デュエル描写は入れたかったけどコンボ等の知識が壊滅的なので脳の中で補完がいいかなと思いました。
やっぱりデュエル描写は終盤のみです。私には無理。
特にBGMなどのおすすめはありませんが、個人的には『悲しいデュエル』が1番この話にはあってるかと。強制では無いので、恋するフォーチュンクッキーでも大丈夫です。
影から現れた金色の瞳を持つもう一人の十代とのデュエル。
互いにライフを削り合い、その戦いは終盤へと向かっていた。
金色の瞳を持つ十代のフィールドには攻撃表示の『E-HERO マリシャスデビル』。十代のフィールドには攻撃表示の『E・HERO フレイムウィングマン』がいた。
油断はしていなかった。これで決まるはずだった。伏せカードも、何とかできる───そう思った矢先の『
墓地に眠る2体のモンスターを除外し融合させる罠。本来ならば覇王城の効果なしでは召喚できないはずのモンスターだが、この空間は特別なのだろう。
「お前はわかっているだろ、数十年に渡って此奴を使ってきたのだから。こいつの効果は」
「───『マリシャスデビルがモンスターゾーンに存在する限り、相手バトルフェイズの間、相手フィールドの全てのモンスターは表側攻撃表示になり、攻撃可能な場合はこのカードを攻撃しなければならない』だろ……言われなくとも分かっているさ」
十代は冷や汗を垂らしながら止むを得ず攻撃宣言をした。
「行け、フレイムウィングマン!フレイムシュートッ!!」
「迎え撃て、マリシャスデビルッ!」
戦士は巨大な爪を持つ悪魔に火球を放つも、その火球は巨大な爪に阻まれてしまう。それどころか、発動時の硬直のスキを突かれ、悪魔は戦士の胸を穿いた。
刹那、真っ赤な鮮血と共に爆散。十代に貫通ダメージが入った。
「……ちっ!」
残るライフは400。相手のライフは100で十代の方が優勢だが、自分のフィールドにはもう戦えるカードなどない。十代は歯噛みをしながらカードを3枚伏せた。
「……ターン、エンド」
伏せカードはドレインシールド、カウンターゲート、攻撃の無力化。どれも一ターンを凌ぐ事しか出来ないカード。ここで、目前の男が二回攻撃でもしてきでもしたらひとたまりもないだろう。
「俺のターン、ドロー……ふん。これがお前と俺の差だ」
男は手を前に突き出すと、静かに命令した。
「あの紛い物を引き裂け、マリシャスデビルッ!!」
気味の悪い笑い声を零しながら、マリシャスデビルが十代に肉薄。その巨大な爪を振り下ろす。
すかさず十代はトラップカードをオープンした。
「トラップ発動、ドレインシールド!相手モンスターの攻撃力分のライフを回復するッ!!」
マリシャスデビルの攻撃力は3500。十代のライフは3900まで回復した。
しかし、状況は変わらない。フィールドにはマリシャスデビルの攻撃を回避できるカードを設置しているも、それも2ターンまで。
次引いたカード。そのカードですべてが決まる。
「……俺の、ターンッ」
逆転するならミラクルフュージョンが好ましい。しかし、十代の願いに反して引いたカードは無銘のカードだった。
「……ここまでか」
レベル7。攻撃力2500。ここまではわかる。しかし、カード名もモンスターの名前すらわからない。
ここまでか───そう思った刹那だった。
「エクストラデッキが……」
エクストラデッキが眩い光を放ち、1枚のカードが飛び出したのだ。
十代は危うい手つきでそれを掴むとカード名を確認した。
「ブレイヴ、ネオス?」
カード名はある。しかし、モンスターの姿も効果すらも書いていない。ふと十代は自分の手札を見下ろした。
手札には『フェイバリット・ヒーロー』『カードエクスクルーダー』、『融合』、そして無銘のカード。
「……」
これは賭けになる。これで融合が発動しなければ自分の負けだ。
しかし、十代にはなぜか上手くいくという予感がした。
「……そうか」
暗闇の中に埋まっていた記憶がゆっくりとだが鮮明になっていく。
白い戦士と共に戦場を駆ける十代。摩耗していく心の中、大切な者が時代の流れで消えていき───使う度に彼らの顔を思い出してしまうから、自らこのカードを封じていたのだ。
最後のピースだけは思い出せない。だが、ろくな記憶でないことくらいは記憶が無い今でもわかる。
「───お前だったのか、『ネオス』」
瞬間、カードが眩く輝くと、白のヒーローが現れた。
否。利き腕の部分は真っ赤に染っており、ヒーロー自らが手にかけたと言わんばかりに手をこちらに突き出していた。
───自分の罪から逃げるな、十代。
低く重たい声が十代の耳元に届く。眉間に皺を寄せ、瞑目する。
このカードを使えば、失われた記憶はすべて元に戻るだろう。しかし、それと同時に自らが背負った罪も思い出すということだ。
「……わかったよ。俺はもう、逃げないッ!」
オッドアイに染った瞳を輝かせながら十代は叫ぶ。
「俺は手札の『カードエクスクルーダー』と『E・HERO ネオス』を融合!新たなヒーローを呼び起こす!!」
「……なに?」
白の戦士と魔法使いの帽子を被った少女が跳躍、暗闇に生み出された星雲の中に消えていく。
「現れろ!新たな
星雲を切り裂いて舞い降りるは白金の戦士。胸元に埋まる推奨の周りに空色のラインが形成され、肩のガードも僅かにだが変化している。
地面に舞い降りた戦士『ブレイヴ・ネオス』は雄叫びを上げると、十代の後ろに立った。
「ふん、だが攻撃力2500のモンスターでは俺のマリシャスデビルには遠く及ばない」
「……ブレイヴ・ネオスはの攻撃力は自分の墓地の「
ブレイヴ・ネオスが雄叫びをあげると、筋肉が膨張。発せられていたオーラが濃くなる。
「さらに速攻魔法発動、『フェイバリット・ヒーロー』!自分のフィールドゾーンにカードが存在する場合、装備モンスターは、攻撃力が元々の守備力分アップする!!」
ブレイヴ・ネオスが更に力を込めると、閉じ込められていた力が外に放出された。攻撃力5400。
十代は気づけば目尻から零れていた涙を拭うと、叫ぶようにブレイヴ・ネオスに命令した。
「これで終わりだ!!行けッ、ブレイヴ・ネオス!『ラス・オブ・ブレイヴ・ネオス』!!」
オーラを凝集させた正拳突きがマリシャス・デビルに炸裂する。
悪魔は白金の戦士に敗れ、無惨に砕け散った。
「……ッ!」
赤い異形の
100→0。
死闘の末、十代が勝利した。荒い息を吐きながら膝をついて、十代は右眼を抑えた。金眼の十代は小さく息を吐くと、十代に近づいた。
「思い出したか。なぜお前が記憶を失い、このE-HEROを使う道を選んだのか」
「……ああ。出来れば、思い出したくなかった」
その顔は苦痛に歪んでいて、今にも死んでしまいそうだった。しかし、精霊の魂と密接に繋がってしまっている十代は、その精霊を殺さない限り死ぬ事がない。
老いもせず、死ぬ事も出来ない。だが、記憶はどうだ。何十、何百年と生きていれば昔のことなんて忘れてしまう。
「……なんで、忘れていたんだ───どんな時でもデュエルを楽しむという心を……!!」
最後の部分に矛盾が見られたので書き換えました。