「どうじゃった、禁式使い共と組んでみた感想は?その二人は特に悪ガキでのう、まあ、盛大に暴れたじゃろ。」
氷を食い進めたと平然と言ったフウマの顔を思い出した。笑いそうになるのを必死にこらえて、「はい、それはもうとっても。」と返しておいた。
「まあ、敬語はとりなさい。家族みたいなものと考えたらええけんのお。」
「そうだぜ、コウガ。じっちゃんは仲間に甘いんだよ。」
「お前の悪事は、絶えんがな。おかげで国際ギルド連盟からも苦情が絶えん。」
フウマはピースを突き出した。「エヘヘ、すげーだろ!」
「いや、すごいけど。」そういうすごさは持たない方が良いと思う。
「人型の魔物を殺す、これをやっておかないと死亡率が格段に跳ね上がるでの、最初にやらせるんじゃよ毎回。」
初仕事がいきなり討伐だったのはそういうことか。
「ま、それでは二人には「職業」(ジョブ)についてもらおうかの。詳しい説明は、クロノからしてもらおう。」
ひょこっとクロノが現れた。「はいは~い、簡単に説明するね。職業はどれを選んだかで能力的な変化がついてくるの。どれが伸びやすい、どれが伸びにくい、こんなことが出来るようになる、とかね。その人の適性みたいなのもあるから、一概にどれが強いとは言えないわね。」
現世のゲームと同じ感じか。
「とりあえず、その水晶に触れて。何があってるか分かるわよ」
「これ?」「そう、それ。」紫色で古めかしくなかなかにごつい水晶だ。
握るように手を置くとモニターみたいなのが出てきた。
「上から順に適性が高いから。」
そう言われて一番上を見ると、「召喚術士」と書いてある。他にも、魔道士や剣士なんて王道から、盗人、刀職人、植物鑑定士とかあんまり聞かないようなのもある。
「召喚術士って?」
「文字通り、魔物を召喚して使役するの。最初の一体と保健用の召喚カード五枚が支給されるわ。お値段高めの5万ゴルドとなってるけどね」
金がいるのか。
「ただより高い物はないって言うでしょ?それに活動費や人件費、連盟加盟費なんかで何かと出費がかさむのよ。」
「あと、苦情に対するわび賃と器物損害の弁償が全体の三分の二くらいいるがな。」
大丈夫なんだろうか、本当に。間違ってないよな?大丈夫だよな?な?
「まあ、それでもやっていけるだけもうかっとるという事じゃ。心配せんでええわ。」
「あの、さっきから気になってたんだが」
「何じゃ?」
「どうして心を読めるかのように会話が出来るんだ?」
「読めるからじゃ。」
マジでか。え、てことは全部筒抜け?
「そうなるの。ま、しばらくはその二人と行動してもらう。それなら安心じゃろ」
本当に読めているようだ。それはそうと、一つ心配なことがある。
「マコ、お金ある?」
「ないです。」
だろうね。
「後払いでも良いわよ。ローンも可」
いや、五万円(て言う感覚で良いのか分からないけど)をローンはさすがに惨めな気がする。
「なら、後払いじゃな。」
「じゃあ、今度はお嬢ちゃんね。」
マコが恐る恐る手を伸ばす。「勇者」のみ表示された。
「ほう、勇者の血を引く者か。」
「心が読めるのに分からなかったのか?」
マスターはふるふると首を振った。
「そやつの頭の中は、「怖い」ばかりがあって他の感情まで読み取るのは困難じゃ。」
マジか。マジでですか。
「特に、何が怖いんだ?」
「蛇と、雷・・・・・」
うーん、蛇と雷が怖い勇者ねえ。
「何で蛇が怖いの?」
「だって怖いじゃないですか!真っ白でニュルニュルってなってガブウですよ!」
「じゃあ雷は?」
「怖いじゃないですか!ピカッてなってゴロゴロってなってズドーンですよ!」
うーん、うーん。先行きが不安すぎる。
「とりあえず、四人で依頼を受けたら?勇者は無料だから登録できるけど、召喚術士は日がたつにつれて高くなるわよ。これが道具一式ね。」
紫の布をわたされる。
「じゃあ、四人で一人五万以上だから二十万前後の仕事な。」
ビリッとボードにとめてあった紙をフウマが破り取る。
出て行こうとしたときだった。
「おぬし、マコといったな。」
「はい。」
「おぬしはタケルじゃ。」
タケル?タケルと聞いてまず思いつくのは武神だ。
「ずいぶん褒めるじゃないか。どういうことだ?」
一升瓶の底にあった酒をグビッと飲み干すと口を拭きながら言った。
「今はまだ、知らん方がええわい。」
俺たちが言った後、こんな会話が交わされた。
「全く、最近の若いもんは言葉もろくに知らんのか。タケルとは、強すぎたが故に短命の英雄となる者じゃ。」
「やはり気づいてたんですね。彼女の剣が本物であること。」
「うむ。マコか・・・・・奴は異端じゃ、忌むべき者じゃ。」
「蛇と雷。剣の主、、破壊せし者。しかも、もう一人のコウガはー」
口調に強い哀れみが混ざった。
「因縁の、鬼をー鬼を中に飼っている。彼もまた、タケルであり、忌むべき者であり、強い闇を有する者。」
マスターはとんでもない二人だとでも言いたげに見つめた。
「その闇が見えんのが問題でな。よほど深くにあるらしいのじゃ。消えやせんだろうの。」
「神代(かみ)の世の悲劇が、起ころうとしている。」
マスターは誰もいない扉を見た。
「今はまだ、自覚がないからの。成り行きしか無いわい。ワシが心配なのは、そのことじゃ」
「ところで」クロノは依頼ボードを見た。「例の依頼は?」
四人は、今度もまた討伐に出向いていた。
「お前、もっと無かったのかよ」
「あったよ。もっとおいしいのが。でも討伐じゃないと俺もフェルナもつまらんし、お前も自分の力が分からんだろ」
そうだけど。隣でずっと震えているマコを横目に見ながら、ため息をついた。
「もうちょっと他人を思いやった方が良いぞ。」
「一人のために、三人を犠牲にしろって?その方がわけ分からんだろ」
「そうはいってないだろ」
「言ってるんだよ」
フェルナはマコの方を見た。
「安心しろ、雨雲は無い。雷は来ないさ」
「春だから蛇はいるけどな」
余計なことを言うな、とでも言いたげにフウマの方をにらみつける。
「ま、契約には倒すのが一番早いんだ、どうせ。いつかは討伐にでないといけなかったんだよ。」
どうやら、召喚術士は契約しないと召喚できないらしい。
「そのカードは強力な魔物を1度限り無料で呼び出せる。その時自動的に契約されるが、次からは魔力が必要になる。かなりの強さだからな、消費魔力が高い。なりたてにはホイホイ呼び出せないんだ」
なるほどね。よく考えて使え、て言うことか。
「ところで、何の討伐だ?」
「バル・ファウプラデス」
フェルナが目を見張った。
「馬鹿か!あの依頼を受けるなど!」
どうしたというのだろう?
「五年間、誰もクリアしなかった依頼だ。二十万で良いはずだぞ」
「いや、ほら二十」
そう言って見せてきた紙には、確かに二十の文字。
「億じゃねえか」
「え?マジで?」
おいおい、大丈夫かよ。
「ヒトサマの縄張りで、何をしゃべくっているんだ?」
そう言って現れたのは、かなり大きく特殊な見た目をした蜘蛛。
「雲は出なくても、蜘蛛は出たな」
「のんきすぎない?」
さっきあれだけ焦ってたくせに。
「もう仕方が無い、狩るぞ!」
フェルナが剣を構える。
「リダクション・ギア!」
フェルナが突っ込む。
「タイム・アクセラレータ」
蜘蛛が急にものすごい速さで動いて、フェルナを前足の鎌で切った。
「遅い」
「鬼炎掌!」
今度はフウマが燃える拳で殴りにかかる。
「ファントム」
ユラリと揺れて、その体を拳がすり抜けた。
「何!?」
「きゅきゅっ♪」
上から蜘蛛の声がした。鎌を構えて降りてくる。
「鬼炎爪!」
またゆらりと揺れる。
「きゅうう~!」
あっという間に二人は倒された。
「早くしないと、毒が二人を殺すぞ?」
毒までもってるのかよ。
「マコ、剣を抜け」
「え、でも」
「良いから抜け!全員死ぬぞ!」
(全員、死ぬ?私のせいで?いやだ・・・怖い。)
「分かりました。」
マコが剣を抜く。その刀身は月の色にうっすらと輝いていた。
雨雲が空を覆う。雷が落ち、木を、草を燃やし始める。その一つが刀に落ちた。
雨が降り始め、突然刀は持ち手を残して蛇となった。
純白の体、紅の宝玉のような一対の瞳。縦に黒筋が走り、チロチロと覗かせる舌は燃えるように赤い。
蛇は大口を開けると、蜘蛛を丸呑みにした。
くるりとこちらを向き、今度はマコに襲いかかる。
「ひい!」右肩の肉を抉られ、マコは気絶して刀を取り落とした。その瞬間、大蛇は消えた。
「嘘だろ・・・・・これが、大蛇ノ剣。勇者の力が、こんな醜いはずが無い。」
俺はマコでは無いのに、気が付けばガタガタと震えていた。
いかがでした?感想・アドバイスお待ちしております。(出来れば推薦)なお、仮面ライダーmathも併せてお願いします。
次回予告
剣の正体とその力。そして秘められてる過去とは?次回魔っちょ、「神代(かみ)の世と呪われた力」お楽しみに!