このせかいを ふっかつ させたい   作:………

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ナデナデ

 

 

 

行きどまりにあるどこか可愛い二軒の小屋。

 

「ダーリンと…こっちはハニーね。」

 

それぞれの小屋の前に書いてある。恐らくこの小屋の持ち主同士が恋人もしくは夫婦なんだろう。

 

そんな、少し微笑ましいと思える場所だった。この看板がなければ。

 

 

――― ヘンなにおい ー ニンゲン

――― キケンレベル:みどり

――― ゼッタイに しまつすること!

 

 

さっきの犬と同じように人間の事を捕まえようとしてるのかもしれない。気を付けなきゃな…

 

 

「うわわっ!」

 

そう思った矢先、物思いに耽っていたが為に足元の氷に足を滑らせ、前に転ぶ。しかも綺麗に顔面から突っ込んだ。凄く痛い。凄く冷たい。凄く痛い。

 

 

 

=======

 

 

 

 

「パピルス。…前にも見た名前だ。」

 

 

その名前が書かれているのは、突如として現れた机の上に置いてある紙。

机の上には凍ったスパゲッティとコンセントの繋がっていない電子レンジがある。それに加えて置いてあったのがこの紙。パピルスというモンスターの置き手紙のようだ。

 

「確か変な小屋のところにあった変な看板だったかな。」

 

字と内容が特徴的だった事もあり、わりとよく記憶に残ってる。確か、ロイヤルガードのロイヤルガードには入っていないスケルトンのパピルス。

一瞬どういう事なんだと思ったけれど、恐らく彼はロイヤルガードに入るのを目指しているのだろう。

 

今手に持っている手紙の内容も奇妙だ。

 

「えっと…人間…このスパゲッティをたべやがれください?これは罠で、食べるのに夢中になって先に進めなくなる…」

 

スパゲッティは凍っていて食べれそうにない。横の電子レンジは電源が入らないから使えないし。

 

それに彼は人間をどうしたいんだ?捕まえるのではなく、ただ足止めをしたい?どうして捕まえないんだ?そもそもどうして人間を捕まえようとしてくるモンスターが?

 

 

考えてもわからない。取り敢えず、モンスターたちに訊くとかして情報を集めないと。

 

 

=======

 

 

 

何かが光って、光の眩しさが目に残っている中、目の前に現れたのは犬のモンスター。

 

「ここにも犬のモンスターか… もしかしてこの子もロイヤルガード?情報教えてくれるかなぁ?」

 

ロイヤルガードについてはよく知らないが、何よりこの子は鎧を着て、剣と盾を持っている。いかにも「ロイヤルガード」って感じだ。

 

 

「こんにちは。悪さしに来た訳じゃないから安心して。」

 

自分で言ってて凄い怪しいなと思った。悪い事しに来ましたとか言う人がいるだろうか。

 

犬のモンスターの息が荒くなる。舌を出してこちらをじっと見つめてる。

 

相手はロイヤルガードという謎の組織の一員かもしれない。私の事を捕まえようとしてくるかもしれないモンスターだ。警戒はすべき。だけどもどうしても遊びたがっている犬にしか見えない。先程会ったあの犬のモンスターが、ナデナデすると意外とかわいくって。

…もうナデナデしたくてしようがない。

 

「あー、ナデナデ。」

 

 

―――犬のモンスターの首が伸びる。

 

 

 

 

=======

 

 

 

 

「ここまで伸びるとは思わないでしょ普通…」

 

訳もわからず、相手もいないのに言い訳を呟く。目線の先にあるのは犬。犬…?いやこれは…多分犬だ。そう。

さっきの犬のモンスターなんだけど…なぜか撫でたら首が物凄く伸びた。

 

最初は上に、キリンぐらいには伸びたんじゃないかな?その後、横に下に、また上に伸びて伸びてまた伸びた。

その結果、今目の前には曲がりくねった異常に長い首を持つ犬のモンスターがいる。

 

「ごめん、えっと…これはどうしたら…」

 

私があたふたしていると、犬のモンスターがバタバタと手足を動かす。首は長い状態で、それに比べて体は随分と小さいので、それでその動きをされると何とも奇妙な物だ。

例えるなら…例える、なら…なんだ?例える物が一つも思い浮かばない。

 

その時だ。犬の頭からその長い首全体と、足の先までが大きく動く。

 

かと思ったら、首が高速で縮んでいく。つまり頭の部分が高速で移動している。

例えるなら…そうだメジャーだ!これは思いついた。メジャーをしまう時にボタンを押すと、高速で元に戻ってく感じ。

しかしまあ、果たして生き物がそんな非生物的な動きをしてもいいのか。

 

犬は完全に元に戻り、相変わらず息を荒くしている。

かと思ったら、走り去って行ってしまった。尻尾が嬉しそうに振られているのが見えた。

 

「いろいろと忙しいモンスターだなあ…」

 

 

 

ふうとひと息ついてあの犬が走って行った方を、少しの間眺める。しかし、その視線は困った視線ではなく、優しい視線をだった。強張っていた頬が緩くなるくらいには。

 

 

 

 

また犬に会う気がすると思うとケツイがみなぎった。

 

 

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