戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー   作:魚介(改)貧弱卿

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第25話

「翼さん!」

 

その後、響は何事もなかったかのように表情を元に戻して、最後のノイズを始末した事を確認した

 

「……お疲れ様でした」

 

統慈もデータの回収を終えて

モバイルPCの画面を閉じる

 

「面倒なことになったな」

 

『生体融合型のシンフォギア』という

現在響が纏い、そして融合深度を深めているギアについて、統慈が感想を漏らした

 

「このシンフォギア……いや、シンフォギアとすら呼べない『何か』は

確実に浸食を進めている」

 

過去知っていたデータによると

2期で物理的に出現するまでは精神的な影響くらいしかなかったはずだが

今こうして精密に観測すると、やはり侵食自体はすでに発生していて、戦えば戦うほどに進行している様だ

 

「どうしようもないか……」

 

今鎧の核となっている破片は、心臓のすぐそばに刺さっているメイン破片2つ

その周辺にある微小片8つ

合計10個の破片群である

 

現状では特段の影響はないとはいえ、それをただ放置するわけにもいかない

闇雲に取り除こうとするわけにもいかない

それは『戦姫絶唱 シンフォギア』という作品において、ガングニール・響は確実に必要な存在であるからだ

 

フィーネを倒すためにも、未来を助けるためにも、S2CAのためにも60億の絶唱をやるためにも、世界を救うのには響の(ガングニール)が必要なのだ

それを抜いてしまえば『特異性のない一般人・立花響』は群衆の中で輝きこそすれ、所詮(ヒロイン)にはなれない(モブキャラ)となり

 

同時に、世界はフィーネの野望に崩される

 

「……詰まないためには、まず」

 

統慈がフィーネを超えるか、それに準じるほどの知識を身につけて

カ・ディンギルを相当期間に渡って復活不能なほどに破壊するか

もしくは、世界中のフォニックゲインに匹敵するエネルギーで強制的にオーバーロードを発生させ、デュランダルごとカ・ディンギル自体を自爆させる

 

「……いや、カ・ディンギルは無限のエネルギーを放出するデュランダルをエネルギー源にできるくらい許容量が多い、下手は打てない」

 

キャパシティを見誤れば普通にエネルギーを充填するだけになってしまう

フィーネに利用されるのは御免だ

 

「あぁもう……」

 

突き詰めれば純粋な暴力で横から殴る他にないという事だ

 

「仕方ないか……!」

 

統慈が立てた作戦はこうだ

 

まず浮上する前、エレベーターシャフト状態のカ・ディンギルに細工をする

具体的には片側のシャフトの骨を折っておき、浮上と同時に自重でピザの斜塔状態にする

それでもまだ問題ない状態なら外殻をさらに爆破して倒壊させる

 

骨を折るだけならば、レーギャルンの熱を持ってすれば十分だろう

 

サブプランとして、外殻どころか芯材の砲塔だけで全くブレなく直立を維持し切った場合

小型のカ・ディンギルを量産し、電柱や建物の柱か何かに潜ませてエネルギーパイプをカ・ディンギル本体と繋げる事で本体のエネルギーを拡散させ、発射不能に陥らせた上で、分散したそれをフィーネ自身にぶつける

 

元が月を穿つためのエネルギーである、分散したとて地上の馬鹿女一人を焼くくらい訳はない

 

ちなみに、小型化ディンギルの用意は一応している

 

基礎設計は済ませているし

そもそもとしてエレベーターシャフトは非常階段からいくらでも観察できる

 

素材がオリハルコン云々というわけもなし

内部に電子回路があるわけでもない

 

「寒……」

 

不意に吹き抜ける風が風にあたり

統慈は一旦思考を切り上げて帰る事にした

 


 

「はい、響ちゃん」

 

カストディアン流栄養ドリンクを響に渡して、統慈も同じものを呷る

味は……なんというか、あまり旨くはない

 

「栄養ドリンクが美味しいわけがあるかって事だよなぁ……」

 

ため息をつきながら、響に視線を移した統慈

 

「で、なにか深刻に考えるようなことでもあったのかい?君が居るにしてはずいぶん遅い時間じゃないか」

 

現在時刻は18:00

学校の帰宅時間を過ぎかけている

統慈は立花家の門限がいつか知らないが、仮にも若い少女が夜に出歩くのは良くないことのように思えるようだ

 

「大丈夫ですよ、ほら私

ガングニールの装者なんで、まだまだ鍛えなきゃなーって」

「……無理をし過ぎだ、鍛えるのはいいが、体に負荷をかけすぎるのは良くない

逆に筋肉が死んでしまうぞ」

 

「えっ?!そうなんですか!?」

「そうだ、医学は多少齧った程度の俺だが知っている事もある

無理をしすぎると根本的に修復不可能なほどに傷ついた筋肉が生まれ、それは機能を喪失したまま容量上限だけを持っていく害悪と化す

つまり、無駄な見せ筋だな

これがあっても意味がない、だからそうならないようにうまく休まなきゃいけない」

 

統慈はそっと響の元に寄って、手を取り

そのまま軽く引く

 

「明らかにオーバーワークだ、強引にでも休ませるぞ」

 

戦力が上がるのはいいが、下がるのは容認できない統慈としては、ここで響を休ませるべきだと判断したのか、そのま施設の外部まで手を引いて歩く

 

エレベーターシャフトの前で手を離し

 

「さぁ、ここからは一人で帰りなさい」

「えっ?じゃあ拍木さんは?」

 

「僕は、ここから出られないから」

 

統慈は出来るだけ強い笑顔を作って答える

 

「ほら、早く行きなよ」

「……わ、わかりました」

次の敵(デュランダル輸送時)は?

  • 通常クリス(イチイバル)
  • 通常クリス(ネフシュタン)
  • 覚醒クリス(ネフシュタン融合)
  • 一般通過カルマノイズ
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