Afterglow〜Episode of Another〜   作:ある@誠心誠意執筆中

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どうもあるです。

皆さん風邪などは大丈夫でしょうか?筆者は絶賛風邪もしくはインフルエンザ予備軍です(笑)(笑えない)

これからはもっと肌寒くなっていきます。体調管理には十分お気をつけて!←



では、どうぞ!




第7話 霧散

蘭に電話をしてから次の日、あまり寝付けなかったため、遅刻を強いられそうになった。

 

(まずいまずいまずい......!うちのクラスの担任、生徒から遅刻してきたなんて言葉聞いた日には、鬼の形相で怒りだすからな......)

 

てきぱきとは言えないほど慌てた様子だったが、俺はできるだけでも早く学校へ向かおうと身支度をしながら、担任のことを思い浮かべた。

 

俺のクラスの担任である中川静樹は、普段は大人しくておおらかな女性教員なのだが、なぜか遅刻をすることに異常なほどの嫌悪感を抱いているらしく、同学年の“とあるやつ”がこの間、そのことを存分に廊下越しから身を以て知らしめてくれた。哀れ先人。

 

(って、噂をすれば......)

 

先人に向けて時期外れの追悼の意を込めながら自転車をこいでいると、前方にその人物らしき人影が見えた。

 

そいつの特徴というのは、灰色がかったのショートヘアに、ともちゃんと似たような瞳の色、それからパン好きということで......

 

 

......なぜそんなに詳しいのかって?

 

それは相手も相手だから。

 

 

「なーに呑気に歩いてんだ、お前は」

 

 

「おー、せいくんナイスタイミーング。遅刻しそうだけど走るのもめんどくさくて歩いてたんだー。後ろ乗せてくれなーい?」

 

そう。その先人の正体はこいつ、モカだ。

 

当の本人は前回自らが犯した罪に対しての反省を微塵も感じさせない言動をとっている。挙げ句の果てには、悪びれもなく幼馴染を巻き込んで己の窮地を打開しようとしていた。

 

「はぁ......じゃあ早く乗れよ。そのかわり次から遅刻するなよ。絶対にだ。いいな?」

 

 

「せいくんが遅刻しなければいいだけだと思いまーす」

 

 

「お前の事思って注意してやってんだ。何度もあの先生に怒られてきたっていうのに何も感じなかったのかお前は」

 

何はともあれ、流れでモカを荷台に乗せて自転車をこぐはめになってしまった。ただでさえ性能の悪い先生(孤児院)からもらったお下がりの自転車が、重みが加わったことにより更にのろまになった。

 

ちらりと恨めしげに後ろにいる重りを見てみると、そいつは俺の背中に頭を預けて夢の世界へと旅立っていた。とても幸せそうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

いろいろとあったが、無事時間通りに学校の正門まで到着できた。それと同時に後ろの重りもちょうど夢から覚め、俺に礼を言いながら背後から頭を撫でてきた。

 

 

 

しばらくすると、羽丘の外壁が見えてきた。それを見届けた俺はモカを片手で揺すり起こした。

 

「ほら起きろモカ。もう着くぞ」

 

 

「おや、意外と早かった。せいくんおつかれー。よくがんばったねー、えらいえらい」

 

 

「分かったから早く降りろ。遅れるぞ」

 

流石に校門近くでこの有り様を晒すのはマズいので、モカには早々に立ち退いてもらうように促した。

 

 

 

すれ違ったクラスメイトに挨拶を交わしていきながら駐輪場へと急ぐ。このくらいはできるほど、人見知りな俺でもちゃんと他人とは親睦を深めようと努力しているのだ。でもやっぱり一番はコイツらだが。

 

「ねえせいくん」

 

 

「なんだよ」

 

チェーンロックの確認をしていると、モカに肩を小突かれたので、俺は渋々そちらに顔を向けた。

 

「ひとつお願いしてもいいかなー?」

 

 

「お願い?はあ......またかよ」

 

自転車の件に次いで今朝から二度目のお願いごとを、断る余地もなくされた。まったく、コイツは朝っぱらから容赦がない。

 

そうしてやれやれと肩をすくめながらも、俺はそのお願いとやらに耳を傾けた。

 

「で、一体何だよ」

 

 

「せいくんA組でしょー?蘭のこと、任せたよー」

 

そのお願いごととは、同じクラスの幼馴染として蘭のお守りをして欲しいということだった。

 

実を言うと蘭の親しい仲がA組には俺しかおらず、他の4人は全員B組に分かれてしまっているのだ。だから別の組にいる自分たちの代わりに、悩みを抱え続けたままの蘭をそっと見守ってやっといてくれと頼んで来たのだろう。

 

「そんなことかよ......分かってるよ、そんくらい」

 

もちろん俺もそのつもりだ。仲間が悩み事しているところを見て見ぬフリをしたままじゃいられないし、話し相手になってやることぐらいはできる。

 

でもそれは、蘭から求めてきた時だけのこと。今はあくまでも様子見程度ということで。

 

「だよね。よかったよかったー」

 

その旨を伝えると、モカが安堵の表情を見せた。そういうお前もとモカに流し目を送ると、「わかってますとも」と言わんばかりにゆっくりと頷かれた。

 

 

それから校舎に駆け足で向かった俺たちは、階段を登って突き当たりにあるA組で別れを告げた。モカはそのもうひとつ隣のB組にあの3人の名前を声に出しながらすたすたと入っていた。

 

 

A組の教室内にはクラスメイトのほぼ全員が当たり前のように揃っており、席に着席して周りの友人達と談笑しながらチャイムの音が鳴るのを待ちわびていた。そんな中で教室のドアを開けた俺は、須く注目を浴びることとなった。俺はそれに慣れた身振りで「おはよう」と返した。するとあちら側からも「おはよう」と続々と挨拶を返してくれた。中学と違って良いスタートが切れたみたいで安心した。

 

席に座り、1時間目の道具を鞄の中から取り出していると、隣の席のやつから小声で声をかけられた。

 

蘭だ。この小動物みたいに大人しい態度から察するに、まだクラスに馴染めていない様子だった。

 

まあ、そんな態度をとっている理由はもうひとつあるのかもしれないが。

 

「遅かったね」

 

 

「昨日の夜なかなか寝付けれなくてさ。寝坊したんだ」

 

遅れた理由を聞いた蘭は「そう」とだけ言って、SHR前の恒例行事である朝読書に集中し始めた。寝付けれなかった原因に自分が関係しているとは微塵も思ってないかのように。

 

(早く悩み打ち明けてくれたら、こっちも気が楽になるんだがなぁ......)

 

そんな蘭を見て、聞き入れてくれそうも無い行き場のない要望を心の中で呟いた。

 

 

今日もまた、夜な夜なうなされるかもしれない。そう思うと俺は、気が気でなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の流誠は、いつになく元気がないように見える。いつもならたわいのない会話をし合っているのに、あまりそれをしてこない。何か悩み事でもあるのだろうか?

 

(私も人の事言えないけどね......)

 

今は次の時間の移動教室の為、日直である私は教室のドアの鍵を閉めようとしている。その後ろでは流誠があたしの顔を見ながらじっと待っていた。

 

「何。またメッシュでも眺めてんの?」

 

 

「え?ああ、ごめん。特に理由は無いけど、急に蘭を見たくなっただけだから」

 

気になって理由を聞いてみると、側から見れば誤解を招きかねないようなことを言ってきたが、それは冗談に決まっている。根拠は特にない。

 

「なにそれ......まあいいや。行こ」

 

 

「うい」

 

ただ、モカみたいにあまりふざけたことを言わない(あくまで故意に)流誠が、いきなりレベルの高い冗談を言ってきたのが気がかりで仕方がない。やはり何かある。

 

そして理科室までの道中私は、横に並んで一緒に歩いていた流誠に真相を問い質そうと彼の正面に向き直り───。

 

 

 

 

 

〜♪

 

最悪のタイミングで授業開始2分前をお知らせするクラシック音楽が校舎に流れ始めた。

おかげで間が悪くなり、結局聞けなかった。

 

「げっ、もうそんな時間かよ......次の移動教室は理科室だから東校舎か、遠いな。......よし、走るか」

 

 

「えっ?あ、うん。でも東校舎ってすぐ隣......ってちょっと流誠!?飛ばしすぎだって!」

 

流誠はあたしの静止しようとする呼びかけを置き去りに、理科室のある隣の東校舎に繋がる連絡通路めがけて韋駄天の如く駆け抜けていった。流石は羽丘高校きっての陸上部短距離選手と言ったところだろう。余談だが、流誠はこの羽丘高校では一二を争うぐらいの俊足の持ち主だ。

 

ただ、そんな遠のいて行く流誠の背中からは、その速さも相まってか何かから逃げる脱兎を彷彿とさせていた。

 

 

 

......いや、本当に。本当に、何かから逃げているかのように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

流誠が角を曲がった。その直後、先生の驚きの声と怒りの声が、廊下中に響き渡ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそー......まさか先生とばったり鉢合わせするとはな......おかげでどやされたよ」

 

 

「あんなに速く走るからでしょ」

 

理科の授業も終わって先程の出来事の反省会をしていると、その目撃者でもある蘭からド正論を言われ、ぐうの音も出なかった。

 

(少し取り乱しすぎたか......?)

 

取り乱したというのも、蘭が教室のドアを閉めるの待っている際、蘭を気にかけるあまりじっと見つめていたのを本人に気づかれてしまったからで、急に走り出した理由も、予鈴が鳴ったということ以外にそれが関係していた。

 

「それより次昼休みだし、弁当持って屋上に行って、みんなと合流しようよ」

 

 

「だな。みんな待ってるだろうし」

 

みんなというのはもちろんいつものメンバーのことだ。クラスが違い、体育の合同授業などがない限り放課後までは中々会えない俺たちは、昼休みの長い休み時間、解放された屋上に集まって弁当を食べたり駄弁ったりしている。

 

 

 

 

弁当を片手に屋上まで階段を駆け上がり、その勢いでドアを開けると、晴れ渡る空とみんなが待っていた。

 

「ふぅ......みんなお待たせ」

 

 

「遅いよ二人共〜。ていうかせいくん、さっき先生に怒られてたでしょー」

 

 

「バレてたか......」

 

 

「そりゃそうだよ!廊下中に『長門くん!』って先生の怒った声が響いてたんだもん」

 

 

「あれは凄かったな〜。思わず震えたよ」

 

 

モカ、ひーちゃん、ともちゃんに先生に叱責されたことを掘り返され、それをなだめようと周りに視線を送った。

 

そして、とあることに気がついた。

 

 

つぐちゃんがいない。

 

「あーっと、そういえばつぐちゃんは?」

 

遅すぎる発見に、申し訳なさそうに頭をかきながら、所在を聞いた。

 

「つぐは生徒会の仕事があるから遅れてくるらしいよ」

 

 

「そういえばつぐのやつ、放課後も生徒会があるって今朝言ってたなー。あと、すごく眠いとかなんとか言ってたし」

 

 

「そうなんだ」

 

どうやら生徒会の仕事で席を外しているみたいだ。頑張るつぐちゃんには感服するが、それと同時にともちゃんから今朝のつぐちゃんの様子も聞いて、少し心配にもなった。

 

「つぐのそういう頑張り屋さんなところ、私、好きなんだよね〜」

 

 

「そういうひまりだって、つぐみたいに眠そうにしてたじゃないか。理由聞いたら、まだナイショだからとか言って流されるし」

 

 

「ひまり、私たちから隠れて何やってるの」

 

 

「今朝巴やつぐとかには言った通り、今はどうしても言えないんだってば〜!」

 

ひーちゃんも寝不足らしい。ここまでメンバーが立て続けに寝不足を訴えているのを見ると、流石に不安が鮮明な形となってしまう。

 

「みんなあまり無理しないようにしないとな。ひーちゃんに限っては、寝不足の理由がまだ不明瞭なままだけどな」

 

 

「夜遅くにぱったり起きちゃってコンビニスイーツでも食べてたからじゃないのー?」

 

 

「はははっ、ひまりらしいな」

 

 

「そうだね。だから太るんじゃないの?」

 

 

「もうやめてよモカー!巴と蘭までー!」

 

一気に笑いが巻き起こる。これだから幼馴染というものは素晴らしい。辛いことや悲しいことも紛らわしてくれる。それは、俺の中でぐるぐると渦巻く“淀み”も同じだった。

 

 

 

でもそれは、あくまで紛らわせただけ。霧は振り払えど、薄まるのはほんの僅かだけだ。またしばらくすれば不安という名の霧が、その影を色濃くしていくのかもしれない。

 

 

 

 

 

そうこうしているうちに俺達は、昼休みでの一幕を終えた。




いかがだったでしょうか。次回は12月6日の19時30分に投稿予定です。お楽しみに!


今回は後書きを書く時間に余裕ができたので、この場を借りてお気に入り登録してくださった18名の皆様に、感謝の言葉を贈らせていただきたいと思います。本当にありがとうございます!大変励みになります。これからも精進していきますので、どうか暖かく見守ってやってください。


さてさて。話もだいぶ進んでまいりました。そこで皆さんに、折り入ってお願いしたいことがあります。それは「評価」です!

はい。僕と同じく執筆されている方ならわかるかと思いますが、あの黒→赤のやつです。一応評価はできるようにしているのですが、これが一件も無くて...おこがましいようですが、これからの執筆活動の糧として皆様のお声を活用していきたいので、評価のほう、どうかよろしくお願いします。


ではまた次回お会いしましょう。さいなら!
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