鬼狩り抜刀斎   作:チチオマコト

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キメツ一巻読み直したら炭治郎が母やのことを母ちゃんと呼んでることが判明。

完全に母さんだと思ってたのだが・・・


水と日輪の兄妹

 

 

 

 

 

 

 

「置き去りにしてごめんね炭治郎・・・」

 

 俺は暗闇の中、確かに母ちゃんの声を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ・・・」

 

 俺は意識を失ってたのか?

 一体どうして?

 

 俺は頭が回らない中、辺りを見回した。

 すると俺のすぐ横に禰豆子も意識を失った状態で横たわっていた。

 

「ね、禰豆子!」

 

 俺はそれを見て全てを思い出した。

 急いで禰豆子を抱きかかえて様子を見る。

 

「い、生きている・・・」

 

 口に竹製の枷を噛まされている以外に特に変わった様子はない。

 どうやらあの十字傷の剣士は禰豆子を殺さないでくれたみたいだ。

 

「あ!起きたんだ。大丈夫?」

 

「うわぁ!?」

 

 禰豆子の無事を確認してすっかり気が抜けてしまい、背後にいた誰かの声に驚きの声を上げる。

 

「ああ、ごめんね。驚かせちゃったね」

 

「え、い、いえ!俺の方こそ変な声を上げてしまって、すみません・・・」

 

 俺は背後の人物の方に向き直り謝罪して、その人を見る。

 その人は俺より年上だろうけど、とても可愛らしい女の人だった。

 服は十字傷の剣士と同じものを着ていて、更に頭には狐の面がつけられている。

 

「私の名前は鱗滝真菰。緋村さんから君たち二人のことは一通り聞かせてもらったよ」

 

「緋村さん?」

 

「ああ、彼名乗ってないんだ・・・十字傷のある緋色の髪の人のことだよ」

 

 俺は真菰さんから色んなことを教えてもらった。

 鬼のことや鬼殺隊のこと、更に緋村さんのことも。

 

 鬼というのは鬼舞辻無惨という鬼たちの始祖に血を与えられることでのみ増え、そして人を襲い喰らうということ。

 鬼殺隊はそんな鬼を退治することを生業とする剣士の集まり。

 そして緋村さんはそんな鬼殺隊の中でも当主を除けば一番位の高い”柱”と言われる階級の剣士なのだということ。

 

「鬼殺隊には幾つか隊律があって、鬼を庇ったり見逃したりすることは絶対の禁忌とされてるんだ」

 

「っ!なら緋村さんはどうして・・・」

 

「君の妹、禰豆子ちゃんは君が緋村さんに気絶させられた後必死で君を守ろうとしたんだ。自分が重度の飢餓状態であるにも関わらず」

 

「えっ・・・」

 

 俺はそれを聞いて禰豆子の方を見る。

 本当は長男の俺が皆を守らないといけないのに、俺は誰も守れず更には守られていたなんて・・・

 俺は悔しさに胸を締め付けられる。

 だがそれと同時に禰豆子がやはり心まで鬼に染まっていなかったことに、安堵し喜びを覚えた。

 

「それを見た緋村さんが禰豆子ちゃんは普通の鬼とは違うと思ったんだと思う。だから殺さずに私に事情を話して保護してくれないかって頼んだんだ」

 

「そうなんですね・・・」

 

 緋村さんが・・・

 俺の中でのあの人の印象が変わった。

 

「そして今君には二つの選択肢がある」

 

 そう言って真菰さんは真剣な表情で俺に語り掛ける。

 

「一つは君たち二人とも私と私の師匠の監視下で生活すること。禰豆子ちゃんの方は常に私たちの目の届くところにいてもらうから当然自由な時間なんてない」

 

 当然だろう。

 いくら禰豆子が心まで鬼になってないと言っても、今後もそうだとは言いきれない。

 そして鬼を殺すことを生業とする真菰さんたちが、自分たちが殺さずにいた鬼で誰かが傷つくなんて事態を起こすわけにはいかない。

 

「そして二つ目は君が鬼狩りの剣士となって禰豆子ちゃんと一緒に鬼を人に戻す方法を探すこと」

 

「俺が剣士に!?でも俺刀なんて握ったこともないですよ!」

 

「もちろん直ぐに剣士になれるわけじゃないよ。相応の鍛錬と試練を乗り越えないといけないから、命を落とす可能性だって十分にあるしね」

 

 真菰さんは、でもと続け

 

「強くなれば自分の手で今度こそ誰かを護れるかもしれない」

 

 そうだ。

 俺は・・・俺が禰豆子を護らないと駄目なんだ。

 最初の選択肢の方が確かに安全かもしれない・・・だけれども俺はこれ以上誰かに頼るだけなんて出来ない。

 

「・・・その表情、覚悟は決まってるみたいだね」

 

「・・・はい」

 

 今度こそ護ってみせる。

 禰豆子を護りながら人に戻して、家族の仇をとる。

 そのために

 

「俺は鬼狩りの剣士になります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は鬼狩りの剣士になります!」

 

 そう目の前の少年、炭治郎は力強く宣言する。

 

 緋村君・・・

 貴方の言う通りこの子は剣士の道を選んだよ。

 

 私がこの少年の下に来たのは緋村君に少し遅れてのこと、二人目の師であり直属の上官である義勇の命によってこの山近辺の調査を行っている最中に鬼に惨殺された一家を発見したのが始まりだ。

 私は急いで辺りを駆け回り、首謀者の鬼が居ないか探した。

 そして見つけたのが鬼の少女に刀を突き付けている緋村君と、その緋村君に向かって土下座しながら少女の助命を乞う少年、炭治郎の姿だった。

 状況は炭治郎の言葉から大体は理解できた。

 鬼の少女は少年の家族であり人をまだ殺してないこと、そして少年は少女以外の家族を殺されてしまったこと・・・

 

 私はすぐにその場に出ていくことが出来なかった。

 今まで多くの鬼によって家族や恋人などの大切な人を失ってきた人たちは見てきたけれど、家族を鬼にされた人を見たのは初めてだったから・・・

 本当なら少年をすぐに気絶させ緋村君と一緒に鬼になってしまった少女を退治するべきなのに・・・

 私は彼から家族を奪いたくないと思ってしまったのだ。

 

『ふざけるな!お前如きにいったい何が出来る!』

 

 でも緋村君はそんな炭治郎に向って容赦の無い言葉を発する。

 普段の彼からは考えられない怒声の叱責は炭治郎を追い詰め、そして鬼の少女に向けて刀を振り上げた。

 

『・・・恨みたければ俺を恨め。だがお前の妹を人喰いにせぬためにも俺は躊躇しない!』

 

 彼のこの言葉に私は息を呑む。

 私は此処から出ていけなかったのは覚悟が足りなかったから、例え恨まれても少年の家族を人喰いの化け物としてではなく人として殺す覚悟が・・・

 

 私はおそらく自分の家族、そして錆兎を失った時の自分と炭治郎を重ねてしまっていた。

 だからこそ殺したくないなどという鬼殺の剣士として恥ずべき感情を優先してしまった。

 

『うっ、うぁぁぁぁあ!!』

 

 そうして私が自分の甘さを恥じていた時、炭治郎は斧を持ち妹を護るべく緋村君に向かって駆け出した。

 

 無謀。

 そう断ずるしか他にない彼の行動だが、責めることは出来ない。

 私と違って度胸があり、何が何でも妹を護ろうとする覚悟があったから。

 

 だけども傍目から見て間違いなく戦闘の素人である彼に緋村君が万に一つも後れを取るわけがない。

 恐らく適当にあしらわれて気絶させられるだけ・・・

 

 そう考えていた私の目に次の瞬間驚きの出来事が映った。

 

『あぁァァァあ!!』

 

『う、嘘・・・っ!』

 

 明らかな身体能力の強化。

 それは間違いなく全集中の呼吸によってのみ引き出される力。

 

 

 "龍の呼吸 肆ノ型 龍巻閃"

 

 でも緋村君はそんな彼の強化に何ら関係なく、あっさりと返し技での峰打ちで彼を気絶させた。

 

 多少の驚きはあったが結果的に予想通り少年は気絶させられて後は鬼の少女のみとなった時、少女は緋村君が技を放ったことで緩めてしまった拘束から無理やり抜け出してしまった。

 そのまま炭治郎の下に駆けた少女を見て私も飛び出しそうになる。

 だが今から私が飛び出しても間に合わない。

 少女の鬼は鬼化して恐らく間がない、更には傷も負っていることから見てまず間違いなく重度の飢餓状態にあるはずだ。

 故に少年が彼自身の妹の手によって殺され喰われてしまう未来を想像して目を背けそうになるが、そこには今日二度目の驚愕の事態が起きていた。

 

 少女は兄を喰らうのでなく、まるで庇うかのように緋村君との間に立塞がっているのだ。

 そして少女は威嚇を交えながら緋村君に跳びかかった。

 

 鬼に変化したばかりの者は総じて知能が低下してる場合が殆どだ。

 しかし人であった時以上に本能や直感などは研ぎ澄まされる。

 彼女は緋村君が自分よりも遥かに強いことを理解している筈。

 

 にも関わらず彼女は緋村君と戦おうとする。

 自分の兄を護るために・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後緋村君によって鬼の少女禰豆子ちゃんも気絶させられ、兄妹揃って雪の上で意識を失っている状態となってから私は彼の下に近づいて行った。

 

『・・・随分と長い様子見だな』

 

『やっぱり気づいてたんだ』

 

 彼は兄妹から視線を逸らすことなく私に語りかける。

 

『まぁいい。それより頼みがある』

 

『・・・一応聞くけど、何かな?』

 

『この兄妹の面倒を見てやってくれ』

 

 やはり私の想像通りの言葉が彼の口から出てきた。

 

『いいの?鬼を見逃す、わかってると思うけどこれは重大な隊律違反だよ』

 

『ああ、わかってる。責任はすべて俺が取る』

 

 彼はそう言って私の方に振り返り

 

『本来はこんな事お前に頼むべきことではない、だが俺が面倒を見ようにも任務でそうもいかない』

 

 だから頼む。そう言って緋村君は私に頭を下げた。

 

『・・・わかった。この二人は私の方で何とかするから、緋村君はお館様に報告しておいて』

 

『・・・助かる』

 

 緋村君はどこか安心した顔をしながら顔を上げる。

 

『でもこの子が鬼殺の剣士になるかどうかは保証しないからね。私もそこは無理強いする気はないし』

 

『ああ、俺もそこは本人の意思を尊重したい』

 

 彼はどこか悲痛そうな顔をしながら、だがと続け

 

『この少年は刀を握るだろう・・・そう思えてならない』

 

 彼はそういうと二人が目を覚ます前に山を下りた。

 

 炭治郎と直接対峙した彼は理解したんだと思う。

 少年の真っ直ぐさに。

 そして意志の強さに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 いやー覗いてたのが真菰ちゃんでよかったぁ~~

 これが冨岡さんだったらコミュ力の低い俺じゃ上手く話しが纏まんないもんなぁ!

 

 真菰ちゃんには申し訳ないけど、あの兄妹のことは丸投げして俺はとっとと下山!

 

 

 なんか最近抜刀斎感なくなってきてる気がするから、街行って飯食ったら鬼狩ってカッチョよく抜刀斎ロールプレイを決め込むべ!!

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 本当に残念極まりない男である・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




真菰ちゃんのキャラがわかんねー

でも冨岡さんのキャラもよくわかんねー
天然ドジっ子とか難易度高すぎ

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