戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー 作:魚介(改)貧弱卿
「ん、とうちゃーくっ」
フィーネが時間を切り裂いて瞬間移動した先は
二課の本部
正確にはそのエレベーターシャフトたる『カ・ディンギル』の中枢部だ
「それじゃー……はじめましょ」
繋いだコネクターから光のラインが走り、カ・ディンギルが起動する
聖遺物と同様の異端技術を持って作られた擬似聖遺物、その集合たる『複合擬似聖遺物構造体』であるカ・ディンギル
真の完全聖遺物であるデュランダルを核としながらもデュランダルの力に溺れぬ増強装置や収束機などを備えて山のような規模の砲身を伸ばすそれは、今まさに仮初の役から解き放たれ
真の姿を世に顕そうとしていた
「……流石に悪いかしらね」
右手に握られていた鎌の柄を離し
軽く動かした次の瞬間
そこにあったのは金の大剣
時間を切り裂いて保管先から持ってきたデュランダルだ
「んで……と」
炉心にデュランダルを据え付け
その機能を動かして
ソロモンの杖を構える
「まずは陽動を」
ソロモンの杖が呼び寄せるノイズは今回
大型の爆撃タイプと一般量産機に二極化した
「……特機部二もこれでサヨナラね」
「ノイズの反応を検知!ソロモンの杖によるノイズ召喚であると思われます!」
二課のレーダーが反応し、即座にノイズの位置を表示する
「位置は本部から東に7キロ、商店街周辺です!」
「よし、装者は2人共出撃!現場にヘリを回す、響君はそれに!
翼は自前のバイクだ!」
「了解!」「はい!」
2人は慌ただしく出て行き
統慈はレーダーに視線を釘付ける
それと同時に藤尭さんと友里さんのオペレーター2人がそれぞれのコンソールに向かい
司令はインカムを構える
避難誘導のために一課に連絡を飛ばし、別室でノイズのデータをより詳細に解析したりと色々と騒がしくなる室内
そして、未だに姿を現さない
「了子さんがいないのは何故ですか!?」
「櫻井女史とは何故か連絡が取れない!今は現場に集中しろ!」
「はい!」
ノイズの飛行型である『フラストノイズ』その上位機に位置する飛行型爆撃式、型式名
『ノイズ・クロスセイル』
大型ノイズの中でも特に戦い辛く、戦闘が成立し辛い敵である
そもそもこいつは動きが遅く、戦闘力自体はほぼない
しかしこいつはノイズ生産機構を体内に有し、常時小型ノイズの生成を行なっているため
実質的にこいつがいる限りノイズが無限に湧くといういわば移動工場なのだ
「Balwisyall Nescell gungnir tron」
無数のノイズが舞う空に
そして
「はぁっ!せいやぁっ!」
拳と脚を駆使してノイズを打ち砕く
ガングニール=響
さらに、刀を様々に変形させ
押し寄せるノイズの群れを次々に一刀両断するアメノハバキリ=翼
「装者両名、戦闘開始!」
「オペレーションスタート!」
慌ただしくギアのカメラや周辺の監視カメラまで使った状況の記録を始め
統慈もまたそれに追従する
騒がしい周囲の音をまるっきり無視して
自分の仕事を始めたのだった
「頭上を取られる事が、こうも立ち回り難いとは!」
「空飛ぶノイズ…どうすれば…!」
「臆するな立花!防人が後退れば、それだけ戦線が後退するという訳だ!!」
遠距離攻撃手段を持たない響は
バンカーによる反動跳躍でしか空中の敵に立ち向かう事ができない
翼の攻撃である『千ノ落涙』もこの数相手には多勢に無勢、かといって『蒼ノ一閃』では射程不足と連射できないという弱点が晒される
空中を悠々と飛ぶノイズ・クロスセイルを相手に、2人は完全に攻め手を欠いていた
「こうなったら!」
響が拳を握り
「まさか絶唱を使うつもりか!よせ立花!」
「違います……はぁぁぁっ!」
拳に収束するエネルギーは実体化せず
光のままに渦を巻く
「せやぁぁぁっ!」
エネルギーを拳に乗せて
そのエネルギーによる狙撃でノイズを数体纏めて吹き飛ばすした
「こうするんですッ!」
「……呆れる程の非効率な使い方だ」
「でもこれしかありません!」
〈よしなさい響ちゃん、無理をしすぎると体を壊す、それよりバンカーを使って衝撃波を飛ばす形にして見なさい
翼さんはすみませんが分割したアームドギアの投擲で少しずつ削ってください!〉
「了解だ」
「やってみます!」
無論統慈に戦術指揮など取れるわけは無いが、そんな自傷じみた攻撃の乱発を許すわけにはいかない
融合ギアはエネルギーの消耗を回復するために響自身の肉体を削いでいくからだ
そしてしばらく経つ頃
「全然減らない……」
「弱気になるな!常に勝利への道を見つめ続けるんだ!
幸いお前も私もリンカーを使わない正規装者、時間には余裕がある!」
編隊単位で突撃してきた尖兵に
響が突っ込んで連撃を入れ
その隙を狙った遠隔型を翼がシャットアウト
しかし戦闘のテンポは常に一定では無い
そこに絶対はないのだから
「翼さん!なんかおっきいのが!」
「分かっている!あれは……ギガノイズ!」
陸上型制圧式
汎用型の一般機の上位機に当たる格闘力の高い大型ノイズ、ギガノイズ
原作では存在しなかったが、ここでは現れてしまった
「くっ……やれるか立花!」
「はいっ!」
拳にエネルギーを収束させ
アンカージャッキを展開した響が飛び上がり
ギガノイズの拳に自分のそれを合わせるように殴りつけた
体の中心まで一気にブチ抜かれたギガノイズは炭と化して崩れ散るが
やはりその数秒とて穴が開けば防御が間に合わなくなってしまう
「まずいッ!ハァァッ!」
蒼ノ一閃を放ち、響をねらった空中のフラストノイズ群を討つも数は減らず
雲霞の如き機体数で今度は翼に向けて突撃してくる
大技を使った直後の翼には
それを迎撃しきるだけのフォニックゲインはもはや残されておらず
響もギガノイズの体を打ち抜いたばかりで翼のそばに戻れない
つまり、
「ぶっ飛べコウモリもどき!」
突然聞こえた口の悪いシャウトと共に
フラストノイズが打ち払われた
「何っ?!」
ダメージ覚悟でカウンターを狙っていた翼がタイミングをスカされてよろめきながらも視線を火線のもとへ向ける
「クリスちゃん!?」
そこにいたのは赤い鎧を纏った銀髪少女
間違いなく雪音クリスだ
「お前らの助っ人になったつもりはねぇ
アタシはアタシで好きにやらせてもらうぜ!」
いうが早いか連射するは4連砲身のガトリングガン、重量級の武装を振り回して空中のフラストノイズを相手に滅多打ちを始める
「オラオラオラオラッ!ぶっ飛べぇぇっ!」
トリガーハッピーか何かのように
嵩に懸かって撃ちまくるクリス
しかし、戦力は偏った側に補充されるモノ
クラスに群がるノイズが増えてきて
響がフォローに入ろうとするが、クリス自身がそれを拒むかのように全方位攻撃を行う
「クリスちゃん!」
「うるせぇすっこんでな!」
「一人で戦っているつもりか!」
「あたしはいつだって独りだ。こちとら仲間と馴れ合ったつもりはこれっぽっちもねぇよ!」
響を振り払うように攻撃を続けるクリス、その様子に対して怒声を上げた翼に
さらに大きな声で切り返す
「確かにあたし達が争う理由なんてないかもな、だからって争わない理由もあるものかよ!こないだまでやり合ってたんだぞ!そんなに簡単に人と人が…」
クリスの手を響が両手で取って、そっと包み込む
「出来るよ!誰とだって仲良くなれる。」
しかし、無理に爆発をすり抜けて急接近してきた挙句に戦闘中に的を集めて、しかも攻撃の手を緩めるような愚行をしたツケはすぐに支払わされる
飛行型爆撃式ノイズ
小型のフラストノイズに対して中型と呼ぶべき、人より少し大きい程度の翼鳥型ノイズ『ノイズ・グリュフス』が突撃してきたのだった
「立花っ!」
「ぇっ!?」
ずぱちゅん
そんな音と共に、ノイズ・グリュフスは空中でチリと化した
「……ふぅ……」
息をついたのは、緒川さん
「投擲術です、気にしないでください
僕は避難誘導に戻ります」
位相差障壁を無効化されているとはいえノイズ、その速度は尋常ではないはずだが
緒川さんはそれを的確にボールペンで射抜いて、そのまま去って行った
「……しゃあねぇ、一気にカタをつけるぞ」
「まさか絶唱を使う気か!?」
「バーカ!あたしの命は安物じゃねぇ!ギアの出力を引き上げつつも、放出を抑える
行き場の無くなったエネルギーを臨界まで溜め込み、一気に解き放ってやる!」
「だがチャージ中は丸裸も同然、これだけの数をする状況では、危険すぎる!」
先ほどまさに大技を空撃ちさせられた翼が反対するが
「そうですね、でも私達がクリスちゃんを守ればいいだけの事!」
〈イチイバル・ギアの照準補正はこちらで行います、ロックオンサイト提示
これより誤差修正を行う〉
響がクリスの前に立ち塞がり
唯一手が空いていた統慈がクリスのイチイバルに遠隔から接続する
誘導を担当する統慈に対し
クリスはいらん事するな、と言いたげな表情になるが、数百のスプレッドミサイルまで制御できるとは思わず、自力で制御するために集中する
(どいつもこいつも頼まれてもいねえ事を……こりゃ引き下がれねぇじゃねえか!)
MEGA DETH QUARTET
巨大な四連装ミサイルと二基のガトリング
そして廃部から展開した小型ミサイル
しかし、高まるフォニックゲインに危機を察知したか、ノイズ・クロスセイルが4体同時に大型ノイズを投下する
もはや爆発寸前のエネルギーに急かされ
まともに狙いも付けずにトリガーを引くクリス
もはやノイズ・クロスセイルを落としても大型ノイズを撃ち落とすことは叶わない
はずだった
〈……行きます!〉
各方面に飛翔したミサイルが一斉に外装をパージして、クラスター弾の如く拡散する針のような小型弾体を射出
それらは挙動・軌道を変化させるだけに留まらず攻撃の内容すらも変化して
飛行型遠隔系ノイズ『ノイズ・キロプテラ』を叩きつぶし、その体を貫通してノイズ・クロスセイルを爆散させる
そしてその瞬間
「ノイズ出現!位置……二課本部直上!」
友里さんの叫びが耳に届き、同時に
通信で響たちにも流れた
「急ぐぞ!」
「はいっ!」「クソがっ!」
シンフォギア装者達は、急ぎリディアンへと向かった
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