このせかいを ふっかつ させたい   作:………

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ひんじゃく

 

恐らく、さっきの大きい一軒家で町は終わりなんだろう。もう雪の積もった道と、その横を流れる川ぐらいしかない。その先はここより少し暗い洞窟に繋がっているようだ。

 

「ここより寒くなったりしないといいんだけど。」

 

なんとなく、暗い場所の方が気温が低くそうだからちょっと心配だ。まだ、雪の上を転がった時ので服が乾ききっていない。そんな状態で更に寒いところへ行くのは気が引ける。

 

そんな事を考えながらそっちへ歩いていると―――

 

 

「あ。」

 

…逃げ遅れたんだろうか。一塊の塵が雪の上に積もっていた。

今までしてきたようにその塵に寄り、静かに念じる。

 

 

「助けたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――何かが動く。自分のものである何かと、自分のものでない何かが。

 

 

 

 

 

 

 

それらが温もりを持ち、感情が溢れる。

 

 

 

 

 

 

 

自分に慣れ親しんだものがある。

 

 

 

知らないものがある。

 

 

 

悪を許せない気持ちがある。

 

 

 

意志を貫き通す精神がある。

 

 

 

 

 

 

 

何かが光って―――

 

 

光って―――

 

ひか、って―――

 

ひか…

 

 

どうして変わらない?

早く。

 

―――変われ。

 

 

変われ変われ変われ変われ変われ変われ変われ変われ変われ変われ変われ―――

 

 

「変わって!」

 

 

 

 

―――目の前に何か気配を感じる。

ただ感じるだけだ。目には映らない。何故なら視界が物凄く暗いからだ。周りが暗いんじゃない。私の視覚という機能が働いていないのだ。

 

それだけじゃない。何も聴こえない。少し吹く、冷たい風の音も。何もにおわない。じめっとした雪のにおいも。感じるのは寒さだけ。

そして、物凄くだるい。

 

顔に何かがぶつかった。冷たい。恐らく雪だろう。どうやら私は倒れ込んだようだ。

 

 

 

 

この感じ、前にも一回あったなと思った直後、私の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

=======

 

 

 

 

 

――ったく――ズは――ったの―――。

 

何かが聞こえる。誰かの声?

 

さすがだ――レさまは。 ――っかりと―――ゲンをつか――たぞッ!

 

かなり大きな声で話しているようだがよく聞こえない。

 

――も、 ―いしんさせてだ! ロイヤルガードにはいれること まちがえなしだなッ!

 

ロイヤルガード?

 

全身がだるいが、目を抉じ開けて無理矢理体を起こす。ふらふらとする。頭も痛い。体もあちこちが痛い。そうだ、私は気絶したんだった。

目の焦点が次第に合い、周りが見えてくる。

 

木造の部屋のようだ。とてもボロボロで、窓も割れている。周りには犬用の餌や玩具などが置いてあり、入り口の方には格子のようなものがある。格子というには、少し隙間が大きすぎるが。これでは筒抜けだ。そしてその奥には―――

 

 

「あなたは…」

 

めがさめたのかニンゲン! いろいろとはなさなければいけないところだが、 オレさまはさきにアンダインにほうこくしにいく。くれぐれもにげだすんじゃないぞッ!

 

私の声に気づき、こちらへ向いたのは、あの雪像――「サンズ」と書かれた雪の塊の横にあった雪像とそっくりなスケルトン。今まで見てきた物から、彼は『パピルス』…?勿論筋肉はついていない。が、今はそれよりも―――

 

 

「ちょっと待って!今はあんまり外に行くべきじゃないよ!」

 

外に出ようとドアノブに手をかけたパピルスを止める。

 

どうしてだ?

 

スケルトンであるというのに、彼の表情はよく動く。パピルスは困ったような顔をした。

 

「あの…ここを子供が通ったでしょう?その子供が危険なの。」

 

ニンゲンのこどもならな。 たしかにあぶないかんじだったぞ。

 

人間…やっぱりモンスターの子供ではなかったらしい。思えば今まで会ってきたモンスターたちの中に、そんな事をする奴がいるとは思えない。皆根は優しく、憎めなくて…いや待てよ。ジェリーは別だ。

 

でも もうしんぱいないぞッ! カイシンしたようだからなッ!

 

帽子を失くしたヒョー坊。ジェリーはそれを嘲笑ったんだ。そんな具合に思考が脱線している中、パピルスが元気よく言った。改心した、と。

 

「いやいや改心はしてないんじゃないかな。だって君の事を…えっと…傷つけていったんでしょう?」

 

たしかにオレさまにこうげきをしたな。 だがオレさまは いきてるし、 げんに きさまは おれさまのしんぱいをしてくれた!

 

貴様って… ちょっと待てよ。どこか話が食い違ってる気がする。

 

ハグはしてくれなかったようだが、 ヘンなかおもしていない。 そういうカオもできるんだな ニンゲンも!

 

パピルスが私を見てそう言う。今のは完全に私に対して言ったんだと思う。だがそれは私に言うはずの事ではないだろう。端的言うと―――

 

「人違いです。」

 

 

 

 

 

=======

 

 

 

 

 

―――その時、

塵の奥に何か白い物が一瞬だけ見えた。

 

 

あれが何故ここにいる?今までこの場面では一度も見た事がない。この戦闘後には誰も出て来ないはずだ。

 

ただただ、静寂と埃っぽいこの空気。見慣れたそれのみがそこにあるはず。

 

 

―――ナプスタ・ブルーク。

 

そんな名前だったか。

 

いちいちアイツらの名前なんて訊かないし覚えない。が、あのゴーストだけはEXPにならない唯一のモンスター。名前ぐらいは記憶の片隅に残っていた。

 

 

この『ルート』の場合、あのゴーストは遺跡でエンカウントしたっきり、姿を見る事は最後まで一度もない。

 

それが何故?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケツイ。

 

 

 

 

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