C.A.M.P.とスティムパックがvault-tecからの贈り物として配布され、ついに扉が開く。
暗転した空間で黄色の回転灯が回り、ブザーか鳴り響く。よくメンテナンスされたヴォルトドアはロックをはずされ、内側に引き込まれるとベルト型のラックの上を転がって右へスライドする。
秋色の山々が晴れた綺麗な空をバックに連なっている。風に揺れる音が耳に心地よく、昂った心を落ち着かせるように働いた。とても核戦争後とは思えないほどに穏やかなまた懐かしい風景に見惚れる。
-家に帰りたい-
そう思った爺はフラットウッズの方面へ目を向ける。ヴォルトに入ることが決まった彼を見送ってくれた同僚たちと、最後に飲んだ教会前の小さな酒場を思い出して涙が流れた。
空を鳥が飛んでいるのを見つける。
あの鳥のように空を行ければ、眼下には懐かしい風景がいっぱいに広がっているに違いない。
<さぁ!皆さん、アパラチアへ旅立ちましょう!監督官さまの記録が彼女のC.A.M.P.で確認できることでしょう。>
感傷に浸る爺のすぐ真横で事前に野外待機していたファームハンド、ペニントンがそう言った。驚いて飛び上がった爺へカメラを向けると暫く見つめたのち、
<いかがしましたか?Mr.ブラッドリー。>
と平然と声をかけるのだ。
「いッ、いやなんでもない。」
動揺をなんとか抑えて答える爺を横目にハルロが切り出す。
「それじゃ、俺達は監督官の後を追う事にしてるからな。彼女のC.A.M.P.に行く事にするぜ。」
階段を降り始めるハルロを追って
「まぁ、先ずは監督官のC.A.M.P.へ寄るのがいいんじゃないかな?彼女の所で作業台なりなんなり使えるだろうし、そうすれば一先ずの方向性も決まるしね。」
そうウィリアムがつづけて後ろへ声をかけると2人に続いて他のパーティも階段を降りて行く。
「わたしたちはどうしましょうか?」
車椅子から見上げて訊ねる。
「...うん?、あぁすまんすまんっとそうだな...」
「こういうときは周りを探索するのもまた手では?」
とスチュワート。
「僕もそう思いますアダム先生。」
ハヤトもまた同意見だ。
「それじゃあそうするとしようか。」
ハヤトは右手の階段へ降り、アリサカは車椅子にストッパーを掛けて待っている。爺とスチュワートは正面の階段を下って死体を漁る。
「マリア・チャベス...誰だ?レスポンダーとは?」
「Vault 76外での生存者であることは確かですが...彼らの組織でしょうね。善いか悪いかはわかりませんが。」
「まぁ名前からして町を統治するとかそんなものだろうな。」
「町内会...ではなきにしろそれベースではありそうです。」
「アパラチアに核が落ちたのかは分からないが、政府が正しく機能しないとなれば町や職場の繋がりが重要になるからな。ありうる話だ。」
「あちらにも誰か...死んでいますが。」
「ふぅむ?またさっきと同じレスポンダーか。」
爺は死体のベルトに挟まった錆びたマチェーテを手に取る。
「...血の跡だな。」
「狩りなのかそれとも...」
「争い、か。」
そう話すうちにふと左手に倒れた見慣れたロボットを発見する。
丸みを帯びた大きな胴体が草むらからのぞいていたのだ。
「ん?プロテクトロン...?」
「...関節部に焦げ付いた穴が空いていますね。」
「レーザーか?実弾ではつかない弾痕だな。」
爺が不吉な予感を感じたその瞬間、スチュワートの足元に赤い光線が着弾した。その射線の先には 薄いグリーンの頭部に赤い星形のレーザー照射機、多脚の小型ロボットが崖上からバラバラに多数降りてきた。アメリカでは見ないデザインに特徴的な赤い星形。
「これは...共産圏の戦闘ロボット...ッ!」
崖から降下し終えたものから次々にレーザーを照射する。が幸いな事にあまり定まらず威力が低い。
「スチュワート!離れろ!」
「ッ!わっわかりましたッ」
照射しつつ距離を詰めにかかる戦闘ロボット。
「だが、都合がいい。」
降下が同時ではなかったために列を成して距離を詰める。前方の味方へ誤射しないように後ろがあまり撃たないので、前から順にマチェーテを振り下ろす。左上から右下へ振り下ろすと錆びて脆くなった脚が折れ、頭頂部の天板が割れて内部回路を破壊した。
「脆いな。」
流れで右上から左下へ振り下ろせば頭部を斜めに切り裂き、そのまま振り切って飛ばす。
「ハァッ...まだいやがる...ッ 老人に寄って集りやがって!」
残り2台の戦闘ロボットを確認したとき、左後方では鈍い銃声が3発鳴り響いた。
「なッ その方向にはハヤトとアリサカが...!あぁくそ!急がねば。」
考える間に距離を詰めたロボットは戦闘ロジックに従って左右へ展開する。そのうち左へ展開したロボットを正面に捉え、一気に踏み込んでマチェーテを振りかざす。が右のロボットがレーザーを照射、それが運悪くも右脇腹に着弾する。
「ぐッ うぅぅっ」
熱さが伝わるがさほどの痛みはない。
そのまま振り下ろした鈍い刃は天板に入るが、攻撃を食らった影響でブレて切り裂くまでは至らずされども大きく歪んで行動不能に陥った。
右を向くと次射に入り赤く発光したロボットが
——鈍い銃声音と共に撃ち飛ばされた。
銃声の先には歪な銃を持ったハヤトが構えを解いてこちらに安全を知らせている。
「無事ですか?アダム先生。」
「あぁハヤト君、見ての通りピンピンしとるよハッハッ。」
車椅子をアリサカに衝撃が行き過ぎないように若干持ち上げてハヤトがこちらへ降りてきた。アリサカの方は心配気に声を掛けているが、ハヤトの方は微笑みで返している。
「さっきの3発の銃声は君だったか。」
「えぇ、階段を降りる手前の死体の側にあったので拾っておいたのですがまさか直後に役立つとは思いませんでしたよ。」
「ハッハッハそれは幸運なことだ。弾もそれが持っていたのかい?」
「はい...死体を漁るのにも慣れないとですかね?銃はハルロさんのおかげで扱えましたが。」
「うぅむまぁそうかもなぁ。まぁ極力おれとスチュワート君で拾うようにするが。」
「分かりました。」
「いやはや2人とも良く戦えますね...。」
ベンチの向こうからスチュワートが姿を現した。
「ハッハッハッハ、とはいえスチュワート君でも銃は扱えるだろう?また銃が手に入れば君にも持たせて戦ってもらうさ。」
爺がにこやかにそう言い放つ。スチュワートは「うはぁ...」と反応する。
「アリサカ君はうぅむ戦うべきではないが、ハンドガンの類が手に入れば...」
「わたしは...ライフルとかでも扱えますよ?」
「ハッハッハいやなに、前衛ではなくて自衛としてさな。」
車椅子から気持ち身を乗り出して
「ッ、でっでもわたしも何かお役に立てればと」
「むぅぅ、そうはいえどもなぁ。」
「じゃあ姉さんは物資とかスティムパックの予備とかを持てば良いんじゃないかな?」
「成る程。それならばアリサカ君に任せようか?」
「ナイスアイデア、ハヤト君!」
「...っでも...」
「姉さんが怪我をしたら嫌だしさ、ね?」
「っ......そうだよね...わかった、ごめんね。お姉さんなのに我がままで。」
「別にいいよ。」
爺とスチュワートは2人の会話を微笑みでもって眺め、話終わったタイミングで爺が口を開く。
「まっそういう事だ。だいぶ遅れを取ったぞ急ごうじゃないか。」
戦闘描写のテストというわけでございます。
とはいえ本作は爺が他数名を連れてアパラチアを歩き回る話ですのでゲームストーリーを拾うわけではなく、当然の如く省かれたりつなぎ合わせたりして織りなされます。
誤字報告、感想などお待ちしてます。
—2019.11.22: 不足を発見したので加筆—