戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー 作:魚介(改)貧弱卿
「高レベルのフォニックゲインを使ったエクスドライブ……!」
フィーネがその現象に驚愕するよりも早く
その手に握られていたはずのグロウノスが無数の欠片に砕けて四散する
「ば、バカなっ!?」
攻撃を受けてすらないグロウノスが
負荷をかけた訳でもないというのに
ただ砕け散るなど有り得ない
「……やっと、戻ってこられた」
遙か過去より、クロノス神自身が干渉したのでもなければ
「統慈……!なぜ!
お前は過去に放り込んだはず!」
「三千万年前から帰ってきただけですよ
クロノス神の力を借りました」
統慈は炎の翼を脚から伸展させて水平に跳躍、そのまま戦場を離脱する
フォニックゲインの溢れ、エクスドライブの発動光でホワイトアウトしている視界にはほとんど何も写ってはいない
「どういうこと!何が起こっているというの!?一体これはなんなのよ!」
混乱しているフィーネを尻目に
エクスドライブによる新機能で飛翔したシンフォギア3色組は様々な解放された機能を把握していく
「みんなの歌声がくれたギアが、私に負けない力を与えてくれる。クリスちゃんや翼さんにもう一度立ち上がる力をくれる。歌は、戦う力だけじゃ無い。命なんだ!」
「バカな…ありえない!」
響だけなら、有り得なくはない
超高速の再生能力
人間には余る権能ではあれど、神殺兵装の巫女ともなれば握っていて当然でもある
だが、だからこそ
翼とクリスまでもがギアを再起動できた事実が理解できない
(んなこたどうでもいいんだよ!)
クリスはフィーネに対してテレパシーで答えた。
「念話までも…!限定解除されたギアを纏って、何が出来る!?」
フィーネはソロモンの杖から光弾を放ち、ノイズを召喚した。
(いい加減芸が乏しいんだよ!)
(世界の尽きぬノイズの災禍は、全てお前の仕業なのか!?)
念話による翼の言葉に
即座に同じ念話で応えるフィーネ
(ノイズとはバラルの呪詛にて、相互理解を失った人類が同じ人類を殺戮する為に作り上げた自立兵器)
(人が…人を殺す為の兵器…?)
しかし、その内容はおよそ理解しがたいものだった
(その通りだ、ノイズは人の業のカタチ
相互理解を失った人が人を殺すための原始兵器!
古のバビロニアの宝物庫は次元の扉が開け放たれたままでな…使用するコマンダーの居なくなってから三千万年、いまだに生産ラインは動き続けている、溢れかえったそこから迷い込む十年に一度の偶然を、私は必然と変え純粋に力としているだけの事)
「このようにな!」
念話を打ち切って巨大なノイズを召喚したフィーネ、それに対する響たちは
各々に巨大化した武装を手にして攻撃を始める
大型のギガノイズ
全身トゲだらけの大型格闘性能特化タイプ、
シンフォギアの影響で実体化してなお透明を保つ
大型ノイズの中でも飛行能力も格闘能力も持たない純然たる遠距離特化型、
そして高速移動を可能とした小型機、
さまざまな特殊型ノイズたちが呼び出されていき、次々に各々の能力で攻撃を始める
しかし、無意味
エクスドライブモードに入ったギアを前に、いかに種数を揃えたところで一般量産型の個体程度が勝てる道理はない
次々に撃破されていくノイズ
完全聖遺物の力で呼び出されたとは言えど『人を殺すだけの兵器』に『人を超えるための鎧』は貫けない
それを悟ったフィーネは驚くべき手段に出る
「……んぐぁぁっ!」
覚醒させたソロモンの杖
その力は『空間接続』と『王権』
ネフシュタンの鎧とは矛盾しない
砕けたグロウノスをそのままに
ネフシュタンとソロモンの杖の二つの聖遺物の強引な融合を試みたのだ
さらに、ノイズを呼び戻し
融合に不足したエネルギーをその素材で補っていく
「ノイズに飲み込まれている……!?」
「いや逆だ!ノイズを取り込んでいる!」
そして現れた姿は
もはやエンキ神の契約者たる夕暮れの巫女の姿とは思えない邪悪で害意に満ちたものだった
「来たれ、デュランダル!」
ソロモンの杖の空間接続の能力で倒壊したカ・ディンギルからデュランダルを回収したフィーネはさらに無限の力を手に入れ、己に取り込んだ二つの完全聖遺物にそのエネルギーを流し込む
「逆鱗に触れたのだ。相応の覚悟は出来ておろうな?」
その姿、黙示録に語られし赤き竜
滅びと邪法を体現する退廃の姿
バビロンの大淫婦ベイバロン
「やぁぁぁっ!」
「オラァァァッ!」
響とクリスが形態変化したベイバロン・フィーネに攻撃を仕掛けるが、
「無駄だ!いくら限定解除されたギアでも、所詮は聖遺物のカケラから作られた玩具!完全聖遺物に対抗出来ると思った大間違いだ!」
三つのシンフォギアに対して
三つの完全聖遺物を取り込んだフィーネは、単純な攻撃を無効化してしまう
無限の再生に無限のエネルギーを注ぎ込んで、いくらでも瞬時に再生できるのだ
「そこだっ!」
しかし、それは完全な無効化ではなく
あくまでも無限の再生による修復
一時的な損壊は起こり得る
翼が放った『蒼ノ一閃』によって胴体部、フィーネ本体が存在する位置に風穴を開けられ
それを即座に修復しようとする所をさらに攻撃していく
腹の風穴を閉じるべく展開してきたシャッターをレーザー砲によって焼き払い
堆く積もる触手の群れをマイクロミサイルが吹き飛ばす
デュランダルとノイズによる反撃に目もくれず
そのまま翼は穴の中へと飛び込んで
「デュランダルがっ!?」
そして
「勝機を逃すな!掴み取れぇぇっ!」
吹き飛ばされ
宙を舞ったデュランダル、クリスの拳銃弾がヒットバックでそれを浮かし
響が空中に躍り出て、掴み取った
「早く、こっちへ!」
グロウノスが砕けた直後
統慈は全力で戦場を離脱して
旋音の声に導かれるままにスクラップの塊と化したカ・ディンギルの元へと飛び込んだ
「君は……俺?!」
「そ、
私は……別の時間軸から、完全聖遺物グロウノスの力で時間を遡ってきたの
あの3人を救うために
でも同じ世界に同一存在が二つ以上は『在る』ことができない、さっきのグロウノスのようにね
片方はどう足掻いたって破壊される
だから、もうじき私も消える
その前に必要な情報を残すから、心して聞きなさい」
「……わかった」
「よし」
一拍、そして次の瞬間
怒涛の情報が溢れる
「フィーネはこの展開なら放っておいても倒せるがデュランダルによってベイバロンオプションを破壊した状態でフィーネが生存するとフィーネはネフシュタンのみを切り離して鞭を使って直接欠けた月の破片を地球に落下させようとするので必ず鞭又はネフシュタンの鎧本体を使用不能にする必要があるのと月の欠片の破壊は飛翔能力の都合上必ずシンフォギア装者達が行くことになるが装者達はエクスドライブ状態のギアでも出力不足となるため月の破片を再度微小片に破砕した時点で力尽きて帰還できずに大気圏再突入時に死亡するためそのまえに月の破片にメラム・ディンギルによる攻撃を加えて微小片にまで破砕してシンフォギア装者達を飛ばさせないようにする作戦が最善であると判断する
理解したな」
「了解、だけどそれより……
ソイツの方がいいだろ」
メラム・ディンギルのエネルギーはデュランダル由来のそれとはいえ
月の破片を全て破壊しうるだけのエネルギーを有するとはいえない
せいぜいカ・ディンギル1発分のエネルギーであり
しかもそれらは分散配置された砲身から散発的に発射されることになる
長く見ても大気圏が射程減衰を考えた時の限界になるだろう
「私の世界にはこれ一本しかなかったし
フィーネの方が所有していた完全聖遺物だったからこの状況は想定になかったわ
……何にせよ、うまくやりなさい」
そう言って、グロウノスを手渡してくる旋音
「わかった、君の無念は僕が晴らすよ」
グロウノスを受け取って
その瞬間
彼女の全身に極彩色の罅が走る
「そのまま迷わず……走り続けろ」
罅は砕けて、その姿はガラスの破片のように散って消えた
その残滓が空気に溶けて消えるのと同時に統慈は駆け出して、今まさにベイバロンを失って吹き飛ばされたフィーネのもとへ向かう
「死ね、フィーネ」
「……それだけ言えれば十分か
トージ、強くなった……」
首を切り落としてフィーネを殺した統慈は
そのままグロウノスを構える
大きく振りかぶって
「
歌でも、ことばでもない
それは確かに
「目覚める時、切り開く未来
生まれる全てに祝福を
死にゆく全てに祝福を
その刃の名はグロウノス」
深宵色の刃が輝いた
セラフェノ真言を自力で書こうとすると無茶苦茶な時間が掛かることがよく分かりました
もうしません