戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー   作:魚介(改)貧弱卿

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第54話 二期9話

「はーい、いらっしゃいませ〜

ミックスジュース、如何ですか?」

 

「おっ、じゃあ一本貰おうかな」

「ありがとうございます、

お代は200円になります

……フレーバー如何いたしましょうか?

『イチゴ』『レモン』『リンゴ』『ライム』『ミント』『メロン』『ブドウ』と各種取り揃えてございます、単品フレーバーも出来ますが、おすすめは『レモン+ライム』の“清涼(クールブルー)”と『リンゴ+ミント』の“爽快(スカッシュ)”に、『メロン+イチゴ』の“純粋(ピュアリー)”となっております」

 

旋音達のクラスでやっている出店はミックスジュース、フレーバーを混ぜる

いわゆる『ドリングバーで子供がはしゃぐアレ』の出店なのだ

無論、ちゃんと美味になる様な良い組み合わせをお勧めしている

到底飲めない邪悪な液体危険物(ダークマター)を生産する出店ではない

 

「えっと……おすすめのやつをもう一回」

「はい、おすすめは『レモン+ライム』の“清涼(クールブルー)”と『リンゴ+ミント』の“爽快(スカッシュ)”に、『メロン+イチゴ』の“純粋(ピュアリー)”となっております」

 

今度はすこしゆっくりと、より聞き取りやすい様に正確な発音を心掛けながら声を出す旋音

「ん〜じゃあレモンとライムのやつ1つ」

「はい、承りました、清涼(クールブルー)をお一つ、以上のご注文でお間違いないでしょうか?」

「はい」

 

「かしこまりました、しばしお待ちください、それでは失礼致します」

 

ファミレス店員のバイト経験から立板に水の勢いで言い切った旋音はそのままテントの方に行き

この日のために用意されている分量のわかる様になっているボトルにレモンとライムのドリンクを注いでマドラーで軽く掻き回す

 

「……よし」

 

ボトルに蓋をしてストローを添えた旋音は素早くそれを客元へと運ぶ

 

「お待たせいたしました、こちら清涼(クールブルー)となります」

「はい、ありがとう」

 

客の男性にとびっきりの笑顔を見せつけながらそっとボトルを手渡した旋音は

そのままの表情で一歩下がる

 

「ごゆっくり、この祭日をお楽しみくださいませ」

 

一言を添えて深くお辞儀をする

角度は30° 謝意を表す敬礼の角度だ

 

「おぉ……」

 

ちなみに、現在の旋音の格好は

クラシカルなメイド服

いわゆるメイドさんなのだった

 

「君……良いね……」

「ありがとうございます」

 

透明な笑顔と共に出店のテントの奥へと戻る旋音、上品なメイド服と美しい所作が伴うその姿に視線を釘付けにされている客

真実を知らないとは何とも哀れな事だ

 

(さて、二人との接触自体は成功したし、このまま午後まで待つか……)

 

旋音は頭の中で時間を計算しながらメイド服の皺を正して裾を伸ばす

このメイド服も了子(フィーネ)の私物として置いてあった物で、今回のイベントのために引っ張り出してきた秘蔵アイテムの一つである

了子は泣いて良い

 

「りんりん!こっちきてー!」

「え?ちょっと待っ」

 

ぐい、と唐突に引き込まれた先は隣のテント

B組のやっているそこに引っ張り込まれた旋音はそのままフラッシュに目を閉ざす

 

「何なんですか一体!?」

「えへへ〜ほら撮れた」

 

クラスメイトの言子(イイコ)が見せてきたのは唐突に腕を引かれて半分体制を崩した旋音の正面からの写真、あまり写りがいいとは言えない

能面のような貼り付けた表情をしている自分を見つめる旋音

 

「りんりんさぁー?今日ずっとこんな顔だよ?ほらほらスマイルスマイル!」

「私は超古代の光ではないのよ?」

「なあにそれ?さぁさぁスマイルだよ〜!」

 

そう、旋音は周辺事情を気にするがあまり、知らず知らずのうちに自分が楽しむことを忘れていた

だからこそ、今のままではいけないと思っている言子はそれを思い出させる為に一芝居打ったのだ

 

「まぁお仕事だし?いっぱい考えることあるもんね?でもこーいう時くらいは〜

みんなと一緒に楽しんじゃお?」

「……はぁ……お心遣い、というわけですか……ありがたいですけれど、せめてやり方は考えてください」

 

ため息をついた旋音に、笑顔のままの言子は黙して返した

 


一方、仮拠点を失ってしまったマリアとナスターシャ、そしてウェルは一つの部屋の中にいた

港湾の倉庫である

 

『マリアが力を使う度、フィーネの魂が強く目覚めてしまう。

それはマリアの魂を塗り潰してしまう事

そんなのは、絶対にダメ!』

 

『アタシ達がやるデス! マリアを守るのは、アタシ達の戦いデス!』

 

 

自分の為に戦う調と切歌の言葉を思い出す

 

「後悔しているのですか?」

 

ナスターシャが口を開く。マリアは首を横に振り大丈夫と言う。

 

「私は、私に与えられた使命を全うしてみせる。」

 

その瞬間、アラームが鳴り響き、ナスターシャがモニターを起動する

モニタリングされた映像には銃で武装した人間達が映った

 

「今度は本国からの追っ手ですか」

 

「もうここが嗅ぎ付けられたの!?」

 

そう彼らは米国からナスターシャ達を拘束する為に送り込まれた特殊部隊

無名無章のその部隊は紛れもなく『裏』の秘密部隊であった

 

「異端技術を手にしたとしても私達は素人の集団、訓練されたプロを相手に立ち回れるなどと思い上がるのは虫が良すぎます」

 

「ではどうするの?」

 

「踏み込まれる前に、攻めの枕を抑えにかかりましょう、マリア

排撃をお願いします」

 

「排撃って…相手はただの人間よ…! ガングニールの一撃をくらえば…!」

 

ナスターシャの排撃という命令に躊躇するマリア

いくら敵でも相手は人間だ。シンフォギアの攻撃を受ければ確実に死ぬ

 

「そうしなさいと言っているのです

ライブ会場占拠の際もそうでした

マリア、貴女はその手を血に染める事を恐れているのですか?」

 

「マム…私は…!」

 

二人は互いの目を見つめていた

 

 


「さぁ、そろそろお昼ごろですから

私は講堂の方へ向かいます」

「はいはーい、いってらっしゃい」

 

少し経ち、数十本のボトルを捌いた旋音はメイド服のまま歩き出す

行き先はもちろん単身楽団の下だ

そして、丁度そのタイミングで

クリス達と二人組が衝突を起こし、そしてステージへ向かう

 

飛び入りの外部参加枠ながらに高レベルな歌を披露した二人に、講堂全体からの拍手が注がれるのだった

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