

「そんな大げさだよ!でも、役に立てたなら良かった」

 

 

 

 

 

「いやいや、ほんと助かったよ。......よし、とりあえずこれで目処は立ったな」

 

 

 

 

 

後はみんなにライブの日程に予定が空いているか、そしてライブに出るかどうか聞くだけだ。

 

とにかくこれでひと仕事終わった。休憩に行く必要もなくなった。でも、つぐちゃんに何か飲み物を奢ってあげるのもいいかもしれない。

 

 

 

 

 

「それじゃあ今度こそ自販機行こうか。お礼に何か奢るよ」

 

 

 

 

 

「えぇ!?だからそんな大したことしてないってば〜!」

 

 

 

 

 

「遠慮すんなって。ほら、いこいこ」

 

 

 

 

 

そうして俺は待ったをかけるつぐちゃんに手招きしながら席を立ち上がった。携帯は不用になったので、無駄な電池を消費する前に電源を切ろうとした。

 

 

 

 

 

「......む」

 

 

 

 

 

と、電源を切る直前、俺の目に気になるものが写った。

 

 

 

 

 

「“RAISE A SUILEN”?」

 

 

 

 

 

ほぼ空白だった予約リストの一番上に書かれたバンド名、それは俺が初めて目にしたものだった。

これまでAfterglowのサポート役をこなしてきたなかで、多種多様なバンドをその名前とともに見てきた。しかしRAISE A SUILENという名前のバンドは見たことも聞いたこともなかった。新しくできたバンドだろうか?先輩バンドである俺たちより先に予約を済ませているとは恐れ入った。

 

 

RAISE A SUILEN......少し気になるが、今はかまっていられない。とりあえず今はつぐちゃんを労ってやらねば。

 

 

 

そうして俺はホームではなく予約画面のまま、携帯の電源をそそくさと落としたのだった。

 

 

 

 

 









いかがだったでしょうか。次回は特別章で4月7日の20時30分に投稿予定です。お楽しみに!


今回も文字数や内容少なくてすみません。2話というより1.5話ですねこれ...なにぶんネタが考えられないものでして。不器用ですみません。次回は頑張りますので見守っていてください。



それではまた次回お会いしましょう。さいなら!
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