でもそれだと他の作者様と変わらないので、敢えてこういう展開にしています。
あと、デュエル描写をちょっと入れました。まあ、終盤ですけどね。
───刹那、爆音が鳴り響いた。
突然の爆音に目を覚ました遊星は、跳ねるようにしてソファから飛び起きると周囲を見渡した。どうやら、拠点としているこの場所ではなく、外部からの音らしい。背もたれにかけていた上着を羽織るなり、遊星は外へ飛び出した。
「……!煙の臭いッ。何処から───」
再度、爆音。爆風が巻き起こり、遊星は咄嗟に顔を守るように腕を交差する。
「───こっちか!」
遊星は路地裏の方から煙が立ち上っているのを確認すると、自らその現場へと駆け出した。
そして、そこで行われていたのは───
「ッ!?」
やはりと言うべきか、
どうやら、先程の爆音はモンスターが破壊された音だったようだ。現に、片方のライフは400ほど削られてしまっている。だが、それも些細な差だ。相手のライフは既に風前の灯だった。
「……どこまで俺をコケにするつもりだ、お前は」
爆煙が晴れると、憤怒の形相に顔を歪めた遊城十代が立っていた。ライフは僅かに減っているものの、その毅然とした表情は崩れていない。
黒い歪な形をした
目前の人間は、フードを目深に被っていて正体は分からない。ただ、分かるのはE・HEROというデッキを使っていることのみ───
フードの人間が手を振るうと、『E・HERO ノヴァマスター』は声を上げて火球を放つ。あれを喰らえばいくら十代といえど、一溜りもないだろう。
「───トラップ発動、ドレインシールド。ノヴァマスターの攻撃を無効化し、俺のライフを回復する。ノヴァマスターの攻撃力は2600。よって、俺のライフは6200となる」
ドレインシールドを発動させた十代は、眉間に皺を寄せながら息を吐く。
「……所詮はこの程度か。お前のような正義では、俺を打ち負かすには足りない」
十代はデッキからカードをドローし、そのカードを見つめると目を伏せた。
「これが俺とお前の差だ。淡い光を追い続けるお前と、光の道を捨て闇の道を選んだ俺の───お前のフィールドにいるE・HERO2体を生贄に、来い。溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムッ!!」
2体のE・HEROを生贄にして顕現したのは、巨大な溶岩の魔神。
虚ろな瞳でフードの人間を見下ろしながら、苦痛な声を漏らす。
フードの人間が驚愕している中、十代は黄金の瞳を細めて言い放つ。
「お前の光は淡すぎる。お前がどんな理想を抱いているかは知らないが、もし、くだらない幻想を抱いているのならば……その理想を抱いてとっとと失せろ───俺はこれでターンエンドだ」
自分のターンがやってきたフードの人間。しかし、そのデュエルは直ぐに終わった。
ラヴァ・ゴーレムの体が溶けたかと思うと、フードの人間に襲い掛かる。そして、風前の灯だったライフを削り切った。
最後の方だけを見ていた遊星は思わず顔を顰めた。
なんて悲しいデュエルするのだろう。かつての彼は、あんなにワクワクしながら
「……何が貴方をそんなにしたのですか」
遊星は歯を食いしばりながらそう言った。
「ふん」
怒りの表情を浮かべた十代はフードの人間の決闘盤に収められたデッキを抜くと、カードを確認する。
「……ヒーロー主体、か。くだらない」
意外にも丁寧にデッキをフードの人間の手元に置くと、被っているフードの人間に手を掛けた。
「何処の誰なんだ、お前は。その顔見せてもらうぜ」
十代が剥がすようにしてそのフードの人間を奪い取る。フードの人間から零れるのはブルーの長い髪。十代は、思わず目を丸くした。
「そんな、お前、は……」
記憶はすべてない。何も覚えていない。その筈だ。それだというのに、知らず口から零れていた。
「……レイ?」
十代の目前に居たのは、この時代ではいるはずのない人間。早乙女レイであった。
ちなみに作者は十代さん以外ですと、ユベルとレイさんが好きです。
歪んでいる?
今更じゃないですか。