ソードアート・オンライン〜二人の黒の剣士〜   作:ジャズ

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どうも皆さん、ジャズです。
さて、今回からいよいよ SAO編です。



二話 降臨

月日は流れ、久弥と雫も中学生となった。

久弥は相変わらず怠そうな歩き方で学校に向かう。

すると、家の門を出ると、久弥を呼ぶ声が響いた。

 

「久弥、おはよう!!」

 

呼ばれた方に振り向くと、銀髪の少女がその髪を風になびかせながらこちらに歩いて来ていた。

 

「雫……朝から何だよ」

 

ぶっきらぼうな久弥に、雫は頬を膨らませて

 

「むぅ〜、何よ!人がせっかく挨拶してるのに!」

 

「別にそんなのいらねぇから……てか、何でおめぇは毎朝わざわざこっちに来るんだよ。学校違ぇだろ?」

 

「途中まで一緒だから平気だも〜ん」

 

雫はそっぽを向きながら言った。

雫は中学受験をし、現在は私立の《天の川学園》というところに通っているのだ。

そこは地元では名の知れたエリート校で、名家の令嬢である雫もそこに通うことを余儀なくされたらしい。当初雫は「久弥と同じ学校に行けなくなる」と拒んでいたが、市内の学校に通うと必然的に彼女のいじめグループと同じ学校になってしまう。終わった過去の問題とは言え、やはりあのトラウマは克服出来ないため、止む無く雫は中学受験をしたのだ。

そして中学に上がると、なぜか雫は毎朝久弥の家に行き、途中まで並んで通学路を歩くのだ。

 

「そう言えば雫、お前剣道で全国優勝したんだってな。おめっとさん」

 

「どうも。まあ危なかったけどね……ていうか、知ってたんだ」

 

「まあな。見に行ってたし」

 

「……え?」

 

瞬間、雫の顔は真っ赤に染まった。

 

「…み、見に来てたなら、連絡くらいしてよ……」

 

「何でわざわざ連絡しなきゃならねぇ。てかお前大丈夫か?顔真っ赤だぞ?」

 

「っへ、平気ですぅ!!何でもないです〜!!

こ、これはあれよ………こ、恋の病ってやつよ!!」

 

「へー。お前誰かのこと好きなの?」

 

久弥はいかにも無関心という感じで呑気に尋ねる。

 

「〜〜〜〜喝っ!!!」

 

「アァーー!!イイッ⤴︎タァイ⤵︎目があぁー!!」

 

雫の竹刀が久弥の顔面にクリティカルヒットした。

 

 

 

 

 

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「そう言えば雫、お前ゲームとかってするの?」

 

痛みから復活した久弥は徐に尋ねた。

 

「ゲーム?ああ、うん。結構やるよ?最近だと、マイクラにハマってるんだよね〜」

 

「マイクラとかやってんのかよ……」

 

「マイクラ結構いいよ?PUBGとかモンハンとか見たいな殺伐とした雰囲気はなくて、羊とか飼ったり村人と交流したり出来て、ほのぼのしてるよ?」

 

「村人と交流って……あいつら『ハァーハァー』しか喋んねぇじゃんw」

 

「交流ってそういうやつじゃなくて!普通にアイテム交換したり、物を買ったりしてるだけ!」

 

「ふ〜ん。でも意外だわ。ボンボンの家って、そういうゲームとかやらなさそうと思ってたんだけどな」

 

「うちはそんなに厳しくないんだよね。やる事をちゃんとやっておけば後は好きにしなさい的な感じだから」

 

「割とフリーダムなんだな、お前の家って」

 

「まあね〜。でも、何で?」

 

雫がそう聞き返すと、久弥はカバンからとある雑誌を取り出して見せた。

 

「 SAO……『ソードアート・オンライン』?」

 

「ああ。世界初のフルダイブ型VRMMORPGゲーム。今週の土曜に正式版のソフトが出て、リリースなんだとよ。

それでな……良かったらお前もやらねぇか?」

 

「やる!!」

 

雫は物凄い勢いで久弥に詰め寄った。

 

「やるやる!私もやる!!」

 

「お、おう……分かった。なら、今度の土曜日一緒に買いに行かねぇか?すっげえ人気だから、早めに並ばねぇと買えないらしいし」

 

だが、久弥がそう話している時、雫は突如として立ち止まった。

 

「おい、どうしたんだよ雫?」

 

「……今…何て言ったの?」

 

「は?いや、早めに並ばないとって……」

 

「その前」

 

「すっごい人気らしいかr」

 

「その前っ!!!」

 

「ひっ?!あ、いやだから……土曜日、一緒に買いに行かないか、と…申し上げました……」

 

凄まじい剣幕の雫に久弥はタジタジになりながら答えた。

答えた。

 

「(あれ?俺何か不味いこと言ったかな……?あれか?一緒に買いに行こうが不味かったのか?!ああ、そうだな、俺たち別に付き合ってもねぇしな。ちょっとデリカシーなさすぎたか……)」

 

「(一緒に買いに行こう、ですってぇ?!ちょっと!どうしちゃったのよ今日の久弥はぁ?!ゲームに誘ってくれたり、しかも…で、デートの誘いまで?!そんな強引な……でも、嫌いじゃないわ!)」

 

そして、雫は先に口を開いた。

 

「えっと……いいよ?」

 

「え?何が?」

 

「だから!一緒に、 SAO、買いに行こう……?」

 

雫は上目遣いで言った。

思わず息を飲んだ久弥だったが

 

「お、おう……分かった。なら、時間とかはまた連絡するわ」

 

「うん!!……それじゃあ、またね」

 

「ああ」

 

ちょうど二人の通学路が分かれる場所に差し掛かり、二人は別れの挨拶を交わしそれぞれの道へ歩んでいった。

 

 

 

 

 

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〜土曜日〜

 

「いや〜、何とか買えて良かったな」

 

帰り道、久弥は今日購入した SAOのソフトとナーブギアを抱えながら嬉しそうに言った。

 

「ふふっ、そうだね。朝から並んだ甲斐があったね」

 

雫も、久弥と同じように両手に今日買った SAOのセットを抱えて笑顔で返す。

 

「それより、今日早速やろうぜ」

 

「そうね。とりあえず、集合場所だけ決めとこっか」

 

そして、二人は集合時間と場所、プレイヤー名を確認しあってそれぞれの自宅へと戻っていった。

 

自宅に帰った久弥は、いよいよナーブギアに SAOのソフトをインストールし、ナーブギアを頭に被る。

 

「行くぜ……《リンク・スタート》!」

 

 

 

 

 

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閉じた目をゆっくりと開く。

まず目に入ったのは、自分の両足。

そして、試しに自分の両手を動かし、手を閉じたり開いたり動かしてみる。

現実と殆ど遜色ない感覚だが、紛れもなくここは仮想世界。

 

 

「ついに来たぜ……《ソードアート・オンライン》!」

 

この日、もう一人の英雄ーー《ジェネシス》は SAOの世界に降臨した。

 




お読みいただきありがとうございます。
SAO編はもう少し後にする予定だったんですが、ジェネシスとティアを早く SAOに放り込みたくて始めちゃいました。

祝え!新たなる英雄の誕生を!
その名も《ジェネシス》!もう一人の《黒の剣士》が降臨した瞬間である!!

……はい、少し古いですが、やりたかったのでやりましたw
次回もよろしくお願いします。

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