戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー 作:魚介(改)貧弱卿
「響ちゃんは…大丈夫かね…」
ため息をついた統慈は、しかし
あっさりと考えることを切り上げ
今後の予定を立て始めた
フィーネ曰く、ここからストーリーは加速する
ネフシュタンの鎧、ソロモンの杖ともに覚醒済み、そして時期に二課を襲撃する予定、シンフォギア装者を撃破できればそのままデュランダルを強奪、カ・ディンギルを起動
出来なければ時期を延長して再トライ、それでも出来なければ二課からデュランダル自体を動かして強奪させる予定
虎穴に入らずんば虎子を得ずとは言うが、いくらなんでも虎子が転がり込んで来すぎている
情報は毒にも薬にもなる
今の統慈にとっては…どうなのだろうか
「さて、と……」
取り敢えずの用意として
奏に渡すカス(ry を作り
奏の居室へ向かう
「失礼しまーす…天羽さんいますか?」
「はいはい、居るよー
開けて良いから入って」
返事をもらった後、言われた通りに扉を開けて部屋へと入る統慈
「はい、失礼します
…今日の分の栄養ドリンクですよ
まぁいつもの奴ですけど」
「あいよ〜…なぁ、統慈?」
「ん、なんですか?天羽さん」
奏にそっとボトルを手渡した統慈は
唐突に問われ、それに応える
「あたしの体、全然回復しないし
二年間も掛けてるんだしさ、もうあたしはガングニールの装者じゃない
戦えない、それにもう、まともに歌うこともできない、戦士でも歌姫でも居られない
そんなあたしが、ここにいて良いのかな…ってさ」
「そっくりそのまま僕にも言えますね
そもそも僕が調合している物なんですから、それでダメージの後遺症が消えないと言われるのなら、それは僕が無能であることの証明ですよ、そんな無能がこの二課に居て良いわけがない
それでも、僕はここにいる
そもそも『人が居る』事に理由がいりますか?」
ゆっくりと諭すように声をかける
「奏さんはいっぱい頑張って
戦えなくなるまで戦い抜いた戦士なんです、それを責めることはない
そもそも戦えなくなるまで戦うなんて、普通は出来ないんですよそんな事
だから、そんなありえない偉業を為した奏さんを称賛する事こそあれ、責めることはないでしょう」
ことさらにゆっくりと
あやすような優しい声で
その心を絡め取る
「そぅ…か、そうだよね…うん
ありがとう、なんか、元気出たよ」
「病は気から、とも言いますし、人って意外と気合でなんとかしますからね
その調子で頑張って治ってくださいな」
「おうっ!」
「はい、それじゃあ僕はもう行きますね」
そう言って部屋を出た統慈は
まず、フィーネのもとに向かい
「…シンフォギアのメンテナンスについて?…えぇ、別に資料くらいならいいけれど
今メンテナンスが必要なギアはないわよ?…ガングニールも休眠中だし、アメノハバキリは先月メンテしたから」
「資料の方だけでいいので、見せてください」
「…えっと、どこにしまったかしら
この棚の…ここね」
資料の棚から取り出された複数のファイルを預かり、統慈のデスク(最近置かれたもの)の上に積んで…
「♪〜」
鼻歌と共にファイルを開く
櫻井理論の論文やそれに関する研究記録などは大概読んでいるが、それとこれとは話が違う
エネルギーの物質化なんていうあり得ないはずの現象を起こしてみせるシンフォギアの、表に出せない研究記録
それは統慈にとって、宝の山にも等しいものだった
「…シンフォギアの資料って、他にもありましたよね?」
「いろいろあるけど、どれにする?」
「じゃあ徹夜で全部読みます!」
「おっ?一晩で全部読み切るつもりかにゃ?」
「やってみます!やらせてください!」
「…お主がそこまでいうなら良かろう…読んでみるが良い!」
フィーネと即興の師弟ごっこをしながら、大量の資料を借り受け、時折コーヒーを飲んだり、友里さんが作ってくれたサンドイッチを食べたりしながら、無数の資料の半分ほどを読み切るのだった
そして
「やった…やりきったぜ…真っ白にな…」
翌朝、無数のファイルの山に囲まれて沈む姿があったという
「んで、だよ!」
分裂型のノイズの出現により
『流星群を見る』という約束をフイにされた響が見るからに不機嫌な様子でノイズを殴り潰していく様子を…統慈は間近で見させられていた
「生態融合型、イレギュラーギア…ねぇ」
そう、響のシンフォギアは、他の誰とも異なる唯一の点として、奏のアームドギアの欠片が増幅する事で発生する、肉体の中に融合する形で存在するシンフォギア
そして、それはもちろん
聖遺物と人間の身体的融合を意味していて
櫻井了子が作ったのではない
『天然製』と呼べるギアなのだ
「…だからこそ、既存のシンフォギア5機との相違点の調査が必須
そのためには…」
「ハァァッ!」
目の前でノイズを殴る響を眺めながら
そのフォニックゲインやエネルギー、各種起動状態を確認していく
「戦闘でのデータ採取が不可避」
「セイヤァァッ!」
葡萄のような種を背負った分裂型ノイズがその体を爆散させ、後続のノイズを生み出す
その勢いは凄まじく、俺の方にまで押し寄せてくる
しかし
「フッ!ハッ!」
響は格闘技の動きを使いこなしているし、俺自身だってそう簡単には死んでやらない
「統慈さん!逃げてください!」
「ところがぎっちょん!」
アイロンノイズが変形し突っ込んでくる
その軌道を読み切り
シャツの裾が焦げるくらいで回避する
なにもこいつらは一瞬で全てを炭素化できるわけではない、炭素転換は多少なりとも時間がかかるのだ、そしてその時間が十分に得られなければ
炭素転換は結局部分的なもので終わる
「これなら…!」
危険な回避方法を繰り返す統慈に
響の方が痺れを切らして突進
ノイズを一気に全滅させるべく暴れ回る
「見たかった…」
それを嘲笑うかのように逃げ回る分裂型ノイズ、
「未来と一緒に、流れ星見たかった!」
全力で叫んでいる響を見つめて
手元の端末を握り直す統慈
そして
突進と打撃を繰り返す響
その顔に、すでにいつもの暖かさは無い
「お前たちが…争いのない世界を
なんでもない日常を…否定すると…言うのなら!」
エヴァの暴走のような荒い動きで
力任せにノイズを引きちぎっていく響
もはや戦いにおける技量など微塵もない
ただ力をぶつけているだけのような狂気的な姿だ
そして
「…適合係数が跳ね上がっている…?」
響のガングニール・ギアの出力が上がっている、どころか内包するエネルギーすらも
臨界寸前にまで上っていた
「ウゥァァゥ…!」
一体のノイズを叩き伏せ
そのまま頭に見える部分を踏みにじる響き
しかし、そこに爆発が襲う
「ッ!」
危なげもなく防御する響だが
天井に空いた大穴から
分裂型が一体、地上へと逃げる
その直後
天空からアメノハバキリをまとった翼が飛来し、分裂型を一刀両断した
次の敵(デュランダル輸送時)は?
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通常クリス(イチイバル)
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通常クリス(ネフシュタン)
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覚醒クリス(ネフシュタン融合)
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一般通過カルマノイズ