僕っ娘シャルロットちゃん   作:佐倉sep

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はじめましてIS学園

 インフィニット・ストラトス、通称ISと呼ばれるソレは10年前に開発されて以降急速に発展した。核に代わる抑止力として扱われる程だ。

 そんな『兵器』が、最近では『スポーツ』として世界中から注目されているのだから、世の中はよくわからんね。一説には女性にしか扱えないことが原因だなんて言われたこともあるけど、そんなことを言い出したやつは女権団体に消されたらしいよ。

 さて、なぜISの説明をしたのか。それは私がこれから通うことになる学校がISを専門として扱っているからだ。

 IS学園。ISの核となるものが世界で467しかなくとても貴重であるが故に創られた、世界で唯一のIS関連の教育のための学校である。なんと治外法権である。

 そんな学校に私は今日から通うのだ。しかも編入という形で。

 これから苦楽を共にしていくであろうクラス、一年一組のドアの前でこうも緊張しているのは他でもない。

「初日から遅刻はやらかしたな……と」

 私は思うわけですけどね、はい。諦めて入りましょうか……。

『入れ』

 ノックをすると中から聞こえてきたのはよく通る女性の声。扉越しなのに怖いんですけど、脚震えてんですけど。

「……失礼します」

 扉を開け、私の目に入ってきたのは2人の女教師、そこらにひしめく女子と二人の男子。……ん?二人?

 私の記憶では男性でISを操縦できる者はたった一人だったはずだけれど、目の前には二人の男子。ちょっとどういう事?説明してくださいよ、織斑先生。

「どうした?はやく自己紹介をしろ。お前が遅れて来たせいで時間が押してる」

「あ、はいすみません。……どうも皆さんはじめまして。フランスから来ました。ルナ・ヴァーリです。代表候補性ではありませんが、一応専用機は持っています。一年間よろしくお願いしますね?……えっと、織斑先生。そちらの男子は?」

「時間が押していると言っただろ?休み時間にでも本人に聞け」

「……了解しました」

 遅刻した私が悪いのでね。

「さて、早速授業を始める」

「よろしくお願いします!」

 織斑先生が教壇に立つとざわざわと騒がしかった生徒達が一斉に静かになる。

 長い黒髪に切れ長の目、スーツに包まれた体はまさにボンキュッボン!美人の見本のような姿からはブリュンヒルデという二つ名に違わぬカリスマ性がひしひしと伝わってくる。

 ……これが副担任である山田先生じゃあこうも行かなかっただろうなぁ。

 背も小さく童顔な山田先生は穏やかな笑みで織斑先生の授業を聞いている。しきりに頷いたりしているし、随分と慕っているのだろう。

 あとおっぱいめっちゃでかい。

 

 

 そんなこんなで何事もなく休み時間になり、私は早速とばかりに男子二人に近ずいて行く。

「ちょっといいかな二人とも?」

「ん?えっと……ヴァーリ、だったか?何の用だ?」

「ああ、うん。悪いね、二人と言ったけれど実際用があるのはこっちの男の子だけなんだ。借りていってもいいかな?織斑くん」

「お、おう。シャルルがいいなら……」

 対応してくれたのは織斑くんの方だった。身長は高くなかなかにガタイがいい。顔は姉である織斑先生の面影を残しつつも、彼女よりも随分と温厚そうだ。っていうか織斑先生には温厚の欠片も感じられない。

「シャルルくんか、ちょっとお話したいんだけど大丈夫かな?」

「うん、大丈夫だよヴァーリさん」

 私の誘いに快く応じてくれたのは、二人目のISが操縦できる男性であるというシャルルくん。長めのブロンドにアメジストの瞳。幼さを感じさせる顔は庇護欲を掻き立て、華奢な手足と小柄な身長に合わせ、その紳士的な立ち振る舞いはまさに王子様だなんて呼ばれそうな見た目だ。

「ありがとう、じゃあ行こうか」

「え?行くって、どこに?」

「二人きりに慣れる場所に」

 そんな彼を連れ去ろうとしている私はまるで魔女だね?




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