戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー   作:魚介(改)貧弱卿

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第57話 二期12話

丸一日ぶりに女装を解いて髪をほどき、頭皮をガリガリかきながら思案する統慈

 

「さて……どうするか」

 

ここからの展開はおおよそ分かっている

①ネフィリム襲来

②絶唱

③未来=神獣鏡とフロンティア

 

本来ではこの流れになるはずだ、統慈も1から10までちゃんと知っているわけではないが

それ自体は把握している

しかし、だからといって未来誘拐を阻止することはできないし下手な手出しは最終話の全員絶唱に差し障る恐れがある。

 

「まずいな……」

 

今は本格的な介入は出来る場所が少なく、また強力な敵が牙を剥き出している状況だ

しかし焦ってはいけない

ここで焦れば罠に掛かる。

 

「よし」

 

統慈は頭の中の情報をまとめ、作戦を立て直していく。

 

「まずは……」

 

未来の情報を思い出しながら脳裏にまとめ、それらを具体的な案へと錬成していく

記憶を消費する錬金術だ。

 

「絶唱を減らす」

 

未来で起こる中で最も重要な影響を持つのが響の体内に存在する『奏のガングニールの破片』

それが響の肉体にもたらす影響は大きく、人の限界を超えた変異すらも起こしてしまう

故に、その侵食を抑えるため

少しでも響に掛かる負荷を減らさなくてはならない

そしてそのために最も手っ取り早いのが、とにかくシンフォギア を使わせないこと・フォニックゲインに接触させないことだ

フォニックゲインの極みであるシンフォギアの奥義、絶唱の発動を一回でも減らせればその後の負荷低減に大きな意味を持つであろう。

 


 

「それで、二人に決闘を挑んだ、と?」

「そうデス!」

 

「……あまりのポンコツ振りに頭痛がしてきました、ウェル、これをどうにかしてください」

「いやそれを僕に言われても……

とにかく二人とも、軽挙妄動は慎むべきです、僕らの取り得る手札は限られているんですから」

 

二人の博士はその優秀な頭を限りなく無駄に使うことになったが、オーダーはさっさと出て行き、その代わりにウェルが切歌に正対して諭し始める。

 

「それはわかっている」

「いいえ分かっていません、分かっていたらこんな馬鹿な事はしない筈です

あなた方はロクな勝算もない戦いを挑んで無茶をして、挙句敵陣に突入してよくもまぁ帰ってきたものですよ」

 

「それは……」

「なんです?」

 

切歌を黙らせたウェルはそのまま背を翻して部屋を去っていく。

 

「切ちゃん、帰ろう」

 

臨時拠点を構えたヘリに、静寂が戻った。

 


 

マリアの事件以降、突然のテロに対して社会は騒然としているが

それに対処しようと明確に動いている組織はたった3つ

即ち日本の特機部ニとアメリカのFBI、そして国連直轄インターポールの三組織

それぞれに思惑があり、日本は可能な限り早くこの事件を終息させマリア達を逮捕したニュースを大々的に流して株を上げようとし

アメリカは自分たちの面倒(FIS)を始末しながら日本への内政干渉を強めようとし

国連は日本から出来る限り金を絞ろうとしているわけだ。

 

「…はぁ」

 

ため息を着く、こんな面倒な裏事情なんて知りたくなかった。

 

「ん、どーした」

「クリスさん?」

 

自分のデスク(スチールの安い小型)で項垂れていると、突然後ろから声を掛けられる

振り返ればそこにいたのは小柄な長髪。

 

「いや、悩んでいることがあったんだ

ひとつだけの事なんだが、それがどうにも難しい」

 

「へぇ、なんだよ」

「出来る限り戦わないこと

実力行使に出ないことだよ、

我々は確かにシンフォギアという強大な実力を持っている、けれどそれを実際に運用するのは『それが出来る少女達』であって我々は特に関与しない

だからこそ、僕たちはその力を勝手な都合で振り回すようなことはしたくないんだ

でも世界はそう我儘に出来ていない」

 

ため息と共に吐き出す泣き言は、クリスの一言で流されてしまった。

 

「んな事で悩むなよ、アタシたちがバカみたいだろ」

 

「え?」

「『それが出来る少女』って言ったって、それだけじゃないんだぜ

態々努力してシンフォギアの使い方を勉強したのはなんのためだよ

ノイズ倒すためだろ

でもそれより先にやらなきゃならないことが出てきた、それだけの話じゃねえか

そんな事で一々躊躇すんじゃねぇ」

 

クリスは統慈の背中を叩き、もう一押し

 

「アタシ達はあくまでシンフォギアの装者であって、その力を振り回すことしかできない

だから冷静になって『力の使い道』を決めてくれるアタマが必要なんだよ、分かれ」

 

統慈の乱れ髪を更に掻き回す。

 

「アタシ達を使う事に躊躇はいらねぇからさ、ちゃんと使えよ」

「……わかった」

 

 

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