戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー 作:魚介(改)貧弱卿
「…カメラがぶっ壊れてたのと緒川さんがそれどころじゃない事態だったのがよく働いたか」
「ん?どったのりんね」
「え、なんでもありませんよ?
次の数学の授業のこと考えていただけです」
「あー……数Aか、次
山崎に目ぇつけられてたもんねー」
「はい、なぜか嫌われてしまっていて……」
どうでもいい事を話題にして
話をごまかして、そのまま退散する旋音
そしてそのまま放課後になり
リディアン から二課拠点へ直帰する
〈拍木君!ノイズを検知した!〉
突然の警報と共に、司令からの連絡が入る
〈既に警報は出しているが、装者のオペレートの支援を頼む!〉
「わかりましたっ!」
統慈は速やかに(一般的なスピードでの)全力で駆け出し
司令室までたどり着いた
「響ちゃんのオペレートは私が担当します!藤尭さんはノイズの方を!
友里さんは避難誘導の統括指揮をお願いします!」
「わかったわ!」
「最初からそのつもりだよ!」
長い髪を靡かせながら
椅子を無視してコンソールの前に立ち
そのままキーボードを打鍵する
起動したのはアウフヴァッヘン波形感知のためのレーダーと自作のプログラム
そしてギア装者の視界を画面に投影するカメラ機能を起動する
自分のコンソールの半面に響のギアのカメラを呼び出そうとして
響にはペンダント自体が存在しないことを思い出してやめる
そして
「アウフヴァッヘン波形感知!波形照合イチイバルですっ!」
旋音が叫んだその瞬間
メインモニターに『lCHAIVAL』が表示されて
モニター上に表示されたマーカーの周囲のノイズマーカーが一斉に消滅する
「これは……!」
イチイバルのギアを纏ったクリスが戦闘を開始したことを察知した友里さんと藤尭さんが2人でその位置特定とカメラ接続を目指す
響と違って正規のシンフォギアであるイチイバルにはカメラが搭載されている
それはシンフォギア・イチイバルの設計資料を読み漁って得た既知の情報だ
共通規格のカメラが存在するなら
無線接続だってできるはず
「響ちゃんは連絡取れてますか!?」
「ダメ、音信不通のままよ!」
現場に向かっている司令の代わりに友里さんが答えた言葉に焦りながら
キーボードを再び打鍵
今度はシンフォギアの位置特定のための捜索用レーダーに切り替えての再起動だ
これで響のガングニールギアも感知できる
「……!」
廃ビルの中、大型ノイズのすぐそばの反応、紛れもなくガングニール=響
しかし、動きが妙だ
ガングニールはその場から動いていないのに対し、大型ノイズはそこから離れていっている
通常、ノイズが召喚されればどんな個体であろうと『人から遠ざかる』ことはない
考えられるとすれば
『より大きなエサを追っている』から、結果として響から離れているという可能性だ
「いけない!」
響はガングニールギアもあるし、そう簡単に死ぬようなことはないが
装者でもなく、異端技術に携わる技術者でもない一般人では、ノイズに触れれば即死してしまう
響に計画しなければならない
「移動速度は時速訳30キロ……車並み!?」
そのまま動き続けているため、車か何かで逃亡を試みていると思われるが
流石にノイズから逃げ切るというのは無謀だ
「響ちゃん、聞こえる?!」
通信を試みても不通
やはり無視されているのか、端末自体がどこかに放置されているということだ
「響ちゃん!」
何度呼びかけても通じない
もはや旋音にできることなどないというべきだろう
しかし
そこで諦めていては
ただ蹂躙されて死にゆく定めのモブとは違い、旋音には闘う余地がある
起動した自作プログラムがようやく動き、対ノイズ位相差障壁無効化機能をもった調律システムのなり損ないが発動する
シンフォギアに搭載されたそれは完成品であり、シンフォギアのフォニックゲインを流用する形で発動するが、統慈の作ったこれは未だ未完成
炭素転換までは無効化できず
物理攻撃を有効にするだけに収まり、レーダーのアンテナを流用しているのに対し
効果規模は半径約2キロと小さい
そしてこれを起動している時はアウフヴァッヘン波形感知レーダーとノイズ感知レーダー、その両方が使用不能に陥ってしまう
シンフォギアの位置は一応わかるが
だからといって本部の機能そのものを削ってまですることがこの程度に収まってしまうような失敗作を、それでも動かした理由は
「司令の物理攻撃が有効になる、それだけで十分でしょう!」
「司令!やっちゃってください!」
〈応っ!〉
現場に既に到着している司令が攻撃を行い、ノイズを少しずつだが潰していく
そして、1分が過ぎて
「まもなく効果時間限界です!
司令は退避してください!」
レーダーを利用した急造の流用品のため、あまり長く起動させていては回路が破壊してしまう可能性がある調律機能が安全装置の時間限界を迎え
その機能を停止する
同時にレーダーが復活した
「……響ちゃんっ!」
その直後、響のレーダーアイコンが高速で動き始める
先ほどの大型ノイズの反応はほぼ同じスピードで移動しているが、それを探すように大ジャンプを繰り返しているようで、レーダー上のアイコンが一定しない
「響ちゃん!お願いだから聞いてっ!」
ギアを展開している響になら
ギア装者の視界カメラと通信機能が使える
しかし、それにすら応答しない響
「どうにかしないと……!」
何度再接続を試みても同じ
街頭スピーカーをジャックするのは確実性が薄いし時間がかかり過ぎてしまう
着実に近づいて入るようだけれど
その距離はまだ遠い
せめて遠距離攻撃手段を有するギアならばともかく、響ちゃんのギアは格闘特化型
「こうなったら!
……
もうヤケと言わんばかりの勢いでシンフォギア強制励起、機能接続のコードを音声起動した
繊細かつ緻密な音域コントロールで正確にコードを辿った上で十分量のフォニックゲイン、そして向こうにこの旋律が届いていることが大前提だが
幸いにもそれら全てがクリアされ
「強制接続!響ちゃん!!」
「はっ!?……だれ!?」
「響ちゃん聞こえる!?応答して!」
「は、はい!」
無理やりに響と音声回線をつなげることに成功した
「角度修正正面、右2度、
着地姿勢は2.1.今!」
旋音の声と同時にジャッキを起動させた響が路面を踏み潰して跳躍
「そのままもう一度!すぐに大型ノイズが見つかる!」
「はい!」
そして響が未来を追いかけていた大型ノイズを撃ち抜いて撃破し
シンフォギアが解除されたことで通信接続も解除される
「……ノイズ全消滅確認……」
「すぐに捜索隊を出します!」
「一課に人員派遣を要請します!」
藤尭さんと友里さんが互いに事後処理を始める中、統慈はそちらには関われないため
席を外してその状況が落ち着くのを待つのだった……
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