連投&夜遅くの投稿ですみません。
『軍』のプレイヤー達を追いかける事数十分後。
一行は途中で何回か戦闘があったものの危なげなく進んでいた。
「あいつら、もうアイテムだけ取って帰ったんじゃねえ?」
おどけたようにクラインは言うが、ジェネシス達四人の表情は固い。無論、そうであればかなり気が楽なのだが、恐らくそうではないと直感が告げていた。
その後やや早足で歩き、ボス部屋まであと半分という所まで来た時だった。
「ああぁぁぁぁ……」
先の方から声が響いた。あれは間違いなく悲鳴だ。
ジェネシス達四人は一斉に駆け出した。
再びやってきたボス部屋。
既に扉は開かれており、中からは断続的に悲鳴が木霊する。
入り口付近で停止し、中を見てキリトが叫ぶ。
「おいっ!大丈夫か……!!」
四人は愕然とした。
既に陣形はもう無いに等しく、悪魔は右手の大剣を振り回しながら兵士達を追い回している。
ボスのHPバーは数ドットも減っていない。
軍の人数は、先ほど会った時より二人減っていた。
「早く転移結晶を使え!!」
キリトがそう叫ぶが、
「だめだ、結晶アイテムが使えない!!」
軍の一人がそう答える。
その言葉でジェネシスとキリトは目を見開いた。
「オイオイ、こいつはまさか……」
「結晶無効化空間……!」
デスゲームであるこの世界でも最悪の部類に位置するこの空間。それは殆どがトラップなどに設定されており、ジェネシスはその恐ろしさを一度体感している。
「何をしている!我々解放軍に『撤退』の二文字は無い!!戦え、戦うのだ!!」
「あんの大バカ野郎が……!!」
怒号をあげるコーバッツにジェネシスは思わずそう呟いた。
これだけの被害を出し、しかも圧倒的に劣勢な状況で尚も引くつもりは無いらしい。
だがそれは勇敢とは言わない。無謀と言うものだ。
「おいおめぇら!状況はどうなってやがる!」
すると追いついてきたクラインが彼らの隣に立つ。
「……最悪だ。このボス部屋は『結晶無効化空間』だ」
ティアが簡潔に伝えると、クラインの両目は見開かれた。
「何とか…何とかならねぇのかよ?!」
「俺たちが突っ込めば、退路は開けるかもしれないが……」
キリトはそう言って前方を見ると、苦い顔をする。
ボスは軍の退路を塞ぐように立ちはだかっており、これでは満足に撤退も出来ない。
だがここでジェネシス達が突っ込むと、今度は彼らに危険が及ぶ恐れがある。
「全員……突撃イィーーー!!!」
その時、コーバッツの叫びが響いた。
8人を四人2組に分けて突撃させる。
「やめろぉーーっ!!」
だがキリトの叫びも虚しく、悪魔は口から眩いブレスを吐き出す。
その威力で軍のメンバーは簡単に吹き飛ばされ、転倒したところに悪魔の巨剣が振り下ろされる。
その時、キリト達四人の中から一人が飛び出し、悪魔の横を回り込んでその攻撃を受け止めた。
凄まじい爆風と金属の衝撃音がフロア全体に響く。
そこに居たのは、赤黒い大剣を両手で持って必死に悪魔の剣を堪えているジェネシスだった。
「久弥っ!!」
ティアは悲痛な顔で叫んだ。
当然だ。あまりにも無茶過ぎる。下手をすればジェネシスが死ぬ可能性だってあった。
「き、貴様は……」
コーバッツはバイザーの奥から驚愕の顔でジェネシスを見上げる。
「……逃げろ……」
「何?」
ジェネシスは必死に歯を食いしばりながらコーバッツに言った。
「仲間連れてさっさと逃げろ…時間は稼いでやる」
「な、ふざけるな!我々解放軍に」
だが此の期に及んでまだ引くつもりのない様子のコーバッツに、ジェネシスはついに業を煮やして叫んだ。
「いい加減にしやがれバカが!!てめぇのくだらねぇプライドのために、これ以上人を犠牲にするつもりか?!!」
「っ……!」
その言葉でコーバッツは何も言えなくなり、
「…総員、撤退する」
そう指示を出すと、軍は立ち上がって撤退を始める。
だがボスがそれを簡単に許すはずもなく、ジェネシスからターゲットを出口に向かって走る軍に定めると、その剣をもう一度彼らに向かって振り下ろす。
ジェネシスはそうはさせまいと走るが、間に合わない。
「せあっ!!」
だがその剣を白い一閃が弾き、軌道を解放軍の面々から僅かに逸らした。ティアだ。
「早く行け」
ティアは静かにそう告げると、再びボスに斬りかかった。
持ち前のスピードと敏捷性をフルに発揮してボスを翻弄するが、それでも圧倒的なパワーの前では不利である。
ティアの刀をボスが剣で防ぐと、ボスはそのまま空いた左手でティアを殴りつけた。
「ぐっ……!」
その攻撃でティアは大きく後方に吹き飛ばされ、地面に倒れ込んだ。
そこへボスの大剣の刃が迫るが……
「おおぉぉぉ!!!」
ジェネシスが両手剣スキル《アバランシュ》で弾く。
ボスの大剣はティアから僅かに逸れて地面に直撃した。
その隙に、クライン達風林火山が軍の撤退を援助する。
ボスはそれに向けてブレスを吐こうとするが、ジェネシスが背中を斬ることでそれを防いだ。
すると、ボスがお返しとばかりに大剣をジェネシスに振り下ろす。
ジェネシスはそれを必死に抑えるが、衝撃でHPが減少した。
このままではジリ貧だ。
逆転の方法ならある。以前手に入れたユニークスキルだ。
しかもこの場には3人もそれを持つものがいる。
ここまで来たらもうボスを倒す以外の選択肢は無い。
ならば、今ここでユニークスキルを解放するしか無い。
迷う時間など、彼らには無かった。
「アスナ、クライン!十秒だけ持ち堪えてくれ!」
キリトがそう叫ぶと、アスナとクラインがボスに飛び込んだ。
そしてキリト・ジェネシス・ティアの3人は急いでメニューを操作する。
クラインがボスの剣をどうにか弾き、アスナがボスから繰り出される斬撃を上手くかわしていく。
「よし、いいぞ!スイッチ!!」
まず飛び出したのはキリト。
アスナと入れ替わりながらボスの懐に飛び込んでいく。
ボスの大剣が突き出されるのを右手の黒剣で弾きながら、そのまま左手を背中に持っていく。
そして同時にオブジェクト化した翡翠の直剣を引き抜き、ボスの顎を打ち抜く。
その光景に、アスナとクラインは驚愕で目を見開いた。
通常、この世界では片手剣を左右の手に装備することは出来ない。
しかしこのスキルは、その不可能を可能にする。
それが、キリトのユニークスキル《二刀流》だ。
ボスの剣が真上から振り下ろされるのを、キリトは左右の剣をクロスさせる事で受け止め、そして押し返した。
「《スターバースト・ストリーム》!!」
その瞬間、キリトの左右の剣がペールブルーの光を発し始めた。
二刀流十六連撃スキル《スターバースト・ストリーム》
無数の流れ星のような鮮やかな斬撃が、次々とボスに叩き込まれていく。
ボスは負けじとキリトに反撃していく。キリトは攻撃の途中なので避けることが出来ない。
しかしキリトの思考には、もう避けるという選択肢は無く、
「(まだだ、もっと…もっと速く!!)」
思考をフルに回転させ、ボスを滅多斬りにしていく。
そして最後の一撃。
ボスから繰り出される突きと、キリトの最後の一撃が交差する。
「おおぉぉぉ!!!」
キリトの一撃は見事ボスに命中した。
だがボスのHPバーはあと2本も残っている。
ボスはキリトをその大剣で吹き飛ばした。
しかしもうキリトは限界で避けることも出来ず、為すがままに吹き飛ばされる。
「…後は……頼むぞ……!」
キリトはそう言い残し、意識を手放した。
「キリトくん!!」
「おい、キリトォ!!」
アスナとクラインが慌ててキリトに駆け寄る。
幸いキリトのHPは僅かに残っていたため、回復結晶で何とか一命は取り留めた。
だがそんな彼らに、悪魔は無慈悲に近づいていく。
「クソッタレが!!」
クラインが刀を構えて応戦しようとするが、それは必要なかった。
突如、それまで青に染まっていた部屋の中に、真っ赤な光が灯り始めた。
アスナ、クラインを始めその場にいる皆が視線を向ける。
赤い光の中心にいたのは、抜刀術の構えを取っているティアだった。
ティアからはまるで炎のような鮮やかな赤い光が発せられており、ティア本人は目を閉じてただじっとしている。
ボスはそんな彼女に向けて地響きを立てて走りだし、その大剣を振りかぶった。
その瞬間、ティアは両目をカッ!と開き、その場から一瞬で飛び出した。
直後、ボスの身体に無数の切り傷ができ、その傷から炎のようなエフェクトが発生する。
ティアは止まることなく、ただひたすらにあらゆる方向から無数の斬撃を繰り出していく。
ティアの刀が赤い弧を描き、吹雪のようにも見えた。
これが、ティアの手にしたユニークスキル《抜刀術》。
そしてそのうちの、三十九連撃ソードスキル《緋吹雪》だ。
「はあああああぁぁっ!!!」
そして叫びながら最後の一撃を、上空に飛び上がって上段から振り下ろし、ボスの身体を両断する。
これでボスのHPバーは、あと一本。
その時、今度はドス黒いオーラが部屋の中を充満して行く。
そのオーラを発しているのは、大剣を肩に担ぐジェネシスだ。
ジェネシスの身体はもう真っ暗なオーラに包まれ、その両目は真っ赤に光り、まるで死神のように見えた。
「行くぜえぇぇぇぇ!!」
そしてジェネシスは飛び出す。
ボスの両手剣とジェネシスの両手剣が衝突する。
その瞬間、耳をつんざくような金属音と、部屋中の空気を揺るがすほどの衝撃波が発生し、皆は思わず両手で顔を覆う。
そして再び視線を向けると、そこには圧倒的な体格差のあるボスと互角で剣を打ち合うジェネシスがいた。
剣と剣がぶつかり合う度に、けたたましい金属の衝撃音とおびただしい火花が散る。
これが、ジェネシスの手にしたユニークスキル《暗黒剣》。《暗黒の剣士》の名を持つジェネシスに相応しいスキルと言えるだろう。
だが、拮抗していたボスとジェネシスだが、それは徐々に崩れ始める。
ジェネシスの方がボスを押し始めているのだ。
一体どうなっているのか、アスナがジェネシスの方をじっと見ていると、ある事に気がつき目を見開いた。
ジェネシスのHPがみるみる減少して行くのだ。
だがジェネシスのHPが減っているのは、ボスから攻撃を受けたからではない。
これが、《暗黒剣》の恐るべき特性。自分のHPを犠牲に、攻撃力を格段にパワーアップする事が出来るのだ。
そしてジェネシスがボスを吹き飛ばし、ボスがよろめいた時だった。
「こいつで…終えだ!!」
次の瞬間、ジェネシスの大剣が一層赤黒いオーラを纏い始める。
そして、ジェネシスはそれを思い切りボスに振り下ろす。
暗黒剣六連撃スキル《ディープ・オブ・アビス》
両手剣はこの世界で数あるソードスキルの中でも最も攻撃力の高いスキル。
そしてそのユニークスキルの上級技ともなれば、その破壊力は凄まじいものになるのは想像に難くないだろう。
ジェネシスが大剣を一振りする度、立つのが困難になる程の突風が発生し、この部屋ごと壊してしまうんじゃないかと思ってしまうほどの衝撃が皆を襲う。
ボスはその超弩級ソードスキルの威力に反撃することもできずに、ただジェネシスの攻撃を受けるだけである。
そして、ついに最後の一撃。
「おおぉぉぉぉらああぁぁぁぁーー!!!」
ジェネシスは赤黒いオーラを纏う大剣を一思いに真上から振り下ろした。
その一撃で、ボスはとうとうHPをすべて消しとばし、その身体をガラス片に変えた。
『Congratulations!』という激闘の終焉を告げるシステムメッセージが表示される。
「あー、やっと終わったか……」
ジェネシスは全ての力が抜けて地面に仰向けになって倒れ込んだ。
「お疲れ様、久弥。かっこよかったよ」
そこへティアが駆け寄ってしゃがみ込んだ。
「おう、おめぇもな…雫」
そしてジェネシスは意識を手放した。
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数秒後、ジェネシスは目を覚ました。
暗黒剣の影響で数ドットまで減っていたHPはすでに満タンになっている。恐らくティアが回復してくれたのだろう。
ふと、後頭部に感じたことのある柔らかさを感じた。
そして、真上にはティアの頭が。
「…あ、起きた?」
ジェネシスの目覚めに気づいたティアが優しく微笑みながら覗き込んだ。
「…おう。まーた膝枕か?」
「うん。こんな硬い床じゃ寝かせられないよ」
「すまねーな、おめぇも疲れてんのに」
「全然平気。久弥の寝顔見てたら疲れが吹き飛んじゃった」
「……あっそ」
ジェネシスは軽く笑ってそういうと、ゆっくりと起き上がった。
周りを見ると先程までこの部屋で共に戦っていたメンバーが居た。
キリトはアスナに抱きつかれており、クライン達風林火山のメンバーが囲むように立っていた。
「軍のメンバーが二人、死んだ」
クラインが目を伏せながら告げた。
「そっか……ボス攻略で犠牲が出たのは、六十七層以来だな……」
キリトも一度目を伏せる。
「こんなんが攻略って言えるかよ…コーバッツのヤロウ、人が死んだら意味ねぇだろうが…!」
クラインが悔しさを滲ませた顔で言った。
そこで切り替えるように首を振り、
「それよかおめぇら何なんだよさっきのは?!」
「えー、言わなきゃダメなやつ?」
ジェネシスが面倒臭そうに答える。
「ったりめーだろ!見たことねぇぞあんなの!」
それに対して3人は観念したのか、キリトは少し目を逸らし、ジェネシスはため息をつく。
「…エクストラスキルだよ、《二刀流》」
「《暗黒剣》だ」
「同じく、《抜刀術》です」
それを聞きクライン達は「おおーっ」と歓声を上げる。
「しゅ、出現条件は?!」
「んなもん分かってりゃとっくに公開してるっつーの」
ジェネシスの隣のキリトとティアも肯定し頷く。
クラインはメニューから現在公開されているスキルリストを確認していく。
「情報屋のスキルリストにも載ってねぇ……って事は、おめぇら専用のユニークスキルじゃねえか!
ったく水臭ーなぁこんな大技黙って待ってるなんてよぉ!」
クラインは苦笑いで言った。
「半年前にスキルリストを確認してたら、いつのまにか習得してたんですよ」
「でも、こんなスキル持ってるって知られたら……俺たちの周りにも、迷惑がかかるかもしれないからさ」
ティアとキリトの言葉にクラインは納得したように頷き
「ネットゲーマーは嫉妬深ぇからなぁ〜。俺は人が出来てるからいいけど、妬み嫉みはそりゃああるだろうよ。
それに……」
クラインはキリトに抱きつくアスナと、ジェネシスに寄りかかって座るティアを見てニヤリと笑い
「……んま、苦労も修行の内と思って頑張りたまえよ、若者達よ?」
「何だそりゃ」
クラインの言葉にジェネシスは訝しげな顔をする。
「さて、転移門の有効化はどうする?」
「任せるよ。俺はもうヘトヘトだ…」
「右に同じだ。俺ぁもう帰ってすぐ寝るわ」
「そっか。気ぃ付けて帰れよ」
そう言ってクラインは螺旋階段を上って行った。
それを見届けた後、ジェネシスとティアも立ち上がり、
「……さて、と。俺らも先に戻るわ」
「ああ。ありがとうな、お疲れさん」
「おう」
そうやり取りした後、ジェネシスとティアはホームへと戻って行った。
ホームへ戻った後、二人はさっさと夕食と風呂を済ませ、早々に休む事にしベッドに入った。
すると、ティアが後ろからジェネシスに抱きついた。
「んー?どうしたんだよ」
「あのね、久弥……しばらく、攻略休まない?」
「休む?まあいいけどよ、何でだ?」
ティアは少し目を伏せると、
「…何だか最近、すごく疲れを感じてて…今回のボス戦で限界が来ちゃった……」
と言いながら苦笑する。
そう言えばこの世界から始まってから、特に急用や野暮用がない時以外は、ほとんど攻略に出ていたことをジェネシスは思い出し、振り返ってティアの頭を撫でる。
「わーった。なら、しばらく休むか。俺たちはギルドにゃ入ってねーんだし、文句は言われねぇだろ」
ティアは少しの沈黙の後、嬉しそうな笑顔で
「うんっ!」
と頷いた。
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次の日、ジェネシスとティア、キリトの3人は五十層のエギルの店に来ていた。
「『軍の大部隊を全滅させた青い悪魔。それを撃破した『暗黒の剣士』と『白夜叉』、そして『黒の剣士』の百連撃』…こりゃ大きく出たな?」
今日の朝に出た新聞記事を見て大笑いするエギル。
「尾ひれがつくにも程があんだろ……」
不機嫌そうな顔でテーブルに肘をつくジェネシス。
「全くだ。お陰で朝から情報屋やら剣士やらに詰め寄られて、塒にも居られなかったんだからな」
その隣に座るキリトも悪態をついて言った。
「まあ、これも覚悟の上で使ったからな。仕方のない事だろう」
奥のベッドに座るティアが苦笑しながら言った。
すると、部屋のドアが開けられてアスナが入って来た。
「どうしよう3人とも……大変なことになっちゃった!」
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五十五層グランザム
血盟騎士団本部。ジェネシス達は既に何度かこの場所には足を踏み入れているが、今いる部屋は初めて来る場所だった。
最上階の幹部会議室。半円形のテーブルに、五人(副団長のアスナを除く)の幹部が座り、そしてその中央に腕を組んでこちらを見据える男がいる。
血盟騎士団団長・ヒースクリフだ。
「……君達とこうして話すのは初めてだったかな?
キリト君、ジェネシス君」
「いいえ、六十七層の攻略会議で一度話しました。ヒースクリフ団長」
「俺は多分初めてっすね、ヒースクリフの旦那」
ポーカーフェイスを装ってジェネシスとキリトは答える。彼らの隣に立つティアとアスナは何とも言えない表情を浮かべている。
「六十七層か…あれは辛い戦いだったな。トップギルドと言われても、戦力は常にギリギリだよ……なのにキリト君、君は我がギルドから貴重な戦力を引き抜こうと言うわけだ」
するとキリトは険しい表情になり、
「……貴重なら、護衛役の人選は気をつけた方がいいですよ」
するとジェネシスも
「あ、あと勧誘係の人選も気をつけて欲しいっすね。俺の嫁が随分と迷惑かかったみたいなんで」
若干ぶっきらぼうになりながら答えた。
「クラディールとバンノが君達に迷惑を掛けたことは済まないと思っている。
だがこちらとしても、副団長を引き抜かれて『はいそうですか』、と言うわけには行かぬし、何より今後の攻略を考えると戦力の確保は必要案件だ。
故に……」
そしてヒースクリフは鋭い目つきでキリトとジェネシスを見つめ、
「キリト君、ジェネシス君。私と戦いたまえ。
キリト君が勝てばアスナ君を連れて行くがいい。ジェネシス君が勝てば、君の望みを可能な限り叶えると約束しよう。
だが、もし私が勝てば……ティア君を含めた君達3人とも、我が血盟騎士団に入ってもらう」
その言葉でキリトとジェネシスはしばし驚いていたが、
「…いいでしょう。剣で語れと言うなら望むところです。デュエルで決着をつけましょう」
「俺はしばらく攻略休むつもりにしてたんだが……まあ、そこまで言うなら仕方ねぇ。その勝負、受けて立つぜ」
お読みいただきありがとうございます。
今回はアインクラッド編の大一番と言うことで、かなり気合を入れて臨んだのですが……ユニークスキル使いが3人もいるせいで、戦闘描写がボドボドダ!!
うまく書けたか自分でもかなり不安ですが、何かありましたら感想欄やメッセージにてお願いします。
評価もいつも通りお待ちしております。