このせかいを ふっかつ させたい   作:………

7 / 19
スノーフル
サムい


 

 

 

バアンと音を立て、扉が閉まる。遺跡の中で反響した音が外からでも聞こえる。

 

私は今、遺跡の外へ出た。遺跡の外、というだけであって地上ではない。

 

 

というか寒い。もの凄く凄く寒い。

足元を見ると雪が積もっている。道理で寒い訳だ。地下というのは勝手に暑い場所だと思っていたけど、そんな事はないらしい。日差しが通らないからかもしれない。

 

体を暖める為にも少し小走りになりながら、気味が悪いほど静かな雪の小道を進んで行く。

 

そう言えば、ママはどうして魔法が使えなくなってたんだろう。ちなみに魔法はモンスターなら皆使えるらしく、私が触れるとダメージを受ける、モンスターたちが飛ばしてきたあれだ。

ママの様子からして、魔法が使えなくなるのはよくあるような事ではないのはわかった。そして私が助けた後に使えなくなったんだから――

 

 

 

私の『助ける』力の副作用的な物…?

 

思えば、ママを助けた後、全身がだるくなってその後の記憶がない。気を失ってたとママが言ってた気がする。今までそんな事なかったのに。

 

 

前を見ると、木でできた橋のような、ゲートのような物が小道の先にある。これも何かしらの仕掛けなのかもしれないけど何も起きない。

 

これも誰かが解いた後なのか?

だとするとやっぱり例の子供だろうか…

 

 

 

 

 

 

 

遺跡の中には仕掛けと、落ち葉と、あと机にくっついたチーズぐらいしかなかったけど、遺跡の外はそうでもないらしい。

 

雪は勿論の事、針葉樹がたくさん。川もあったし、小屋とかランプとか、何も入ってなかったけど箱だとか。モンスターの写真が釣り針の所に付いた釣り竿もあった。

人工物に関してはどれも使用用途が分からない。

 

そんな中で、その箱の近くの雪が盛り上がっていた。

 

 

 

…いや雪が盛り上がっているんじゃない。

 

雪の上に塵が乗っかっているんだ。

 

 

「―――助けなきゃ。」

 

 

 

 

 

=======

 

 

 

 

 

「…いよっと。」

 

寒さに震えながらも魔法を避ける。

 

「こんなゆきで ふるえとったら さきゆきわるいで。 」

 

「お気遣いありがとう。でも走ってるからちょっと暖かくなったかも。」

 

「わらうところやで、 ここ。 」

 

「えっ?」

 

鳥のモンスターの口がへの字に曲がる。そして魔法が飛び交う。三日月型の雪の欠片のような魔法だ。

 

動きが読めてきた。十分避けられる。

 

鳥のモンスターがこちらをジトっと見る。

 

「 “ゆき” のだじゃれや! だじゃれ! 」

 

「…あっ。」

 

鳥のモンスターが私に失望したような、悔しいような目を向ける。

 

「ごめんね!いや私はその…そういう事に疎いから! …でも分かるモンスターには、きっと受けると思うよ?」

 

そう言うとすぐに、鳥のモンスターはパアっと表情を明るくする。

 

「おもしろいやろ!? オヤジめ! きいたか! 」

 

「あーうん、何事も自信がある方が良いよ。」

 

 

 

取り敢えず『助ける』力は問題なく使えるようだ。この鳥のモンスターも普通に魔法が使えてるようだし、私自身に不調もない。

 

どうしてママの時だけ?

 

 

 

オワライチョウというらしい鳥のモンスターには危険について知らせ、隠れるように促した。オワライチョウも例の子供について覚えているらしかったが、思い出した時に顔色が一瞬で悪くなったので、わざわざ掘り返しはしなかった。

 

周りを見渡す。

 

雪が一面に積もっている中、塵がないかどうか探すのはかなり大変そうだ。

 

でも、ちゃんと見つけてあげなきゃ。

 

 

 

 

自分の中で、意志がかたまる。

 

 

 

 

「助けたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――何かが動く。自分のものである何かと、自分のものでない何かが。

 

 

 

それらが温もりを持ち、感情が溢れる。

 

 

 

自分に慣れ親しんだものがある。

 

知らないものがある。

 

悪を許せない気持ちがある。

 

意志を貫き通す精神がある。

 

 

 

何かが光って―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆を助ける意志がかたまり、ケツイがみなぎった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。