戦姫絶唱シンフォギア フロウレスエナジー   作:魚介(改)貧弱卿

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第8話、原作の足音

一瞬にして、カタがついた

ただ一人で全てを薙ぎ払って行くその姿はまさに剣…なのだが、

まだ彼女は相方を失っていない

つまりはコレが彼女の素という事なのだが

 

………それにしても強くないだろうか

「ドラクエの適正レベル倍オーバーみたいな蹂躙だった…」

 

統慈が引き合いに出したのは、1ターンキル連続で作業になるアレである

 

「お疲れ様、翼さん(ズバババン)

 

「あ、貴方は…?」

「最近二課に配属された…拍木統慈だよ

字が分かりづらいけど、

拍子木(ひょうしぎ)って書けばいいよ」

 

笑顔で歩み寄り、翼の手を取った

 

「お疲れ様、守ってくれて、ありがとう」

 

避難は済んでいるため

目撃者はいなかったが、

いかに年下に見える少年が相手であろうと

これはコレで悪質なメディアの手に掛かれば、もしや恋人!?とばかりにセンセーショナルなスキャンダルになりかねないネタであるので

 

翼はさっさと手を離す

 

「…うん、お疲れ様

遅れてごめんなさい」

「いいや、最速で駆けつけてくれたんだろ?なら遅いと責めるのは筋違いだよ」

 

統慈は軽く翼を励まし

被害者(すみのかたまり)の身元確認を図る

 

せめて最後に、

遺品だけでも届ける為である

ノイズに襲われた人は顔や体型で特定できるような状態の死に方をしないため

身元確認は難しいが

財布や免許証などから少しずつ身元を破り出そうとしていると、

 

「あとは我々が引き継ぎます」

「お疲れ様でした」

 

黒服の方々…

一課所属の現場検証班である

実働の方の担当である一課、情報担当兼、表に出やすい一課では扱い辛い兵器…シンフォギア運用によるノイズ駆除を行う二課

 

と分担している以上

やはりぶつかるところはあるようで

一課と二課の所属員がバッティングすると、まれに管轄外に口を出すなと諍いになるのだが

 

現場検証班や捜索員さんに限っては

シンフォギア装者など、

二課人員に接する機会が多い為

むしろ仲は良い方だ

 

「お疲れ様です…翼さんも」

「はい、お疲れ様でした…拍木さん」

「了解、お送りします

 

といっても、車使えないんで

緒川さん呼ぶんですけどね」

 

体を張ったジョークでおどけてみせる統慈だが、残念ながらタイミングも場所も良くない

翼の側もあまり笑える気分ではないようで、緒川さんが来るのを二人して待つ…必要はなかった

 

「もう着いてますよ、車回しましたから、最低限のガードは宜しくお願いします」

「了解」

 

統慈の声は明るいが、実際の表情は暗い

「最低限のガードって言われちゃいましたし、とりあえずは僕がお付きをやるんですかね…緒川さんと違って俺はニンジャじゃ無いんだけどなぁ」

 

「仕方ありませんよ、

あの人は次元が違いますから」

 

「あはは、っと、もう来ましたよ」

「はい、もう来てますよ」

 

背後の陰から出現する緒川さん

流石エリートマネージャーだ

 

「じゃあ後は僕がお送りします…何してるんです?統慈くんも来てください」

 

「えっ」

「何がえっですか、車使えるならまだしも、15歳の少年を放り出してなんかいられませんよ」

「…拍木さん、早く来てください」

 

翼さんからも言われてしまった

「じゃあ、すいません、お世話になります」

 

そのあと、流れで助手席側に乗って

一緒にリディアンの地下まで送ってもらった

 

「ぇぅぅ…まいかい…これだよ…」

「慣れないとキツいですよね、お疲れ様です」

 

(防人語じゃない翼さん…)

統慈にとっての翼さんは大体防人語の謎の語彙を振り回す人なのだが

現時点ではまだ防人に目覚めていないため、普通に女の子らしい口調をしている

 

いくつかの運命分岐を乗り越えれば

そのままの口調でXVまでたどり着くことも可能であるが、最寄りの分岐点は現状において

奏生存or死亡ルートの分岐であり

まだ当分先である

 

「死ねる…まぁ、頑張るんですけどね」

 

姿勢を直して深呼吸して

 

「あっ、コーヒー…買ってきたのに…」

 

ノイズによる突然のサプライズで無くしてしまった…こういう時は災害保険降りるんだろうか

 

(まぁ、仕方ない

正直に言おう…あと、まずは

司令にノイズの出現と現場に居合わせた人間からの報告があるからそれをやってかないと)

 

統慈は気を取り直して

司令室に向かった

 

 

 

翌日

 

「コーヒー買い直しかよ…当然だけど」

 

インスタントもついに切れたため

ショッピングセンターに再度購入に来ていた

 

「ついでにちょっと服も揃えないとなぁ」

 

この体は別段貧相と言うわけではないが、筋骨隆々というわけでもないので、普通にフリーサイズでいいと思うのだが

 

どうも了子さん曰く

自分の体に合った服を着ているほうが良いらしい

 

(うるせえよ裸族…なんて思っちゃいないがな)

1期にサービスシーン…という名の拷問を叩き込んだあのフィーネの助言なんて聞きたくはないようだ

 

「えっと、インスタントの奴とコーヒー豆の奴、両方指定されてるんだよなぁ」

 

どうもコーヒーにこだわりがあるようだ

 

目的のブツを買い終えて引き上げようとするその時、少女の泣き声がショッピングモールに響く

 

「……チッ!…」

 

統慈は軽く舌打ちしながら

騒がしく泣く少女に歩み寄る

「…おい」

「うぇぇぁぇぁ!」

 

「おい」

「ぴぃいぇぇぇん!」

 

「おい!」

「うぇぇぇぇええええん!」

「もう泣くなバカ!」

 

泣き叫ぶ甲高い声を止めるために少女の頭を押さえる

「何があったか、話せるか?」

 

統慈がいくら声をかけても

ますます泣き叫ぶばかりの子供に

人は遠のいていく

 

そこへ

「あの、大丈夫ですか?」

 

立花響(主人公)…参戦!

 

「うん、この子が泣いちゃっててさ

話を聞こうにも答えてくれないんだ」

 

向いてないのかなぁ…などと呟きながら後を任せようとしてそっと離れる統慈

 

その瞬間

 

「ん!」

突如泣き止んだ少女が統慈の服(青チェックの白いカッターシャツ)の裾を掴む

 

どうも離すつもりは無いようだ

「…仕方ないか…」

統慈は暗い表情で呟いて

無表情を作り直す

 

その間に響は少女の前に屈みこんで視線を合わせ

 

「えっと、お名前は?」

「…みらい」

 

少女から情報を得ていた

鳥居大路未来(とりいおおじ みらい)ちゃんね、うんオッケー」

 

なかなかぶっ飛んだ名前だった

 

「じゃあみらいちゃん、お姉さんとお兄ちゃんが一緒にお父さん探してあげるね」

「うん!」

 

その流れはあまりにも自然で

巻き込まれていることに気づかない程だった

 

「っておい!僕はどうして巻き込まれているんだ!?」

「一緒に探してくれないの?…」

 

目に涙を浮かべながらこちらを見つめる少女の声に屈した瞬間だった

そろそろ聞かないといけないんですが 主人公は絶唱しますか?

  • YOU絶唱顔晒しちまえYO!
  • いや…流石にドン引きです…
  • シンフォギアもどき使うだけなら…
  • ↑いやRNもあかんやろ

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