GE世界で生きる吸血鬼生活日記 作:クイン・カナリア
また、続きはない。
ゴッドイーターとコードヴェインのクロス物流行らせて♪
私は書いたぞ(迫真)
出来は察して()
3ヶ月と12日目 吹雪
日記を拾った。この世界では娯楽というものが少ないので、暇つぶしに書いてみようと思う。ちなみにペンはぶっ壊れた車の中から拝借したよ。
まず、もし万が一この日記を読む人がいた場合のために自己紹介でも書いておこうか。っというか、それ以外何を書けばいいのか……やっぱり陰キャに日記は難しい。
そんなことはどうでも良くて。
俺の名前はカナリア。以前は○○ ○○って名前だったけど……あれ文字化けするな? ……世界の修正力か? まいいや。
以前はって言うのはちょっとした事情がある。非現実的で物理的、科学的ではないけども――――俺は転生者だ。テンプレのように神様には会わなかったけれど、死んでいつの間にかこの世界で別人として生き返ってるのだから転生で問題ないだろう。ちなみに多分憑依者でもある。
憑依先は……なんて言うのかなぁ。
この世界にはアラガミという存在がいて、それに対抗するゴッドイーターって人たちがいるんだけれども。そのゴットイーターと似て非なるもの、と言えばいいのか。
矛盾してる? そりゃそうだ、だって正真正銘この吸血鬼は死んでから生き返っているのだから。心臓を破壊されなければ粒子化し、飛散後再形成されることによってほぼ不死を体現している存在。
まぁ、俺はそれのちょっと特殊なやつに憑依してしまったんだ。だから転生と憑依。
こんな所かな、たぶん。何分にも日記を今まで書いたことないから初日かけるとしたらこの程度。初めてにしては書いたほうじゃない? 褒めろ。
3ヶ月と13日目 吹雪
アラガミうまうま。
昨日書き忘れたけど、俺はアラガミを捕食することが出来る。いや、正確には吸血かな?
攻撃も出来て尚且つ腹も満たせる中々良い装備だ。どういう原理か、大体自分の意思通り動かせるし。
それを使ってアラガミをぶち殺すことが出来るわけ。ちなみにこれに気付いたのは転生4日目の時かな。以来便利だから多用してる。
正直、武器類は結構持ってるけど、吸血牙装の利便性が高すぎて……ねぇ?
アイヴィ型って呼ばれるものがあるんだけど、それを使ってこっそり地中からグサッて殺るのが
あぁそうそう。武器って言っても別にゴッドイーターが使う神機ではない。なんて言うか、これも原理はわからんけど自分の体内に粒子化して武器とか防具を保存出来るらしくてね。その中に吸血鬼御用達の吸血機構がついた剣とか槍とか斧とか銃剣とか入ってるんだ。
それを使ってサクッとやってる訳よ。
最初の頃は前の身長と今の身長が噛み合わなくて、更にいえば力の制御とかもままならなくてねぇ……苦労したもんだ。人間死ぬ気でやれば3ヶ月で超高速戦闘とか出来るようになるんだね。今は吸血鬼だけど。
3ヶ月と14日目 吹雪
はいどーも。今日も今日とて目に付いたアラガミをチュウチュウしてぶっ殺して斬りつけて刻んで細切れにする刺激的な生活だったよ。
――――うん、だった。過去形だ。
何があったかって言うと、なんて言うんだろうなぁ……子供を拾った? 助けた? 感じ。
この世界では珍しくもない親無し家無し子の姉弟。名前はリンドウとツバキって子。飢えて
家の影の隅、一、二人が縮こまって漸く入れるような隙間に身を竦め抱き合いながら居たのを発見した。
まぁ? 無視してもよかったんだけどぉ……正直さ、3ヶ月ほぼ1人で生きてきてて寂しかったから保護した次第。1人2人だったらまぁ平気だし。
日記と同じく車の中に放置されてた保存食与えて餌付けしたらすごい懐いてきてくれて……ふふっ、なんていうか、その……嬉しくなっちゃいましてね……。まぁ、顔にはそんなの微塵も出ないんだけど。澄ました顔しやがって。
とはいえ、俺一人でこんな物騒な世界の中2人をずっと保護できる訳も無し。落ち着いたら人が集まってそうな場所に連れていこうと思う。大体の心当たりはあるし。
3ヶ月と15日目
子供って凄いな……うっかりツバキとリンドウの前でうっかりアラガミ吸血しちゃったんだけど、ツバキはちょっと訝しむだけで追求せず適応しちゃうし、リンドウはすげー! かっけー! って詰め寄ってくるし……おじさん(今は女だけど)そんな無邪気な反応されたら……もっと見せたくなっちゃうじゃないか……って訳でアイヴィ型だけじゃなくハウンズ型とか色々見せた。祈る者のショールが二枚余ってたから二人ともにあげちゃった。
こう、お近付きの印的な感じで……いやだって! だってさぁ! しょうがないじゃんしょうがないじゃん!! こいつらくっっっそ可愛いんだぞツバキはちょっと強気で言い方もキツイけどリンドウと話してる時にふと見せる笑顔とかさ! 多少なりとも警戒してる感じだけどちょこちょこ着いてきてくれるところとかさ! リンドウなんかもう物怖じせずにずかずか来てでもきらっきらした純粋な目で見つめてくるからさ……守りたく、なっちゃうじゃん?
……って、俺は何に対して言い訳してるんだろうな?
とりあえず言えることは、子供は天使だなと。
3ヶ月と16日目 吹雪
我ながら馬鹿だなぁと思う。
――――この世界に来て初めて人の目の前での死を経験した。
たぶん、気が緩んでたんだ。慢心してたんだ。今まで一人で大丈夫だったから、少しくらいなら二人お守りしてても平気だなんて。
二人を庇ってコンゴウにぶん殴られた時のあの二人の顔が忘れられない。呆然と、何が起こったのかわからないような表情で俺を見てたあの目が……。あの二人は大丈夫だろうか……幸い、粒子化する前にアイヴィで殺したし、近くに人の匂いがあったから、運が良ければ保護してもらえると思うけど……。
もし保護してもらえてなかったら、なんて考えたら……ダメだな……。
……にしても、この死の感覚は慣れない。一歩間違えれば心臓潰されて消滅していた可能性もあるわけで、改めて考えると怖い。
たが、怖いからと言って行動しなければ堕鬼に堕ちてしまう。……まったく、やっぱこの世界は地獄だなぁ……。
……。
……一度だけ、人の中に紛れようとしたことがある。
一人は寂しい。一人は嫌だ。死にたくない……そう考えて、人が集まるところへ行ったこともある。
でも、ダメなんだ。違うんだ。俺は吸血鬼で彼ら彼女らは人間なんだ。姿形は似てるけど全く違う。渇くんだ。本能が、体が。一人二人ならまだ平気だけど、両手で数えきれない人がいて、微かでも血の匂いがしたらその人達がまるで餌や食料のようにしか見えなくて――――。
だから俺は、この3ヶ月間1人で過ごしてた。
恐ろしかったんだ。人間が食料に見えるようになってしまったら……それはもう、人という残滓を残さなくなったバケモノになってしまうかのようで。
3ヶ月と18日目 吹雪
……ナーバスになってたんだなぁって(賢者タイム)。
死んだから動揺したのかな。かれこれ何度かは死んでんだけど……ま、慣れないものはしょうがない。
っと、そうそう。俺が死んだあとちゃんとツバキ達は保護されたみたいだった。彼女らの血の匂いはしなかったし。
それだけはちょっとだけ嬉しい。……トラウマになってないといいんだけど。本当に。
4ヶ月と1日目 快晴
ずっとアラガミばかり喰ってたからだろうか。なんか、身体が変化してきたっぽい?
真っ赤だった目が右目だけ青くなってて。多分これ身体能力も強化されてるな。練血――――堕鬼の血を吸い蓄えることによって使える魔法のようなもの――――の保有量が格段に増したし、威力も比べるべくもない。再生能力もずば抜けていて切り落とした次の瞬間には腕が生えてるレベル。
血への渇望も感覚的に少し納まったみたいだし……まるでクイーンのような……まさかね。
俺が憑依したこの体はクイーン……数多の人を殺し、討伐され、封印された憐れで哀れな吸血鬼。
元々は血への渇望をどうにかしようとしてその実験の果てに暴走してしまったひとりの少女。その能力にどことなく似ているような気がする。
……気のせい、ということにしておこう。
4ヶ月と23日目 晴れ
最近眠ることが多くなった。何故だろう? 前はアラガミさえ血を吸いがてらぶち殺してれば不眠不休で動けてたんだけど……やはり何かが変化したのだろうか。
とはいえ、これ自体に不都合は……まぁ、万が一寝てる時に襲われたらという不安がない訳でもないが、それ以外に不都合はない。この世界で生活を初めて睡眠なんて当たり前のことを忘れかけていた俺にとってはちょうどいい事なのだろう。気分転換にもなるしね。だからといって何もしない訳では無いが。
――――という訳で。
アラガミが食べ残したビルの中に生活圏を築いてみた。
ボロいソファ(座れないことも無い)にボロいベッド(眠れないことも無い)、ボロいテーブルとボロい椅子を適当に調達してきて適当に置いた簡易的なものだけど。電気は無いし、火も夜に使えばアイツらが寄ってくる可能性もあるため焚けないけど、まぁまぁの出来だと思っている。
惜しむらくは娯楽もないところだけど、目を瞑るしかないな。こんなご時世だ、娯楽なんてあり付けるのは上流階級の人間かゴッドイーターくらいだろう。俺はどちらでもないし、ともすれば平行世界からのインベーダーと言われても否定できない存在だから、このボロっちい部屋に家具が妥当なところなのだと思う。
そう言えばヴァジュラを見かけた。思ったよりも弱くて拍子抜けだ。……もしかして原作、始まってないのだろうか?
4ヶ月と24日目 曇り
甘味が食べたい。この際文句は言わないからガーリックチョコフレークでもいい。お菓子が食べたい。
底辺の人並みの生活をしだしたからか、どうにも人間的欲求が強くなってきてる気がする。
こんなことになるならベッドとか調達しなければよかった……家具とかがあるからこんな気持ちになるんだ。過ぎたことは仕方がないとしても、そう思わずには居られない。今更ベッドなどを捨てるなんてことは、早くも夜寝て朝起きる時間が至福であることを考えれば不可能に近い事だ。というかむり捨てたくない。しかしお菓子も食べたくなってくる……いやゲイシャヌードルとかもいいな。あの甘美な味は記憶にこびり付いて離れない。…………流石に贅沢が過ぎるか、それは。
……しかし……アラガミってどんな味なんだろうか……いや食べないけども。
食べないけど……味、ちょっと気になるよなぁ……。
4ヶ月と26日目 雨のち曇り
夢を見た。白髪の女性が、玉座のような場所に座っている俺にずっとずっと寄り添っている夢。
大事そうに俺の手を握りながら優しげに、悲しげに微笑んでいた彼女は……一体誰なのだろう……?
……焦燥感のようなものがこびり付いて離れない朝だったが、それはそれとして今日はアラガミを駆り尽くす勢いでぶち殺した。
なんか、そうでもしなければ恥も外聞もなく泣いてしまうような、そんな気がして……後悔はしているけど反省はしていない。おかげで色々スッキリした事だし。
きっと、何度か死んでいるうちに記憶が欠けていたのだろうと思う。今朝の夢はそのかけてしまった記憶の名残。だから見たことも無い彼女に親愛を感じたんだろうと思う。そうでなければ説明がつかない。
思い返せば、ここ最近『俺』と『私』の境目が曖昧になっていた。
『俺』は俺であって『私』じゃない。たとえこの体が『私』の物だったとしても、俺は俺だ。そこは譲らないし、譲ったら精神的な死を迎えてしまう……と思う。それだけは避けておきたい事だ。
4ヶ月と27日目 土砂降り
主人公の名前はカナリア。継承者の伴侶――――そう呼ばれる、クイーンに成り果てる前のクルスから落ちた血英から生み出された存在。その中で主人公である『私』に寄り添い、共に歩き、成長してきた存在は――――イオ。そう、イオだ。昨日のあの少女はイオだ。
だとしたらあの玉座のような場所は……つまり、『私』はゲームで言うところの『果てなくともに』でクリアした、ということだろうか。いや、でもあの夢では『私』は眠ったままだ。移動した形跡も消えた形跡も……――――眠ってる? あぁなるほど。これはある種夢のようなものなのか。その夢に俺という異物が混ざりこんで、こうして実態もあるが『私』の身体は向こうにある、なんて奇妙なことが起きてるわけだな。
いわば俺は外付けハードディスクのようなものなのだろう。だから死んで『私』の記憶が失われてもこうして容易に補完できる。
昨日一昨日は『私』の部分が前面に押し出されていたのだろうか……?
……まぁ。いっか。難しいことを考えるのは俺の得意分野じゃない。それにいくら考えたって正解なんてどこでも分かりゃしないのだし。
俺は俺だ。今こうして生きているのだし、認識はその程度で十分。
今日も張り切って生きていこう――――!!
……
嘘。
あと二、三話くらい書き溜めありますが、忙しくてPCの前に座れるのが再来週くらいの予定なのでそれまで更新はナシです。申し訳ない。