チートに「無敵結界」をお願いしただけなのに、なんでなの?   作:魔王パワーで無双したい人

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12.「条件4・今より一週間、別の地域で休養できる環境を整えるので、そこで休養し、そこから出ない。ステルス化もしない。」ほう、本編に関わるなと言うことか

 こんばんは、キュゥべえと協定を結んでしまったジルさんですよ。

 まあ、よく考えたら、まどかの魔女化を以て手仕舞いにするつもりのキュゥべえと、まどかのアルティメット化を以て手仕舞いにするつもりの私がお互いに、協定反故を前提とした協定を結んでいるという滑稽な状況ですね。

 

 

 キュゥべえは隠しているけど、まどかの魔女化エネルギーの回収が現在の目標で、恐らくそれで地球が滅ぶだろう事も計算のうちに入れているでしょう。

 だけど、そこで横取りできる奴が居た。

 まどかの魔女化エネルギーを横取りされたくないキュゥべえは、こちらに枷を強いてくるわけだ。

 

 

 元々、横取りされなくてもこちらを殺そうとして来たのは、グリーフシードの再利用化で魔法少女が魔女にならなくなる事が懸念された。

 それで私を空間ごと切り離すことで宇宙から消滅させ、懸念事項を解消させようとした。

 

 そう、魔法少女が魔女化しなくなる=魔女化エネルギーが確保できなくなる為に消しにかかった。

 だけど、魔女化しても横取りされる。

 コレをもし全ての魔法少女にされた場合、白いのにとっては悪夢でしかなくなるだろう。

 やれるかどうかではない。白いのにとっては1件でも実現できるという事は、現存する全ての魔法少女に横取りを展開するというのは当然実施されうる事だと思っている。

 なぜなら、白いのが私と同じ状況だった場合は躊躇なくそれを選択するからだ。

 

 そうなれば、この星から手を引く事も吝かではないが、別の星(牧場)も同様に魔女化エネルギーを回収される可能性が出てくる。

 それなら私をこの星ごと消し去るというのも、オプションの一つとして考えているだろう。

 他に手立てが無いなら、手仕舞いした上で消す可能性もあるだろう。

 

 

 今回の件を考えるならば、要するに相手をどのように脅威に感じるか、だ。

 

 自分は白いのを恒星間航行可能な宇宙文明であり、当然複数の星系を実効支配または監視下に置いているだろうと考えている。

 他の宇宙文明が居ることを示唆していたから、防衛戦力もあるだろう。

 正直規模が読めない。

 

 逆に白いのは私をどのように脅威に感じているだろうか。

 そう考えた時、最初はさして脅威に感じなかったが、グリーフシードの浄化で牧場を荒らす害獣程度には認識しただろう。

 害獣は駆除する。当然の行動だ。

 

 そこへ新たな脅威として、その害獣は魔女化エネルギーの簒奪も可能となった。

 これは最早害獣レベルではない。この星のエネルギー回収事業の進退にまで発展する事態となった筈だ。

 更に、死んだはずの魔法少女が蘇っているとなれば脅威レベルをどれだけ引き上げたか……。

 あの空間隔離は、白いのにとってはネズミ捕りあたりの対応だったかも知れないが、あそこまで空間崩壊が進行すれば撤回は出来ないと言っていた。

 となれば私は白いのにとってめでたく対処すべき問題か、敵として捉えられた筈だ。

 特に情報が少ないまま手を出したのは、彼らにとっては失敗だった。

 

 だが、まどかのプロジェクト前にできるだけ想定外のことを取り除きたかったのだろう。

 さやかが持ち直したのは、そんな想定外の一手だったのではないだろうか。

 

 白いのは思い直し、敵対したなら早急に駆除または制御したいと考えるだろう。たぶん。

 できるなら情報を集めたい。見に徹したい。観測したい。

 本来なら今の段階は、そうだと思う。

 

 そこで思いもかけず協定話が持ち上がった。

 信頼できるかどうかは別として、会話の窓口さえできてしまえば観測できる。

 まどかの件が無ければ、情報を集め干渉実験を繰り返し、最終的に克服するようにもっていくだろう。

 

 だが、まどかの魔女化エネルギーは、この牧場一つ潰しても十分にお釣りが出ると試算は出ているはず。

 だとすれば、会話と協約によってまどかから遠ざける。

 どうせこの星とともに私も滅ぶだろうと思っているのだ。いくらでも言える。

 

 だから、

 

1.今後一切の魔女化エネルギーの横取りを禁止する。

2.今後一切のグリーフシードの浄化はしない。

3.魔女との戦いは禁止しないがグリーフシードはキュゥべえに渡す。

4.今より一週間、別の地域で休養できる環境を整えるので、そこで休養し、そこから出ない。ステルス化もしない。

 

 という条件が、白いのから出るのだ。

 

 特に4番は、余程まどかに接触させたくないらしい。

 

 私からは、『既に組み込み済みのエネルギー回収先変更プログラムは解除できない。これ以上はやらないので、そこは大目に見て欲しい。』

 この様に言い、その他は1~4を受諾する代わりに魔法少女の血を定期的に頂きたい旨を交渉したが、それはできないそうだった。

 ならばと回収済みのグリーフシードを定期的に寄越すように交渉。

 一週間に1つという事で合意した。

 

 キュゥべえも、まどかに手を出されないならと合意したのだろう。

 まあ、既にまどかには貼り付けてあるんですけどね。魔女化エネルギー回収魔法。

 まさか、魔法少女になる前から貼り付けているとは思うまい。

 ククク。

 

 後、マミ達にお別れの挨拶くらいさせてくれと言ったら、マミだけならOKがでた。

 ここでも、まどかには会わせたく無いらしい。

 ふん、無駄なことを。

 

 

 ああ、あと服を寄越せ。裸なんだよ。見てわからないか?

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 そんなこんなで、休養先はハワイである。

 安直だが、まあ…寒いよりは良いな。

 あと魔女の発生率が低く、魔法少女も1人しか居ない。

 いい環境らしい。

 

 ああ、横取りされる心配が少なくて良い環境なんだろうな。

 移動は飛行機。

 飛行機撃ち落としても良いぞ、協定を反故にするならな!って言ってある。

 

 最後にマミに会う。

 どっかの公園で、キュゥべえ経由で落ち合った。

 これが終わったらハワイに連行されるワケである。

 

 で…なんでなの?

 

 

「ふむ、マミ…なぜ…銃を向けているのかな?」

 いや、ほんとなんで?

 

「……なぜ、美樹さんの変身した魔女が人魚だと知っていたの?」

 oh...ヤバい。

 ああ、ヤバいヤバい。

 想定外だ。この程度も想定できないとか、自分の推理力全然駄目なんじゃ?

 

「なんで、魔法少女が、魔女になる事を…黙っていたの?」

 

 ぬおおお!

 なんてこった。

 なんて答えよう。

 

 まー表情筋は困ったときでも反応しないいいヤツなので、たいへん助かっている。

 

「まず、魔女が何処から来るか考えたことはあったかな?

 ……

 …(うん。質問に質問で返すなってか?)…

 …… 

 いろんな魔女が居たね。

 なんでこんな魔女なんだろうって考えた。

 やけに個性がある。

 

 なら、『一体なにを元にした個性なのか』と疑問に思うはずだ。

 ああ、キュゥべえに聞いていないというのも一つの理由だ。

 奴ははぐらかすからな。

 

 で、次に魔女になりうる元についても考えた。

 人間から魔女に?

 穢れが使い魔になって魔女に?

 それもあるだろうが、一つだけ、人間より魔女になりうる素養がある存在があるじゃないか。

 まあ、推論でしかないがソレで十分だし追求するのも藪蛇だ。

 

 …うーんとマミは考えて、続きを促した。

 宝石マミよりやっかいだな。

 ハイハイって聞き流せないのだから。

 まあ喧嘩別れに終わっても別にいいがね。

 

 

「で、その後、さやかの性格からグリーフシードが濁りやすそうだった。

 限界を超えたら…どうなるのか考えた時、その中の魔力を調べた。

 

 そしたら人魚の影が見えたんだ。

 だから、なるなら人魚の魔女になるんだろうなって。」

 

 そこでマミはうんうんと頷き、ニッコリと笑って…

 パーン

 と眉間を撃って…え?ナンデ?

 

「ちょ、どういうこと!?」

「推理したり、魔力を調べたなら言ってほしかったわ。」

 

「え、いや今撃ったよね?」

「確かに、私は口やかましくて面倒に見えたかもしれないけど、真実を受け入れる覚悟は出来ていたわ。」

 

「え、撃ったよね?あれ?どういうこと?なんで?」

「もうちょっと、私を信頼して欲しいのだけど。」

 

「撃ったよね?ねえねえなんで撃ったの?」

「一発くらいなら挨拶みたいなもんでしょう?」

 

「そんな挨拶無いよ!

 え?どうして?ナンデ?」

「だって撃ったって無傷じゃない。今も。」

 

「痛いからね?本当に。痛いからね?マジで。」

「まあ、だから撃っても大丈夫かなって。」

 

「大丈夫じゃないよ?いや本当に大丈夫じゃないよ?」

 大丈夫だけどさ。

 

「あと、ちょっとイラってきたから。」

 イラっ…って。

 無差別銃撃娘になってしまったのだろうか。

 

「まあ、いい。

 マミさん。ちょいと一週間ほど私は旅に出る。

 キュゥべえに交換条件でな。」

「キュゥべえに?」

 

「そそ、まあナンデかはキュゥべえに聞いてくれ。

 適当な言い訳が聞けるぞ。」

「………言い訳なのね。」

 

「じゃあ、まあ…そんな挨拶がしたかっただけだ。」

「そう、一週間後には戻ってくるのね?」

 

「まあ、そのつもりではある。」

「寂しくなるわね。」

 

 ハッハッハ。ボッチには辛いか?

 まあ、もしかしたら二度と会うこともあるまいが…ああ、煩い記憶しかないな。

 やれやれ。

 

 私は手を振って立ち去る。

 

「じゃあね」

「ええ、またね」

 

 シャフ度で一度チラミして、角を曲がる。

 うん完璧。

 

 まー私はまどかのアルティメット化を目指している。

 魔女化してもアルティメット化しても魔女化エネルギーは横取りだが。

 時間軸とかの干渉を考えるとアルティメット化したエネルギー横取りしてとんずらするのが一番効率的だろう。

 

 結末はアレだが、世界が改竄されるなら安心して見ていられる。

 ハッピーではないがベターな結末。

 その上エネルギーは頂ける。キュゥべえの記憶には残らない。

 唯一残るとすれば、ほむらだけ。

 

 完璧だ。

 パーフェクトすぎる。

 さすがジル脳。回転が早い。

 ククク。

 

 あー、あとはのんびりバカンスして休憩しようかねぇ。 

 




完全一人称なので、ドジな新ジルの予想だけで展開されています。
白いのが考えている内容も行動も規模も全部想像でしかありません。

自分が想定を何度外したか覚えていないんでしょうかね。

あと、白いのは対処しなければとしているが、実行するとは言っていないデス。
思いっきりブラフに引っかかっているけどツッコミ役が居ないという恐怖でした。

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