沈痛の決闘者   作:天野菊乃

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お久しぶりです。


罪と悪

 そう言い放った遊星の顔を数秒凝視してから、十代は一息ついてから答える。

 

「───悪いが遊星。君と決闘は出来ない」

「……ッ、なぜですか」

 

 遊星のその言葉を聞いた刹那、十代の瞳が琥珀色から黄金と翡翠のオッドアイに染まる。

 

「いいか、遊星。俺のこの力は楽しむために使っちゃいけないんだ」

 

 十代はその物を言わせぬ瞳で遊星を睨めつける。

 

「俺はこの宇宙全体の秩序を保つ存在だ。もし君と決闘している間に敵が来たらどうする?決闘を放棄してそちらに向かうか?」

「俺なら、そう───」

 

 遊星の言葉を遮るように、十代は続けた。

 

「それは決闘者(デュエリスト)として絶対に許されない行為だ。自分の都合で負けを無かったことにすることも可能だろう」

「……なら、十代さんはどうしてやってきた決闘者(デュエリスト)と戦っていたんですか?」

 

 遊星の言葉に一瞬考える素振りを見せたが、答えは簡単だった。

 

「彼等が悪だったからだ。俺は正義の味方ではないが、悪の敵ではある」

 

 どこまでも冷たく。淡々とした調子で続ける。

 

「───俺は、この力で沢山の人を、星を、宇宙を守ってきた。同時に思い知ったのさ。正義の力では、悪には勝てないって」

 

 そう言う十代の顔は、悲哀に満ちて見えた。

 

 

 

 

「……本当にいいんですか?部屋ならまだ開いてますが」

「遊星、君の仲間に迷惑をかけるわけにもいかないだろ。所詮、俺は過去に取り残された亡霊。亡霊は亡霊らしく建物の影とかにいる方がお似合いさ」

 

 片目を閉じて微笑を浮かべる十代を見て、何か言いたげながらも納得した遊星。なに、まだこの街にはしばらく滞在するさ、と言いながら建物の中にその身を鎮める。

 

 そして───

 

「……何の用だよ。ずっと俺をつけやがって」

『……!』

「バレないとでも思ったか?お前の()()はあまりに目立ちすぎる」

 

 振り替えながら睨めつけるその瞳は覇王のモノ。見る者を萎縮させるその瞳は闇の中でも輝く。

 

「俺と同じ力か?いや、違うな。俺の力が闇なら、お前のそれは俺と真逆。光の力か」

 

 目を細めて十代は言う。十代の目の前に立った人物は、地面を蹴って距離をとった後、決闘盤(デュエルディスク)を左腕に取り付けると、カードを装填した。

 瞬間、その人物の背後に無数の精霊たちが現れて───その姿を見た十代は思わず目を丸くした。

 

「E・HEROデッキだと……?!」

 

 それは十代がかつてなくした光にして希望。そして、数十年間使い続けていたE・HEROのデッキだった。

 しかし、懐かしいという思いは一切わかずそれどころか───

 

「……舐めた真似、してくれるな」

 

 ───殺意が、湧いた。

 十代の体を中心に、嵐の如き闇が吹き荒れる。

 憤怒の表情を浮かべた十代は吐き出すように言う。

 

「……いいだろう。絶対なるこの闇の力で、貴様に敗北という名の鞭を振るってやる!」

 

 十代が左腕をおもむろに振るうと、体内を突き破るようにして円形の決闘盤(デュエルディスク)が現れる。ドス黒い鮮血を撒き散らしながら回転、展開された決闘盤(デュエルディスク)のスロットにカードを装填。十代は壮絶な笑みを浮かべながら言い放つ。

 

E-HERO(悪役)E・HERO(正義の味方)の力比べといこうか。存分に味わっていけよ───(ヴィラン)の、恐ろしさってやつをなッ」

 

 刹那、十代の瞳が、昏く妖しく輝いた。




E・HEROデッキとE-HEROデッキ。個人的にはE-HEROデッキの方が好きです。でも、展開的に考えるとやっぱりE・HEROが勝った方がいいのでしょうか。
正義は勝たなければならない、みたいなところがありますから。

私個人的には悪が勝つ、という展開も好きなので悩みどころではありますが……。
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