サモナーさん関連短編集   作:cohaku

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召喚士とゼロ3

「そういえば、ルイズ。トライアングルとスクウェアというのはメイジの力量という認識で合っているのか?」

「?ああ、そういえば貴方の国と私たちの国じゃ使っている魔法が違うって言ったわね。

そうよ、系統を足せる数が多いほどメイジのレベルが高いの。

『火』という1つの系統だけ使えるのが『ドット』メイジで学生の大半がそのレベルかしら?『火』『土』という2つの系統が足せるのを『ライン』メイジ、『火』『土』『土』という感じに3つの系統が足せるのがさっきのシュヴルーズ先生と同じ『トライアングル』、『火』『火』『土』『土』という感じに4つの系統が足せるのが『スクウェア』が超一流のメイジね」

 

食堂で昼食を食べながら気になったことを聞けば、嫌な顔をせずに答える。

 

「成程」

「そういえば、そっちはどうやってレベルを決めているの?」

「私たちの魔法は、基本属性6つと派生属性7つ、そして魔法を極めたものだけに使えるものと生まれで素質が無ければ使えない魔法が約6つ。後者に関してはまだあるかもしれないが大体私が知っているもので21つの種類がある」

「そんなに種類があるの!?」

「基本的にどの魔法もより高度な魔法が使えるものがレベルが高いと言われている。単純に水や火を生み出すことから火の球を飛ばしたり火の壁を作ったりと熟達すればより高度で危険な呪文を覚えていくという感じだな」

 

むしろレベルが高くなればより強い魔法を覚えるという感じだが其処まで説明するのは面倒だし、理解も出来ないだろうとそこら辺は適当に誤魔化す。

キースのゲームの世界の話を適当に誤魔化しながら話したり、ルイズのこの世界の話を話していれば昼食が終わりなじみ深い黒髪黒目のメイド服を着た女性が銀のトレイを手に持ちながらケーキを配り歩いている。

 

「なぁ、ギーシュ!お前は、今は誰と付き合っているんだよ!」

「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」

 

魔法がある世界でも男子学生という者の話題は変わらないのか、金色の巻き髪のフリルの付いた服を着たなんとなくナルシサス・モスカトスの戦う前に似たキザな少年が複数の男子生徒たちに声を掛けられていた。

 

「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」

 

自分を花にたとえるとは、もしかして本当にナルシサス・モスカトスの同類なのだろうか?あの年で寝技を掛けられて耳元でハァハァと悦ぶ?想像して気持ち悪くなったので頭の中から消し去るために一口ケーキを含む。

 

(ん?)

 

大げさでキザな仕草のせいなのか(仮)ナルシサス・モスカトス似の少年のポケットから小壜が零れ落ちる。

それに気づいたのか、黒髪のメイドがそれを拾いギーシュと呼ばれる少年に渡せば展開されるのは二股男の修羅場?茶番劇?だった。

絡んでいた男子生徒たちは、その小壜に心当たりがあるのかある女子生徒の名前を上げ、それをギザな少年が否定するが栗色の茶色のマントを身にまとった少女が初めに立ち上がり少年の頬を叩き、金色の如何にもお嬢様的な巻き毛の少女が立ち上がり近づくと、少年がまた言い訳を重ねるが先ほどのやり取りを見ていてそれを信じられるかといえば信じられないだろう。少年の頭からワインをぶっかけ「嘘つき」と怒鳴って去っていった。

しかし、少年は彼女たちの悲しみを微塵も感じていないのかハンカチで顔を拭いながら

 

「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」

 

という始末。しかも

 

「君が軽率に香水の壜なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」

「そんな」

 

小壜を拾ってくれたメイドに八つ当たりする始末だ。

 

「僕は、君が香水の壜をテーブルに置いた時に知らないふりをしただろう?話を合わせるぐらいの起点があってもよいだろう?」

「そこまでだ、少年」

 

余りにも見苦しい態度にメイドの彼女を守る様に割り込み少年を見下ろした。

 

「いくら何でもそれは酷い八つ当たりだ。君が二股をしていたのが悪く、同時にこんな大人数の人が要る場所に浮気がバレる様なものを持ち込んだ君の不注意だろう。

それに軽率にポケットに入れていたのも問題だな。それほどバレたくないのならば零れ落ちない様に工夫するか何かすべきだろう」

「突然、割り込んできていきなり何を言っているんだ!これは、貴方には関係ないだろう!」

「いくら貴族とはいえ、男ならば女性に優しくしなければならないと思うがね。ああ、浮気をするような君に紳士的な対応を求める方が酷か。

この国の貴族は、こんな野蛮な対応を取るのが普通なのかな?」

 

突然割り込んできたキースに少年は怒鳴るが、その程度の怒気は猫にじゃれつかれているようなもので特に気にすべきことでもない。

 

「なっ!それは僕を侮辱しているのか!?」

「そう聞こえたか?女性を二人も傷つけておきながら、慰めにも走らない男が野蛮でないと誰が信じる?紳士ならば、即座に悲しむ女性を慰めるものだろう?

それとも君にとっては女性の涙などどうでもよくて、女性たちの悲しみに暮れる心にも寄り添わない男を紳士だと思っているのか?」

 

バッ

 

「決闘だ!」

 

頭に血が上ったのだろう、少年は勢いよく手に嵌めていた手袋をキースの胸に向けて投げつける。

 

「…少年、意味は分かっているのかな?」

「勿論分かっているとも!そこまで侮辱されて決闘もしないとは僕の誇りに反する!ヴェストリの広場で決闘だ!!」

「はぁ、いいだろう。後悔しない事だ」

「そっちこそ後悔するなよ!」

 

ズンズンと少年は、その場から離れていく。騒いでいた男子生徒たちも居辛いのか少年についていった。

 

「…大丈夫かな、黒髪のお嬢さん」

「は、はい!あ、あの大丈夫なんですか?貴族様と決闘なんて」

「問題ないよ、すぐに終わるだろう。お嬢さんが気に病むことはないさ」

「貴方!勝手に決闘なんて、何やっているのよ!」

「さて、彼が勝手に言ったことだが貴族が挑んできたことに反対しても面倒だからな。まぁすぐに終わらせるさ」

 

キースの肩に留まったままだった黒曜がキースに手袋を投げつけられた時点で飛び立ち少年の後を追いかけていた。それを追えば、ヴェストリの広場の場所は分からないが迷わないだろう。

 

「ケガさせないように気を付けないとな」

 

ヴェストリの広場は、魔法学院の敷地内の『風』と『火』の塔の間にある中庭である。そこは西側にある広場なので、そこは日中でもあまり日が差さない。決闘にはうってつけの場所である。

しかし、今は決闘のうわさを聞き付けた生徒たちで広場は溢れかえっていた。

 

「諸君!決闘だ!」

 

少年が、薔薇の造花のような杖だろうものを掲げる。うおーーっ!と歓声が上がった。

 

「ギーシュが決闘するぞ!相手は、ルイズが召喚した奴だ!」

 

周りを見回して、興奮しながらも顔色の悪い子たちも居る。他国の要人に決闘を挑んだギーシュの行動に不安を感じているんだろう。

 

「さて、始めようか」

「構わない」

 

ギーシュは、笑みを浮かべると薔薇の造花型杖を振るう。花びらが一枚落ちると、甲冑を着た女騎士の形をした人形が現れる。表面は金属の光沢があり、分かりやすくいえば女騎士型のゴーレムか。

 

「僕の二つの名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」

「ワルキューレね…名前負けしてるな」

 

ワルキューレはヴァルキュリャとも呼ばれ北欧神話にて戦死者を主神であるオーディーンの元に連れていく女性の事だ。

 

「っ!行け!」

 

ギーシュの号令にワルキューレと名付けられたゴーレムがこちらに突撃してくる。

 

「弱い」

 

突撃を体を横にずらすことで避け、ワルキューレの通り道に武器を置き触れた瞬間に叩き切る。いつの間にか一本の武器がキースの手に握られていた。

 

「なっ!『武器』だと!?平民どもがせめてメイジに一矢報いようと磨いた牙が何故ここに」

「言ってなかったか?私は、王家の剣術指南役。こっちも私の得意分野だ!」

 

驚いて動きを止めているギーシュの手に持つ杖に狙いを定め、

 

「ぐっ!」

「遅い!」

 

杖を持つ手を木刀でケガをさせない程度の強さで叩き、取り落とした杖を軽く上に上げるように打ち上げそれをキャッチする。

 

「これで終わりだ」

 

喉元に木刀を突きつけて終了。メイジは杖がないと魔法が使えないので逆転の目は欠片もない。

 

「杖もないメイジにこれ以上の攻撃は無理だろう、降参でいいか?」

「あ、ああ…僕の負けだ」

(しかし、なんだこれは?)

 

ある事を疑問に思い、木刀をギーシュに突きつけながらステータス画面を開くとステータスが5割り増しぐらいになっていた。しかも木刀をどう振ればいいか余計な知識が頭の中に浮かんでしまう。それを気持ち悪く思いながらも降参したギーシュに突きつけていた木刀を下し、背を向けてその場を離れようとするが

 

「待ってくれ!どうして魔法を使わなかったんだ、貴方はメイジだろう!?」

「……ガキ相手に魔法を使う?今のところ他国の人間を殺すことはしたくないから加減がやりやすい武術で相手をしたんだが?」

 

暗に使っていれば殺していたかもしれないと匂わせればギーシュの顔は強張った。

実際、ゲームの世界での対人戦は相手が死んだとしてもペナルティ付きで復活する世界だ。手加減も出来ると言えば出来るが魔法は威力が決まっていてはっきり言えば手加減には向いていない。

 

「それじゃ、あの子達に詫びでもしとけよ。女ってのはたとえどんな女だろうと大切にするものだ、自分より強くても、自分より長く生きていてもな」

 

人の生け垣が分かれ、丁度その向こうにいたメイドとルイズを見つけてそこに向かって歩いていく。

 

「心配なかったろ?」

「最初から心配なんてしてないわよ、王族指南役なんだから。ま、魔法を使わないで勝っちゃうとは思わなかったけど!」

「き、貴族様に勝ってしまうなんて」

「先ほども言ったが、私の国の魔法は加減が難しい。間違って殺して問題を起こすと師匠たちに説教されるからな」

 

まぁ、母さんと父さんの方は気にしないし、師匠たちも大して気にもしないだろう。

むしろ、叩きのめさなかったことを責められるかもしれないがそんなことを言っても意味はないので何も言わずに木刀をアイテムボックスの中に収納する。

 

「初めまして、メイドのお嬢さん。私の名はキース、ベルジック家が王家の指南役をしているしがない冒険者だ」

「お、王家の関係者なのですか!?」

「師匠と母が王家と関係があってね、その伝手だよ。こっちの近くの国じゃないから殆ど平民みたいなものだ、よろしくな」

「は、はい!?」

「王族の指南役が遠い他国とはいえ平民なわけないじゃない!もう、早く校長先生のところに行って貴方の部屋の事を相談するんだから行くわよ」

「ああ、じゃまたなメイドのお嬢さん」

 

その後、オスマンに相談すると教師達の部屋がある場所の空き部屋を提供すると言われてキースの部屋が決まった。

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