サモナーさん関連短編集   作:cohaku

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召喚士とゼロ4

キースが魔法学院の生徒ルイズに使い魔と召喚されて約1週間が経った。

ルイズが明日は虚無の曜日で学院が休みだから出かけないかと聞いてきた。そろそろ夜中の空中散歩だけでは飽きてきたのでよろしく頼むと了承した。

約一週間の間は特に何もない、朝に与えられた部屋から出てルイズを迎えに行き朝食を食べ共に授業を受け、昼食を食べ、また授業を受けたり何故か文字が読める事が分かったので図書館で知識を仕入れたり、夕食を食べ終わったらそれぞれの部屋に戻り、用意した拠点に転移して召喚モンス達と手合わせしたり大まかな地理を知るために空中散歩をしたりして僅かな睡眠をとるために部屋を戻るというのを繰り返していた。

いい加減変化が欲しいと思っていたところなのでルイズの提案は渡りに船だった。

明日の初めてのこの学院の外の街に心を馳せ歩いていると

 

「キュルキュル」

 

ルイズを部屋に送った後、与えられた部屋に戻ろうとしようとして鳴き声が目の前から聞こえて足を止める。

 

「キュルケ嬢のサラマンダーか?何か用でも?」

「キュルキュル」

 

1週間でだいぶ慣れたのか最初の頃のように固まったりはしないがこのように積極的に近づいてきたのは初めてだ。

スリスリと足元に甘えるように絡まるとそっとある部屋へと入っていく。その部屋は光が落とされ暗く、まるで何かを誘い込むように開いていた。

 

(……流石になぁ)

 

しかし、キースは暗視を自身に付与する魔法を夜になると使う様習慣づけているためその闇の仲が見えてしまう。

少女とは思えないほどの抜群のスタイルとそれを飾るベビードールを着たキュルケ嬢が部屋の中で待っていた。その目は獲物を狩る肉食獣でその獲物とは自分の事だろうと何となく察した。

 

(『微熱』のキュルケ…恋多きメイジだったか?)

 

その抜群のスタイルと蠱惑的な雰囲気で多くの男子たちを虜にしていると耳に入っている。現に気配察知にこちら側に向かっている反応が複数あった。きっと夜のお楽しみを予約していた紳士たちなのかもしれない。

きちんと管理できていない所に少女らしい未熟さが見える。

 

コンコン!

 

「キュルケ…待ち合わせの時間に君が来ないから来てみれば!」

「ペリッソン!ええと、2時間後に」

「話が違う!」

 

早速予約した紳士が来たらしい、他にも気配が複数あるのでその多感さに苦笑してそっと開いていた扉を閉めた。

 

「あ、待ってぇぇ」

 

 

虚無の曜日、昨日の出来事は心の奥底に仕舞い街に向かうための馬を借りようとしたルイズを止める。

 

「せっかくなら私の馬に乗らないか?」

「貴方の?」

「ああ、サモン・モンスター パナール」

 

魔方陣が現れ八本足の黄金の鎧をまとった馬が召喚される。

 

「スレイプニルのパナールだ。パナール、今の私の護衛対象のルイズだ」

「   」

 

ルイズは現れた立派な駿馬に言葉をなくし見つめていた。

 

「よっと…ん?ほら、ルイズも」

「…え…えっと私は学院から借りて」

「そこらの馬だとパナールについていけないぞ。大丈夫、私と一緒なら乗れるからおいで」

 

ルイズが伸ばし来た手を取りルイズを自分の前に乗せる。

 

「わぁ、高い」

「さて、道をまっすぐ行けば街だったかな?」

「ええ、まっすぐ進んだ先に城下町があるわ」

「よし、行くぞ。あまり、張り切るなよパナール」

 

普通の馬で3時間かかる道を1時間半で走り切ったことをここに記しておこう。

 

「とても速かったわ」

「あれでも全力は出してないぞ」

 

城下町に着きパナールを送還してさっそく街へと歩き出す。白石造りの街はまるでゲーム世界に戻ってきたかのような心地になる。

 

「とりあえず、貴方が興味ありそうと言えば武器屋とかかしら?」

「どこでもいいが、確かに武器屋は気になるな」

「じゃ、こっちよ」

 

ルイズと共には言った路地裏は悪臭が鼻につき、ゴミや汚物がそこらの転がっていた。

暫く歩いた先に剣の形をした看板が下がっている店がありそこに入っていく。店の仲は昼間だというのに薄暗く、ランプの明かりが灯っていた。

壁や棚に所狭しと剣や槍が乱雑に並べられ、立派な甲冑が飾ってあった。店の奥でパイプを加えていた親父が入ってきたルイズを胡散臭そうに見つめるが、紐タイ留めに描かれた五芒星に気づく。

 

「貴族のお嬢様。うちは全うな商売をしてまさぁ。お上に目を付けられるようなことなんかこれっぽっちもありませんや」

「今回は道案内よ」

「道案内?」

「そうよ、どお貴方の目から見て欲しい物はあるかしら何でもは無理だけど一本位なら贈らせてもらえないかしら?」

「…今は手持ちがないからな、もしも欲しい物があればご厚意に預かろう」

 

キースはさっそく乱雑に置いてある武器を見て回る。

 

「あの方は誰ですかい?貴族のお嬢様が直々に案内なさるとは」

「剣とか武器に興味があるっていうから案内したの。何かお気に召すものがあればいいのだけれど」

 

その様子を見守るルイズと店主を尻目にキースは、武器をざっと見て回る。

 

(特に欲しい物は…ん?)

 

【武器アイテム:剣】 意思ある魔剣 デルフリンガー

 

魔力付与品

 

はるか昔、虚無の魔法と先住の魔法により命を吹き込まれ虚無の使い魔の武器として生を受けた魔剣

今は力の大半を封印しているが、その封印が解けた時真の姿と力を現し虚無の使い魔を助けるだろう

 

 

「…成程、面白い物があるな」

 

その件は刀身が細い薄手の長剣。表面には錆が浮き、お世辞にでも使えるとも思えない見た目をしているが鑑定によって得た情報を見てそれを手に取った。

 

「おいおい、おどれぇた。ここまでの実力がるやつぁが真っすぐに俺を手にとるたぁ」

「それって、インテリジェンスソード?」

「しかもてめ、『使い手』かよ。凄腕で使いてとわぁ、俺ぁついてるな。おいてめ、俺を買えよ」

「意思のある武器か、うん店主こいつはいくらだ?」

「そいつを買ってくれるなら百で結構でさ。口うるさくてたまらねぇ」

「ふ~ん、いいわそれなら余裕で買えるし他に欲しい物はないの?予想外に安く済んだから余裕はあるわよ」

「いや、こいつだけでいい。他は私が持っている物の方が良い物だしな」

「ほう、旦那。あんたの武器がここにあるどんな物よりも良いと?」

 

武器屋のプライドか、それとも大した金も持ってなさそうな男の武器より悪いと言われたか挑発するように言ってきた店主に肩をすくませ、デルフリンガーを店主に手渡した後、マジックバックから一本の小刀を取り出す。

 

「最低でもこれ位ないとな」

 

神鋼鳥の小刀を見せると店主とルイズが吸い込まれるように見つめた。

 

「こいつぁ、なんでできているんですかい?」

「私の国に住む鋼鉄の羽を持つ鳥の羽を加工して作っているんだ。大抵のものは切ってしまう凶暴なやつだった」

「これが鳥の羽なの?」

「ほぉ、すげぇもんだな」

「こりゃ、俺の店にあるやつじゃ役不足って言われてもしょうがねぇな。ちょいと持ってみてもいいかい?」

「重いぞ?」

「っ、旦那これアンタ使えるのかい?」

「勿論」

 

店主が僅かに持ち上げてすぐに机に戻した小刀を軽々と持ち上げる。

 

「流石に動くにはここは狭いから証明はできないが私の近距離戦の主兵装だよ」

「成程、旦那はすげぇ達人みたいだな。よっと、こいつがうるせぇと思ったら鞘に入れればおとなしくなりまさぁ」

 

デルフリンガーを鞘に入れた店主から受け取る。ざっと見た長さは150㎝、長さ的に両手剣に部類され腰に下げるには少々長い。

それを見越してか、鞘には肩にかけるショルダーベルトがある。とりあえず肩にかけるようにして背負ってみる。

 

 (そういえば、今まで抜き身だったけど小刀とか短剣位は鞘付けないと危ないか…あとで作らせるか)

 

今までは戦場でしか、武器を持ち歩かないので鞘とかはつけてなかったがこれからは必要になるかもしれない。

 

「よし、武器屋は終わったしどこか別の場所に行きましょうか」

「そうだな、なら適当なお店と昼食を食べたりしようか」

「そうしてくれると嬉しい。色々見てみたいからな」

 

武器屋を出て路地裏から出ると雑貨屋や露店を見て回り、適当な食堂で食事をとり学院に帰っていった。

 

 

「キース様、そんなボロ剣なんて捨てて私の贈った剣を使ってちょうだい!」

「へ?」

「は?」

 

折角だからとキースの召喚モンス達の毛並みのブラッシングをモフモフを堪能しながら過ごしていたらルイズとキースのもとに大きな大剣を持ったキュルケとその後ろを青い髪で眼鏡をかけた少女がついて歩きながら突撃してきた。

 

「ちょっと、ツェルプストーがキース様に贈り物をするのよ?まさかキース、この女に誘惑されたんじゃないでしょうね!?」

「誘惑されたが乗ってないぞ?幾人もの約束があったようだし、下手に女性に手を出して何かあっても困るからな」

「あの時はごめんなさい、私のお友達達が押しかけてしまって…私あの決闘を見て貴方に恋をしてしまったの!あの時の貴方の戦いを見て私に恋の炎が灯って、いつも貴方の事を考えてしまう!

思わず、貴方が街に行くと聞いてタバサに頼んでその後を追いかけてしまう位!」

 

キュルケは頬を赤らめてキースを見つめている。タバサだろう青い髪の少女を見てその隣に小さな竜がいるのを見てそれで追いかけてきたのかと思う。

 

「そ、そうなのか」

「ええ、貴方の乗っていた馬がとても速くて追いつくのが大変だったけど追い付いてついていってみれば武器屋に入っていったわ。そこで買ったのがボロボロで錆びついた剣だっていうじゃない!

貧乏なヴァリエールのせいでそんな粗末な剣を勝ったのでしょう?

私ならこんな豪華で立派な剣を贈れるわ!ぜひ受け取ってちょうだい!」

 

キュルケが出したのは豪奢な飾りと模様があるレイピアだ。余りにも華美すぎて実用品ではなさそうだ。それを見てルイズは鼻で笑う。

 

「フン、そんな玩具がキース様のお気に召すと思ってるの?あとお金が無くてアレしか買えなかったんじゃなくてアレ以外キース様の気を引くものが無かったのよ!

アンタのそんなほっそい弱そうな剣よりもずーとずーと強い武器を持っているんだからキース様のお気に召した剣を買ったのよ!!」

「なぁに?ヴァリエール、もしかして負け惜しみ?私がこんな綺麗で立派な剣を買ったのに嫉妬しているの?」

 

言い合いは終わらない、もはやキースと剣の事すら忘れかけているかもしれない。

 

「…ヴォルフ、どうおもうあれ」

「ガゥ」

 

キュルケの手にあるレイピアを見て召喚されてブラッシングを受けていた大神のヴォルフが論外だと顔を振る。

 

見せかけのレイピア

【宝物】

完全な観賞用に作られたレイピア。武器としての性能は皆無

 

と出ている鑑定結果に笑うしかない。流石にそんなものを渡されても困るのだが彼女たちに武器の目利きを期待するのも無理な事でもある。

 

(さて、どうしたもんか)

 

「もう、許さないんだから!」

 

ルイズが杖を取り出しルーンを唱えるが見当違いの場所が爆発。

 

「ゼロ!ゼロのルイズ!壁を爆発させてどうするのよ!あなたってどんな魔法を使っても爆発させるんだから!あっはっは!」

 

馬鹿にしたように笑うキュルケにさらに怒りが増したのかもう一度杖を構え呪文を唱えようとして

 

「な、なにあれ!?」

 

ルイズが呪文を唱えるのを中断してキュルケの後ろを見る。キュルケとタバサ、キースもその方向を見るとそこには巨大な土のゴーレムが現れていた。

 

「なんなのあの大きさトライアングルクラスのメイジじゃないの!」

「下がれ、3人とも!」

 

驚いて固まっているルイズとキュルケを片手で俵のように抱き上げて後ろに下がらせる。タバサ嬢は、言われる前に動いて竜に乗って退避しているので心配はない。

 

「ヴォルフ!」

「ガァァァア!」

 

キースの声を受けてヴォルフがゴーレムに躍りかかる。

 

(キレート!)

 

常に陰に潜ませているキレートにも声を掛け、オリハルコンメイスを取り出しゴーレムに襲い掛かる。

ヴォルフが攻撃を繰り出しているが、欠けたかと思えばすぐに再生する様子で攻めあぐねているようだ。

 

(再生力が高いな、それじゃあ)「ヴォルフ!」

「!」

 

幸い鉄という耐久性が高い素材でもない、キースが右足を、ヴォルフが左足を担当し

 

「ハァ!」

「ガァ!」

 

メイスと霊撃で足を完全に崩した。

 

「ディスペル・マジック!」

 

幸いゲームの時と違いこのゴーレムは魔法によって動いている。足を壊し接近し魔法を解除してしまえば敵ではない。

 

(よし、犯人も確保したし問題なしだな)

 

物陰に潜んで此方を伺っていた犯人だろう人物も捕縛は完了した。

 

「大丈夫か、3人とも。怪我はないか?」

「問題ないですわ!キース様!」

「キース様がさっさと倒したから怪我をする間もなく終わったわね。でもさっきのゴーレムは何だったのかしら?」

「…問題なし。でもどうやってゴーレムを倒したの?」

「キュウ!」

「怪我がないようで何よりだ。先ほどのゴーレムは魔法によって動いていたようだからな、私の国にある魔法を解除する魔法で動かしていた魔法を解除したんだ」

 

キースの言葉にピクッと今まで大して動いていなかったタバサの表情がほんのわずかに動いたように見えた。

 

「魔法を解除する魔法?」

「そう、戦闘にはあまり使わないがこういう物にかかった魔法とかを解除するのに有効だな。後は、魔法で異常な状態にされた人物相手にとかにも使えるがそっちに関してはあまり使い勝手はよくないな」

「異常な状態になった人に使える…」

「とりあえずそろそろ暗くなってきたから部屋に戻ろう。あんなものも出たし、犯人捜しは教師たちに任せた方が良いだろうしな」

「そうね、さっさと部屋に戻りましょう」

「キース様、この剣を受け取って…って、ああ!」

「あらぁ、ツェルプストーアンタご自慢の剣ゴーレムに潰されっちゃってるじゃない?こんな潰れてひしゃげたのなんの役にも立たないじゃないの」

「あのゴーレム!犯人を見つけたらただじゃおかないわ!」

 

いつの間に手から落ちていたのかキュルケの手にあった豪奢なレイピアは、ゴーレムの足の下敷きになりひしゃげもはや使い物にならなくなってしまった。

それを見て怒髪天の如く怒るキュルケにルイズは満足そうな笑みを浮かべ、タバサは何か考え込んでいるようで俯いて黙っていた。

後日、あのゴーレムは今話題の第怪盗『土くれのフーケ』の魔法が学院の宝物庫を狙ったことが分かったがそれ以降土くれのフーケは現れることはなかった。

 

 

 

「…っ、ここは」

「お、起きたな」

 

土くれのフーケ、いやミス・ロングビルは意識を取り戻した。そして聞こえてきた声にバッと起き上がる。

 

「ゴーレムの魔法を使っていた犯人だよな?まぁ違うって言われても私の中ではあなた以外犯人になりえる人がいないって思っているから嘘ついても意味ないぞ?」

「…いったい何をおっしゃっておられるのかわかりませんわ」

「成程、しらを切ると…まぁ、とりあえず話を聞け、それで自分に有益だと思うなら正直に話すといい」

 

キースは、警戒して距離を取るミス・ロングビルを見て苦笑しながら部屋にあったソファに腰かけ用意してあった紅茶を口に含む。

 

「まず、貴方の名前はマチルダ・オブ・サウスゴータで今話題の大怪盗土くれのフーケ。ロングビルという名は偽名だろう?」

「っ!」

「私は君の出自に関して何も言うつもりない。私が欲しているのは君の盗品を売りさばく人脈だ」

「…」

「君も知っての通り、私はこの国の人間ではない。貴金属を持っていても売りさばく伝手がないのでね、是非君の伝手を使って私の持つ貴金属を売ってほしいのさ。

勿論タダでとは言わない、そうだな6:4。純利益の4割でどうだろうか?君は盗賊という危険な事をしなくていいし、私は貴金属を売って現金を手に入れられる。どちらの損にもならないと思うがどうかな?」

「…」

「勿論、他にも要望があるなら叶えられるなら叶えよう。今君と私がいるのは海のど真ん中にあってそこそこ大陸とは離れている小さな島でね。土系統が得意な君だとここから逃げられないし、他の人間も特殊な結界を張ったここは入る事が出来ない。

野菜や果物の栽培を始めて、君がお金を調達してくれるなら近々家畜も飼おうと思っている。常に私の使い魔が常駐し戦力にも不足はない。貴金属もある程度調達できる体制が出来ているから商品が無くなるという心配はないだろう」

 

ソファの前のテーブルに置いてあるベルを鳴らすと幾人もメイドや執事の姿をした召喚モンス達が入ってきてワゴンを押しては戻り押しては戻りを繰り返し上に布がかけられたワゴンが20個ほど運び込まれる。

その布が取り払われると

 

「!?」

「これは、私が今用意できている貴金属の一部だ。どうだい?こちらに雇われるつもりはないかい?」

 

ワゴンの上には様々な宝石や金銀のインゴット、マチルダも見たことの無いような精巧な細工が施された宝石が煌くアクセサリーなどが乗せられていた。

 

「…どうやってこんな量を」

「お、やっと反応してくれたね。そうだな、君には見せた方が早いかもしれない。少し外に出ようか」

 

やっとこちらの話を聞く気になったのか、質問をしてきたマチルダに笑みを見せソファから立ち上がり外へと歩き出した。

少し後ろをついて歩き出したマチルダをたまに確認して、新たに設置された城館を出ると闘技場に向かって歩き出す。

 

「さぁ、ここだよ」

「何だいこれは」

「闘技場であり召喚の場でもあるね」

「?」

「まずは分かりやすいのからかな?」

 

闘技場の中心に移動するとポータルガードの 獅子吼と雷文が待っていた。

 

「さて、マチルダ嬢私から余り離れない様に。

 

 

コール・モンスター ベリルビースト」

 

何故だか知らないがコール・モンスターの使用がゲーム世界と変わっていた。モンスターをおびき寄せる呪文ではなく、戦い勝ったことのあるモンスターを呼び出す呪文へと変わっていたのだ。

ベリルビーストがすぐさま獅子吼と雷文に食いつかれ抵抗する間もなくその命が消えると、その死体があった場所に石のようなものが一つ現れる。

 

「今回はエメラルドか」

「今のは一体何なんだい!?大きな化け物が現れたと思ったらすぐに殺されて石ころが現れる!?どうなってんだい!」

「ここは、不思議な力が働いていてね。さっきは私の国に生息する魔物でここで殺すと稀に宝石を落としてその死体を消していくんだ」

 

今回はポータルガードが殺したので死体が自動で消えたが、キースやそのパーティーの召喚モンス達が倒すと死体が丸々残ってドロップアイテムが手に入らない代わりにその魔物本来の素材を丸々一頭分手に入る様になっている。キースがドロップアイテムが欲しかったら剥ぎ取りナイフを突き立てればドロップアイテムになる仕様になっていた。

 

「後はこれを磨けばさっき見た宝石の出来上がりってわけだ。さっき見せた金や銀もそうやって入手している。そして私の国だと魔物は絶滅するという事はなかったから無限にそれらを手に入れられるという事でもある」

「  」ゴクッ

「まぁ、倒さないといけないという手間と落とす確率が低いというものあるし、加工や細工を施すのもそれなりに時間がかかるがあまり市場に流して安くなるのは困るしな。

さて、ミス・マチルダ。怪盗をやめて私の貴金属を売りさばいてくれないか?」

「…いいよ、やってやろうじゃないかい。ただし、ある条件を飲んでくれるならだけどねぇ」

「言ってみな。さっきも言ったように叶えられる願いは叶えよう」

 

その言葉に一度だけ息をのんで真剣な表情をしてマチルダは条件を述べ始める。

 

「まず一つ、アンタとの接点を持ったままでいた方が都合がよさそうだからあのエロ爺の秘書はそのまま継続させてもらいたいね」

「かまわないよ。君にとっても秘書の給料があった方がいいだろうし、売りさばくのもそう頻繁に行う事じゃないだろうしね」

「次に…」

 

 

 

 

「よし、契約成立だね」

「それじゃあ、さっそく質問良いか?」

「質問って何だい?」

「とりあえず、ここで手に入りそうなもので高値で売れる奴を教えて欲しい。どういう装飾品が売れるかとか、どういう宝石が人気だとか色々あるだろ?

布や料理とかもある程度体制が整えば出来るし、今のうちに何をするか決めておいた方が無駄がない」

「む、それもそうだね」

 

おおむねマチルダの条件は全て通り、キースは裏社会にある程度通じる人材を手に入れる事が出来たのだった。

 




一巻の最後のパーティーってどういう理由で開催されたんでしょうか?土くれのフーケ撃退記念とかだと開催されないので書いてないのですが皆さん知っていたら教えてくださると嬉しいです
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