戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー   作:魚介(改)

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第16話 軋む心

「……はぁ、よし」

 

自室に帰ってから、統慈は頭の中に残っている状況をリプレイする

 

「俺の聖詠…俺の力か…あれが」

 

戦力としてあまりにも貧弱な炎

しかもまるで使いこなせていない

 

挙げ句の果てには大技を空撃ちして強制解除?なんて事だ

 

これじゃあ戦力としてカウントできない、むしろお荷物だろう

 

「鍛えないと…もっと、強く」

 

最終目標はクリスのイチイバル

『MEGA DETH QURTET』より広範囲、高火力での焼灼攻撃

火力砲台型であるイチイバルの大技を超えるレベルの火力を使用できれば

一発限りとはいえそれなりの鍵にはできる

 

「まずはそこまでたどり着く…!」

 

まずは、この力の解析から始めるべき、と定めた統慈は立ち上がり…

しかし、どこへ行くでもなく立ち尽くす

 

「忌々しいが…」

そう、異端技術に関しては、現状において頼れる人物はいないので、

最悪の選択肢、フィーネを頼る

を取るほかにない

 

とはいえそっくりそのまま話しても意味はない、どこらか利点はない

 

リスクならいくらでも上がるが、利点はまるでない…なので上手い事

誤魔化しながら

アウフヴァッヘン波形やらなにやらの隠蔽を行う必要があるのだ

 

「やることは山積みか…」

 

ため息を一度付き、重苦しい気分を払おうとして、結局ななもできなかった統慈は

まずは一度寝ることにした、

 

翌朝になり

「司令」

 

まずは、風鳴弦十郎司令の元へ向かった統慈は、今まさに司令と向かい合っていた

 

「いきなり言うのも失礼と思いますが、お願いがあります…強くなる方法、教えてください」

 

「うむ…突然だな、どうかしたのか…いや、先日のノイズ発生の現場、あそこに君もいたんだったな…避難誘導しか出来ない自分に打ちひしがれ、力を求めた、と言ったところか」

 

「その通りです、シンフォギア装者でもない自分にはノイズを倒すことはできない

でも、少なくとも避難民の安全確保の為に、出来ることはある

しかしそれも、体力が無ければ叶わない…僕はあの事件に居合わせて

自分の体力の無さに気付かされました

ですから、自分の知る限り最も『強い』大人である司令を頼って来ています」

 

「なぜそこで体力の話から強さの話にすり替わったのか分からないが…まぁ、そこは君の中の解釈なのだろうな…」

 

「筋力があれば避難中に転んだ人を抱えて走れますし、持久力と筋力の総合的な表現はやはり『強さ』だと思うので」

 

持論を展開しながら司令の方を見遣る統慈、しかし、司令の表情は暗い

 

「結論から言うと

俺は君を鍛えることはできない」

「何故ですか?」

 

「時間が足りないのだ、現状、シンフォギア装者は翼一人、その翼もメンタルバランスが取れていない、それだけでなく

新たに適合する可能性のある人物の捜索、秘密の情報組織としての体面付け

各方面への対応や勢力争いの回避

最高責任者である俺でなければ対処できない問題も多い、それらに圧殺されている中で君の稽古を満足に見られるとは思えない」

 

すまない、の一言と共に

頭を下げられてしまった

 

「いえ、無理な頼みであることは百も承知ですから、お構いなく…あ、司令」

「なんだね?」

 

席を立った統慈は、クルリと首だけで反転して、司令の方に視線を向ける

 

「司令の特訓の方法だけでも教えてください、鍛え方の参考になると思うので」

「…参考になるとは思えんのだが…まぁいい、俺の鍛え方はな…

飯食って映画見て寝るッ!男の鍛錬なんざ、それだけで十分!」

 

「全く参考になりませんでしたありがとうございました」

 

首をくるっ、と戻した統慈は

そのまま司令室を出て、研究室へ向かった

 

「例のカストディアン流栄養ドリンクも作ってきたし、とりあえずは一杯呷るか」

 

ポキュ、という音と共に、わりかし安い給料で買った水筒を開ける

 

「うん、まぁまぁな味」

 

一気飲みを終えた後、研究室に入る

ちゃんとIDは研究室に入れるものだ…というか統慈はどのセクションでも入れるカードキーだ

 

「…失礼します」

「ん?統慈君?どうしたの」

「どうもこうもありませんよ、ノイズ被害に遭ったんです、そりゃ凹むよ」

 

めっちゃ凹んでるアピールをしておく

 

「はぁ…まぁ、そんな境遇なら仕方ない…かしら?…私自身は直接襲われた事はないけど、ノイズについては嫌という程調べたし

見識なら貸せるわよ?」

 

こっちに顔を向けないままにぬけぬけと言い放つ櫻井女史(フィーネ)

 

「ノイズを殺せる方法が欲しいです」

「無理ね、あぁ、でも」

 

「でも?」

「シンフォギア装者のノイズを実空間に引きずり出す能力の影響下なら

ノイズを通常火力で撃破することもできるわ、それでなくても

ノイズだって、向こうから一方的に接触する事はできないんだから

接触する瞬間にはこっちからも物理攻撃が有効よ、その一瞬を狙えれば、だけど」

 

つまり、論外と言っているわけだが

それは統慈も知っている

 

「あとは…ノイズの自壊制限時間まで逃げ延びることかしらね?こっちなら実現できるんじゃないかしら」

 

「意味ないですね…あ、そうだ」

「なに?」

 

統慈のフリに、向き直る了子さん

 

「アウフヴァッヘン波形の記録装置って、最近どうなってますか?なんか司令が

新規適合者を探す〜って言ってたので、あれ使えないかな?と」

「ターナウトリコーダー?あれはちょっと使い方が違うのだけど…ん?でも

ちょっとまってね」

 

頭の中で何かを考えているらしい時が過ぎて行き、了子さんはパッと目を開く

 

「できるわ!感知する波長をガングニールに合わせれば『ガングニールの波長』に共振する、つまりガングニールの適合者になりうる人物を発見できる!すごいじゃない!」

 

バッと手を取られて振られた

「私にすら無かった発想!これで適合者を探し出せる確率が上がる!お手柄よ!」

 

「は…はぁ…」

 

惚けた声を出す統慈

 

「早速計画書に纏めなきゃ!ごめんねちょっとまって…ターナウトリコーダーの調整手伝ってくれる?」

「はい!」

 

上手いことリコーダーのデータを見る機会が得られた統慈は、パッと

最近のデータに目を通して…

 

「新規10件、全てがアメノハバキリ?どういうことだ?」

 

そこに、レーギャルンや

アンノウンと書かれた項は無かった

 

「観測されてない…のか?」

「どうしたの?早くこっちこっち!」

 

「あっはい!」

 

思考を進める間も無くパシられて走ることになる統慈、しかし、その頭の中には

レーギャルンは観測されていない、という事実がしっかりと残っていた

 


 

「よし!」

「終わった…」

 

日が暮れようという頃になって

ようやく調整を終えた統慈と了子は、未だ研究室にいた

 

「ちょっと人使い荒いですよ…」

「頑張れ男の子!」

 

「女装して女学院に通ってるんですがねぇ…誰のせいだと」

「もちろん自分でしょ?」

 

取りつく島もなかった

 

「はぁ……」

 

ため息をつきながら、研究室を辞して

掏り取ったファイルを自室に持ち込む

 

「ええっと?これは…」

フィーネとしての研究資料らしいファイルは、さまざまな情報に溢れているが

いくつかの欠落も伴っている

 

「…これだと、シンフォギアの制限の数が三億もある理由がまるでわからん…

しかもそんな高性能にするから負けるんだよ…」

 

しかし、幾らかのシンフォギアの設定、性能の評価などが書かれた辺りや、ノイズの情報が書かれた辺りは有効に活用できるだろう

 

「ん?これは…」

 

統慈が見ているのは

聖遺物の共鳴についての情報が書かれた項

 

「…えっと…?」

 

完全聖遺物は人間の音を必要としない…辺りは読み飛ばされ、聖遺物のかけらの力を増幅するために、特定波長(聖遺物の波長)と共振する…というあたりを読み込んで

 

「とりあえず、写本にするか」

 

必要な情報をノートの裏側に書き込み始める統慈だった

 

 

翌朝

 

「だぁるい…こんな時のために

カストディアン流栄養ドリンク」

 

やっぱり謎のドリンクをゴクゴクと飲んで体力を水増しして、写本を見直す

 

「シンフォギア が女性じゃないと使えない理由、固定化されたエネルギーで装甲を作る関係上、それだけのエネルギーに耐えられる肉体が必要で、それが実現できるのは女性だけ

 

って事で良いのかな?」

 

頭の中で理論を分解し観察し、再構成して、それでやっと理解する

 

細かい事は置いておいて、

大枠はそれで良いのだろう

 

「よし!学校行かなきゃ…はぁ」

 

もう女装に慣れてしまったことを自覚しつつ、それでも嘆く統慈であった

 

「おはようございます…」

 

そうして退屈な日中は過ぎ

5時ごろにようやく学校を出て…

「夕食はお好み焼きにしよう」

 

前に響に勧められた、ふらわーに行く

 

「さて!…ん?あれは」

 

統慈が見かけたのは、

ふらふらと歩いている響

 

「響?」

 

「………」

「響!」

「………」

 

「響っ!」

 

「っ!?あ…」

「どうしたんだ?そんなぼうっとして」

 

「…っ!」

突然、響きが泣き出した

 

「どうしたんだ本当に!?突然泣き出すほど悲しい事があったのか?」

「…みくが…みくがてんこうしちゃって…ぐすっ…私…一人になっちゃった…」

 

恥も外聞もなく泣く少女と

その隣の男。

 

どう見ても泣かせたのは俺である

 

「響っ!?」

 

「ふぇぇん!」

「あぁもう!ガキみたいに泣くなよ」

 

とりあえず響を衆目から隠すために

路地へと向かった

 

「響、落ち着いたかい?

…涙を止めるには、一度眠るのも手だが、思いっきり泣いて、枯らしてしまうのも手だと言う

俺でよければ受け止めよう」

 

格好をつける統慈だったが、あまり格好良くはない…ここが顔面偏差値の差である

 

 

それはそれ、

響には格好良く見えていたのだろう

 

「じゃあ、一緒にいて」

「あぁ、良いよ、俺でよければ」

 

その後しばらく話を聞き、響を家に送った

 

「…そろそろマズイか…?」

 

響がいじめられている頃、なのはわかるが、これはそろそろ父親が失踪する時間だと思う

 

やはり失踪後の足取りは把握していた方がいいかもしれない

 

「響、今後も定期的にメンタルケアと面談を実施しないと危険か…」

 

ゆっくりと『統慈』という存在を

意識に組み込んでおかないと、環境ストレスからの圧力で折れてしまいそうだ

 

「…スケジュールの調整はしておく」

 

頭の中で、予定を調整しながら

統慈は部屋へと戻るのだった

主人公のお相手は?

  • 響が良い!
  • 翼さん
  • クリスだろ!
  • 二期FIS組で
  • それ以外

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