このせかいを ふっかつ させたい   作:………

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いせき
このせかいの しんいり


 

 

 

 

そこは薄暗い。

 

 

そこは花が咲いている。

 

 

そこは塵にまみれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

底はとても静かだ。

 

 

 

============

 

 

頭が重い。息が詰まる。体全体が痛い。

 

 

 

重み? 息? 痛み?

 

そんなものはとうの昔になくなってしまったはず。どういった状況なのか。

―――――朦朧とした意識の中、そんなことを考える。

 

 

次第に自分はうつぶせに寝そべっていることに気が付く。それも、何か柔らかい絨毯のようなものの上に。

また、強くもなく、弱くもない、品の良いどこか懐かしい香りが鼻をつき、その瞬間静かな風の音が耳をなでる。

 

 

 

――――――落ち着かない。

 

どうしてなのかわからない。けれど、どこからか来る焦燥感が重たい瞼をこじ開けた。

 

 

一番最初に目に飛び込んで来たのは黄色、いや金色の花々。どうしても何も、今自分はその花畑の中で寝そべっているのだから。

とても美しい花たちだが、それに似合う青い空や小鳥のさえずり、暖かい太陽などはない。

 

ここは薄暗く、気味が悪いほど音が聞こえてこない。音といえば時々抜ける、冷たい風の音のみ。

 

そして何より、ここは穴の中だ。

自分の真上には、少しとは言えないぐらい高い位置にある丸い穴から灰色の空が見える。

 

自分の体の状態から察するに、自分はあの穴から落ちてきたのだろう。

 

 

痛みも和らいできた中、腕に力を込めて体を起こす。

進めばわかる気がした。そこに自分が求めるものが……いや、欲しいわけではない。じゃあなんのために?……そこに自分は行かなければならないから。どうして?……わからない。

 

――――頭が痛くなる。

とにかく急がなくては。

 

 

尽きぬ自問自答を繰り返すうちに、古い建物の前に着いた。もちろん中へ入る。

 

遺跡なのだろうか。トラップのようなものの名残がある。

「名残」といったのは、そのトラップが機能していない、というより、誰かが全て解いてしまったあとのようになっているからだ。

遺跡にはまだおかしい点がある。

 

 

 

中は塵まみれだった。遺跡なら普通かもしれない。が、塵ばかりなのに、どこか小綺麗で、少し前に誰かが塵をばらまいたような感じ。

それにとても静かで、自分以外生きているものいないのでは、と思えた。

 

 

ふと、1つの塵の塊の前に屈む。

 

塵に触れる。冷たい。

 

当たり前だ。温もりというものは生きるものにある。

 

でも、冷たいのとは別の感覚があるのだ。この灰には。ただの塵なのに。

 

 

―――悲しい。

 

 

気づけば何故か泣いていた。何故灰に対して泣くのかわからない。でも悲しい。悲しい。悲しい。

 

感情が溢れる。悲しみ、怒り、慈しみ。そして恐怖。

今まで何故感じなかったのだろうか。

 

 

頬をつたって涙が塵の上に落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――何かが動く。確かに自分のものである何かが。

 

 

 

 

―――何かが動く。確かに自分のものでない何かが。

 

 

 

 

それらが胸の奥で、温もりを持ち、感情が溢れる。

 

 

 

 

 

つらいことを耐え忍ぶ心、『にんたい』が。

 

何事にも立ち向かう気力、『ゆうき』が。

 

真っ直ぐに取り組む真心、『せいじつさ』が。

 

意志をつらぬき通す精神、『こんき』が。

 

公正さを重んじる気持ち、『せいぎ』が。

 

 

 

 

 

人のために尽くす思いやり、『やさしさ』が。

 

 

 

 

 

 

 

「…助けたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ケロ?」

 

 

そこにあったはずの塵の塊はもうない。

代わりにいるのはカエルのモンスターだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=========

 

 

 

フライパンを片手にエプロンを着た少女は焦燥感に、いや、助けたいという『ケツイ』に満たされ、塵だらけの地下世界を進む。

 

 

塵だらけのこの世界の新入りとして。

 

 





サブタイトルは非公式日本語版のものであり、公式日本語版にはないフレーズなのですが、原文を直訳したものとして引用させていただきました。
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