戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー   作:魚介(改)

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第17話

「そうか、親友が、何も言わずに転校…ね」

 

あれから何日か経ったのだが、統慈は響と定期的…というより毎日会っており、その話を聞きながら状態を確認、メンタルケアを行っていた

 

「…はい…」

「響、大丈夫だ、僕がついてる

君は一人じゃない、手を離されはしない、それに君の親友とやらも

君が信じた友人が、そんな非道を望んでするわけがない、なんらかの事情があるか

そもそも、正規の手段が阻害されている可能性もある

 

とにかく僕が確認してみるよ」

 

また発作を起こしかけた響に声をかけて、落ち着かせてから、ゆっくりと身を離す

 

「…転校先、転出先は確認できるかもしれないが、公権を乱用するわけにはいかないからな、いちいち考えなきゃいけないのも考えものだ」

 

そっと頭から背中に手を回して

ゆっくりと撫でる

 

あくまで優しくだ、性的な意味はない

それに可哀想なのは…統慈の性癖ではない

 

「大丈夫、君は一人じゃないよ」

徹底的に甘い言葉をかけて蕩かそうとしているわけじゃありません

 

「頼っても、いいんですか?」

「もちろん」

 

「負担になるかも」「君からだったら大歓迎だよ」

 

「迷惑に」「なる訳ないだろ?」

 

なんども逃げ道を潰して、

周到な蜘蛛のように巣を張って

蝶を優しく捕まえる

 

「落ち着いたね…それじゃあ僕は戻るからまた今度、さよならっ」

 

とりあえず響と別れた統慈は

すぐさまに司令に

『ライブ事件が禍根を残している』事をしっかりと伝えたところ

 

なんと司令は突然の事ながらにやってくれた…やらかしたのだ

 

ツヴァイウィングライブ事件被害者の会を立ち上げ、その再就職支援組織と同時に、ポストとなる会社まで立ち上げたのである

 

当初から不動産業から財務コンサルタントまでの多角的な業務をやっているが

やがては機械生産まで手を出すそうだ

 

「さっすがぁ…」

お偉い方もこれには驚いたのか

急遽招集がかかったが、これにも堂々と対応していたらしい

 

さすがOTONAと言うべきだろう

 

「…大人は強い、これ常識な?」

 

笑いながら統慈も登校準備(女装)を進めるのだった

 

「最近一人で女装できるようになったからなぁ…」

 

数週間も経つと、自分の格好を作るのも必要になってくるので、統慈は早めにメイクやウィッグの整え方などを習っていたのだ

 

「…よし、オーケーですガングニール!」

 

それは空耳であるとは誰も指摘してくれなかった、そもそも誰も知らないのだから当然だが

 

「…拍木旋音、出撃します」

 

統慈は今日もリディアンに向かうのだった

 

 

余談になるが、統慈は体育の授業全てを欠席することになっている…見学もするが

とにかく体そのものだけは誤魔化せないため、体操着や水着は流石に諦める他ないのだ

 

「体育全部欠席は流石に怪しいよ…

自分でもそれくらいわかるって」

 

自覚はしているようだが、これも必要な事、頑張ってほしい

 

「……はぁ」

 

今日もミステリアスな雰囲気が出ている、完璧な美少女である

 

「……なんで音楽が5単位もあるのかなぁ」

 

「週5音楽って、他の学校じゃあり得ないよね?」

「そりゃまぁ、リディアンは音楽院ですし?学院ってことはミッションスクールですから、特殊な授業があってもおかしくないと思いますよ?」

 

女子A.Bが話しかけてくる

ちなみに、全員旋音の友達を自称しているが、正体は知らない…知っていたらまずい

 

「そうですよね、えぇ」

 

「学費安いから来たのに、こんなに毎日毎日歌わされてたら喉壊れちゃうよ…」

 

1年は早くもヘタりがちだが

2年以上はもう慣れたもの、と行った表情である、むしろ他の学校よりも授業の進みが早いので、そっちに苦労しているレベルで

 

「あ、今日学食行かない?

私弁当持って来てないんだ」

「…別に良いですけど」

「私のものを分けてあげましょうか?」

 

Aに渋々ながら同意する統慈と

同調するB

 

結局、三人揃って学食に向かったのだが、カレーパンはすでに売り切れていた

 

「…はぁ」

「人気メニューですし、仕方ありません」

「人が多い時は、もう取られてると考えた方が良いよ…潔く諦めよう」

 

その日一日中、Aは授業に身が入らなかったという

 

「んで、登下校中にまでノイズか…」

 

すぐさま司令に連絡をかけて

避難誘導を行う旨を伝え…

 

「オラァッ!」

 

通信を着るや否や、ノイズに殴りかかる

 

sealder leagjarn nshel tron(絶望を封じる箱を開け)

 

「ハァッ!…変わった!」

 

右腕から殴りつけて、左腕、足と乱撃を仕掛け、次々に装甲が装着する

 

「フッ!」

最後に頭突きでヘッドギアを装備して

全身の装備換装が完了する

 

「…今回は近接だけでっ!」

 

前回は大技を使ったが故に強制解除を起こしてしまった、なら使わないという条件下での自分の戦闘力を調べよう、ということだ

 

統慈にしては頭を使っているが

実戦縛りというかなりキツい縛りが付いているので、あまり変わっていない

 

精密な検証ができていない以上

体感どの程度

という差に過ぎないのだから

 

「………ふっ!」

戦闘しながら、時間を計る

自分の戦闘継続可能時間の限界を測定するつもりなのだろう

 

「…まだやれる…」

 

呟く声は、前回記録を超えた証

約3分を超えてなお、

そのギアは歌もなしに衰えを見せていなかった

 

「頑張れる…」

 

拳は振るわれ、鎧は解けて炎の剣を形成し

 

「…戦えるっ!」

 

振り下ろされた炎は、

全く抵抗を感じさせずにノイズを切り裂いていく

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

最後に炎を吹き上げて大きく跳躍

「権限起動:9/1定率 積層変成-物理固体」

 

炎が形象化して、

足に接続された大剣を形成

 

天の逆鱗と同じようにライダーキックのポーズをとり

 

「うぉらぁぁっ!」

 

爆発とともに、ノイズの山が消し飛んだ

…剣は炎に還元されて消滅し、統慈の装甲に戻ってきた

 

洋風な擬似:アメノハバキリ(P・A)戦法は一応の成功を見たようだが、まだ装甲は解除されていない

 

なので

 

「今度は…っ!」

遥か遠くから、歌声が聞こえた

それはつまり、()()()()()()

なので、統慈は諦めてさっさと装甲を解除し、レーギャルンを腕の中に戻し

今回はちゃんと入っていた

(以前の緊急装備以降、警戒してずっと入っている)私服に着替える

 

それとほぼ同時に

 

「…拍木!ノイズはどこだ?」

「もう殆ど炭です!近くにはいないようですが…」

 

「了解、こちらで探すからここに居てくれ」

「わかりました」

 

たしかにもう殆ど炭だ

なにせ統慈がやったのだから

 

翼さんにはもう仕事はないと言えるだろう

 

「…まぁ、終わりかな」

 

一日に数度もノイズ(災害)が現れるような事など、ないと言っていいだろうし

万一あっても、近くの正規職員に押し付ければいい話だ

 

彼らはノイズから逃れる訓練もしているし、十分に生き残れるだろうから

なんの心配もいらない

 

統慈は、のんびりと翼さんを待つことにした


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