戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー 作:魚介(改)貧弱卿
「響ちゃん……大丈夫かな」
統慈の腕から吹き出した煙、それがもし毒ガスであれば既に命はないであろう
だがもちろんそんな事はない
健康的な肌色のままの響は、特に苦しそうでもなあ平常通りの呼吸をしている
「……帰還するか」
デュランダルは弾き飛ばした瞬間に
異常な軌道を描いて天高くに飛び去ってしまったし、どこに落下しても自重や衝撃で自壊するだろう
「了子さん、車はどうですか?」
周囲を見回し、響きを抱えたまま少し歩き回って出来る限りの遺留品を探しては見たが、さすがに爆風によって消し飛んでしまったようで、何かのかけら以外は残っていない、と肩を落とす統慈とそれに問われて車に一瞥をくれる
「ダメね、もう一回ひっくり返す算段もつかないし、そもそも派手に吹っ飛ばされててフロントがグッチャグチャ
これ高価かったのに……まぁ仕方ないか
経費で落ちるかしら」
「随分あっさりしてますね、じゃあ僕はエージェントの遺体捜索して帰りますね」
「遺体捜索は1課に任せなさいな
響ちゃんに風邪引かせる気?」
睨みをきかせてきた
「帰ろうか、響ちゃん」
その言葉に応えるものはいなかった
その後、フィーネの館では
クリスとフィーネがテーブルを挟んでいた
「……はぁ……まさかカルマノイズが現れるなんてね」
「なんなんだよあの黒いノイズ!
それにあの力!」
『強い力』に執着を見せるクリス、それを嘲笑うかのように知識でマウントを取るフィーネ
「覚醒した完全聖遺物の力、特に攻撃特化のデュランダルの一撃なら
問題なくカルマノイズも屠ることができたわ、これは大きな進歩、そして発見よ
さぁクリス、またネフシュタンを使ってしまったし、今度はちょっと大規模になるから服を脱いで」
「チッ……」
「チッじゃないの、強引な手法で無理に戻したんだから、後になって体を壊しても知らないわよ?」
「あぁもうわかったよ!脱ぎゃいいんだろ!」
「ええ、大人しくしていればいいのよ」
嫌そうにするクリスを無理やり磔刑台に括り付けてバリバリと電気を流し始める
これは何もただ拷問のような行為をしているだけではなく、ちゃんと理由がある
ネフシュタンの鎧の力を使って
細胞を置換したはいいが、その細胞が全身を侵してしまえば意味がない
もちろんその対策は用意されている
ネフシュタンの鎧は高圧電流に弱く
電撃を受ければその機能を停止してしまうのだ、それを利用してフィーネはクリスの体内に残ったネフシュタンの細胞を停止させているのである
「うぐぁああぁああぁぁあっ!」
ガクガクと痙攣しながら絶叫を上げるクリスと、その体内のネフシュタンの細胞の状態を確認しながら、フィーネはその様子を見つめるのだった
統慈は自分の部屋で、右手に握ったそれを見て笑っていた
「よし」
あの黒いノイズの攻撃で砕けたネフシュタンの鎧、その破片の散らばったうちの一つ
遺留品を探す中でそれを発見した統慈は、大胆にも握ったままで戻ってきていたのだ
「……これがあれば……」
『ネフシュタンのシンフォギア』を作ることができる、その一言を飲み込んで統慈は笑う
「響ちゃんは大丈夫かな」
エージェントは何人か殉職してしまったから顔見知りは減ったが、彼らはエージェント
特殊部隊員である以上は死ぬ用意くらいいつでもできている
だから敢えて悼むようなポーズはしない
「さて、学校に行かなきゃ」
統慈は速やかに女装を済ませて
一頻り声の調整と容姿の確認を終わらせて
リディアンへ登校時間ゼロのダイレクト登校をするのだった
「おはようございます」
扉を開けて、一応お上品に一言
そしてその直後にクラス内の何箇所から上がる声
「おっはー!」
「あ、おはよう」
「はろはろーん!旋音ーちゃーん!」
「りんねーちゃん……?」
「旋音の新しい渾名っ!」
「また増えたんですかもう……」
くだらない会話をしながら
日常を噛みしめて……
「拍木旋音って正直覚えづらい名前だよね〜」
「わかるけどちゃんと覚えてください!」
やっぱりツッコミ役に徹することになるのだった
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