ちょっと魔王を倒してくるわ(略して魔っちょ)   作:イノさん

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ギルドにやってきた二人。果たして、何を言い渡されるのか?


妖犬の勇気

「お、おの・・・れ。忌々しい、{鬼呪}め。呪いの塊め。」

鬼呪。鬼の、呪い。「妖刀」激おこぷんぷん丸、本名を「鬼砕ノ獄」。鬼の力を宿し、あらゆるモノを砕く、また無効化する妖刀。世界に五種のみ存在する、継承種(レガリア)の一つ。ただ、持ち主の中に鬼が入り込む。

まあ、正式な契約をしてないから本来の力を出せない代わり、鬼が入ってくることもない。鬼。鬼か。恨みを持っているのは、お前なのか?妖刀。

「コウガさん」

「ん?何だ?」マコが、何か言おうとした言葉を、何かに押さえられているかのような顔をした。

「・・・いえ。」

(あの時、あの顔、まるでコウガさんじゃなくなったかのような、何かに憑かれたような。ずっと、もっとかっこいいと、信じて疑わなかったことが、こうもあっさり変えられてしまうなんて。正義が悪を倒す姿が、こんなに怖い物だったなんて。)

目の前に転がる、スライムの、魔物の死骸。

(怖い。汚い。でも・・・ついて行かなきゃ、また見捨てられる。・・・そっちの方が、よっぽど怖い。)

マコは、ぎゅっと拳を握りしめると、スライムが見えないよううつむきながら早足で歩いた。

(大きい。怖い。その背中が。私は、私は初めて自分を勇者の子孫としてじゃなくて、自分として見てくれる人に出会えた。うれしいことだと思った。喜ぶべき事だと。でも、よっぽど、怖い。見捨てられたら?嫌われたら?あきれられたら?自分が、必要じゃなくなったら?怖い。ひたすらに怖い。ああ、私は・・・やっぱり弱い。)

じゃく、じゃくっと雨でぬかるんだ土が音を立てる。

「なあ、本当に、旅に出る気なのか?」

「それは、その・・・」怖い。見捨てられるのが怖い。必要でなくなるのが怖い。

「だ、大丈夫です。」

「本当か?震えているぞ?無理はしなくて良いから。」また、見放される。

「いえ、本当に大丈夫です。だから、おいていかないで下さい。」

その声はあまりに小さく、コウガには聞こえなかった。

ふるふると全身が震える。

(怖い。すべてが怖い。世界が怖い。ああ、私はどうしたら良い?)

マコは多分、無理をしている。それも、相当な無理を。何か、守ってくれるようなところがあれば良いのだが。甘やかしすぎてはいけない。それは分かっている。でも、このままだと、始まる前にすべてが終わる。

「よし!」

「?」こちらを見上げるその目には、うっすらと涙がたまっている。

「ギルドに入ろう!守ってもらうんだ。そうすれば、少しは安心できるだろう?この近くに、ちょうど良いところがあるらしいからな」定番というかお約束のギルドは、この世界にも存在していた。

「ここが、ギルド?」

「はい。」連れてこられたのは、ギルドのイメージからかけ離れた、リゾートホテルとお土産屋さんの併合したモノのような所だった。

看板には、「魔道士ギルド フェンリルブレイブ」と書いてある。あるが。

「間違いじゃねーの?」そう、間違いじゃねーの?感が半端ないのだ。

「いえ、看板にもそう書いてありますし。」そうだけど。そ・う・だ・け・ど。もういいや。多分、中身はフツーだろうしな。

「あらいらっしゃい。見ない顔だけども依頼?それとも加入かしら?」出てきたのは、ザ・受付のお姉さんみたいな人。

「加入の方で。」

「はい。私はクロノ。やめたくなったら、いつでも言ってね。」こんなことを勧誘でいう人は初めて見た。

「普通はそうだろうけどね、うちは特別なの。化け物揃い、てことかな?詳しいことはマスターに聞いてね~」「おい、勝手に話をぶん投げおって、人のことも考えるもんじゃぞい。」マスターと呼ばれたのはよぼよぼのじいさん。でも、元気は元気なようだ。「ま、あれじゃの。ウチが化け物と呼ばれるのは{禁式}を使えるモノが複数人おるからじゃ。」禁式?また知らない単語だ。(禁式:禁止された術式。)説明ざっつ・・・・・「まあ要するにの、神様が「これは危険ジャー!使用禁止ー!」て言ったもんじゃよ、大昔にな。」そんな「温泉見つけたー!俺のもんだー!」みたいなノリで神様が・・・まあ、言うな。

「それを使えるもんがな、うちにはおるんじゃよ。それも複数人な。」マジか。軽いノリで入ったけどパネーなこのギルド。「それなら、ここはギルドの中でも上位なんですか?」「年に1回、魔道士ギルドの大会が行われる。ここは8年連続で」ゴク、とつばを飲む。「1位「最下位」俺の声にマスターの声が重なる。「へ?」全部ここよりやばいって事?何それやばすぎじゃない?世界崩壊しないの?ゲームバランスおかしくね?素人のつくったRPGかよ。ツッコミと?で頭が埋まる。「まあ、理由があるんじゃよ、理由が。」理由?「8年前にそれは始まったんじゃけど、ワシを含む主力は全員10年間眠っとった。年もとらずにな。」どんだけ寝坊してるんだよ。「同じように、一年に一度「S級審査」がギルド内で行われるんじゃ。審査項目で勝ち抜いたモノが特別な扱いを許される「S級魔道士」になれる。といっても、うちはやんちゃばかりでの。そこのフウマなんかは週に二、三個町を壊しとる。」やんちゃ通り越して破壊魔じゃ?「それでもS級ではない。」それで?S級やばくね?さっきからやばいしか言ってない気がするけど。「S級はそこのフェルナがそうじゃが、暴れっぷりではフウマが上での、目付けというか世話焼きをさせとるんじゃが、本人もそう我慢が続かんタイプでな、知らず知らずに、というか巻き込んで国を滅ぼしたくせ者じゃよ。」えぇ~。自信なくなってきたなあ俺。「コウガさん、なんかすごいですね。」その域を飛び出してると思うが。「何故10年間も眠りこけとったかはそのうちはなすつもりじゃがの、まだそのときではない。ま、最初はフウマとフェルナとお前さん等二人の合計四人で初任務じゃ。」「よっしゃ来たあ!」フウマはすごいうれしそうだ。「それで相手は?天使か?悪魔か?ドラゴンか?それとも神や魔王?」誰にけんかふっかけてんだ。それに初任務は穏便に薬草採りとかだろ。「スノーマン20匹討伐じゃ。」スパルタ。スパルタだよマスター。特にマコに。

スノーマン。雪だるまとゴリラをイヤリングでヒュージョンさせたような見た目。パワー特化型。スライムであの強さだったのに、勝てるわけねーだろとか思いながら、目的地を目指す。「さぁあぁぁあぁああみぃゅうぅうぅぅうぅううぅうぃいぃっぃぃぃぃい」「うるさい」マコが異常に弱いのは知っていたが。そういや、俺とマコの能力値ってどれくらいだ?

+キリュウ・コウガ Lv1 HP128 物攻35 物防46 魔攻52 魔防67 魔力43 抵抗52 特性 転移者 運を引き寄せる。 魔法 無し 特技 転移特典 転移時の救済措置。 称号 転移者 転移したモノに与えられる。全耐性に大幅にプラス補正+

+マコ Lv-3 物攻3 物防6 魔攻4 魔防2 魔力5 抵抗8 特性 強運 運が関係することに大幅のプラス補正。 憑き物 あらゆる出来事に幸運の補正がかかる。強欲 運を限界まで引き上げる。 魔法 憑き物落シ 運を0にして他のステータスを比例した量強化する。 特技 大蛇(おろち)ノ剣・一時認証 大蛇(おろち)ノ剣に認められたモノに与えられる。 称号 勇者 大蛇に認められたモノに与えられる称号。一時認証を終えることが出来る。引き金(トリガー)が必要+

いろいろ突っ込みたい。もう、頭痛いわここまで来ると。まず、Lv-3て。初期値マイナススタートの勇者とか悲しすぎだろ。

しかも、スライムはかっとるから最初はもっと低かったわけで・・・

改めて、大丈夫過去の世界?

「スノーマン討伐は、一人行方不明になったギルド員がいてな。そいつを探して見つけ出せば、まあボーナスみたいな物があるだろ。」

「行方不明?皆さんのような人でも・・・」

「大丈夫だって、いざとなったら逃げれば良い。」

「は、はい。」

「・・・。」

お前らは、知らないだろう。「人を救うこと」が、どれだけマコを苦しめるか。知るはずも無いだろう。その定めに生まれながら、決して相応の能力と言える物を与えられなかった者の気持ちが。

「これだから、成功者は大嫌いだ。」誰にも聞こえないほど小さい声で言った。




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