チートに「無敵結界」をお願いしただけなのに、なんでなの? 作:魔王パワーで無双したい人
~インキュベーターの主星視点~
【Sol星系の感情エネルギー回収事業をしている、B9682集合意識群体からの報告】
集合意識であっても、端末体と操作体、情報処理体等があり、全ての行動が一つの意識決定によって管理されるには数が多すぎる。その為、群体として自我の並列化により情報が整理されている。
端末体が歩く走る等の意識をすべてを、すべての個体が共有できるわけもなく、また無駄な行為であるため、自我が一つで、末端の行動は末端の意識で処理される。
そうなると情報の伝達についても、集積する場所と処理する場所が必要となる。
また、星系間は距離が離れすぎているため、自我情報の伝達には遅延が発生する。
そのため、自我範囲を星系内に留め、中央へ伝達する事で同期している。この星系内自我を群体と呼び、
このように中央自我では雑多な情報整理だが、ここでは上げられた情報をもとに分類と整理を行う部署である。
気にしなくて良い些事なのか、重要事項なのかを判別する。
そんな情報の海の中で、今も一つ案件が流されてきた。
『魔法生成生物についての報告書No.8』
この星域では珍しい魔法生成生物の8体目の報告である。
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N18590-20-11 131559に、存在を確認。
1.
使い魔結界の中で不思議な固体を発見。相当攻撃を受けていた様だがダメージはない模様。
手足が魔女に酷似した波長を放っているため、継続観察を開始する。
尚本件は魔法生成生物の可能性がある。
2.
魔女と違い会話可能。また飲食と睡眠は通常通り。
ただし、排泄する気配が無い為、人形である可能性もあり。
本体の方は魔力を封じているような防壁を確認しているため、意図的に魔力を隠蔽している。
グリーフシード及びソウルジェムが発見されない為、魔法少女でも無い事を確認。
3.
現地魔法少女=[ID:3977884](以降[マミ]と記載)による魔女狩り体験ツアーにて、サーチ型魔法の発動を確認。
首都圏全域を検索している事から、かなりの実力者ではないかと推測。
実力を知るため、どうにか現地魔法少女か魔女とぶつけてみたい。
4.
魔女結界に入ったところで魔女まで直送した結果、あっさりと魔女に捕獲される。
しかし非常に硬く、魔女の攻撃を受け続けていたが、傷一つついていない模様。
最後に穢を含む全ての魔力を魔女から吸収した。
穢チェッカーにて計測した所、魔女から吸収した以上の穢れがあり、何時呪いとなって出現してもおかしくない濃度である。ただし、当人も周囲にも穢による影響は見られない。
更に[マミ]の攻撃を受けたが防御を貫通した様子は無かった。
5.
端末にて接触するも情報収集は不発。
ただしSNS等操作に淀みがないことから、当地文明レベルの機器に対しての習熟がある模様。
書き込み内容は真摯に現状の解決方法を問いかけている事から、本人には周囲を穏便に済ませようという、性格タイプ=[0095]に該当するのではないかと推し量っている。
更に、当地イレギュラー魔法少女=[ID不明]と接触。(以降本人の自称より、[ほむら]と記載)
会話の内容及び、時空震が観測された為時間遡行者と仮定する。
これは[ほむら]も同様な模様、こちらについては【当地イレギュラー魔法少女の報告】にて記載。
6.
現地魔法少女=[ID:3975094]と接触。(以降[きょうこ]と記載)
グリーフシードからも穢を採取を確認。グリーグシードから穢を吸うことでグリーフシードを浄化している模様。
だが対象に穢が移っているだけのため総量は変わらず。ただし溜まっている穢が魔女10体分あり。通常の規定を超える。(※規定を超えると魔女化するか発狂する)
7.
当該対象をロスト。
何かしら移動したか、ステルス化を行っている模様。
全域スキャンをした結果発見できなかったが、スキャン拠点の幾つかが反応ロストしている事から、ロスト地域である死亡した[マミ]の住居に居ると思われる。
内部への干渉は、相手に不要な反応を引き出す恐れがあり、接触せず調査する。
8.
玄関付近にて当該対象の臭気を確認。
頻繁に出入りしている様子。継続観察する。
超光速レーダーと空間湾曲レーダーに反応があり、単純に対策し忘れたか、恒星間航行可能な技術力は持たない可能性があり、おそらく後者であろうと断定。
これより現地発生の魔法生命体であると断定する。
9.
当該固体が魔女結界に出現した為報告。(以降本人の自称により[ジル]と記載)
魔法攻撃らしきものを確認。通常の魔法少女に比べ数倍の威力の攻撃をばら撒いていたため、攻撃力も非常に高い模様。
また、攻撃に対して非常に反応が鈍く、傷もつかず、当たっても痛みを感じていない。
単純に効果が無いため痛みを感じず、驚異となる攻撃が無い為反応が鈍いと推察される。
[ジル]は魔女から穢と魔力を吸い出しており、自称していた吸血鬼の様相には近いと思われる。
吸血鬼としての伝承的設定である日光や十字架に無反応。接触しても何ら問題なく、ニンニク入りラーメンを購入していることから弱点に関しては当てはまらない。
そのため単純に血を吸う魔法生物であると定義する。
10.
9の観測以降、魔女結界にだけ出現するようになり、累計5件の魔女を討伐。グリーフシードを持ち去っている。
その後[ほむら]と接触。グリーフシードの交換と浄化を行っていた。
基本的に当該地域=地域名「見滝原」を中心に活動しており、その活動範囲は広い。
茶番を見破った[ほむら]との会話から推測するに、グリーフシード浄化を事業として展開する可能性があり、排除すべき対象として認める。
11.
想定の流れではないが、「鹿目まどか」に対する魔法少女勧誘について
魔女化処理にて魔法少女化する予定だった、魔法少女=[ID:4010042]のメンタルが持ち直してしまった様だ。(以降、[さやか]と記載する)
会話と感情生物データベースからの推測では、より不幸な者を見て安心する感情行動と思われる。
それ以降「鹿目まどか」に対する接触は無い事から、偶発的な接触と類推する。
しかし活動エリアがかぶっており、早期の排除が望ましい。
12.
11以降、22回の魔女及び使い魔への襲撃から、魔女狩りを目的としているのではないかと疑義がある。
しかし、魔女に対する感情的な行動が欠如しているとデータベースでは照合されたため目的は違う様に推測する。
計測結果、穢れは既に魔女2000体分にも達しており、コレが呪いを生めば当該列島全体を汚染する事になると推測する。
[ジル]側の精神の変調があってもおかしくない筈だが、そのような兆しは見られない。
13.
倒した数量と計算に合わない穢の増幅度具合は、穢が爆発した場合、当該地域の列島が崩壊するレベルであり、早急に対処が必要。
空間崩壊による消滅処分とする。
14.
消滅処分失敗。
対象は空間を制御でき、魔女化エネルギーすらも簒奪している事が判明した。
当該簒奪エネルギーを鑑みた所、その呪いが暴発した場合、大陸一個分が崩壊するだろう試算。現在も、漏れ出ていないのが不思議レベル。
ただし、現在も変調が訪れない事から、穢に対する許容量は相当あると推察される。
会話及びブラフにより協定を締結できた。
また当該対象の穢をコレ以上の悪化を起こさせない処理が必要になった為、離島へ隔離する事とする。「鹿目まどか魔女化計画」の完遂を以て当該惑星への干渉を引き上げる事もあり、交渉にて離島隔離が出来たことは存外望ましい結果と言える。
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