戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー 作:魚介(改)貧弱卿
「武装組織フィーネ……ねぇ」
それが本当にかつての個人『フィーネ』と同質の存在だとすれば
フィーネはいまだに転生をしていることになる
しかし違う
なぜならフィーネの魂は完全に
だからあの組織フィーネは個人フィーネとは何の関係もない
ただその名前を被っているだけの無関係な組織。
「とは言えないよな……」
これは統慈の肉体を形成する聖遺物がそれであるから起こった現象であり
これを説明するためには肉体自体が聖遺物という自身の秘密を暴露しなければならない
故に統慈はその説明を諦め
自分だけが無関係な存在であることを知っている状態に任せることにした
「例の宣言以降、テロ組織『フィーネ』からの要求があったが……日本を含む全ての国がそれを無視している」
「国土の割譲……でしたっけ」
「そうだ」
「……普通に考えてそんなの一国に要求すればいいだろうに、なぜ全世界に求めたのか
お互いで押し付けあって引き伸ばしまくることは想定外だったとでも言うつもりなのか?」
「それとも大使館みたいな小さな飛び地をたくさん作るつもりなんですかね?
そこを飛び回って身を隠すとか?」
「ぶっちゃけそっちの方が目立たね?」
エージェント達も紛糾しているが
残念ながら国土の割譲云々など、怪しげな組織が要求したところで誰も応じはしない
国連からの公式声明も要約すれば『せめて国になってから出直してこい』というものだ
「…………哀れな」
その様子を見ればさすがに統慈にも理解できた
つまるところ、あの3人は何者かにいいように操られているだけの傀儡に過ぎず
3人に適当な大義名分を吹き込んでこの惨状を起こしている何者か(おそらくフィーネ関連)が真の黒幕だ、と。
(どうしようもないぞこんなの、早速手詰まりか?……いや、僕は僕でできることを進めなくては……)
そこから数日、何の動きもない平静な世界がただ続いた
『フィーネ』がそれを崩すまでは
「……偽善者?よくそんなこと言えたな、その子」
「ど、どういうことですか!?」
なにやら落ち込んでいた響に尋ねてみると、ピンクの子からなにか言われたらしい
という話になって、そこから出てきたのがそのワード
『偽善者』だという
「その子は響ちゃんの事、なんか知ってるの?」
「えっ!?」
「その子の言うことは分かったよ
で、その子は響ちゃんの事を知ってるの?得意教科や出身地、年齢・体格とかのパーソナルデータ、両親の馴れ初め、生まれた病院と日時みたいな出生について、現在の家庭環境や精神状態、好き嫌いや健康状態、運動能力の数値、性格や好きな話題とか色々と
あのマリアとやらは芸能活動の上でスリーサイズを公開しているけど
そんな物で人を測れる?」
「えっと……その……」
「僕は職業上知ってるデータもあるけど、それが全てではないし絶対基準でもない
そんなことよりここで落ち込んでる響ちゃんとお話をしているこの時間のほうが余程重要で大切だと思う」
響は頭からなにかを吹き出しながら俯いている、どうやら情報量が多過ぎて負荷でオーバーヒートしたらしい
「だからね、響ちゃん」
「はい!」
「何も知らない他人に何を言われても、『そんなこと知るか』とでも言っておけ
繰り言も笑い飛ばせればそれでよし、だよ」
「はいっ!」
「あ、あとコミュニケーションを試みるのはいいけれど、武器振り回しながらじゃあ落ち着いて話せる訳ないから、ちゃんと落ち着いて話せる場所で、ね」
「はい!」
はいbotと化した響を置き去りにして
統慈は自分の研究室へと戻る
その時に切り札となったグロウノスは既に失われてしまっている以上、それだけは絶対に防がなくてはならない
そのために、万全の態勢を整えなくてはならないからだ
「……メビウスの腕輪とknight of nightsに隠されたプログラム
メモリの大半を使っているこの意味のないプログラムは……つまり、こういうことだ」
メビウスの腕輪は統慈が所有し、
かつてカ・ディンギルを形成していた核の一つ、短剣型擬似聖遺物、
「分割された意味不明なプログラムの欠片、knight of nightsの能力特性
メビウスの腕輪の特性と機能容量
それは全て、このために」
その二つに埋め込まれていたプログラムの欠片が
それが現れる
空中に描かれた光条によるプロジェクションマッピングは即座に実体化し
一つの擬似聖遺物を作り出した
「よしっ」
作られたものは紅い結晶を戴く獅子の頭を模した彫刻を有する指輪、『
それを掴み取って即座に指に嵌めた統慈は、何事もなかったかのように
knight of nightsをテーブルの奥に隠して、すぐにまた歩き出した